オンラインカジノの儲けにかかる税金について「いくらから税金を払わなければならないのか」疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
年間の勝利金が50万円を超える場合は課税対象となり、税金を払わなければなりません。しかし所得給与がある会社員などは、年間90万円までであれば税金が発生しないのです。
本記事では「オンラインカジノの税金はどのように計算するのか」具体例を挙げて説明し、節税対策や確定申告の方法も解説していきます。
この記事を監修した税理士
風間公認会計士事務所 - 東京都品川区南品川
オンラインカジノでの利益はいくらから税金がかかる?
オンラインカジノでの勝ち金が年間50万円以下であれば、税金を納める必要はありません。
ただし会社からの給与所得がある会社員の場合は例外で、年間90万円までの勝利金であれば税金が発生しないのです。
つまり、これらの基準を超えない限りは税金を納める義務はないので「50万円」「90万円」の壁を越えなければ確定申告の必要性もありません。
勝利金が年間50万円を超えるとき
オンラインカジノの利益に税金がかかるのは、勝利金が年間50万円を超える場合です。
オンラインカジノの勝利金は一時所得として扱われます。一時所得には年間50万円の特別控除があるため、50万円以下の場合はゼロと扱われ、税金がかかりません。
オンラインカジノの勝利金は、年間50万円を超える場合に税金の対象になります。
【会社員の場合】勝利金が年間90万円を超えるとき
会社員などの給与所得者の場合、オンラインカジノの勝利金が年間90万円を超える場合に税金が発生します。
給与所得以外の所得が合計20万円以下の場合、確定申告は不要で税金も発生しません。一時所得は年間50万円の特別控除があり、一時所得の課税金額は「一時所得÷2」で計算します。そのため所得として扱われるのはオンラインカジノの勝利金から50万円を引いた額を1/2にした課税の対象となる金額が20万円を超えるときです。
つまり、オンラインカジノの勝利金が年間90万円までであれば、税金が発生することはありません。
どのタイミングで税金が発生する?
オンラインカジノの勝利金は次の2つのタイミングで課税対象となります。
- オンラインカジノで収入が生まれたとき
- 勝ち金を銀行口座に換金したとき
税金発生のタイミングを押さえて、税金の計算を正しく行いましょう。
オンラインカジノで収入が生まれたとき
税金はオンラインカジノで収入が生まれたタイミングで発生します。
オンラインカジノの勝利金が溜まり収入が生まれたら、税金支払いの必要性も発生するため注意しましょう。オンラインカジノで獲得した金額から経費(賭けた金額など)を差し引いた額が、一時所得の計算対象となります。
負けた分は支出にカウントされない
オンラインカジノで負けた場合の損失は経費にできません。税金の計算対象となるのは勝利金のみです。
実施日 | ベット額 | 勝利金 | 利益/損失 |
〇月1日 | 100万円 | 400万円 | 300万円の利益 |
〇月7日 | 100万円 | 50万円 | 50万円の損失 |
たとえばオンラインカジノでベットした金額(賭けた金額)が100万円とします。その後400万円獲得すれば、利益は400万円-100万円=300万円です。
一方で別の日に100万円ベットし、獲得した金額が50万円の場合、100万円-50万円=50万円の損失となります。
感覚的には過去に獲得した利益を合算して250万円を税金の対象と考えたくなりますが、この50万円は計算に負けた分であるため、課税対象は300万円なのです。
オンラインカジノでは負けた分は支出にカウントできず、利益の合計のみが税金の計算対象となります。
勝ち金を銀行口座に換金したとき
オンラインカジノで得た利益が税金の対象としてカウントされるのは、銀行口座に換金したタイミングです。オンラインカジノアカウントから銀行口座へ送金すると、その時点で税金が発生します。
オンラインカジノの勝ち金が日本の銀行に振り込まれたタイミングで、税金対象の所得が発生すると考えるのが良いでしょう。
オンラインカジノの課税金額・所得税の計算方法
オンラインカジノでの勝利金は一時所得として取り扱われ、勝ち金からベット額を引いたものを所得として計算します。
税金の計算方法について、実際に計算してみながら確認してみましょう。
「一時所得」として計算する
オンラインカジノの勝利金は「一時所得」に分類されます。
一時所得には年間50万円の特別控除が適用されるため、一時所得の総額が50万円以下の場合は税金が発生しません。
なお一時所得とは、労務の対価や資産譲渡による利益などに当てはまらない所得のことで、代表的な例としては次のようなものが挙げられます。
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オンラインカジノの利益にかかる税金は以下の計算式で求めます。
【一時所得】
一時所得=収入金額-支出金額-特別控除額(年間最高50万円) |
【一時所得の課税対象額】
一時所得の課税対象額=一時所得×1/2 |
【所得税】
所得税={(給与所得等他の所得+一時所得の課税対象)}- (各種所得控除)×税率 |
※収入金額:オンラインカジノで利益が出た際の獲得金額総額
支出金額:ベットした金額の総額 特別控除額:年間最高50万円の控除 |
求めた一時所得の全額を税金の計算に使うのではなく、2分の1を乗じた額が計算対象となる点に注意が必要です。
実際に計算してみよう
それではオンラインカジノを利用した人の税金を、実際に計算してみましょう。今回は以下の設定を例に計算を進めます。
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※計算の流れをわかりやすくするため、事業収入をそのまま所得とし、所得控除以外(保険料・寄付金など)の控除については省略します。
①勝ち金を計算
オンラインカジノを年6回利用したと仮定しましょう。各回の結果は以下とします。
日付 | ベット額 | 収入金額 |
3/1 | 100万円 | 150万円 |
5/1 | 50万円 | 30万円 |
6/1 | 70万円 | 50万円 |
9/1 | 50万円 | 100万円 |
11/1 | 90万円 | 120万円 |
12/1 | 100万円 | 70万円 |
このうちベット額より獲得金額が大きい、すなわち利益出たのは3/1・9/1・11/1の3回です。オンラインカジノで損失が発生した分は税金の計算に利用できないので、この3回分で計算を進めます。
収入金額の合計は以下のとおりです。
150万円+100万円+120万円=370万円 |
②ベット額を計算
続いては支出の計算です。オンラインカジノの場合、ベット額を支出として税金の計算に利用します。
ベット額は以下のようになります。
100万円+50万円+90万円=240万円 |
③課税金額から所得税額を算出
利益が発生した回の獲得金額とベット額の総額が計算できました。これらの金額をもとに、オンラインカジノの利益に発生する税金の額を算出します。
今回の例では、オンラインカジノ以外の一時所得は発生していません。したがって税金の計算対象となる一時所得は以下のとおりです。
370万円(収入金額)-240万円(支出金額)-50万円(特別控除)=80万円 |
この金額に2分の1を乗じた金額、すなわち40万円が一時所得の課税対象です。
いよいよ所得税額の算出です。オンラインカジノの一時所得以外では、事業所得の1,000万円が計算対象となります。すなわち所得額は以下のようになります。
1,000万円+40万円=1,040万円 |
課税所得金額が900万円超1,800万円以下の場合、税率が33%、控除額が1,536,000円です。これらを当てはめて計算すると、所得税額は以下となります。
1,040万円×33%-1,536,000円=1,896,000円 |
オンラインカジノの利用に関する対象額および所得税額は、以上の流れで計算していきましょう。
オンラインカジノでの儲けを確定申告する方法
オンラインカジノでの儲けについて確定申告を行う際は、次の5ステップで進めていきます。
- 収入や支出の情報収集
- 必要書類の準備
- 確定申告書の作成
- 確定申告書の提出
- 所得税の納付
課税対象となる所得はその年の1月1日~12月31日の期間のもので、確定申告および納税の期間は原則として翌年の2月16日~3月15日までです。
①収入や支出の情報収集
税金を計算するためには、前述したように1月1日から12月31日までのオンラインカジノに関する情報が必要です。
負けた分は含めず、オンラインカジノで利益が出た回についてのみ、収入・支出の情報を集めます。集めた情報が誤っていると、正確な税金の計算ができないため注意しましょう。
②必要書類の準備
確定申告には必要な書類がいくつか存在します。オンラインカジノにかかる税金の場合、以下の必要書類の準備が求められます。
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必要書類について疑問点がある場合は、税務署に確認するなどして万全の準備をするようにしましょう。
③確定申告書の作成
計算に必要な情報の収集や必要書類の準備が終わったら、確定申告書に必要事項や金額を記入し、作成を進めていきます。
【確定申告書の書き方】
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必要事項を入力すれば確定申告書が完成するような、インターネット上のサービスを利用するのもおすすめ。
事業所得や不動産所得など、オンラインカジノで得た所得以外についても記入・申告が必要なため、事前に準備しておくのが効率的です。
④確定申告書の提出
確定申告書の作成が終わり見直しも済んだら、確定申告書の提出をします。提出先は所轄の税務署です。住んでいる場所によって異なるため、事前に提出先の確認が必要です。
確定申告書の提出方法は以下のように3つあります。
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確定申告書の提出期間である2月16日~3月15日を過ぎないよう、余裕を持って進めましょう。
⑤所得税の納付
確定申告によって算出された所得税も、確定申告の期間内に納付する必要があります。
納付方法は以下の5種類から選べます。
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いずれの方法も納付するにあたって作業が必要なため、こちらも余裕を持って進めるのが安心です。
オンラインカジノでの利益が会社にバレないためには?
副業禁止の会社に勤めている、もしくは事情によりオンラインカジノの利用を隠したい会社員の方もいるかもしれません。
そんなときは住民税の納付の仕方を「普通徴収」に切り替えれば、会社の人に気付かれるおそれがなくなりますよ。
住民税を「普通徴収」にする
オンラインカジノで利益が発生している事実を会社にばれないようにするには、給与所得以外にかかる住民税の徴収方法を「普通徴収」にする必要があります。
オンラインカジノの利用により所得が増加すると、住民税の額も大きくなります。会社員の方は通常、給与から住民税を徴収され会社が代わりに納付を行います。
給与が急激に増加してもないのに住民税の額が大きくなると、別の所得の存在に気づかれてしまい、結果としてオンラインカジノがばれてしまう恐れがあるのです。
普通徴収とは給与から住民税を控除し会社が代わりに納付するのではなく、自身で納付書を使って支払う方法です。給与所得は会社による納付(特別徴収)が原則ですが、それ以外の所得については、ちょっとした手続きにより普通徴収に変更できます。
確定申告書第二表の下部に「住民税・事業税に関する事項」があります。こちらの「給与・公的年金に係る所得以外の所得にかかる住民税の徴収方法の選択」で、「自分で納付」にチェックをつければ、普通徴収への切り替えが可能です。
この手続きをすれば、住民税の大きさによって給与以外の所得を疑われる心配を避けられます。オンラインカジノでの利益が会社にばれないで済むでしょう。
オンラインカジノにおける3つの節税対策
税金をなるべく小さくするには、節税対策を実施する必要があります。オンラインカジノにおいて活用できる節税対策を3つ紹介します。
- 勝利金を50万円以下に抑える
- 出金額を50万円以下にする
- 海外のペイメント会社を使う
勝利金を50万円以下に抑える
まずは勝利金を50万円以下に抑える方法です。オンラインカジノで得た利益は一時所得に該当しますが、一時所得は前述したように、年間で最大50万円の特別控除が受けられます。
したがってオンラインカジノでの勝利金が50万円以下であれば、税金を納める必要がありません。
回数を上手く調整するなど、勝利金が大きくなりすぎないよう工夫してみてください。
出金額を50万円以下にする
オンラインカジノから日本の銀行口座への換金を50万円以下にするのも有用な手段です。
勝ち金を出金せずオンラインカジノのアカウントに保有したままであれば、口座へ記録されません。所得が発生した証拠が存在しないため、税金が課される対象ともみなされないのです。
海外のペイメント会社を使う
節税対策として、海外のペイメント会社を使う方法も存在します。
オンラインカジノで得た利益は、換金して日本の口座へ振り込まれた時点で課税対象とされます。そのため海外の口座で資金を運用すれば税金の対象とみなされず、確定申告および納税の必要もなくなるのです。
オンラインカジノで得た利益を海外のペイメント会社を使って運用すれば、日本で税金の対象とならないため節税につながります。
オンラインカジノの税金を払わないとどうなる?
オンラインカジノで利益が発生したにも関わらず、確定申告や税金の支払いを怠ると次のようなペナルティが課される可能性があります。
- 加算税が課せられる
- 利子税が課せられる
- 刑事罰になることも
税金の未納は非常にリスクが大きいので、税金はしっかりと払うことが大切です。
加算税が課せられる
オンラインカジノの利益に限らず、所得税を支払わなかった場合には加算税が課せられます。加算税とは本来支払うべき税金に一定率を乗じて計算・徴収される罰金です。
加算税には4種類あり、内容・悪質性により科される種類が異なります。
過少申告加算税 | 期限内に確定申告を行ったが、申告した税額が正しい金額よりも小さかった場合に科される
(金額は本来支払うべき税額の10%~15%) |
無申告加算税 | 申告期限までに確定申告を行わなかった場合に科される。
(金額は本来支払うべき税額の15%~20%) |
重加算税 | 利益の意図的な隠蔽とそれに伴う過少申告・無申告など、悪質と考えられる場合に科される。
(金額は本来支払うべき税額の35%~40%) |
不納付加算税 | 源泉所得税を期限までに納付しなかった際に科される。
(金額は本来支払うべき税額の)10%) |
利子税が課せられる
利子税とは所得税を分割するために、期日を過ぎて支払う場合に発生する罰金です。分割した税金の支払いがすべて完了するまで発生する恐れがあります。
また一括払いであっても納付期限を過ぎてから支払う場合には、延滞税という別の罰金が発生します。万が一遅れてしまう場合でも、可能な限り早い納税が理想です。
刑事罰になることも
オンラインカジノの税金に限らず、非常に悪質な脱税とみなされると刑事罰になる場合もあります。
実際に一時所得の無申告により、多額の罰金および懲役1年・執行猶予2年の判決が下された事例が存在します。こちらの事例は競馬で得た配当金に関する脱税で、無申告であった金額は2年間で6,000万円ほどでした。
オンラインカジノで発生した税金についても、場合によっては刑事罰になる恐れが十分に有り得ます。
オンラインカジノの勝利金は課税対象になる
オンラインカジノで利益が発生し、これまで紹介した条件に当てはまり税金の対象となれば、確定申告および納税が必要です。
利益を上げ、その金額を出金する際には記録が残るので「税金を払わなくてもバレないだろう」という考えは危険です。
入出金の流れが記録されるため税務署が把握しやすい
オンラインカジノで獲得した金額は、原則として銀行口座に振り込まれる、もしくは小切手が使われます。これらは記録として明確に残る取引とみなされます。
入出金の流れが記録されてしまうため、税務署側は資金の流れを正確に把握可能です。このような理由により、オンラインカジノの利用で利益が発生した事実は、税務署が把握しやすいのです。
税金の未払いがばれない可能性は、非常に低いと考えるべきでしょう。
競馬やパチンコとの違い
一時所得の説明で少し触れましたが、競馬やパチンコなどで得た金銭も課税対象です。しかしオンラインカジノと異なり、税金の納付をしなくても税務署からの指摘を受けないケースが少なくありません。
競馬やパチンコなどのギャンブルは、勝利金が直接現金で支払われるケースがほとんどです。オンラインカジノと違い資金の流れが記録されないため、税務署は勝利金の正確な把握ができず、税金の未納がばれないケースが多いのです。
ただし税務署にばれないとしても、本来はオンラインカジノと同様、確定申告および税金の支払いが必要なことに変わりはありません。すべてのギャンブルが税金の対象という事実の認識が大切です。
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