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贈与税の時効は原則6年(最長7年)|起算日や成立しない理由を解説

最終更新日: 2024年06月28日

「贈与税の時効は?」「贈与税を払わなくてもバレない?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

贈与税の時効は原則6年で、悪質なケースだと7年に延長されます。しかし、実際のところ時効成立は難しいので「時効が過ぎるまで隠し通そう」という考えは危険です。

本記事では贈与税の時効に関して、成立しにくい理由や税金を払わなかったときのペナルティを解説します。

この記事を監修した税理士

税理士法人better - 東京都中央区日本橋人形町

税理士法人better-東京都中央区 大下宏樹(おおしたこうき)

贈与税の時効は原則6年|贈与された翌年の3月16日が起算日

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贈与税の時効は6年で、意図的に納税を免れるなどの場合は7年となります。

時効のカウントを始める日は贈与税の申告期限の翌日3月16日で、その日を起算日として計算します。

贈与税の時効は6年、悪質なケースだと7年に延長

相続税法第36条で贈与税の時効は6年間であると定められています。しかし、不正行為で免れるなど、悪質だと判断されれば7年間に延長になります。

税金には国税通則法という条例があり、一般的な税金の時効は5年(国税通則法第70条)ですが、贈与税に関しては例外です。

参考:相続税法第36条(贈与税について)|e-Gov

贈与税は申告期限の翌日3月16日から時効を計算

贈与税の起算日は「贈与を受けた翌年の3月16日」で、その日を基準に贈与税が発生する期間を計算します。

贈与税の申告・納税期限が毎年2月1日~3月15日なので、翌日の3月16日が起算日となっています。

例えば2021年9月10日に贈与された場合、起算日は2022年3月16日です。

贈与税の時効が6年なら2026年3月15日、7年なら2027年3月15日が時効完成日となります。

贈与が年間110万円を超えると税金が発生

贈与財産が年間110万を超えると課税対象となり、贈与税の申告・納付が義務付けられます。

【贈与税の課税対象となる財産の例】

  • 現金
  • 不動産
  • 自動車
  • 宝石

経済的価値を持つすべてのものが課税対象です。確定申告せずにいると、税務調査を受ける可能性があるので気をつけましょう。

関連記事:生前贈与はいくらから税金がかかる?相続との違いや税金を抑える方法を解説|ミツモア

贈与税の時効は成立しにくい!税務署にバレるタイミング

登記申請書
登記情報から贈与がバレることも!

税務署が適宜財産情報を把握しているため、贈与税の時効は成立しにくくなっています。税務署が贈与の事実を把握しているタイミングは以下の通りです。

  • 不動産を購入したとき
  • 相続税の申告をしたとき
  • タンス預金が発覚したとき

いずれも贈与が起きやすいタイミングであることを税務署は知っているので、隠し通そうとせず正しく申告することが大切です。

不動産を購入したとき

不動産の登記制度によって、申告をしなくても登記情報から贈与があったことが把握できます。

不動産の贈与を受けたら、法務局で所有権移転登記の登記原因に理由を記載しなくてはなりません。

理由は「贈与」であることを記載しなければならず、贈与契約書も添付するため、税務署は贈与があったことがわかるのです。

相続税の申告をしたとき

相続発生時は、被相続人の財産について細かく調査され「過去に贈与があったか」を税務署が把握できるので、そこで贈与の事実がバレてしいます。

相続税の税務調査では被相続人の財産だけでなく、相続人やその家族の財産までくまなく調べるので贈与を隠し通すのは難しいです。

相続が起きた場合は贈与も一緒に調査されることを忘れずに、きちんと期限内に申告するようにしましょう。

関連記事:相続税の税務調査の実態~調査ではどこまで調べられるの?|ミツモア

タンス預金が発覚したとき

タンスからお金を取り出す

相続税の税務調査では口座の入出金やタンス、金庫まで確認されることもあります。贈与された財産を物理的に隠していても税務署にはお見通しです。

口座情報から「出金したお金は何に使ったのか」を調査し、出金があるにも関わらず、そのお金を使った記録が無ければ隠していないか疑われることがあります。

タンス預金自体は悪いことはではないですが、それに係る税金の申告を忘れるとペナルティの対象となるので注意が必要です。

タンス預金のメリット・デメリットなど詳しい内容は、次の記事を参考にしてください。

関連記事:タンス預金のメリット・デメリットを解説!節税対策にはならないので注意|ミツモア

贈与税の時効が成立しないケース【贈与税の対象外】

通帳 印鑑
名義預金には要注意!相続税の課税対象に

「過去の贈与が発覚したけど、時効が過ぎているから大丈夫」という場合は要注意です。そもそも贈与として認められず、時効が成立しないケースもあります。

  • 名義預金と判断される場合
  • そもそも贈与でない場合

名義預金と判断される場合

孫の名義で祖父母がお金を積み立てていたり、子の名義で親が口座を管理していたりするケースは相続財産とみなされ、贈与税の時効が成立しません。

このように、口座名義人と管理人が異なる預金を「名義預金」と言います。

口座の管理人が亡くなると、口座を管理していた人のお金が名義人に相続されたことになるので、贈与税の時効はカウントされないのです。

例えば親が亡くなる7年以前に、子供名義の口座を開設し、子供がその口座の存在を知らなかった場合は贈与として認められず時効も成立しません。

名義預金の認定基準に明確な決まりはありませんが、次のようなポイントで判断されるケースが多いです。

基準判断ポイント認定されたケース
お金を貯めていた人口座名義人以外が預金子の名義で積立預金
夫の口座にへそくり預金
預金管理者通帳やキャッシュカードなどの管理者などが名義以外子供が自由に預金を引き出せなかった
口座開設した人名義ではない人が口座開設子供のお年玉を預金するため親が開設

孫のために少しづつ積み立てていても、その存在を孫が知らないと贈与ではなく名義預金とみなされ、相続税の課税財産となる点に注意しましょう。

関連記事:名義預金は相続税の課税対象 名義預金とみなされないための対策を解説|ミツモア

そもそも贈与として認められない場合

生前贈与を受けても贈与契約書が無い場合や、贈与者が認知症で契約の意思疎通ができない場合は「貸付金または預け金」と判断され、贈与にならないこともあります。

贈与として認められなければ、生前贈与を受けてから7年以上が経過しても時効が成立しないのです。

生前贈与は貸付金や預け金として判断された場合は、相続財産として相続税を支払わなければなりません。

「生前贈与を受けて7年以上経っているから大丈夫」と思っていても贈与にならない可能性があるので、財産の受け渡しが贈与として認められるのか判断してから管理するとよいでしょう。

以下の記事で生前贈与を行う際のポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:生前贈与はいくらから税金がかかる?相続との違いや税金を抑える方法を解説|ミツモア

贈与税を払わないとどうなる?申告漏れによるペナルティ

贈与税を滞納しているとどうなる?

贈与税の課税対象であるにも関わらず、税金を支払わないと次のようなペナルティが科されます。

  • 過小申告加算税:本来より申告額が少なかった場合のペナルティ
  • 無申告課税:申告自体をしなかった場合のペナルティ
  • 重加算税:意図的に申告をしなかった場合のペナルティ
  • 延滞税:納税が遅れた場合のペナルティ

ペナルティが科された場合は本来納めるべき税額に上乗せで、各ペナルティに応じた税金を支払う必要があります。

ペナルティの税率は5%~40%と状況に応じて大きく異なりますが、いずれも大きな負担になることは変わりません。

節税のために贈与を隠しせたケースはほとんどないので、罰則で本来払うべきでないお金が持っていかれないためにも正しく申告・納税することが大切です。

贈与税の時効に関する判例を紹介【成立した判例・しなかった判例】

贈与税の時効の判例を見てみましょう
贈与税の時効が認められた判例・認められなかった判例

贈与税の時効は成立しづらいものの、中には時効を認められたケースもあります。

贈与されても無申告なら税務署に知られずに終わると思われがちですが、もし税務署による税務調査をされてしまうと追徴課税などのペナルティを受けなくてはいけません。

贈与税の時効が成立した判例

平成17年3月30日に静岡地裁で、実際に贈与税の時効が認められた判例です。

この事案となったのが、大企業の社長が3人の息子へ、合わせて32億円の送金をおこなったことです。この裁判では、32億円が「贈与なのか」それとも「貸付なのか」で争われました。

税務調査をおこなったとき、すでに贈与税の時効が過ぎていました。

つまり、贈与として認められると時効が成立しているため課税対象ではありません。しかし、貸付として認められると、相続税の課税対象財産となります

しかし、この判例では、次のポイントから「贈与税の時効が成立」されたのです。

  • 社長から息子たちへ計32億円を送金する際に経理担当者へ「出してやれ」と伝えた
  • 経理担当者と3人の息子は「出してやれ」の言葉を贈与の意味と理解した
  • 社長から返還を求められたことがない
  • また息子たちが社長へ返済する資金がないため貸付金とはいえない
  • 「贈与税の申告をしていない=贈与がなかった」との結びつけは難しい

このような観点から、社長から3人の息子たちに送金した32億円は贈与と判断されたのです。時効が過ぎていたため、贈与税の納付請求もされず裁判は終わりました。

贈与税の時効が成立しなかった判例

平成10年12月25日に名古屋高裁で、贈与税の時効が認められなかった判例です。この事案のもととなったのが、贈与税の時効を悪質に使った手口です。

不動産を息子に贈与するため、昭和60年3月14日に贈与契約書を公正証書で作成。しかし、所有権移転の登記手続きがおこなわれたのは、平成5年12月13日でした。

つまり、贈与契約書を作成してから実際に登記手続きをおこなったのは、約8年9ヶ月後です。贈与税の時効は7年間なので、時効の成立を待ってから事実上の贈与手続きをしたのです。

この裁判で、納税者側は「贈与契約書を作成した際に不動産を贈与された」と主張しました。しかし、裁判は1回では終わらず、最高裁での争いとなりました。

最高裁では、次のポイントから「贈与税の時効は成立しない」と判断したのです。

  • 贈与契約書は贈与税の負担をしない目的で作成された
  • 契約書に不動産の贈与時期が示されていない(この時点で贈与する意思はなかった)
  • 契約書が無い贈与は、不動産の引渡しは登記したときに成立と考える
  • 登記されない間、息子は不動産を自由に運営することができなかった(贈与の成立は不可能)

贈与契約書を作成した時点から、贈与税を免れるための意図的な計画性が見られると判断されました。

そのため、贈与税に関する悪質な手口であり、時効の成立は認められないという結果になったのです。

贈与税を安全に節税する方法

贈与税の相談

節税のために時効成立を待つのはリスクを伴う方法です。そこで、税金の制度を上手く活用しつつ安全に節税する方法を紹介します。

  • 年間の贈与を110万円以下に抑える
  • 贈与税の非課税制度を活用する
  • 生命保険の被保険者・契約者・受取人を変更する

年間の贈与を110万円以下に抑える

1月1日~12月31日の1年間で110万円を超えた場合にのみ贈与税が課されます。つまり、年間の贈与を110万円以内にすれば贈与税が課されることはありません。

相続税の申告方法で暦年課税を選択した場合は、110万円の基礎控除が受けられます。

1年間にあったすべての贈与の合計額で課税義務を判断しています。複数の人から贈与されても基礎控除額の110万円は変わらないので、注意が必要です。

贈与税の非課税制度を活用する

生活費や教育費の受け渡しは贈与には含まれないですが、その他日常的に発生する贈与に関して、次のような非課税制度が設けられています。

制度名 控除限度額
教育資金制度の非課税特例 1,500万円
結婚・子育て資金の非課税特例 1人あたり1,000万円
住宅取得等資金の非課税特例 3,000万円
居住用不動産の配偶者控除 2,000万円
相続時精算課税制度 最高2,500万円

適用条件に関しては各制度のリンクをご覧ください。

制度を有効活用すれば、せっかくの贈与がたくさん税金でもっていかれることなく、安全に節税ができるでしょう。

生命保険の被保険者・契約者・受取人を変更する

生命保険の被保険者、契約者、保険金受取人の組み合わせによって課税対象の税金が異なるため、税金の種類によっては税率が低くなって税負担が軽減することもあります。

  • 被保険者=保険契約者≠受取人:相続税の課税対象
  • 被保険者≠契約者=受取人:所得税・住民税の課税対象
  • 被保険者≠契約者≠受取人:贈与税の課税対象

保険金の金額によって税率は異なりますが、各税金の税率をチェックしたうえで最もお得なものを選ぶとよいでしょう。

生命保険の契約内容を変更するだけなので、簡単にできる節税方法です。

関連記事:贈与税と相続税ではどちらが得?~事例をまじえて違いを比較~|ミツモア

税務調査に不安を感じたら税理士にご相談を!

税務調査に不安を感じたら税理士にご相談を!
税務調査に不安を感じたら税理士にご相談を!

基本的に贈与されても申告しなければ、税務署に知られる心配はないでしょう。とはいえ、贈与する側が亡くなったり住宅購入など不動産取得したりと、税務調査がおこなわれるケースがあります。

これまで税務調査を受けたことがなくても、相続税納税者として調査のお知らせが来る可能性があります。

贈与税の時効は成立しにくく、悪質な手口で時効を成立させようとした場合、追徴課税によるペナルティを科せられるでしょう。

後悔しないためにもきちんと申告することが大切ですが、もし不安があるなら税理士に相談すると安心です。

税理士にお願いできること

次のような項目を、税理士は相談・受付しています。

  • 税務に関する全般の相談
  • 税務類の関係書類の作成や提出
  • 税務申告
  • 決算書の作成
  • 申告に必要な記帳代行
  • 税務調査の立ち会い
  • 役員報酬についての相談
  • 資金や融資の相談
  • 社会保険などの相談

他にも会社経営に関することも受け付けているので、困ったときは気軽に税理士に相談してみましょう。

監修税理士からのコメント

税理士法人better - 東京都中央区日本橋人形町

相続税申告の依頼を受けた際に、生前贈与を行ってはいたが、適切な方法による贈与を行っていなかったために、過去の贈与が無駄となり、結果的に相続税が増えたお客様は多いです。また贈与税には住宅資金の贈与等、各種特例が複数あります。税金対策は事前の計画が非常に重要となりますので、贈与を行う前に税理士等の専門家に問い合わせを行うようにしてください。

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この記事を監修した税理士

税理士法人better - 東京都中央区日本橋人形町

税理士法人better-東京都中央区 大下宏樹(おおしたこうき)代表社員 1982年香川県高松市出身。明治大学商学部卒業。会計事務所にて相続税申告業務を経験、大手監査法人勤務の後、相続税専門税理士法人better設立。 香川県で3代続く公認会計士・税理士一族の次男。3兄弟全員が同業。独自のシステムである「better相続」により、従来の高額でアナログなサービスを見直し、低額かつ定額の相続税申告を提供。