ペットの終活は、具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか?ペット・飼い主それぞれが、亡くなる前にすべきことを紹介します。終活を始めるタイミングやポイント、最期の過ごし方についても知り、後悔がないようにしましょう。
ペットの終活をしておいた方がよい理由
何となく「ペットの終活はしておくべき」と思ってはいても、どのようなメリットがあるのか、分からない人もいるのではないでしょうか?ペットの終活をしておいた方がよいとされる、主な理由を2つ紹介します。
後悔のない最期を迎えられる
事前にきちんと準備をしておくことで、後悔のない最期を迎えられます。万が一に備えておくことで、ペットの体調が悪くなった際にスムーズに対応でき、「もっとこうしてあげればよかった」と後悔・自責の念を抱かずに済むでしょう。
また準備をしておかないと、自分の気持ちの整理ができず、ペットロスからなかなか抜け出せなくなってしまうことも珍しくありません。
大切な家族の一員であるペットを失うことはつらく悲しいことです。後悔・自責の念まで残ってしまうと、深いペットロスに陥ってしまうこともあります。終活はペットロスを和らげることにもつながる、大切な行為なのです。
飼い主に万が一があったときに備える
ペットの終活は、ペットに何かあったときに備えることだけではありません。突然の病気・事故など、飼い主が世話をできなくなる場合も想定して備えておく必要があります。
もし飼い主が先に亡くなってしまった場合は、ペットが家に取り残されてしまうことも考えられます。食べるものがなく餓死したり、保健所に連れていかれたりする可能性もあるでしょう。
大切なペットが最期まで幸せに暮らせるように、誰かにペットの世話を依頼しておくなど、準備をすることが大切です。
ペットの終活はいつから始めるべきか
終活をする予定でいても、始めるタイミングが分からない人もいるでしょう。いつから始めたらよいのか紹介します。始めるのが遅いとどういったリスクがあるのか見ていきましょう。
終活は元気なうちから早めに始めよう
終活はできるだけ早めに始めるのがおすすめです。「ペットが高齢になってから始めよう」と考えている人もいるかもしれませんが、元気なうちから始めましょう。
ペットにいつ・どのようなことが起こるかは、誰にも分かりません。急に体調が悪くなったり、不慮の事故に遭ったりする可能性もあります。そのような状況下では、気が動転して冷静な判断力に欠けることも珍しくありません。
ペットが元気で、気持ちにゆとりがあるときから始めておくことで、後悔のない終活ができるでしょう。
始めるのが遅いとどうなる?
終活を始めるのが遅いと、さまざまな支障が出る可能性が考えられます。
例えば飼い主の体調が悪くなり、終活を進めるのが困難になることもあります。健康な人でも、突然病気・けがで寝込むこともあり、終活に手が回らなくなることもあるでしょう。
またペット保険に加入しようとしても、選択肢が少なくなったり、入りにくくなったりすることもデメリットです。ペットが病気・高齢になってから加入できる保険は限られており、保険料も高い傾向にあります。
ペットが若く元気なうちであれば、リーズナブルな保険に入るといった選択肢が広がります。
ペットの終活前に知っておきたいこと
人それぞれペットを飼う理由はさまざまですが、最期まで責任を持って世話をすることが重要です。そのために知っておきたい、大切なことを紹介します。終活前にきちんと把握しておきましょう。
ペットの寿命について
ペットの種類によって寿命が異なるため、飼っているペットのおおよその寿命を把握しておくことが大切です。
例えば犬の寿命は12~15年程度とされていますが、ハムスターは2~3年程度と大きな差があります。一口に犬といっても、犬種や大きさ、ライフスタイルなどによっても寿命が異なります。
またかかりやすい病気もペットによって異なるので、きちんと把握しておきましょう。猫の場合は年齢によってかかりやすい病気が変わります。幼いときは消化器疾患が多く、高齢になると腎不全になりやすいといわれています。
飼育費用や医療費について
ペットに生涯かかる飼育費用や医療費を把握しておきましょう。想像していたよりも費用がかさむことも考えられるため、きちんと知ることで将来に備えられます。
飼育費用の中で大きな割合を占めるのが、エサ代です。ペットの種類によって異なりますが、大型犬の場合は食べる量が多いため、エサ代の出費が増えます。
医療費もペットによってまちまちですが、犬の場合は年間3~6万円ほどかかるようです。手術が必要な病気にかかれば、医療費が高額になることもあるでしょう。
ペットが死んでしまう前の終活ですべきこと
ペットが死んでしまう前の終活では、具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか?「こうしておけばよかった」と後悔しないためにも、すべきことを確認しましょう。
ペット保険の加入・見直しをする
ペット保険に加入していない場合、治療費が全額自己負担になります。高齢になるほど病気・けがが増え、医療費もかかりやすくなります。
手術が必要な病気にかかると、高額な治療費を負担しなければならない可能性があるため、ペット保険への加入を検討しましょう。
またすでに保険に加入している場合は、ペットの年齢・健康状態に合った保険であるか、見直すことが大切です。
保険が適用される範囲・契約期間など、さまざまプランがあるため、医療費・年齢を踏まえて適切な保険を選びましょう。
葬儀・供養について決める
葬儀・供養はどうするのかも、決めておきましょう。家族で意見が異なることもあるため、葬儀の有無、行う場合は土葬・火葬のどちらにするのか、合同葬・個別葬のどちらにするのかなど、細かいことも話し合って決めておくのが大切です。
火葬施設によっては遺骨を引き取れるプランなど複数のプランが用意されていることもあるため、事前に確認しておくのがおすすめです。
また遺骨をどうするのか、供養の方法についても決めておきましょう。手元に置いておいたり、飼い主と同じ墓に入れたりなどさまざまな方法があります。
飼い主が亡くなる前の終活ですべきこと
飼い主がペットよりも先に亡くなってしまうこともあります。その場合に備えて、終活ですべきことをまとめました。飼い主が亡き後も大切なペットが幸せに暮らせるように、きちんと準備しておきましょう。
緊急連絡先や病院の情報をまとめる
飼い主に何かあった際、誰に連絡を取ればよいのか緊急連絡先をまとめておく必要があります。例えばペットが病気・けがをしたときには、連れていくかかりつけ医・病院の情報が必要です。
ペットは高齢になると体調を崩しやすくなります。夜間など通常の診察時間外に、急に具合が悪くなることもあるでしょう。救急対応が可能な病院についても調べて、記しておくと安心です。
なお救急対応可能な病院については、終活に限らず、万が一に備えて普段から把握しておきましょう。
育てられなくなったときの引き取り先を考える
ペットを育てられなくなったときに、代わりに世話をしてくれる引き取り先を、考えておくことも重要です。飼い主のいないペットは保健所に連れていかれてしまうため、しっかり手配しておきましょう。
家族・知人など身近な人に引き取ってもらえない場合は、「ペット信託」を利用するのも1つの方法です。ペットの世話を委託できる制度で、口約束ではなくしっかりとした契約であるため、世話を途中で放棄されることもなく安心です。
また「老犬・老猫ホーム」もあります。介護が必要なペットのためのホームで、施設によって設備やサービス内容や料金などが異なります。実際に見学に行き、ペットが幸せに過ごせると思う施設を選ぶとよいでしょう。
基本情報を書いたエンディングノートを作る
ペットの世話ができなくなったときに、代わりに世話をしてくれる人にスムーズに引き継げるよう、エンディングノートを作るのも終活の1つです。
主な記載内容は、ペットの名前・性別・生年月日・予防接種の接種日・病歴・ペット保険加入の有無・かかりつけ医の連絡先など、基本情報全般です。
そのほか飼い主しか知り得ないことも書いておくと、よいでしょう。例えばお気に入りのペットフードや、普段の散歩コースなどを記載しておくと、ペットのためになります。
ペットの終活をするときのポイント
ペットの終活をするときには、どのようなことを意識したらよいのでしょうか?大切なポイントを2つ紹介するので、参考にしながら終活を進めましょう。
家族で相談しよう
家族だからといって、ペットに対する考え方が同じとは限りません。例えば最期まで自宅で介護したいと思う人もいれば、介護ホームに任せたいと思う人もいます。
またペットが万が一のときに、自分がその場に居合わせて判断をしなければいけないこともあるでしょう。その際にどうするか決まっていれば、判断に迷うことも後悔することもありません。
「ペットが元気なときに、最期について話し合うのは気が向かない」と思う人もいるかもしれませんが、ペットとの向き合い方は人それぞれで異なるため、きちんと話し合っておくことが大切です。
ペットの終活に関する情報を集めよう
特に初めての終活では知らないことが多いものです。「こんなことができるなんて知らなかった」と後悔しないためにも、さまざまな情報を集めて自分に合う方法を見つけましょう。
ペットを飼っている人、もしくは飼っていた人に聞いてみるのもおすすめです。特に終活の経験者であれば、思いもよらないアドバイスを得られることも考えられます。
また終活をしていると、ペットとの別れを連想してしまい悲しくなったり寂しくなったりすることもあります。ペット仲間に相談することで気持ちが和らぐこともあるでしょう。
ペットとの最期の過ごし方
年齢・健康状態によって、ペットとの別れが近づいていると感じるようになったら、やっておくべきことがあります。ペットとの最期をどのように過ごしたらよいのか見ていきましょう。
介護について考える
ペットが高齢になってくると、介護が必要となることも珍しくありません。その際にどうするのかあらかじめ考えておきましょう。
最期まで自分で世話をしたいと考える人も多いですが、果たしてそれが可能なのか客観的に判断する必要があります。例えば仕事の都合・自分の健康状態などによっては、介護が難しいこともあるでしょう。
介護ホームを利用する場合は、どの施設に預けるのかまで決めておくと慌てずに済みます。実際にいくつかの施設を見学したり、サービス内容を比較したりして決めるとよいでしょう。
治療の方向性を決める
家族でもペットとの向き合い方は異なるため、話し合って治療の方向性を決めておくことが大切です。
わずかでも可能性がある場合は治療を継続するのか、回復する見込みが低く苦痛を強いている場合は安楽死を望むのかなど、事前に決めておきましょう。
家族にとっては話し合うことすらつらく感じる内容かもしれません。しかしペットを最期まで責任を持って世話する上で大切なことであるため、きちんと話し合っておくことが重要です。
たくさんの思い出を作ろう
ペットが生きているうちに、一緒に過ごす時間を増やし、たくさんの思い出を作るように心がけましょう。例えば散歩が大好きな犬で、まだ問題なく歩けるのであれば、ゆっくりと時間をかけて散歩することもお互いの幸せにつながります。
また写真・動画を撮っておくのも、よい思い出になります。写真がたくさんある場合は、整理してアルバムにしておくのもよいでしょう。
死んでしまった直後は見るのもつらいものです。しかし月日が流れ見返したときに、楽しかった幸せな日々が思い出されるでしょう。
早めの終活で後悔のない最期を
終活はペット・飼い主の万が一に備え、後悔のない最期を迎えるためのものです。終活を始めるタイミングは、保険の選択肢が増えるといったメリットもあるため、元気なうちに始めるのがおすすめです。
家族でもそれぞれペットへの向き合い方は異なるため、保険・葬儀・供養・治療方針・介護などについて、話し合って決めておきましょう。
飼い主が先に亡くなっても、残されたペットが幸せな日々を送れるように、引き取り先を決めておくことやエンディングノートを作成しておくことも大切です。
後悔のない最期を迎えられるように終活をしつつ、ペットと過ごす時間を大切にしてたくさんの思い出を作りましょう。