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土地の名義を親から子へ変更する方法|贈与・相続・親子間売買

最終更新日: 2024年06月28日

土地の名義を親から子へ変更したい、つまり土地を親から子へ譲りたいときに、どのような方法があるのか悩む方も多いでしょう。

土地を子に譲るには、生前贈与か相続が一般的ですが、加えて親子間売買という選択肢もあります。

土地の名義を変更する手続きを「所有権移転登記」といい、登記する際には登録免許税を納付しなければなりません。また、生前贈与であれば贈与税、相続であれば相続税、親子間売買であれば所得税と住民税が課されます。さらに贈与と親子間売買では、不動産取得税もかかります。

各ケースで課税対象となる財産の金額や税率が異なるため、どの方法を選ぶかは慎重に検討した方が良いです。

この記事では、土地の生前贈与、相続、親子間売買について、以下の流れでご説明します。

  • 土地の名義を親から子へ変更する3つの方法
  • 土地の名義変更の流れ
  • 土地の名義変更で課される税金
  • 土地を名義変更するときに税金を抑えられる制度
  • 土地の名義を変更しないとどうなるのか

それぞれ詳しくご説明しますが、手続きや税金額の算出は非常に難しいので、プロに頼ることもおすすめです。生前贈与や相続に詳しい税理士を探したい方は、税理士から依頼費用の見積もりをもらえる「ミツモア」を利用してみてください。

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土地の名義を親から子へ変更する3つの方法

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土地の名義を親から子へ変更したい、すなわち土地を子に譲りたいときの3つの方法をご紹介します。

  • 生前贈与:親の生前に子へ贈与する
  • 相続:親が亡くなったあとに子へ相続する
  • 親子間売買:親から子へ売る

生前贈与:親の生前に子へ贈与する

一つ目は生前贈与です。生前贈与とは、所有者が生きているうちに財産を無償で譲ることです。

家や土地などは、所有者が亡くなると相続人となる配偶者や子に相続することになりますが、生前贈与は亡くなる前に特定の人に譲ってしまう制度です。なお生前贈与の場合は、相続人以外にも贈与できます。

相続:親が亡くなったあとに子へ相続する

2つ目の方法は相続です。相続とは、亡くなった人の財産を特定の人が引き継ぐことです。財産をもらえるのは法律で定められた法定相続人か、遺言書で指定された人となります。

法定相続人は、配偶者、子、親、兄弟姉妹などであり、優先順位や財産を受け取られる割合が定められています。配偶者は常に法定相続人となり、子がいれば基本的には親や兄弟姉妹は法定相続人にならず、配偶者と子のみが財産を相続します。

親子間売買:親から子へ売る

3つ目の方法は親子間売買です。親子間売買とは文字どおり、親と子の間で土地を売買することです。

土地の名義を変更したいときは、生前贈与か相続を行うのが一般的ですが、親子間売買をすることもできます。

ただし、親から子へ市場の相場よりも極端に安い額で売ると贈与と見なされる可能性があるので注意が必要です。

土地の名義変更の流れ

女性とチェック

生前贈与、相続、親子間売買のそれぞれで、土地の名義を変更する手続きの流れを解説します。

  • 生前贈与:必要書類の収集→贈与契約→登記
  • 相続:必要書類の収集→登記
  • 親子間売買:必要書類の収集→売買契約→登記

生前贈与:贈与契約→必要書類の収集→登記

始めに贈与契約書を作成します。贈与契約は当事者間の合意のみで成立する諾成契約といい、口頭でも成立しますが、登記を申請する際に贈与契約書が必要となるので書面を作成しましょう。後々トラブルが発生することを防ぐためにも、契約書を作った方が良いです。

次に、名義変更に必要な以下の書類を準備します。

  • 贈与者の印鑑証明書:発行から3ヶ月以内のもの
  • 受贈者の住民票(除票):居住地の市町村役場で取得する
  • 贈与契約書:原本が必要
  • 登記済または登記識別情報:贈与者が家を取得したときに交付された原本
  • 固定資産評価証明書:不動産所在地の市(都)税事務所か市町村役場で取得する

書類が揃ったら、登記申請書を作成し法務局へ提出しましょう。登記申請書のひな形や記載例は、法務局のホームページからダウンロード可能です。法務局から登記完了証や登記識別情報通知が交付されたら贈与登記は完了です。申請から完了証などの交付までは、約1週間~10日かかります

相続:必要書類の収集→登記

遺言書や遺産分割協議により相続の内容が決まったら、相続登記に必要な以下の書類を用意しましょう。

  • 戸籍謄本(除籍抄本):本籍地の市町村役場で取得する
  • 住民票(除票):居住地の市町村役場で取得する
  • 固定資産評価証明書:不動産所在地の市(都)税事務所か市町村役場で取得する
  • 登記申請書:法務局のホームページからダウンロードする
  • 遺言書:遺言書による相続のとき
  • 相続関係説明図:法定相続のとき
  • 遺産分割協議書:遺産分割協議による相続のとき
  • 印鑑証明書:遺産分割協議による相続のとき

これらの書類が準備できたら、贈与と同様に登記申請書を作成して法務局へ提出してください。

親子間売買:売買契約→必要書類の収集→登記

まずは売買契約を結びます。親子間であっても、売買契約書を作成しましょう。次に、登記に必要な以下の書類を集めて、法務局へ登記申請書を提出します。

  • 売主の印鑑証明書:発行から3ヶ月以内のもの
  • 買主の住民票(除票):居住地の市町村役場で取得する
  • 登記原因証明情報:売買契約書でも良いが別途作成することが一般的
  • 登記済または登記識別情報:贈与者が家を取得したときに交付された原本
  • 固定資産評価証明書:不動産所在地の市(都)税事務所か市町村役場で取得する

土地の名義変更で課される税金

税金

土地の生前贈与、相続、親子間売買では、それぞれ次のような税金が課されます。

  • 贈与税:年間110万円の基礎控除額を超えた分にかかる
  • 相続税:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)の基礎控除額を超えると課税される
  • 譲渡の際の所得税と住民税:利益に対して課される
  • 不動産取得税:相続ではかからない
  • 登録免許税:相続の方が安い

一つずつ丁寧に解説します。

贈与税:年間110万円の基礎控除額を超えた分にかかる

生前贈与の場合、贈与税が課せられます。贈与税の対象者は、財産を贈与された個人(受贈者)です。

贈与税の課税方法は「暦年課税」と「相続時精算課税」があり、暦年課税の場合は年間で110万円の基礎控除額を超えた財産に対して課税されます。基礎控除額とは、財産の金額から一定の金額を引くことができるもので、贈与の暦年課税では年間110万円です。

つまり贈与の暦年課税の場合、財産の金額が110万円以下であれば課税される価格が0円の扱いになり、非課税です。申告も不要です

課税される場合の税率は、基礎控除後の財産の金額に応じて10%〜55%の間で決まります。また、財産の金額に税率をかけたあとに、さらに一定金額を引くことができる税額控除の額も、課税価格によって10万円〜640万円と定められています。

例えば、財産の金額が500万円のケースだと、以下の式で贈与税額が求められます。

(500万円-基礎控除額110万円)×税率15%-税額控除10万円=48 万5千円

相続税:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)の基礎控除額を超えると課税される

相続税は、下記の式で求められる基礎控除額を超えた分に課税されます。

基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、相続人が配偶者1人と子2人の場合、基礎控除額は、3,000万円+600万円×3人で4,800万円となり、相続する財産が4,800万円までであれば相続税はかかりません。

相続税がいくらかかるかは、財産の金額によって定められている10%〜55%までの税率と、0円〜7,200万円までの控除額により決まります。

相続税の金額を知るには以下の手順を踏まなければなりません。

  1. 課税遺産総額を算出する(課税価格-基礎控除額)
  2. 相続税の総額を算出する(「課税遺産総額の法定相続分×相続税率」の総額)
  3. 各人の相続税額を算出する(相続税の総額×各人の課税価格/課税価格の合計額)

譲渡の際の所得税と住民税:利益に対して課される

通常、土地や建物を譲渡(売却)して所得を得た場合、譲渡所得(譲渡益)に対して所得税と住民税が課税されます。譲渡所得金額の算出方法は以下のとおりです。

譲渡所得金額(譲渡益)=総収入金額-(取得費+譲渡費用)

所得税と住民税の金額は、短期譲渡所得か長期譲渡所得かで変動します。短期譲渡所得は、土地を取得した日の翌日から譲渡した年の1月1日までの所有期間が5年以下の場合で、長期譲渡所有は5年を超える場合です。

 

短期譲渡所得であれば所得税30%・住民税9%、長期譲渡所得であれば所得税15%・住民税5%となります。

不動産取得税:相続ではかからない

不動産取得税は、土地や家を購入、新築したり、贈与されたりしたときに課される税金です。相続では課されません。

不動産取得税の納税義務者は、不動産を取得した人です。不動産取得税は以下の式で算出します。

不動産取得税=固定資産税評価額×4%

固定資産税評価額は、市町村長によって決められており、市役所や税事務所で閲覧できる固定資産課税台帳に記載されています。

ただし不動産取得税には免税点があり、土地と家でそれぞれ固定資産税評価額が以下の金額であれば課税されません。

土地の贈与:10万円未満
家の贈与:1戸につき12万円未満

登録免許税:相続の方が安い

不動産の名義を変更する「所有権移転登記」の際には登録免許税の納付が必要ですが、この金額は相続よりも贈与の方が高く設定されています。それぞれ以下のとおりです。

 

相続の登録免許税=固定資産税評価額×0.4%

贈与の登録免許税=固定資産税評価額×2%

仮に固定資産税評価額が500万円とすると、登録免許税は相続だと2万円、贈与では10万円になります。事前に固定資産税評価額を確認し、登録免許税がいくらになるか確認しておいた方が良いでしょう。

土地を名義変更するときに税金を抑えられる制度

電卓

生前贈与や相続で土地の名義を変更するときに、税金を抑えられる制度をご紹介します。

  • 配偶者控除:相続税の方が控除額が大きい
  • 小規模宅地等の特例:相続税を節税できる
  • 相続時精算課税制度:贈与税を抑えられる

配偶者控除:相続税の方が控除額が大きい

配偶者控除とは、配偶者から贈与や相続を受けた場合に、一定の金額までであれば財産を非課税にできる制度です。

贈与税における配偶者控除は、配偶者から贈与を受けたときに、基礎控除とは別に最高2,000万円までの財産が非課税になります。つまり、暦年課税の基礎控除と併せて最高2,110万円までの財産を非課税にできます

一方で相続のときは、最大で1億6,000万円以下であれば非課税となります。

それぞれの適用要件は異なるので注意しましょう。

小規模宅地等の特例:相続税を節税できる

小規模宅地等の特例とは、相続税における土地の評価額を80%か50%減額できる制度です。相続税の対象となる金額が小さくなるので、節税につながります。

小規模宅地等の特例が適用できる土地は以下の3種類で、それぞれで上限面積と減額割合が異なります。

  • 特定居住用宅地等:自宅の敷地
  • 特定事業用宅地等(特定同族会社事業用宅地を含む):店舗等
  • 貸付事業用宅地等:貸付事業に使用されていた土地

特定居住用宅地等は、自宅の敷地を配偶者や親族が相続したものです。面積の上限は330㎡、減額割合は80%と決められています。

特定事業用宅地等(特定同族会社事業用宅地を含む)とは、店舗等を一定の親族が相続したものです。面積の上限は400㎡、減額割合は80%です。

貸付事業用宅地等は、被相続人の貸付事業に使われていた土地です。貸付事業とは、駐車場業や不動産貸付業のことを指します。面積の上限は200㎡、減額割合は50%です。

小規模宅地等の特例は相続税を抑えられる便利な制度ですが、適用には上記以外にも細かい規定があるので、活用したい方は税理士に相談してみてください。

相続時精算課税制度:贈与税を抑えられる

相続時精算課税は贈与税において、累計で2,500万円までの財産を非課税にできる制度です。ただし、のちに相続が発生した際に相続税の対象となります。

相続時精算課税の適用要件は次のとおりです。

  • 贈与者:贈与を受けた年の1月1日時点で満60歳以上の父母か祖父母
  • 受贈者:贈与を受けた年の1月1日時点で満18歳以上の推定相続人である子か孫
  • 贈与を受けた年の翌年の2 月1日から3月15日までに「相続時精算課税選択届出書」を税務署に提出する

 

相続時精算課税も贈与税を軽減できる制度ですが、一度選択すると同じ人からの贈与については暦年課税を選べなくなるので注意しましょう。

相続税と贈与税を抑える制度についてご説明しましたが、「結局自分が払う税金はいくらになるの?」「自分の場合、生前贈与と相続のどちらが得か算出するのは難しい…」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような場合は、プロに相談することがおすすめです。「ミツモア」では生前贈与や相続に詳しい税理士を探すことができるので、ぜひ利用してみてください。

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土地の名義を変更しないとどうなるのか

リスク

「そもそも土地を子に土地を譲る時に、名義の変更は必須なの?」と疑問を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。結論から言うと、義務化されているのは相続時のみです。ただし、名義変更を行わないと、次のようなリスクがあります。

  • 土地の売却・担保にすることができない
  • 相続登記をしないと罰金の可能性がある

土地の売却・担保にすることができない

相続以外の場合、土地の名義変更は必須ではありませんが、土地の名義を変更しないと、土地の権利を第三者に主張できなくなるリスクがあります。土地を売却できなかったり、万が一、二重で他の人に売られたときに「自分の土地だ」と対抗できないのです。

そのため、生前贈与や相続、売買で土地を取得する際は、名義変更を行う方が良いです。

相続登記をしないと罰金の可能性がある

令和6年4月1日から相続登記が義務化されました。土地を相続したときは、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。

正当な理由なく期限内に登記しなかった場合、10万円以下の過料が科せられる対象となってしまいます。正当な理由として認められるのは、相続人が非常に多く、戸籍謄本などの必要書類の収集や他の相続人を把握するのに時間がかかってしまうケースなどです。

過料の対象とならないように、相続登記は早めに済ませましょう。

生前贈与か相続か悩んだら税理士に相談しよう

スーツの男性

土地の名義を親から子へ変更する、すなわち土地を親から子へ譲る方法は、生前贈与、相続、親子間売買の3つです。

土地の名義を変更する手続きを「所有権移転登記」といい、必要書類を集めて登記申請書を提出しなければなりません。相続以外は必須ではありませんが、名義を変更しないと第三者に土地の権利を主張できないリスクがあります。

生前贈与、相続、親子間売買では、複数の税金が課され、それぞれの税金を軽減できる制度があります。どの方法が自分に最適か判断するのは、非常に難しいので税理士に相談することがおすすめです。

「税理士に依頼したいけれど費用が高そうで不安…」という方は、生前贈与や相続に詳しい税理士から見積もりをもらえる「ミツモア」を利用してみてください。

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