フェスツカ・グラウカという植物を知っていますか?名前はあまり聞いたことがないかもしれませんが、実は身近な植物で、庭のアクセントにもぴったりなのです。
この記事では、フェスツカ・グラウカの基本情報や適した栽培環境、育て方などを紹介します。
フェスツカ・グラウカとはどんな植物?
フェスツカ・グラウカは「オーナメンタルグラス(装飾する草)」とも呼ばれている、園芸用の植物です。そんなフェスツカ・グラウカの基本情報を一緒に見ていきましょう。
フェスツカ・グラウカの基本情報
植物名 | フェスツカ・グラウカ |
学名 | Festuca glauca |
科名 / 属名 | イネ科 / ウシノケグサ属 |
原産地 | ヨーロッパ |
開花期 | 5~7月 |
花の色 | シルバーブルー |
草丈 | 25~50cm |
特性 | 宿根草、耐寒性・耐暑性、高温多湿に弱い |
フェスツカ・グラウカは、シルバーブルーの細い葉が特徴的なイネ科の多年草(宿根草)です。耐寒・耐暑性に優れており、丈夫で育てやすい特徴があります。
葉は株の中心から放射線状に伸びており、丸みのあるフォルムに茂ります。草丈は50cm以下と比較的背の低い植物なので、花壇の手前に植えてほかの植物を引き立たせるアクセントとして人気です。
植え付けた場所や環境によって葉の色が変化することもあり、まとめて植えることでボリュームが出て存在感が増すでしょう。
ちなみに別称の「オーナメンタルグラス」は「装飾的なイネ科の植物」という意味で、フェスツカ・グラウカのほかにもススキなどが当てはまります。
フェスツカ・グラウカの種類
フェスツカ・グラウカには200〜300種類もの品種があります。シルバーがかった青みのある葉色から黄緑色の葉色、背の低い種や大型に育つ品種など、変異や個体差も多い植物です。
フェスツカ・グラウカの代表的な種類を3つ紹介します。
フェスティーナ
フェスティーナは他の品種よりも草丈が30~45cmと高く、色も青いのが特徴です。寒さに強く、気温が-28℃でも冬越しすることができます。
|
エリジャブルー
エリジャブルーは白い花穂をつけるのが特徴で、葉は他の品種よりも緑色をしています。草丈は25cm前後とやや低いです。
|
スコパリア
スコパリアは草丈が約20cmと非常に小さく、葉は密集して生えています。黄色の花穂をつけます。
|
フェスツカ・グラウカが好む栽培環境【日当たり・土壌】
きれいに育てるには、フェスツカ・グラウカが好む栽培環境を把握しなければなりません。どんな環境だと育ちやすいのでしょうか?
日当たりが大切
フェスツカ・グラウカは、日当たりのよい場所を好みます。やせ地でも育つほどたくましいので、適した環境であれば基本的に手がかかりません。
しかし、環境があまりにも合わないと枯れる原因になるので注意が必要です。特に日光が当たらない場所や日陰の庭は適していません。
フェスツカ・グラウカの栽培に適した日当たりのよい場所がない場合は、鉢植えで育てるのもおすすめです。
水はけのいい土を準備
フェスツカ・グラウカは高温多湿の蒸れに弱く、やや乾燥した状態を好みます。そのため、水はけのいい土を準備しましょう。
水はけのいい土は排水性に優れており、水をためこまないので根に水が残りません。水はけが悪いと根腐れしてしまう恐れがあります。
自分で水はけのいい土を作る場合は、赤玉土7~6:腐葉土3~4の比率で配合しましょう。軽石や鹿沼土を混ぜることもおすすめです。
庭の土や環境などに合わせて調整してみてくださいね。フェスツカ・グラウカは肥料をほとんど必要としないので、堆肥が入っていない土を選ぶとよいです。
寄せ植えを作るときのポイント
フェスツカ・グラウカは、他の草花も一緒に植える「寄せ植え」として育てる方が多いです。寄せ植えのポイントを2つ紹介します。
ポイント①:高さ15cm以上の鉢を選ぶ
植物によって根の生長が異なるので、土がよく入る深さの鉢を選ぶとよいでしょう。鉢は丸い形がおすすめです。
ポイント②:「主役の花」「わき役の花」「緑の葉」の3種類を用意する
「主役の花」「わき役の花」「緑の葉」を一緒に植えることで、全体が上品にまとまったり、主役の花がより美しさを発揮したりします。
どのような植物を選べばよいかわからない、という方は以下を参考にしてください。
主役の花 |
|
わき役の花 |
|
緑の葉 |
|
フェスツカ・グラウカなどのグラス類は、形や色が特徴的なので、「緑の葉」として寄せ植えするのがおすすめです。
フェスツカ・グラウカの育て方
フェスツカ・グラウカを庭植えするときは、ほとんど手間がかかりませんが、鉢植えで育てるときは生育環境を整える必要があります。フェスツカ・グラウカを育て方を紹介します。
日々のお手入れ
【水やり】
庭植えの場合、水やりは基本的に必要ありません。フェスツカ・グラウカは乾燥に強く、やせ地でも育つ植物なので放置しても育ちます。
鉢植えの場合は、土が乾いたらたっぷり水を与えましょう。庭植えは土壌の湿り気から必要な水分を確保できますが、鉢植えは土の量が少ないため水分を補う必要があります。
多湿環境にならないよう注意しながら水を与えましょう。
【肥料】
庭植えで育てる方は、基本的に肥料を与える必要はありません。鉢植えで育てる方は、気温が下がる秋と早春に、緩効性肥料か液体肥料を与えると生育がよくなります。
肥料の与えすぎはよくないため、記載されている量よりも控えめに与えましょう。
そしてガーデニングの大きな懸念である「病気と害虫」については、ほとんど見られないのでこちらも心配いりません。
葉が伸びすぎたら刈り込む
刈り込みは2~3月に行います。葉が伸びすぎたら株元まで短くカットしましょう。再び芽吹いたときにきれいな形に整います。
フェスツカ・グラウカは剪定をしなくてもよいですが、葉が伸び放題だと見た目が悪くなってしまいます。
「美しいフェスツカ・グラウカに育てたい」という方はぜひ刈り込み作業をしてくださいね。
主に株分けで増やす
フェスツカ・グラウカは株分けで増やせる植物です。株分けを行うのは気温が低い10~11月の秋、または3~4月の春が適期です。
株が大きくなってくると内部が高温多湿状態になりやすいので、ある程度の大きさになったら株分けをしてあげるとよいでしょう。
株分けの方法は以下の通りです。
|
鉢やビニールポットの段階では、明るい日陰で水切れに注意して様子をみましょう。
植え替えのやり方
フェスツカ・グラウカは、数年間植えっぱなしの状態でも問題ありません。しかし、成長するにつれてフェスツカ・グラウカ同士が混み合い蒸れやすくなるため、株分けをした後に植え替えするのがおすすめです。
鉢植えの場合は、鉢の下から根が出てきたタイミングで大きめの鉢に植え替えましょう。
植え替えをしないと根詰まりを起こし、株が老化して生育が悪くなる恐れがあるため、1〜2年を目安に春か秋に株分けを検討しましょう。
フェスツカ・グラウカは成長が早いので、小まめに様子をみて、植え替えの必要性を判断することもポイントです。
フェスツカ・グラウカを庭のアクセントに
フェスツカ・グラウカは、特にイングリッシュガーデンやロックガーデンに仕上げたいときにおすすめのオーナメンタルグラスです。寄せ植えにも対応でき、種類も豊富なため自宅の庭にあったものを選べます。
高温多湿を苦手とするフェスツカ・グラウカは、日当たりのよい場所で、水はけのよい土で育てれば、ほとんど手間がかからないことも特徴です。
今回紹介した育て方のポイントを参考にすれば、初心者でも育てやすい植物といえるでしょう。庭やベランダで他の植物を引き立たせる存在になるので、アクセントに取り入れてみてはいかがでしょうか。
以下の記事では秋以外の季節に咲く宿根草も紹介しているので、ぜひ1年を通したガーデニングの参考にしてみてください。