お庭の雑草対策やマルチングなどに使われる、ウッドチップとバークチップ。これらは見た目や名前がよく似ており、違いがよく分からないという方も多いですよね。
実はウッドチップとバークチップは、機能やコストなど複数の点で違いがあります。状況や目的に応じてどちらを選べば良いかが変わるのです。
ここではウッドチップとバークチップの違いを比較し、どんな人にどちらがおすすめなのかを解説していきます。
ウッドチップ・バークチップとは?
- ウッドチップ:杉やヒノキなどさまざまな木材を丸ごと細かくし、加工したもの
- バークチップ:松の木(主に赤松と黒松)などの皮を細かくし、加工したもの
一般的には白っぽくて細かいのがウッドチップ、赤っぽくて大きく丸みがあるのがバークチップです。
【ウッドチップ】
【バークチップ】
ウッドチップやバークチップは袋詰めにされたものが、ホームセンターや園芸店で購入可能です。園芸用品の1つで、お庭の装飾や草花・観葉植物を育てる時に使います。
ウッドチップもバークチップも木材を細かくしたものである点は同じです。その中でも樹皮を使っているものを「バークチップ」と呼んで区別しています。位置づけとしては、ウッドチップの中の1つがバークチップということですね。
バークチップには色々な樹の皮が使われていますが、販売されている商品の多くは松の樹皮です。別の材木が希望であればインターネットの通信販売でも購入可能ですので、探してみてくださいね。
ちなみにウッドチップもバークチップも、以下のような使用目的や効果があります。
- グランドカバーやマルチング(保温・保湿)
- 食害防止
- 雑草対策
- リラックス効果
どちらも基本的な使い方は「土の上に敷く」です。直射日光・風・霜・虫などから植物の根元や株を守り、夏場の温度上昇や冬場の冷気からの影響を和らげます。また太陽の光を遮るので土に落ちた雑草の発芽や育成を抑えて、庭を奇麗に保ってくれますよ。
使われている木材の種類によって多少異なるものの、多くのチップは木材の香りによるリラックス効果があります。また庭で走り回るペットや子供の足の裏を傷つけないというメリットも。
そしてもちろん、見た目が非常におしゃれという点も人気の理由です。グランドカバーや雑草対策・食害防止には他の方法もあります。けれどもウッドチップやバークチップを使えば、庭や観葉植物を飾りながらケアできるというメリットがあるのです。
ウッドチップとバークチップの比較!違いは5つある
ではウッドチップとバークチップを比較してみましょう。まずは表にしますので、違いを確認してみてくださいね。
ウッドチップ | バークチップ | |
原材料の木材 | 杉・ヒノキ・ヒバなど多数 | 赤松・黒松など |
サイズや形状 | ・小さくて四角い
・2cm~4cm程度 |
・丸みがある
・1cm~10cm程度(3S/2S/S/M/Lなどがある) |
主な効果 | ・リラックス
・防虫 ・防臭など(素材による) |
・防虫
・防臭 |
安全度 | 割れや欠けが多く、とげが出来やすい | 割れや欠けが少なく、とげが出来にくい |
費用の相場 | 3,500円/100L | 10,000~15,000円/100L(Lサイズ) |
費用はあくまでも目安として考えてください。ウッドチップは素材によって金額がかなり異なりますし、バークチップの場合はサイズによっても変わってきます。
では以下5つの違いについて、詳しく説明していきましょう。
- 原材料の違い
- サイズの違い
- 効果の違い
- 安全度の違い
- 費用の違い
①原材料の違い
前述したとおり、ウッドチップはさまざまな木材を使って作られます。代表的なものは杉やヒノキ、ヒバ、クスノキなど。使う木材によって香りが違いますし、効果も違ってきます。木の内側の色が多く出るため、全体的に白っぽい見た目です。
一方バークチップは木の樹皮のみで製造。多くは赤松や黒松で、樹皮のためチップに色味が強く出ています。赤松は明るい雰囲気のバークチップ、黒松は落ち着いた雰囲気のバークチップになります。
②サイズや形状の違い
ウッドチップの1粒のサイズは2cm~4cm程度。サイズを選ぶことはできず、通常は袋の中にミックスして入っています。
対してバークチップはウッドチップより1粒のサイズが大きめで、商品は3SからLサイズまで豊富に選択が可能です。長さに直すとだいたい1cm~10cm程度。以下を目安に考えてください。
- 3S:1cm程度
- 2S:2~3cm程度
- S:4cm程度(ウッドチップはこのくらい)
- M:7cm程度
- L:10cm程度
使用目的によって購入サイズを変えることができますよ。
③効果の違い
ウッドチップは使っている木材によって効果が違います。
たとえばヒノキのウッドチップは香りが高く、庭や観葉植物の根元に敷き詰めるとリラックス効果が得られます。またヒノキはノミやダニを寄せ付けないと言われ、カビ対策としても有能です。杉であれば抗菌に優れていますし、殺虫であればクスノキやヒバがおすすめ。
ホームセンターなどでは数種類の木材をミックスしたウッドチップが販売されています。さまざまな効果を一気に手に入れることもできますよ。
ウッドチップ自体の消臭効果はあまり高くありませんが、消臭加工を施したものも売られています。目的に応じて選んでみてください。
対するバークチップは松などの樹皮ですので、香りによるリラックス効果はさほど期待できません。ただし消臭効果は優れており、加工を施されていないウッドチップよりは高い効果が期待できるでしょう。
さらにバークチップにはシロアリやコガネムシが発生しにくいというメリットもあります。シロアリは木の中の柔らかい場所を食べますが、樹皮そのものは食べないためバークチップには寄り付きにくいのです。またコガネムシは土に潜り込んで産卵しますが、バークチップが邪魔をして土と接触できなくなります。盆栽を扱う方などはコガネムシが寄り付かないよう、バークチップを使うことが多いですよ。
- カビ対策を重視する方:ウッドチップ(ヒノキ)
- じめじめしたところにまくため、シロアリなどの虫が心配な方:バークチップ
- 盆栽に使ってコガネムシを予防したい方:バークチップ
などのように、どんな効果が欲しいかを考えて選んでみてください。
④安全度の違い
ウッドチップは木を丸ごと粉砕して細かくしたものですが、バークチップは樹皮を剥いでから砕いて加工したもの。バークチップの方が比較的角がなくて割れにくく、とげが発生しにくい商品です。
たとえばドッグランのためにチップを利用するのであれば、犬の足のサイズに合わせたバークチップを使った方が割れ・欠けが起きにくいですよ。また犬の肉球も傷つきにくいでしょう。
⑤費用の違い
ウッドチップとバークチップを同じ量購入すると、バークチップの方が高額になります。商品や木材の種類によっても異なりますが、一般的には100L当たりのウッドチップは3,500円前後です。一方バークチップは10,000~15,000円程度かかることが多いでしょう。
ウッドチップは木材を丸ごと一本使うのに対し、バークチップは樹皮部分のみ。一本の木から取れる量が少ないためバークチップの方が高価になるのですね。
ただウッドチップはバークチップに比べて細かく粉砕されているので、広範囲に敷き詰めるには大量に購入しなければなりません。場合によってはバークチップよりも高額になってしまうこともあります。
また耐久性の面ではウッドチップよりバークチップの方が優良と言われています。どちらも定期的な(半年~1年程度で)補充が必要ですが、耐久性が低いウッドチップの方が補充する頻度が高くなりがち。結果的にウッドチップの総費用が高くなってしまうことも多いのです。※ただしカラカラに乾くとバークチップも割れやすくなってしまいます。
使用面積が大きく、使用期間が長いのであればバークチップの方が安く済むことが多いでしょう。
ウッドチップとバークチップの管理方法は基本的に同じ
ウッドチップとバークチップの管理方法は、基本的には同じです。
- 水をまく
- チップ全体をかき回す
まずウッドチップは軽く風に飛ばされやすく、水をまいて少し重くしなければなりません。バークチップは大きいのである程度の重さはありますが、カラカラに乾くと割れやすいというデメリットがあり、散水が必要になります。
また下の方にあったチップに湿気がたまるのを防ぐため、時折チップ全体をかき回す必要があります。なぜなら湿度が高いとウッドチップは虫に食べられやすくなってしまうからです。またバークチップの場合も食べられはしないものの、虫が裏に住みつく原因となります。
どちらかというとバークチップの方が、大きい分管理の手間は少なめです。けれども基本的な管理方法は同じ。選ぶ場合はその他の要素で比較した方が良いでしょう。
どっちがおすすめ?ウッドチップとバークチップの使い分け【場所や状況別】
ではウッドチップとバークチップはどのように使い分ければ良いでしょうか?それぞれの特徴から考えて、おすすめの使用場所や状況などを紹介しますね。
ウッドチップをおすすめするケース
今までみてきたウッドチップの特徴は、以下の通りです。
- 白っぽい
- 小さめ
- 四角い
- 割れやすく欠けやすい
- 木材によって効果を選べる
- 1L当たりの価格はバークチップより安い
- 比較的量が必要
- 補充の頻度が高い
これらのことから、たとえば以下のような使用目的・状況におすすめです。
- 敷き詰める範囲が狭い
- 庭を明るく洋風にしたい
- 香りの効果がほしい
- 特定の木材の効果が欲しい
庭の一部や、観葉植物の装飾・鉢植えのグランドカバーに使うならウッドチップの方が安い上にさまざまな効果を得られます。またリラックス効果を得たい場合もウッドチップの方が適していますよ。
表面が白っぽいため、使用するとその場がパッと明るくなります。雰囲気を簡単に洋風にできることも魅力ですね。
庭の雑草対策にウッドチップを使う方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
バークチップをおすすめするケース
続いてバークチップの特徴は、以下の通りです。
- 色味が強い
- 大きくて丸みがある(選ぶサイズによる)
- 割れたり欠けたりしにくい
- 商品によってサイズが選べる
- 少量で広範囲を埋めることができる
- 補充の頻度が比較的低い
そのため以下のような使用目的・状況では、バークチップをおすすめします。
- 敷き詰める範囲が広い
- ペットや子供が庭を歩く
- 使う場所によってサイズを変えたい
- 盆栽やじめじめしたところで使う(虫の被害に遭いづらい方が良い)
- とにかく虫が嫌い
バークチップはサイズが大きめで、Lサイズ(10cm程度)も販売されています。広い範囲に敷き詰めたい時には、ウッドチップに比べて購入量が少なくて済みますよ。また割れや欠けの可能性が低いためペットや子供の柔らかい足にも優しく、とげによるケガの心配もせずに済みます。
花壇のグランドカバーには大きめのバークチップ、鉢植えの装飾には3Sサイズ(1cm程度)と用途によって自由にサイズを選べる点も魅力。防虫効果や消臭効果も基本的にはウッドチップより優れているので、機能面を重視する方にもピッタリですよ。