自社の従業員の給与計算を委託できる、給与計算アウトソーシング。コスト削減や効率化、そして最新の法令遵守が実現するこのサービスは、組織の成長と発展を加速させるための鍵となります。
最終更新日: 2024年04月11日
本記事では給与計算アウトソーシングのメリットやデメリットについて、わかりやすく解説します。
給与計算アウトソーシングの4つのメリット
給与計算アウトソーシングには、大きく分けて以下のメリットがあります。
- 給与計算にかかるトータルコストの削減
- コア業務への集中
- 法令改正へのスムーズな対応
- 給与計算業務の属人化防止
給与計算にかかるトータルコストの削減
給与計算アウトソーシングの大きなメリットは、給与計算にかかるトータルコストを削減できる点にあります。
給与計算業務を自社で進める場合、専門知識を持つスタッフの人件費や、給与計算システムの導入およびメンテナンス費用がかかります。しかし、給与計算を外部に委託すれば、これらの費用がかかることもありません。
給与計算アウトソーシングの外注相場は、たとえば従業員10～50人規模の会社だと月額4~6万円ほどです。人件費と比較しても十万円近くのコスト削減が見込めるでしょう。
給与計算を外部に委託することで企業は人件費やシステム維持費などのコストを削減して、その分をほかの事業投資へと回すことができます。
コア業務への集中
給与計算業務のアウトソーシングにより、従業員や経営層はコア業務へ集中できるようになります。給与計算には専門知識が求められる一方、業務実態としては毎月行われるルーチンワークになることが多いです。
たとえば、タイムカードの集計や給与計算ソフトへの入力、給与計算や給与明細の発行などの流れを通じて給与計算を正しく行うことが求められます。しかしこれらの業務は、企業への利益を直接的に生み出すものとはいえません。
特にスタートアップ企業や小規模の組織では、資源を最も効果的に活用することが重要です。
給与計算のような非コア業務を外部に委託することで、企業は人事戦略の策定や就業状況の改善、新たな製品開発やマーケティング戦略の強化など、事業成長に直結する活動により多くの時間と労力を割けるようになります。
法令改正へのスムーズな対応
給与計算に関わる法令は頻繁に変更されます。社内で給与計算をする場合、法改正の情報を常にキャッチアップして社内で正しく対応しなければなりません。
アウトソーシング先は最新の法令変更へ常に対応しており、これらの対応もすべて専門家に任せられます。担当者の負担軽減はもちろん、法令違反のリスクも大きく軽減することができます。
給与計算業務の属人化防止
給与計算アウトソーシングの活用は、給与計算業務の属人化防止にも効果を発揮します。給与計算業務は専門的な知識が必要なため、特定の従業員に依存する傾向があります。
しかしそのような状況では、担当者が万が一ミスをした場合でもチェックが困難となります。また担当者が長期休暇を取得したり退職したりするようなことがあれば、業務の遅延や停滞を招くおそれも考えられます。
また給与計算の業務は、年末調整やボーナスの時期になると通常よりも忙しくなる傾向にあります。知識のある人材を臨時で雇うにしてもコストがかかり、そうしない場合は担当者へ大きな負担がのしかかります。
給与計算アウトソーシングを活用すれば業務の属人化を防ぎつつ、担当者にかかる業務負担も削減できます。また給与計算業務の知識を社内で共有する必要もなくなり、教育や研修にかかるコストと時間も節約できます。
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給与計算アウトソーシングのデメリット
給与計算アウトソーシングにはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
社内に給与計算のノウハウが蓄積しない
給与計算アウトソーシングの大きなデメリットは、社内に給与計算のノウハウや専門知識が蓄積されない点にあります。
給与計算のプロセスや法令への理解が外部委託先へ依存するため、社内での知識共有やスキルアップは望めません。
たとえば給与計算アウトソーシング先との契約が終了した場合やサービスが終了した場合に、社内で迅速に給与計算業務を引き継ぐのが難しくなるケースが考えられます。
その場合は人材の再教育や獲得、他のアウトソーシング先の検討などの対応が求められます。
業務負担がゼロになるわけではない
給与計算アウトソーシングは、給与計算の業務負担が完全になくなるわけではありません。
仮に年末調整や住民税の対応まで外注した場合でも、給与計算に関する業務の一部は社内で行う必要があります。外部委託を行ううえでは、たとえば正確な勤怠データの提供や変更した従業員情報の連携など、社内で行うべき事前準備やフォローアップが求められます。
また従業員からの問い合わせ対応やアウトソーシング先からの質問対応など、一定の内部リソースがかかる可能性も否めません。給与計算業務全体を進めるよりは遥かに省力化できるものの、一定の内部リソースを調整しておく必要があります。
データ漏えいのリスクがある
給与計算データには、従業員の個人情報や金融情報などの機密情報が含まれます。アウトソーシングする際にはこれらの情報を外部の第三者へ委託することになるため、データ漏えいのリスクが少なからず発生します。
アウトソーシング先のセキュリティ管理やデータ処理、プライバシーポリシーは契約前に確認しておきましょう。
給与計算アウトソーシングを依頼したほうがよいケース
メリットとデメリットをふまえると、給与計算アウトソーシングを依頼したほうがよいケースは以下のようになります。
- 人事労務の専門知識を持った担当者がいない場合
- 従業員数が数十名から数百名にのぼる場合
- 給与計算担当者が社内に1名しかいない場合
人事労務の専門知識を持った担当者がいない場合
人事労務の専門知識を持った担当者がいない場合は、給与計算アウトソーシングの活用を積極的に検討するとよいでしょう。
給与計算業務は税法や労働法など複雑な法律知識が必要です。専門知識を持った担当者がいない場合、正確な給与計算や法令遵守が難しくなります。
たとえば法改正による給与計算基準の変更を見落としていると、従業員への過少支払いや過剰支払いにつながるリスクが考えられます。
法律の専門家でもあるアウトソーシング先に依頼すれば、法令遵守を確実にしてミスを防ぐことができます。
従業員数が数十名から数百名にのぼる場合
従業員数が数十名から数百名にのぼる場合も、給与計算アウトソーシングの活用が視野に入ってきます。従業員数が増えると、給与計算の複雑性や作業量もそのぶん増大します。
10名以下の従業員数であれば社内の担当者1名で対応できる業務量であることが多いですが、数十名規模にもなると複数の担当者を必要とするケースが出てきます。
年末調整やボーナスなどの季節的要因も考慮しつつ、担当者のリソースに応じてアウトソーシングの活用を検討するとよいでしょう。
給与計算担当者が社内に1名しかいない場合
給与計算担当者が社内に1名しかいない場合は、必要に応じて給与計算アウトソーシングを活用するケースが考えられます。
給与計算を社内で1人の担当者が行っている場合、その人が休暇を取ったり退職したりすると、給与計算業務が滞る可能性があります。このような状況では業務の連続性を保つことが困難になり、最悪の場合、給与支払の遅延が発生してしまいかねません。
給与アウトソーシングを活用すれば、担当者の不在時でも業務の継続性や安定性を保ち続けられます。
まとめ
給与計算アウトソーシングは、企業にとって多大なメリットをもたらします。コスト削減、業務効率化、リスク管理の強化、そして専門知識の活用を可能にし、企業がコアビジネスに集中できる環境を整えます。
しかし、これらのメリットを最大限に活かすためには、自社のニーズに最も合致したアウトソーシングサービスを選択することが欠かせません。
次の記事では、おすすめの給与アウトソーシングサービスを各社の特徴で徹底比較しています。ぜひ、あわせて参考にしてください。
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