外壁沿いやベランダに設置された室外機の汚れが気になったことはありませんか?
エアコンの室外機は屋外で雨風や砂ぼこりで汚れることを想定して作られているため、水や汚れにはある程度強いです。
とはいえ、室外機の汚れを放置すると、エアコンが効きづらくなったり、故障の原因になったりすることもあります。
この記事では、室外機を自分で掃除する方法を解説します。
汚れた室外機は掃除が必要?
エアコンの室外機は屋外で雨風や汚れに耐えられるように作られているので、天板や側面が多少汚れているくらいならあまり掃除しなくても大丈夫です。
また、室内機と空気の交換はしないので、室外機内部の汚れが室内機の臭いの原因となることもありません。
ただし室外機にゴミが詰まっていたり、周りに障害物が置かれていたりすると、空気の吸排気効率が悪くなり、本来の性能が発揮できないことがあります。
エアコンを使うシーズンの前に室外機の状態を確認し、ゴミや汚れが詰まっているようであれば掃除をしたほうがよいでしょう。
エアコンにおける室外機の役割
エアコンは部屋の壁に取り付けられた室内機と、屋外の室外機が配管でつながって一体となって動いています。
室外機は屋外の空気から熱を取り込んだり、逆に熱を排出したりする役割を果たします。
冷房の場合は、室内機で部屋の空気を取り込んだあと、空気中の熱を冷媒に乗せて室外機まで運び、圧縮して室外機から屋外に放出します。熱を放出した冷媒が室内機へ戻り、室内機から冷たい風を出すのです。
暖房は冷房と逆で、室外機で屋外の空気中の熱を集め、冷媒に乗せて室内機に運び、室内機から暖かい風を出します。
室外機の掃除に対する主要エアコンメーカーの見解
主要なエアコンメーカー各社は、室外機を掃除する必要性について以下のように述べています。
メーカー | 見解 |
---|---|
日立 | ・ほこりやゴミで室外機の吸い込み部分が閉ざされてしまうと、風量の低下や消費電力の増加の原因になる ・定期的に室外機まわりを確認し、室外機の周辺にゴミが溜まっている場合はお手入れをする |
ダイキン | ・ほこりやゴミがある場合も、手でつまんで取れるような葉っぱや枝を除去する程度で十分 ・室外機の前は物を置かずに、空気がスムーズに流れるようにしておく必要がある |
シャープ | ・アルミフィンに木の葉、紙、ペットの毛などがつまると能力が低下して冷えが弱くなる ・吹出口や吸込口の周りに壁や障害物があると放熱できず、冷えが悪くなる |
富士通 | ・室外機の上や前に物が置かれていたり、ファンに雑草などが絡まっていたりすると、騒音や性能低下の原因になる ・ファンの異物は無理に自分でとらない |
まとめると、特にこまめな掃除は必要ありませんが、運転効率を上げてエアコンの効きをよくするには、室外機が給排気しやすい状態にしておくことが大切です。
具体的には、室外機の上や前に給排気を邪魔する物を置かない、表側のファンや裏側のフィンにゴミや雑草が詰まっていたら取り除くといったお手入れをしましょう。
また自分で天板やカバーを外して分解するのは危険なので避けるように案内されています。
汚れた室外機を掃除するメリット
室外機は屋外に置いても問題ないように設計されているので、室内機よりは掃除の頻度が少なくても大丈夫です。しかし汚れの状況によってはエアコンの運転に影響することもあります。
室外機を掃除するメリットは以下の通りです。
エアコンの効きが良くなる
室外機本体の汚れを取り除き、周辺の障害物を撤去すると、室外機は熱の放出や圧縮を効率的に行えるようになり、熱交換の効率が向上します。
結果として、エアコンの室内機から排出される風の温度調節が適切に行われ、冷暖房の効きが良くなります。
設定温度にすばやく到達するので、室内で快適に過ごせるでしょう。
電気代が抑えられる
室外機を掃除して熱交換や空気の吸排気の効率をよくすると、電気代の節約につながります。
設定した温度に到達するまでに必要以上のパワーを使わなくて済み、室外機にかかる負荷が最小限に抑えられます。
結果として無駄な電力の消費がなくなります。
室外機の作動音が静かになる
エアコンを付けたときに室外機の音がうるさく感じる場合は、掃除すれば静かになることがあります。
室外機が動いているときに「ブーン」「カタカタ」などの異音がするときは、吸い込み口にゴミなどの異物が挟まっているかもしれません。また、汚れによって負荷がかかり、作動音が大きくなっている可能性もあります。
ただし掃除をしても異音が解消しない場合、内部の汚れや故障が考えられます。自分で解決するのは難しいので、エアコンクリーニング業者に一度見てもらうとよいでしょう。
室外機をすぐに掃除したほうが良いケース
室外機に以下のような汚れや症状が見られたら、掃除をしたほうが良いでしょう。
- 室外機の吹き出し口やフィンに汚れが詰まっている
- 室外機の周辺に落ち葉やゴミが溜まっている
- 室外機から異音がする
室外機の正面にある吹き出し口や、側面・背面の吸い込み口にゴミや汚れが詰まっていると、室外機が一度に吸い込める空気量が減ってしまいます。分解せずに取り除ける範囲で掃除をしましょう。
室外機のすぐ近くにものが置いてある場合も、吹き出し口・吸い込み口が汚れているときと同じく、空気の流れを妨げてしまうので、室外機の運転効率が悪くなります。
また、室外機から「ブーン」「ゴー」「カラカラ」などの異音がする場合、吸い込み口に付着したホコリやゴミが原因の可能性があります。掃除することで、室外機のうるさい音が解消されるかもしれません。
なお、エアコンの室内機から吹き出す風の臭いや、室内機から異音がする場合は、室外機の掃除をしても解決しません。室内機の掃除やクリーニングをする必要があります。
室外機の掃除で用意する道具
室外機の掃除をするときは、以下の道具を用意すると便利です。
アイテム名 | 用途 |
---|---|
雑巾 | 天板や側面の拭き掃除 |
ホウキ | 室外機周辺の掃き掃除 ファン、フィン表面の掃き掃除 |
ハンディ掃除機 | ファン、フィン表面のホコリやゴミを吸い取る |
ブラシ | ファン、フィンの細かい汚れをかき出す |
最低限、雑巾とホウキ(または掃除機)があれば十分です。
ファンやフィンに雑草やクモの巣が絡まっている場合は、ホウキで取り除くのが簡単です。ホコリが詰まっている場合は、掃除機で吸い取ったほうがきれいになります。
100均などで売っている掃除用のブラシや、使い古した歯ブラシなどがあれば、掃除機やホウキで落としきれなかったファンやフィンの細かい汚れを落とせます。
高圧洗浄機は使わない
ケルヒャーなど市販の家庭用高圧洗浄機をエアコンの室外機に対して使うのは避けましょう。
高圧洗浄機の強い水圧は、外壁やベランダ、窓などの硬くて丈夫な建材の汚れを落とすのには適していますが、電化製品である室外機に使うには強すぎます。水が電装部分に入り込んで故障したり、部品が破損したりするリスクがあります。
エアコンクリーニング業者はエアコンの掃除に適した水圧の洗浄機を持っており、部品の位置も把握しているので、故障リスクを最小限におさえて内部の洗浄ができるのです。
自分で室外機を掃除する方法
自分で掃除できる室外機の範囲は以下の5カ所です。
外側のカバーはネジで止めてあるので、外せばもっと奥まで掃除できそうに見えますが、やめておきましょう。
エアコンの専門知識がない人が分解して内部を掃除すると、故障や不具合のリスクがあります。内部のクリーニングは必ず専門のエアコンクリーニング業者に依頼しましょう。
天板・外側カバー
- 天板(室外機の上部)をホウキで掃き、落ち葉やホコリを落とす
- こびりついた汚れがある場合は軽く水をかける
- 濡らして固く絞った雑巾で天板と側面を拭く
砂ぼこりや排気ガスなどの汚れがこびりついていると、水拭きをしたときにザラザラとした感触があります。ザラザラ感がなくなるまで、何往復か拭き掃除をしましょう。
鳥のフンや泥がこびりついている場合は、軽く水をかけて汚れを浮かしてから拭き取ると良いでしょう。
水をかけるときは水圧を弱く保ち、必ず室外機の上部から水をかけるようにしましょう。室外機の内部に水が入ったり、圧力でフィンなどの部品がゆがむ可能性があります。
吹き出し口
- 表面の大きいホコリやゴミをホウキや掃除機で取る
- 網目に挟まった細かいホコリやゴミを歯ブラシでかき出す
また網目に蜘蛛の巣がある場合は、ホウキを使って除去しましょう。ある程度の汚れが取れたら、水拭きで仕上げます。
網目状になっているので内部のファンも目視できますが、もし汚れていても、無理にホウキや歯ブラシを突っ込むと故障や破損につながる恐れがあります。あくまで「見える範囲」の掃除にとどめておきましょう。
吸い込み口・熱交換器(フィン)
- ハンディ掃除機などで表面のホコリを吸い取る
- 歯ブラシですき間に詰まったホコリや汚れを優しくかき出す
熱交換器(フィン)は、室外機の背面にあります。掃除しにくいかもしれませんが室外機は動かさず、小さいブラシなどを使って掃除しましょう。もし掃除機のヘッドを当てられる場合は、最初に表面のホコリを吸い取るとラクです。
フィンはアルミ製の金属板が並んでいて、かなり変形しやすい繊細な部品です。手で触れただけでもゆがむことがあります。
多少の変形であれば、エアコンを稼働するうえで問題になることはありません。しかし大きくゆがんでしまった場合、動作不良の原因になるので注意しましょう。
またフィン部分は鋭利なので、指を上下に動かすと切れてケガをしてしまいます。直接手で触れないように注意してください。
ドレンホース
- 歯ブラシでドレンホースの出口付近のゴミをかき出す
- 内部が詰まっている場合はドレンクリーナーや掃除機で吸い出す
ドレンホースとは、室内機に溜まった結露や汚れを排出する管のことです。室外機のそばに設置されていることが多いので、ついでに掃除しましょう。
ドレンホースにはホコリだけでなく、蜘蛛の巣や虫の死骸などが入っていることがあります。ホース内が詰まることで、室内機から水漏れするケースもあるので注意しましょう。
歯ブラシを使って、ドレンホース内部にたまったゴミや砂汚れを取り除きましょう。もし奥のほうに詰まりがある場合は、割りばしにキッチンペーパーなどを巻き付けて使うのも効果的です。
さらに奥のゴミは、掃除機で吸引する方法もあります。
室外機周辺
室外機周辺は、風通しのよい状態にしておくのが理想です。風通しが悪いと排熱効率が下がるので、エアコンの効きが悪くなってしまいます。
室外機周辺のスペースは、背面側10cm以上、前面20cm以上が開いているのが理想。もし植木鉢やダンボール、タイヤなどを置いている場合は、どこか別の場所へ移動させましょう。
ベランダ設置の場合は、ベランダ全体の掃除もできればベスト。周辺に砂ぼこりや落ち葉が溜まっていると、またすぐに室外機が汚れてしまいます。
▼エアコン室内機の掃除方法はこちらの記事をご覧ください。
室外機を掃除するときの注意点
エアコンの室外機を自分で掃除するときは、いくつか注意すべきことがあります。守らないとエアコンの故障やケガにつながるので注意しましょう。
作業前にエアコンの電源プラグを抜く
室外機の掃除をするときは、必ずエアコンの電源を切って電源プラグも抜いておきましょう。
作業中に誤って室外機に電気が通って動いてしまうと、金属製のファンが回って手を怪我したり、電装部品にふれて感電したりするおそれがあります。
電源プラグまで抜いておかないと、室内で間違ってエアコンのリモコンを操作してしまった際に作動してしまう可能性があります。特に小さなお子さんがいる家庭は注意しましょう。
室外機の位置を動かさない
室外機の背面と外壁のすき間はわずかしかないことも多く、室外機を動かして掃除したくなってしまうかもしれません。しかし、室外機は設置された場所から動かさないようにしましょう。
室外機は、冷媒ガスを満たした配管で室内機とつながっています。取り付け時に配管の位置も考えて固定されているので、無理に室外機を動かそうとすると配管が外れたり、損傷したりする可能性があります。
また室外機は重量が大きいため、無理に動かそうとして怪我をしてしまうおそれもあります。
室外機を自分で分解しない
自分で掃除をするときは、室外機を分解せず外側から手が届く部分のみにとどめましょう。
エアコンの構造についての専門知識がない場合、誤って部品を壊してしまったり、分解しても元通りに戻せなかったりするリスクがあります。
室外機の内部を水洗いしない
室外機は屋外で使用する前提なので、外側が激しく雨や雪に降られても問題ないように作られています。
しかし、室外機の内部の電装部品は通常水をかけられることを想定していません。モーターや基盤部分が濡れると、故障やショートの原因になります。
室外機の外側を水洗いしたい場合も、内部に水が入り込まないように上からかけましょう。
エアコンの効きが良くなる室外機の使い方
運転効率を上げてエアコンの効きをよくするには、室外機の使い方で以下のポイントを意識すると良いでしょう。
室外機の周辺には何も置かない
エアコンの室外機は、室内機から送られてきた熱を屋外に逃がす役割を担っています。熱の放出を効率よく行うためには、室外機の周辺に何も置かず、障害物がない状態にすることが大切です。
室外機の吹き出し口や吸い込み口の近くに物を置いてしまうと、室外機周辺の空気が滞ります。その結果、一度放出した熱風を再び吸い込んでしまい、冷却効率が著しく低下します。室外機の前はスペースを空けて、できるだけ風通しをよくし、スムーズに空気が循環できるようにしましょう。
室外機に直接被せるカバーは、放熱を妨げることになります。エアコンの冷暖房を使用しているタイミングでは外すようにしましょう。
直射日光や雪を避けるために日よけを付ける
室外機は屋外に設置する想定で設計されているので、直射日光に当たっても壊れるわけではありません。しかし直射日光や地面からの照り返しに当たり続けると、室外機本体やその付近は高温になり、うまく熱を放出できなくなってしまいます。
室外機から1mほど離した場所に日よけを立てかけたり、軒下からすだれをかけたりして直射日光をさえぎることで、室外機周辺が高温になりすぎるのを防ぎましょう。
ただしこのとき、室外機周辺に風の通り道がなくならないように工夫が必要です。室外機を板などで完全に覆ったり、直接カバーをかけたりしないようにしましょう。
室外機を掃除する頻度・タイミング
室外機の掃除の理想的な頻度は年に1~2回です。室内機のフィルターほど頻繁に掃除をする必要はありません。
エアコンを使い始めるタイミング、具体的には、冷房を使い始める前の5~6月と、暖房を使い始める前の10~11月に行うのがおすすめです。
シーズン開始前に室外機をきれいにしておくことで、快適にエアコンを使用できます。
室外機の内部洗浄はプロに依頼しよう
室外機を自分で掃除できるのは、室外機の外側から見える部分のみです。
分解しないと掃除できない部分が汚れている場合や、作動音が大きいけれど外側を掃除してみても効果がない場合などは、エアコンクリーニング業者に依頼しましょう。
内部の分解は故障や怪我のリスクが高いので、自分でやってはいけません。
室外機を内部まで洗浄したいときは、プロのエアコンクリーニング業者に依頼しましょう。
室外機クリーニングの費用相場
室外機クリーニングは、基本的にエアコン室内機のクリーニングのオプションとして選択できるケースが多いです。
エアコンクリーニングの基本メニューと、室外機洗浄オプションの費用相場はだいたい以下の通りです。
メニュー | 料金目安 |
---|---|
壁掛けエアコン(お掃除機能なし) | 7,000~12,000円 |
壁掛けエアコン(お掃除機能あり) | 16,000~20,000円 |
室外機洗浄 | +3,000~5,000円 |
室外機のみクリーニングする場合は、約5,000円前後で依頼できるケースが多いです。
エアコン本体のクリーニングとセットで行う場合は、プラス3,000~4,000円ほどで依頼できることも多いので、お得になります。
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