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エキナセアを庭で育てて楽しもう。適した栽培環境や育て方のポイントも紹介

最終更新日: 2022年06月25日

エキナセアは温度変化や乾燥に強く、美しい花が特徴的な多年草の植物です。古くは薬草として使われていた歴史を持ち、ハーブティーとしても楽しめます。今回はエキナセアの育て方や注意点、生育環境について解説します。

ハーブとしても人気のエキナセアとは

エキナセア

エキナセアには多くの品種があり、さまざまな色の花を咲かせることで知られています。ここではエキナセアの基本的な特徴を見ていきましょう。

植物名 エキナセア
学名 Echinacea
科名 / 属名 キク科/ムラサキバレンギク属(エキナセア属)
原産地 北アメリカ
開花期 6月~8月
花の色 ピンク、黄色、白、赤、緑など
草丈 30~100cm

エキナセアはキク科に属しており、日本では「ムラサキバレンギク」とも呼ばれています。何年にもわたって花を付ける多年草で、花の中央にあるぽっこりとした球形の盛り上がりが特徴的です。

花びらは紫がかったピンク色をしているものが一般的ですが、近年では品種が増えてカラフルな花が楽しめるようになりました。黄色や白、緑色の花を咲かせる品種もあり、庭やお部屋を鮮やかに彩りたい人にもおすすめです。

原産地であるアメリカでは、古くからエキナセアを薬草としても利用してきました。ハーブティーにブレンドされることも多く、観賞用としてはもちろん実用的にも役立てられてきたのです。

エキナセアの健康効果!ハーブやサプリに使われることも

エキナセア

エキナセアの効果と副作用

  • 効果

エキナセアは、薬やサプリとしても使われています。エキナセアには免疫力の向上、抗菌・抗ウイルス作用、消炎作用、皮膚疾患の回復などの効果があるようです。新型コロナウイルスにも効果があるという宣伝とともに売られていることもあるようですが、そのような証拠はないので十分注意してください。

エキナセアには具体的にどんな効果があるのかを、以下で見ていきましょう。

風邪を予防する(免疫力の向上、抗菌・抗ウイルス作用)

エキナセアに含まれる多糖類は、マクロファージという白血球の1種を活性化させます。このマクロファージは体内に侵入した細菌や死んだ細胞を捕食してくれる、体内のおそうじやさんの役割を果たしてくれます。これが活性化すると、免疫機能が高まり、風邪の予防になるのです。また、頭痛・のどの痛み・鼻炎・気管支炎・咳や発熱の緩和などの効果もあると言われています。

アレルギーを改善する(免疫力の向上)

アレルギーは免疫機能が過剰にはたらいてしまうことによって起こります。エキナセアは免疫機能を高めてくれるので、アレルギーの症状の改善が期待できます。

むくみを緩和する

エキナセアには、老廃物の排出を促進する効果があります。むくみは身体に老廃物が溜まってしまうことが原因で起こるので、むくみの改善に役立つ可能性があります。

尿トラブルを改善する(消炎作用)

頻繁にトイレに行きたくなる・残尿感があるなどの尿トラブルは、尿道や前立腺などになんらかの炎症が起きていると考えられます。エキナセアの消炎作用は、これらの尿トラブルを改善してくれる可能性があります。ただし何らかの病気になっていることも考えられるので、ひどい場合には病院で診てもらった方がよいでしょう。

  • 副作用

エキナセアで最も多い副作用は、悪心や腹痛などの消化器症状です。アレルギー反応を起こしてしまう例もあるので、身体に異常を感じたらすぐに服用をやめましょう。

ハーブティーとして楽しむ方法

エキナセアは本来ハーブに分類される植物ですが、現在園芸品種として出回っているエキナセアは鑑賞用に品種改良されたものであるため、ハーブとしての効果はありません。

ハーブとして飲用したときに免疫力の向上が期待できるのは、プルプレア種・アンギスティフォリア種、パリダ種の3種のみです。ほかにハーブとして用いられているのは、テネセーンシス種・パラドクサ種など、北米を原産とする9種類のエキナセアです。

ハーブとしては生のまま使う方法と乾燥させる方法がありますが、基本的には乾かしてハーブティーにするのがポピュラーです。

エキナセアのハーブティーは味にクセがないので、他のハーブとブレンドしやすいのが嬉しいポイントです。カモミールやレモンはちみつを加えて飲むのがおすすめですよ。またビタミンCと同時に摂取すると、より効果があると言われています。

ドライハーブの作り方をかんたんに紹介しますね。

ドライハーブの作り方
  1. 土から出ている部分を切り取って日陰に置き、1週間ほど乾かしたものをはさみでカットしましょう。
  2. 1cmほどの長さに刻んでさらに1週間乾燥させます。
  3. レンジで温めて紙の上に広げます。
  4. エキナセアをフライパンで煎って弱火で水分を飛ばし、よい香りがしてきたらドライハーブの完成です。
  5. 瓶などに入れて保存し、お湯を注いで楽しみましょう。

エキナセアを摂取してはいけない人

エキナセアを禁忌とするのは、以下のような項目に当てはまる人です。

  • 結核や白血病、エイズなどの自己免疫疾患のある人
  • キクにアレルギーを持つ人

自己免疫疾患のある人は、免疫機能が低下する恐れがあるので、エキナセアを摂取してはいけません。

エキナセアはキク科に属する植物なので、キクにアレルギーを持つ人は注意が必要です。

またハーブティーで腹痛や下痢を引き起こす可能性もあるため、胃腸の弱い人は飲む量を少なくするなどの配慮をしましょう。

さらに、妊娠中の人や小さな子どもはハーブの摂取を避けた方がよいこともあります。医師に相談してから飲んだ方が安心でしょう。

エキナセアを育てたい!苗の購入場所と選び方

エキナセア

花を見て和んだり飲み物として味わったりと、エキナセアの楽しみ方はさまざまです。育ててみたい人のために、まずはエキナセアの入手方法と選び方について解説します。

鑑賞目的なら園芸店、飲み物にするならハーブショップ

エキナセアは種の形でも販売されていますが、苗を購入して育てるのが一般的です。

エキナセアの苗は4~9月に出回ります。店頭で苗を選ぶときは、葉の色が鮮やかで元気がある苗を選びましょう。

エキナセアを購入する場合、目的に合わせて購入先を選ぶのがおすすめです。

園芸品種のエキナセアは、ハーブにはできません。育てたエキナセアをハーブとして利用したい場合は、ハーブショップで購入するとよいでしょう。

園芸店ではさまざまな品種が売られています。花びらの形やカラーもさまざまなので、置き場所や好みに合わせたものを選ぶことができますよ。また園芸品種の購入先として穴場なのは、ホームセンターです。安くなっていることもあるので、近くにホームセンターがある場合は覗いてみるのもよいでしょう。

品種によって草丈が大きく異なる

エキナセアには多くの品種がありますが、種類によって草丈が大きく異なります。

30cmほどのものから1mを越えるものもあるため、前もって成長した際の大きさを把握しておくとよいでしょう。

エキナセアの種類(品種)を紹介!

エキナセア

エキナセアには、いろいろなカラーや形の品種があります。代表的なものをいくつか紹介しますので、育てるエキナセアを選ぶ際の参考にしてみてくださいね。

【園芸品種】ヴァージン(バージン)

ヴァージンは緑色の花芯に、白の花びらをつけます。花弁は下向きに垂れ下がることなく、平咲きです。

花びらのふちは切り込みを入れたようにギザギザしており、一重咲きです。

花つきがよく、とても見栄えのよい品種といえます。

【園芸品種】グリーンジュエル

花芯も花びらも緑色をした、爽やかな見た目の品種です。

花径は約12cmととても大きな花を咲かせ、ほのかな香りが漂います。

【園芸品種】ストロベリー&クリーム

ストロベリー&クリームは、とても目立つ濃いピンクの八重花芯が魅力の品種です。

花芯とは対照的に花びらは小さく、一風変わったオシャレな見た目が楽しめます。

【園芸品種】グリーンツイスター

エキナセア(グリーンツイスター)は一般的なエキナセアと違い舌状花が下垂せずに水平に伸び、また桃色と緑色の2色の花色が独特な雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です

【ハーブ】パープレア(プルプレア)

パープレア(プルプレア)は、原種のエキナセアです。

草丈は50~120cmと幅広く、薄いピンクの花を咲かせます。

ハーブティーにして飲用すれば、免疫力を上げる効果が期待できますよ。

【ハーブ】パリダ

パリダは写真のように、非常に細い花びらをつける品種です。

花の大きさは直径2.5~7.5cmほどで、円錐状に盛り上がった茶色い花芯と、下に垂れさがる花びらがなんとも個性的。

ハーブとして飲用することができます。

エキナセアが好む栽培環境

エキナセア(白)

エキナセアを育てる際は、ベストな栽培環境を用意してあげることでより元気な姿を楽しむことができます。エキナセアが好む環境とは、どのようなものなのでしょうか?

風通し・日当たりのよい場所

エキナセアは庭と鉢植えのどちらでも育てることが可能です。

なるべく日当たりのよい場所に置くようにしましょう。

エキナセアは比較的丈夫なため育てやすい植物ともいわれていますが、やはり日当たりのよい場所に置いてあげた方が元気に育ってくれます。

屋外に植える場合は、雨などが原因で根腐れを引き起こさないよう水はけのよい場所に植えましょう。

成長を助けるためには風通しのよさも重要です。室内であれば換気にも気を配り、鉢を日の当たる窓辺に置くとよいでしょう。

水はけのよい土

エキナセアを植える用土は、水はけのよさを重視して選ぶようにしましょう。水やりの後に土の中が湿った状態が続くと、根腐れを引き起こす原因になるのです。

軽石や赤玉土は通常の土よりも粒が大きいため、ブレンドすることでさらに水はけがよくなります。草花用として市販されている培養土を使う際は、腐葉土やパーライトを混ぜるのも効果的な方法です。

エキナセアを屋外に植えるときは、事前に庭の土を掘り返し、2~3割程度の腐葉土を混ぜておくとよいでしょう。実際に植え付ける1週間ほど前に土作りを行うことで、エキナセアに適した土壌が完成します。

エキナセアの育て方

エキナセア(オレンジ)

エキナセアを育てるなら、植え方はもちろん花が枯れた後にも作業が必要です。

植え付けはもちろん、日々のお手入れをきちんと行うことで、きれいな花姿のエキナセアを育てることができます。

種まき・苗の植え付け

エキナセアの種をまきは、春か秋のどちらかに行います。

3~5月に種をまくと翌年の夏に花が咲き、9~10月にまいた場合は翌年の秋か、冬を越えた2年後の春に花を咲かせます。

種をまいてふんわりと土をかぶせた後は、5枚以上の本葉が出たのを目安に植え付けを行いましょう

植え付けも種まきと同様、春か秋に行うのがおすすめです。

成長した苗を屋外に植え付ける際は、株同士の間隔を30cmほど空けることで風通しがよくなります。鉢で育てるなら、浅めの容器に種をまいてから専用の育苗ポットに植え付けましょう。

水やり・施肥など日々のお手入れ

エキナセアは乾燥に強く、頻繁に水やりをする必要はありません水を与え過ぎると枯れてしまう恐れもあるため、乾燥気味に育てるのが大切です。

特に外に植える場合、水やりの必要はほぼありません。水を与えるのは、晴れた日が続いて乾燥しているときのみにしましょう。鉢で育てるなら、土が乾いてから水をやるのが基本です。

また、エキナセアは肥料もあまり必要としない植物です。肥料を使い過ぎると成長を阻害する可能性があるので、固形の肥料を月に1度のペースで与えるとよいでしょう。

花後の作業と剪定

エキナセアは多年草なので、枯れた花が黒く変色するまで放置せずに、早めに切り取る必要があります。

枯れた花を放っておくと、花が種を作る際に栄養を使ってしまいます。次の花が咲きにくくなるだけでなく、病気を引き起こす原因にもなりかねないため、剪定は欠かさず行いましょう。

枯れた花だけでなく、その周辺の茎や枝もまとめてカットすることを「花がら摘み」といいます。面倒がらずにこの作業を行うことで、次の花も美しく咲くようになるのです。

夏越し・冬越し

エキナセアは植えた翌年にも花が咲く多年草ですが、再びきれいな花を咲かせるためには夏・冬に適切な処置をすることが大切です。

  • 夏越し

エキナセアは暑さに強いものの、真夏になると成長が止まってしまうこともあります。花が咲かなくなる時期もありますが、気温が下がってくるとまた開花するため落ち着いて見守りましょう。

  • 冬越し

寒さにも強いのがエキナセアの特徴で、気温がマイナスになっても越冬することができます。ただし、土が凍ったり雪が降ったりする地域では対策が必要です。枯れた茎や葉を短く刈り、周辺を腐葉土やワラで囲むと効果的です。

病害虫

エキナセアはとても丈夫な植物なので、注意しなければならない病害虫は特にありません。

ただし湿度の高い梅雨時は、灰色かび病にかかる危険性があります。変色などの異変が起きた部分を取り除き、風通しがよくなるよう工夫しましょう。

エキナセアの増やし方

エキナセア

エキナセアを増やすには、種まきや株分けなどの方法があります。

  • 種まき

種を採取したい場合は花が咲き終わっても花がら摘みを行わず、種が成熟するのを待ちましょう。花芯部分から種が採れるので、収穫したら種まきの時期である春か秋まで冷暗所で保管しておきます。

種まきの仕方は種まき・苗の植え付けの項をご覧ください。

  • 株分け

株分けは、春の3〜5月または秋の9〜10月頃に行うのがおすすめです。

株を丁寧に掘り起こしたら根の土をそっと落とし、手またはハサミで切り分けていきます。

株分けは細かく分けすぎると枯れることもあるので、1つの株に4〜6つほど芽がつくように分けるといいでしょう。あまり株が大きく成長する植物ではないため、無理な株分けはしないようにしてください。

▽株分けの効果や詳しいやり方はこちらの記事をご覧ください。

関連記事:株分けで植物の生育環境を改善!適した時期やタイミング、方法を紹介|ミツモア

エキナセアを育てよう

エキナセア(赤)

エキナセアは暑さや寒さに強く、植物に詳しくない人でも育てやすい花です。品種の多い植物ですので、花の形や色味など好みに合わせて選びましょう。

エキナセアは数年間にわたって花を付けるため、庭の花壇に植えると少しずつ株が増えていきます。花が閉じた後もしっかりとお手入れすれば、次々と花が咲くのを楽しめるのがメリットです。

美しく咲く花としても、ハーブティーとしても堪能できるエキナセアを育ててみましょう。

▽庭に植える植物を迷っている、エキナセアと一緒にほかの植物も育てたい、という方はこちらの記事も見てみてくださいね。

関連記事:庭に植物を植えたい!おすすめの植物から庭づくりのコツまで解説|ミツモア
関連記事:毎年花咲く宿根草を庭や花壇で楽しもう!おすすめ品種や育て方の3つのコツも紹介|ミツモア

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