ユニットバスは整形や保温性向上のために「エプロン」と呼ばれるカバー状のパーツが設置されています。
エプロン内部はその環境的条件からカビが繁殖しやすいことが特徴です。
本記事ではエプロン掃除のコツや外せない時の対処法を紹介します。
お風呂のエプロンを掃除しないとどうなる?
「お風呂のエプロン」とはバスタブの側面についているカバーのことです。
エプロンは浴槽の側面を覆って長方形のかたちに整え、お湯を冷めにくくするために設置されています。
お風呂のエプロンは取り外し可能なものが多いですが、大きく重量もあるためこまめなお手入れが難しいパーツです。
そのためエプロン内部にはカビが繁殖していることが少なくありません。
お風呂のエプロンの外し方
お風呂のエプロンは以下の手順で外せます。
- 取っ手部分に手をかける
- 下から持ち上げる
- 手前に引く
- エプロンをぶつけたり落としたりしないよう引き抜く
製品によってはネジ止めがされていることもあります。
もしお風呂のエプロンがネジで止められているのなら、ネジ山の状態を確認しましょう。
ネジになにかカバーがかけられている場合は取り外しができないので注意しましょう。
エプロンの外し方はメーカーによって異なるので注意
浴槽エプロンの取り外し方はメーカーや製品によって異なる手順になることがあります。
持ち上げてから軽く手前に引いても外れないのであれば無理に取り外してはいけません。
エプロンを外すために無理に引き抜いてしまうと、留め具を壊してしまうリスクもあります。
軽く引いてみても外れないようならば、取り外して自分で内部を洗浄するのではなく、浴室クリーニングを依頼して洗浄してもらうことをご検討ください。
「外さないでください」と書いてあるエプロンは外さない
浴槽のエプロンに「外さないでください」と記載されているエプロンは外さないようにしましょう。
物理的には外すことができても、専用の工具がないとエプロンをはめ直すことができないものやそもそも外す必要がないつくりになっている製品もあります。
また無理に外したことでエプロンが破損した場合、メーカー修理の対象外になる可能性が高いです。
浴室設備で有名なメーカーのtotoとLIXIL(リクシル)を例に、取り外せないエプロンのシリーズを紹介します。
toto製バスタブでエプロンを取り外せないシリーズ
toto製バスタブは、基本的に掃除のためにエプロンを取り外す必要はありません。
サザナ、シンラ、スプリノなど現在主力の製品は、エプロンの隙間から浴槽の裏側へ水が流れ込むのを防ぐ構造になっています。
取り外してしまった場合には販売店や組み立て店、TOTOメンテナンスサービスへ連絡しましょう。
LIXIL製バスタブでエプロンを取り外せないシリーズ
LIXILやINAXのエプロンは取り外せる製品とそうでない製品が混在しています。
たとえば2014年製以降のスパージュは構造上、エプロンを取り外しての掃除は不要です。
LIXILやINAX、トステムブランドのユニットバスを利用しているのであれば、エプロンを外す前に以下のポイントを確認してください。
- 「外さないでください」などの記載がないか
- エプロンを外せる品番やブランドか
品番やブランドを確認する方法にはブランドラベルをチェックしましょう。
LIXILブランド、INAXブランドの場合
- 浴室内側ドアの右側上部
トステムブランドの場合(以下いずれか)
- 水栓と反対側の壁
- 浴槽エプロン部分
ブランドラベルにはブランド名とユニットバスの品番が記載されています。
お風呂のエプロンを外して掃除する方法
エプロンが外せるのであれば以下の手順で掃除ができます。
お風呂のエプロン掃除で使う道具
お風呂のエプロンには黒カビをはじめとした様々な汚れが付着していることが多いです。
掃除をする前に以下の道具を用意しましょう。
- 排水口のゴミ受け
- 塩素系カビ取り剤
- お風呂用防カビくん煙剤
- 掃除用ブラシ
- 掃除用スポンジ
- マスクやゴム手袋
エプロン掃除のために特別なものを用意する必要はありませんが、いくつか注意点があります。
たとえば初めてエプロンを掃除するときは、想定以上に汚れが溜まっていることが考えられます。
掃除用スポンジは普段の浴室掃除に使っているものではなく、複数個まとめ売りされているような安いものを使い捨てにすると衛生的に掃除ができます。
ほかにも掃除用ブラシは細かい部分を洗うのであれば古歯ブラシで代用できます。
大きめのブラシ1本と古歯ブラシを用意しておくと使い分けができて便利です。
換気扇を回して換気をする
お風呂のエプロンには大量のカビが付着しているケースが多いので、掃除をするときには換気が必須です。
換気扇を回したり、窓を開けたりして空気の入れ替えを十分に行いましょう。
浴室換気扇は「強」運転にするのがおすすめです。
塩素系カビ取り剤を使う時は特に念入りな換気が必要です。
換気が不十分だと気分が悪くなったり、中毒症状を起こしてしまいます。
換気をし、掃除の準備ができたら排水口にゴミ受けを設置してください。
ゴミ受けには掃除中に剥がれ落ちたゴミが溜まるので、随時捨ててください。
エプロンを取り外す
エプロンの取っ手に手をかけ、下から持ち上げてエプロンを取り外しましょう。
エプロンは重量があるパーツなのでぎっくり腰などケガをしないよう注意してください。
不安定な体勢で重いものを動かすとぎっくり腰になりやすいです。
エプロンを取り外すときは浴室の床に脚をつけて、滑らないよう気をつけて作業しましょう。
エプロンの裏側の汚れを掃除する
エプロンを取り外したら裏返して汚れを掃除します。
浴槽の中に立てかけると掃除がしやすいのでおすすめです。
エプロンの裏側掃除は以下の手順で行いましょう。
- シャワーでエプロンの裏側全体に水をかける
- 浴室用洗剤を吹きかけてブラシでこする
- 黒カビにはカビ取り剤を吹きかけてブラシでこする
- 水で洗剤やカビ取り剤を十分に洗い流す
注意点は以下の3つです。
- お湯ではなく水を使う
- 洗剤とカビ取り剤を同時に使わない
- 洗剤やカビ取り剤は十分に洗い流してから他の薬剤を使う
ブラシでこすってもカビが落ちない場合は、15~30分ほど置いてからこすり洗いをすると効果的です。
汚れを落とせたら流水で十分に流してください。
塩素が残っているとツンとした刺激臭がするので、刺激臭を感じなくなるまで流水で流すことが大切です。
エプロンを浴槽の中に立てかけて乾燥させる
エプロン裏側の掃除が終わったら、浴槽の中に立てかけて乾燥させましょう。
早く乾燥させたいのであれば、汚れてもよいタオルなどで軽く水気を取りましょう。
またサーキュレーターなどで空気の流れを作ることも大切です。
浴槽の外側の汚れを掃除する
エプロンを乾かしている間に浴槽の外側の汚れを掃除しましょう。
浴槽の外側にもカビが繁殖していることが多いので、塩素系カビ取り剤を噴霧してつけ置き後にブラシなどでこすり洗いすることをおすすめします。
目に付くカビ汚れは塩素系カビ取り剤のつけ置きで漂白とカビの根の不活化ができます。
奥の方まで掃除したくなるかもしれませんが無理は禁物です。
手の届かない奥の方まで掃除しようとすると、思わぬケガや事故の原因になります。
エプロンを外した奥の方まで掃除したいと思ったのであれば、浴室クリーニングを依頼することをおすすめします。
換気扇を止め防カビくん煙剤を使う
浴槽の外側の掃除まで完了したら、いったん換気扇を止めます。
浴室の中心に防カビくん煙剤を置き、注水してくん煙を開始します。
くん煙剤から煙が出始めたらすぐに浴室を出て、浴室のドアを閉めましょう。
ルック「防カビくん煙剤」では以下の流れでくん煙が完了します。
- 水を入れる
- 注水から約30秒後に煙が出始める
- 約10秒間勢いよく煙が出る
- 煙が出始めてから約5分後に煙が止まる
- 90分以上時間を置く
- 30分以上換気をする
ルック「防カビくん煙剤」は薬剤を洗い流さなくて良い製品ですが、他のくん煙タイプの防カビ剤は洗い流す必要がある製品もあるので事前にチェックをしておきましょう。
エプロンをつけ直す
防カビくん煙剤使用後は30分以上換気をします。
換気が終わったらエプロンをつけ直しましょう。以下の手順でつけ直せます。
- エプロンの上部を差し込む
- エプロンの下部がはまるように押し込む
エプロンが外せないときはどうやって掃除する?
エプロンが外せない・外しにくいタイプの浴槽や、そもそもエプロンが存在しない浴槽もあります。
自宅の浴槽がエプロンを外せないものであれば、自分でエプロン内部を掃除することはできません。
プロのクリーニング業者にエプロン内洗浄を依頼する
エプロンを外しにくい構造の浴槽であっても、プロのハウスクリーニング業者に依頼すれば内部を洗浄してもらえます。
一部の製品はメーカー側が指定した、確かな技術力を持った業者のみがクリーニング可能であることがあります。
取り外せない・取り外しにくいタイプのエプロンを掃除したいのであれば取扱説明書をよくチェックしましょう。
取扱説明書のお手入れに関するページに、指定業者についての記載があることが多いです。
エプロン以外の部分を掃除することもカビ予防に効果的
カビの胞子は空気中を漂っており、完全に除去することは難しいです。
しかし繁殖条件を満たさない限り、増殖スピードは緩やかなので、カビの大繁殖を防ぐためには繁殖条件を満たさないことが重要です。
ただし浴室内はカビの繁殖に適した環境になりやすいです。
そこで重要なのが、浴室内部をこまめに掃除し、カビが繁殖する栄養を奪い、胞子も洗い流すことです。
もしエプロンが取り外せず、内部の洗浄ができないとしてもその他の場所を清潔に保っていればカビの爆発的な増殖はある程度防げます。
浴室のカビ取り全般について知りたい場合は関連記事をご覧ください。
お風呂のエプロン掃除の頻度は年2回がベスト
お風呂のエプロン掃除は1年に2回行うことを目安にしましょう。
エプロン掃除を行うおすすめの時期は5月と8月です。
梅雨の時期も台風シーズンも湿度が高い日が多いのでカビが繁殖しやすいです。
湿度が高くなる前に掃除をしてカビを除去し、防カビくん煙剤でカビが繁殖しづらい環境を作ることをおすすめします。
難しければ年に1度でも構いません。その場合は5月に掃除をすることをおすすめします。
実際に9ヶ月前にクリーニングをしてもらったエプロンの裏側は、黒カビで黒ずんでいました。
簡単にエプロンを取り外せて、隅々まで掃除ができるのであれば年に2回エプロン掃除をすることをおすすめします。
とはいえエプロン内部や奥を掃除することは重労働です。
年に1度プロにクリーニングを依頼しても良いでしょう。
エプロン内部はカビが生えやすい環境
お風呂のエプロン内部はカビにとっては非常に繁殖しやすい環境です。
カビは温度、湿度、栄養の3条件が揃うと爆発的に繁殖します。
浴室は30度前後になることが多く、湿度も60%以上と非常に高くなります。
さらに皮脂汚れや髪といった老廃物、石鹸かすなどの栄養があるのでカビが増殖しやすい条件を満たします。
浴室であれば普段の掃除でカビの繁殖を抑えることもできますが、エプロン内部まで掃除をすることは稀です。
そのためエプロン内部でカビが大繁殖をしていることが多いです。
お風呂のエプロン掃除の注意点
エプロンを取り外してのお手入れが想定されている製品であれば、エプロンを外して掃除をすることは比較的簡単です。
ただしいくつか気をつけるべき点もあるので、エプロン内部を自力で掃除しようと考えているのであればぜひ注意点をご確認ください。
注意点は以上の4点です。
普段の浴室・浴槽掃除では意識しないようなことも含まれているので、お風呂のエプロン掃除をする前に必ず確認しておきましょう。
エプロン内部の奥まで掃除する場合は柄の長いブラシが必要
エプロンを外し、中を覗き込むと奥の方までびっしりとカビなどの汚れが付着していることに気づくかもしれません。
奥の方まで掃除をしたいのであれば柄の長いブラシを用意しましょう。
普段の浴室掃除で使うような柄の短いブラシでは奥まで届かないので、十分にこすって洗うことが難しくなります。
既に繁殖しているカビを除去するのであれば、カビ取り剤のつけ置きはもちろんのこと、こすって物理的にこそぎ落とすことも有効です。
つけ置きだけではエプロン内部で繁殖しているカビをすべて落とすことは難しいです。
浴槽上部の裏側を掃除するときはスポンジを使う
浴槽上部のエプロンのへりをひっかけるようになっている部分は、スポンジを使って清掃することをおすすめします。
ブラシでも掃除はできるものの、場所や形状の都合上力を入れてこすりづらいのが難点です。
塩素系カビ取り剤を使っているときは誤って目や皮膚に触れてしまうリスクも考えられます。
掃除後に捨てても良いスポンジにカビ取り剤や洗剤を含ませてこすりましょう。
カビ取り剤を使う時はゴム手袋を着用することを忘れないでください。
目線よりも上に塩素系カビ取り剤を使うときは目に入らないように注意する
お風呂のエプロンを掃除していると、のぞき込むようにして洗剤を使ったりブラシでこすったりすることが珍しくありません。
掃除の最中は、目線より高い位置にある汚れや洗剤がはねて目に入るリスクがあることを常に意識してください。
基本的に浴室掃除に使われる洗剤は、目線よりも上に向けて使うことを想定されていません。
浴室用洗剤やカビ取り剤は水分が多く含まれているので、高いところに噴射すると液が垂れてきます。
目線より高い位置に洗剤などを噴霧して、目や皮膚に付着すれば大けがを負う危険性があります。
高い位置にある汚れを落としたいときは、汚れに洗剤を吹きかけるのではなくスポンジやブラシに吹きかけてからこするようにしましょう。