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個人事業主は屋号付き口座開設を!おすすめ銀行と必要書類、手続きも紹介

最終更新日: 2022年12月16日

「屋号付き口座」とは、個人事業主やフリーランスの方が開設する、屋号(店名など)を付した口座のことです。お金の管理や記帳が楽になったり、クライアントから信頼されやすくなったりなどさまざまなメリットがあります。

「屋号付き口座を開設したい」あなたのために、おすすめの銀行や選び方、必要書類から手続きまでわかりやすく紹介します。

屋号付き口座と個人口座の違い

オフィス街に並び立つビルの風景

「屋号付き口座」と「個人口座」のいちばんの違いは「口座名義」です。

メガバンクやネットバンキングをはじめとする多くの銀行では「本名 + 屋号」の名義で屋号付き口座が開設可能です。「〇〇デザイン事務所」や「〇〇企画」などの屋号を付ければ、クライアントに事業内容を明確に伝える役割も果たせます。

またそれぞれの口座では、必要な手続きや口座開設にかかる期間が異なります。

屋号付き口座

屋号付き口座は個人口座の開設と比べて制限が強いのが特徴です。

  • 原則、銀行窓口を中心とした受付
  • 開設できるのは自宅や事務所から最も近い支店の口座
  • 口座開設までに1週間以上かかるケースあり
  • 開業届の提出が必要

屋号付き口座は原則として窓口のみの受付となっています。しかし実店舗のないネットバンクなどはその限りではありません。

また口座開設に開業届の提出が必要なケースがほとんどですが、ジャパンネット銀行など一部の銀行では開業届なしでも口座開設が可能です。

個人口座

生活をするうえで欠かせない個人口座と照らし合わせると、屋号付き口座の特徴がさらにわかりやすくなります。

  • 銀行窓口やネット、郵送やテレビ電話などさまざまな方法で口座開設可能
  • どの支店の口座でも開設可能
  • 口座開設が初回来店時に可能

個人口座と屋号付き口座では勝手が異なることを把握しておけば、開設時に銀行で慌てることもありません。

個人事業主が屋号付き口座を開設できる銀行

銀行窓口で口座開設をする男性

屋号付き口座は多くの銀行で開設可能ですが、中には対応していないケースもあります。

また都市銀行やゆうちょ銀行、ネットバンクなどそれぞれの形態によって、得られるメリットも異なります。

都市銀行

大手都市銀行で個人事業主の屋号付き口座の開設が可能なのは、以下のような銀行です。

  • 三菱UFJ銀行
  • みずほ銀行
  • 三井住友銀行
  • りそな銀行

いずれも支店やATMの数が多いので、入金・出金・振込など手続きが全国各地どこからでも行いやすい点がメリットといえます。

都市銀行で口座を開設している人の数は、全国規模でみれば地方銀行や信用金庫などよりも圧倒的に多くなります。ネットショップなどを運営していて、不特定多数の顧客から入金がある場合には、同一銀行間の振込は手数料が安くなるというサービスを受けることができる点からも顧客にとっても有利です。

購買客の中には振込手数料がかかるのか、気になる人が多いという点からも、都市銀行は有利だといえるでしょう。

ただし「いずれ融資を受けたい」と考えているなら、大手都市銀行(メガバンク)からの融資は地元の地方銀行や信用金庫からの融資よりもハードルが高くなってしまうので注意が必要です。

地方銀行・信用金庫

地域密着型の地方銀行や信用金庫は、小規模な事業者も顧客層としてとらえています。そのため、地元で開業した中小企業や個人事業主などが融資を受けたいという相談にも親身に対応してもらいやすいでしょう。

事業投資などで銀行融資を希望しているのなら、地元の地方銀行や信用金庫などで個人事業主の屋号付き口座を開設して付き合いを続け、信頼関係を構築しておけばいざというときの相談にも乗ってもらいやすくなります。

ただし、基盤となる地域から外れると、圧倒的にATMの設置数は少なくなります。そのため、全国規模で取引がある業種には向かないともいえるでしょう。

ネットバンク (ネット銀行)

店舗や窓口、通帳のないインターネット専用の銀行がネットバンクです。多くのネットバンクで個人事業主の屋号付き口座の開設が可能ですが、特に以下の銀行は利用者も多いのでおすすめです。

  • セブン銀行
  • 楽天銀行
  • PayPay銀行 (旧:ジャパンネット銀行)
  • 住信SBIネット銀行

近年では、ネットバンクを事業用の口座として利用する個人事業主も増えつつあります。

その理由は、銀行窓口やATMまで行かなくても、自宅のパソコンやスマートフォンからインターネットを使って口座の取引が行えることにあるでしょう。

店舗がない状態で運営している銀行なのでコストを抑えることができている分「預金金利が高い」「振込手数料や引き出し手数料などの手数料が安い」など利用者に還元してくれているのも魅力です。

コンビニATMからの入出金手数料を無料にしたり、毎月限られた回数までは他行への振り込みでも手数料がかからなかったりと実店舗をもつ金融機関では対応できないサービスも実施しています。

ただしインターネットを利用するため、IDやパスワードの管理を厳重に行うようにしましょう。

ゆうちょ銀行

銀行の中では唯一、屋号のみで振替口座を開設できるのがゆうちょ銀行です。

他の銀行では「屋号」に「代表者名」がついた形の口座名となりますが、本名を伏せた名目で口座が開けます。インターネットの通販サイトを運営しているなど、不特定多数の人から振込がある個人事業主におすすめです。

さらにゆうちょ銀行は、日本国内ほとんどの地域にあるので、ATMを利用しやすいのも大きなメリットです。

ただし、個人事業主が屋号付き口座を開設する場合は、総合口座ではなく振替口座を開設しなければなりません。振替口座は通帳を作ることができないため、入出金明細の確認は送付されてくる証明書で行う必要があります。確認が遅れてしまうケースも考えられるでしょう。

ゆうちょが提供しているネットバンキングを利用すれば、リアルタイムで入出金など取引内容を確認することが可能になるので、あわせて検討してみてください。

小切手の発行や預金保護制度のメリットも

ゆうちょ銀行の振替口座は通常の総合口座と比べて、小切手を発行することができるなど「事業に特化した口座」です。振替口座は当座預金扱いになるため、預金利息が付きませんが「振替口座内の預金全額」が「預金保護制度(ペイオフ)」の対象となっており、保護されています。

この「振替口座の預金保護制度」が、振替口座を開設する大きなメリットです。通常の総合口座は、普通預金額と定期預金額の預入上限額が1,300万円に設定されており、「預金保護制度(ペイオフ)」の対象額は1,300万円にとどまります。

万が一、ゆうちょ銀行が破綻した場合には、総合口座では1,300万円までしか補償されないのに対し、振替口座では預金全額が補償されます。

屋号付き口座の開設におすすめの銀行は?選び方を紹介!

キャッシュカードを手にする男性

屋号付き口座はさまざまな銀行で開設できますが、どこで開設してもよいわけではありません。今後の事業展開やATMの使いやすさ、口座開設のしやすさなど、選び方のポイントを解説します。

予定している事業展開によって選ぶ

将来、銀行から融資を受けることを希望する場合や事業拡大を狙うなら、地元の地方銀行・信用金庫・信用組合といった銀行を利用しましょう。

しばらく銀行からお金を借りる予定がない場合や、売上が入金されたり仕入代金を支払ったりという取引が主な場合はネット銀行を利用すると便利です。

ネット銀行では「PayPay銀行 (旧:ジャパンネット銀行)」など、ビジネスローンの融資を行っている銀行があります。ネット銀行なので来店不要というメリットもありますが、面談不可というデメリットもあります

また、融資の審査も厳しく、融資の決定までに長い時間がかかる傾向があり、一般的な都市銀行に比べると事務手数料が高額になる場合が多いです。しかし、ネット銀行はオンラインバンキングに特化しており、仕入代金の送金などは365日24時間いつでも決済を行うことができます。

ATMの使いやすさで選ぶ

ATM台数が多い銀行として挙げられるのは「ゆうちょ銀行」そしてネット銀行である「セブン銀行」です。

台数自体はゆうちょ銀行の方が多いですが、セブン銀行はコンビニエンスストアであるセブンイレブンから入出金が可能であり、基本的に預け入れはどの時間帯でも無料で24時間対応です。引き出しは夜の7時から朝の7時まで108円の手数料が発生しますが、24時間利用できるという部分のメリットは大きいでしょう。

開設のしやすさで選ぶ

屋号付き口座の開設のしやすさで選ぶのも1つの方法です。個人事業主が屋号付き口座を開設しやすいおすすめの銀行は「PayPay銀行(旧:ジャパンネット銀行)」と「GMOあおぞらネット銀行」です。

たとえばPayPay銀行(旧:ジャパンネット銀行)の場合、開業から6か月以上が経過していてWebサイト上で事業内容が確認できるのであれば、開業届の提出は必要ありません。

またGMOあおぞらネット銀行の場合、必要書類をスマートフォンのカメラで撮影してアップロードするだけで提出できるので、簡単に口座開設が行なえます。

振込手数料で選ぶ

振込手数料の「安さ」を基準に銀行を選ぶのも1つの方法です。事業を行っていると取引の度に振込手数料が発生します。銀行によって1回あたりの振込手数料の差が少しであっても、取引回数が多くなれば振込手数料の総額も自然と大きくなります。

他行への振込手数料について、銀行によっては「月に数回まで振込手数料が無料」というキャンペーンを行っているので確認してみるとよいでしょう。他行への振込手数料が無料になるキャンペーンは「住信SBIネット銀行」などのネットバンクが多いです。

ネットバンクでは365日24時間振込を行うこともできるためとても便利ですが、場合によっては手数料がかさむおそれもあるので注意が必要です。

ATM手数料についても月の無料回数を定めているネットバンクや、銀行口座のステータスによっては無制限にATMを利用できるケースも。

ネット銀行ではない、ゆうちょ銀行などで営業時間外にATMで現金を引き出すと手数料が余計にかかるので注意が必要です。

屋号付き口座の開設に必要な手続きと書類【メガバンク・ゆうちょ】

屋号口座開設に必要な手続きと書類

メガバンクやゆうちょ銀行で屋号付き口座を開設する手続きを紹介します。

「屋号付き口座」は誰でも開設できるわけではありません。運転免許証やパスポートなどの「本人確認書類」に加えて「事業を行っている証拠」の提出が口座開設時に必要です。

屋号付き口座の開設に要求されることが多い書類

屋号付き口座の開設に必要な書類は、主に3種類に分類されます。

  • 本人確認書類
  • 個人事業主の確認書類
  • 事業内容等が確認できる書類

銀行によって要件が異なりますが、これらの書類は提出が求められるケースが多いです。

①本人確認書類

  • 運転免許証
  • 住民基本台帳カード
  • マイナンバーカード(個人番号カード)
  • パスポート
  • 各種健康保険証(カード型健康保険証)
  • 各種健康保険証(紙型健康保険証)
  • 各種年金手帳(厚生年金、国民年金、共済年金等)
  • 印鑑登録証明書
  • 住民票の写し
  • 在留カード(外国籍の方)
  • 特別永住者証明書
  • 外国人登録証明書(外国籍の方)

②個人事業主の確認書類

  • 個人事業開業届出書
  • 青色申告承認申請書
  • 確定申告書
  • 個人事業開始申告書
  • 国税・地方税の納税証明書

③事業内容等が確認できる書類

  • 会社案内、パンフレット・チラシなど
  • 会社のホームーページアドレス
  • 請求書、発注書、受注書、納品書など
  • 締結・調印済みの各種契約書など
  • 事業計画書

※概ね、上記の書類で屋号付き口座を開設することができますが、細かい部分は各銀行で異なりますので、口座開設を行う銀行に事前に確認する必要があります。

三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行では、以下の手順で屋号付き口座の開設を申し込みます。

【手順1】必要書類を用意する

【いずれか1種類】

  • 住民票の写し(コピー不可)
  • 住民票記載事項証明書
  • 印鑑証明書

【以下A・Bの1種類ずつが必要な書類】

A:名前が分かる公共料金などの支払書

  • 電気料金
  • 電話(携帯電話も可)
  • ガス料金
  • 水道料金
  • NHK料金

B:身分証などのコピー(有効期間内)

  • 運転免許証
  • 住民基本台帳カード(顔写真入り)
  • 個人番号カード
  • 各種健康保険証
  • 旅券(パスポート)
  • 国民年金手帳
  • 各種福祉手帳

【手順2】以下のいずれかで口座開設を申し込む

三菱UFJ銀行では、以下4つの方法で口座開設を申し込めます。それぞれ営業時間が異なりますので、詳細は三菱UFJ銀行のホームページを確認してください。

  • 各支店の窓口
  • 郵送
  • テレビ電話
  • スマートフォン

ゆうちょ銀行

ゆうちょ銀行では必要書類を揃えた後に、最寄りの郵便局で口座開設を申し込みます。

【手順1】必要書類を揃える

  • 身分証明書
  • 屋号が分かる書類
  • 印鑑 ※シャチハタ不可

屋号が分かる書類とは、個人事業主として使用している屋号が掲載されたパンフレットやチラシなどです。

【手順2】郵便局で口座開設を申し込む

最寄りの郵便局で、以下2種類の用紙を記入してください。

  • 振替口座加入申込書
  • 印章票

いずれも氏名・住所・屋号名などを記入します。

三井住友銀行

三井住友銀行では次の手順で口座開設を行います。

【手順1】必要書類を用意する

  1. 申し込み法人名の印鑑登録証明書 (発行日から6か月以内)
  2. 履歴事項全部証明書 (発行日から6か月以内)
  3. 手続者の本人確認書類 (顔写真付、氏名や住所、生年月日がわかるもの)
  4. 主たる事業の許認可証 (有効期限内のもの、許認可が不要な事業の場合は必要なし)

【手順2】最寄りの三井住友銀行の支店で相談する

事務所(事業所)の所在地から最も近い支店で口座開設の相談が可能です。最も近い支店の検索は三井住友銀行のホームページから確認しましょう。

参考:三井住友銀行 店舗・ATM検索

みずほ銀行

みずほ銀行は最寄りの店舗で屋号付き口座の開設手続きが行なえます。初回来店時に必要な持ち物は「本人確認書類 (運転免許証・パスポートなど)」と「印鑑」の2つだけ。窓口で相談後、後日改めて必要書類を持参する流れです。

また注意点として、みずほ銀行の屋号付き口座は「営業性個人口座」と言い、通常の個人口座と同じ取扱いになります。既に、みずほ銀行の口座をすでに開設している場合は、新たに「営業性個人口座」を開設できないので注意が必要です。

屋号付き口座開設に必要な手続きと書類【ネットバンキング】

スマホでインターネットバンキングを利用する男性

ネットバンキングにおける屋号付き口座の開設方法を紹介します。スマホやパソコンから手続きできるので、窓口のサポートが必要ない場合は実店舗よりもスムーズに屋号付き口座の開設が可能です。

PayPay銀行 (旧:ジャパンネット銀行)

PayPay銀行 (旧:ジャパンネット銀行)の屋号付き口座は「ビジネスアカウント」と言います。ビジネスアカウントの開設に必要な書類は、「本人確認書類(運転免許証など)」と「事業実態の確認書類(個人事業開業届出書など)」です。

また、事業内容を確認するために会社案内やパンフレットの提出が求められる場合があります。屋号付き口座の開設には固定電話の番号も必要なく、個人口座の開設も必要ないので、簡単に屋号付き口座の開設が行えます。

GMOあおぞらネット銀行

GMOあおぞらネット銀行で個人事業主が屋号付き口座を開設するには、まず個人口座を開設する必要があります。個人口座の開設は簡単にできるので、事業を開始する前にあらかじめ開設しておくとスムーズに屋号付き口座を開設できます。

屋号付き口座の開設には、「本人確認書類(運転免許証など)」と「個人事業主の確認書類」、「事業内容等が確認できる書類」が必要です。

屋号付き口座開設の書類は、郵送ではなくカメラで撮影してアップロードを行うだけなので、簡単に口座開設が行なえます。

個人事業主が屋号付き口座を作るメリット

個人事業主が屋号口座を作るメリット
個人事業主が屋号付き口座を作るメリット

個人事業主やフリーランスの人は、「事業で管理しているお金」と「プライベートなお金」を区別することが必要です。

屋号付き口座を開設すると、「屋号付き口座を事業用の口座」「個人名義の口座はプライベート用の口座」という具合に口座を分けられ、お金の管理の効率化が図れます。

その他、屋号付き口座を開設するメリットをいくつかご紹介します。

お金の管理と記帳が楽になる!

個人事業主になると、毎年の確定申告で1年間の所得に対する税金を申告することになります。個人事業に関係する資産や負債などをすべて帳簿に記録することが必要です。その際、売上代金などが入金される預金口座の1年分の取引も記帳しなければなりません。

このとき、個人事業主としての事業用口座と私用の口座を分けないと、生活費の出入りは「事業主貸」「事業主借」といった勘定科目を用いて記帳していくことになります。

事業とは関係ない費用の引落しなども記帳の対象になるので非常に複雑です。

やはり個人事業主として屋号付き口座で管理したほうが、毎月の記帳も円滑に運ぶといえるでしょう。

税務調査に対応しやすい

仮に税務調査の対象となった場合、それまでの収支がわかる書類を提示することになります。このとき銀行口座の中身も確認されます。

事業用と生活費などが一緒になった個人口座では、経費の中に私用で使った費用も含まれているのではないかと疑われてしまう可能性があります。

しかし、個人事業主の屋号付き口座なら、事業用資金だけを確認してもらいやすくなりますし、毎月の記帳も正確にできていると判断されやすいというメリットがあるのです。

また、事業用の口座の取引履歴を示す通帳は保管義務があるので、事業専用のものを準備しておいたほうがよいとも考えられます。

クライアントから信頼されやすい

インターネットなどを使ったネットショップなどを経営している場合、商品の購入者が代金を口座に振り込みする機会が多くなります。

個人名だけが記載された個人口座であれば、顧客に不安を抱かせてしまう可能性があるかもしれません。個人事業主の屋号が付いた口座を使っていれば、お店の名前などが記載されているという安心感を顧客に抱いてもらうことができます。

屋号付き口座を上手に管理・運用する方法

個人事業用の口座の管理方法
個人事業用が屋号付き口座を賢く運用する方法(画像提供:ktasimar/Shutterstock.com)

個人事業主用として作った屋号付き口座は、売上入金、事務所の家賃や光熱費など引き落としなどの口座として利用します。私用のショッピングなどの引落し口座にしてしまわないようにしてください。

また、個人事業主用の口座を複数開設してしまうとお金の出入りが複雑になってしまうので、できるだけ1つに絞ったほうがよいでしょう。

屋号付き口座から支払った方が良い費用

毎月必要になる公共料金・事務用品代・宅配便代などは、個人で使用した分と事業で使用した分が混同してしまいがち。個人事業主の屋号付き口座からの自動引き落としで毎月支払われるようにしておくと安心です。

生活費は移動させる

個人事業で得た収入から自分の生活費を支払った場合は、「事業主貸」の支出取引として記帳することになります。所得税や住民税、社会保険料、個人的な医療費などの支払いも、事業主貸として登録します。

事業用とプライベート用が混在している支出は「家事関連費」に該当することになりますが、家事関連費は「事業主貸」または「事業主借」という勘定科目を使うと理解しておいてください。

事業主貸は、事業が事業主にお金を貸したことを意味し、事業主借は、事業が事業主からお金を借りたことを意味します。

事業主勘定には貸したことや借りたことを意味する言葉が入っていますが返済する必要はなく、年度末に元入金に組み込んで相殺することになります。

個人事業主の経費の按分(あんぶん)

事業用とプライベート用が混在する支出が出てくることもあります。例えば、自宅と事務所が一緒になっている場合、家賃や水道光熱費、通信費などは事業としても使用しているということがあるからです。

この場合、使った費用は事業用割合に応じて必要経費に計上することができます。仕事で使っている床面積部分を必要経費とすることになりますので計算してみましょう。

例えば、50㎡の広さの自宅マンション一室を事務所としても使用していて、そのうち一部屋分15㎡が事務所とする場合、事業用割合は15㎡を50㎡で割った30%という計算です。

家賃が毎月10万円の場合、その30%分である3万円が家賃として必要経費に計上できるということになります。

自宅兼事務所においては、水道、電気、電話、ガスなどの支出は按分して経費にすることができます。それぞれ、次のような項目を基準に按分していくようにしてください。

  • 電気代 使用時間、電気器具やコンセント数、床面積、営業時間
  • 水道代 使用時間、使用回数、営業時間
  • ガス代 使用時間、使用回数、営業時間
  • 電話代 使用時間、営業時間

個人事業主の口座管理と確定申告

個人事業主の口座の管理と確定申告
個人事業主の口座の管理と確定申告(画像提供:Boophuket/Shutterstock.com)

サラリーマンであれば、勤務先で給与から所得税が源泉徴収されるので、確定申告を行う必要はありません。一方の個人事業主はどのくらい所得があり、それに対する税金はいくらなのかを、確定申告で申告・納税することが必要になります。

このとき、いくつか注意しておきたい点がありますので確認しておきましょう。

個人事業主は青色申告がお得

関連記事:青色申告の帳簿のつけ方と必要書類|65万円控除を目指そう

確定申告には青色申告と白色申告があります。白色申告のほうが、毎月の記帳などが簡易的なので面倒がありませんが、複式簿記で記帳していく青色申告で申告したほうがいろいろなメリットがあります。

まず最大のメリットが65万円の控除を受けることができる「青色申告特別控除」で、所得税や住民税、国民健康保険の計算に控除が反映されます。

また、損失がでた場合には3年に渡り繰り越すことができるため、翌年度以降黒字になっても節税に繋がります。

さらに「少額減価償却資産の特例」が適用されれば、30万円未満のものをその事業年度の経費として一括処理することができます。

ただし、青色申告承認申請書は事業開始日から2か月以内、または1月1日から3月15日までに提出することが必要です。期限を過ぎるとその年は白色申告で確定申告を行うことになりますので手続きは早めに行いましょう。

「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書」も、家族に支払う給与を経費として計上する際に必要です。

現金出納帳が帳簿の中心

事業を営んでいれば現金の出入りは必ず発生することになりますが、青色申告で複式簿記を行うとき、記帳の中心になるのは現金取引を記録する「現金出納帳」です。

現金を使ったときにはしっかり記帳していくようにしましょう。また、「預金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」も月に一度は忘れないように付けておいてください。

確定申告の期限に注意

確定申告は1年間の収支をすべてまとめて所得を計算する作業なので、毎年1月から12月までの1年で区切ります。

1年分の収支を計算したら、翌2月16日~3月15日までの間に申告を行うことになります。この期限内に、青色申告なら青色申告決算書(白色申告なら収支内訳書)と、所得税確定申告書を税務署に提出します。

申告期限を過ぎてしまうと、延滞金などの対象となるため注意してください。

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個人事業主として事業を営む場合、使用する口座は個人口座と事業用の屋号付き口座と分けておいたほうが様々な手続きにおいてスムーズです。

他にも毎月の記帳、確定申告など、いろいろな面で注意しなければならない点は多く存在しますが、ややこしい作業などに気を取られてしまうと本業に専念できなくなる場合もあるでしょう。

そこで、すでに個人事業主として開業している場合や、これから開業を検討しているという場合、そのような面倒な毎月の作業を安心して任せることができる税理士をみつけてみてはいかがでしょう。

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