モルタル外壁はひび割れのメンテナンスが重要です。そのまま放置しておくと外壁機能が劣化し、家自体がダメージを受けてしまうことも。
今回は、自力で補修する方法や業者に相談した方が良いケースを紹介します。
そもそもモルタルとは
モルタルはデザイン性が高く人気のある素材のひとつです。しかしメリットばかりではなくデメリットもあります。
モルタルの概要と使用上の注意点を見ていきましょう。
モルタルとは、砂と水とセメントを混ぜたもの
モルタルとは外壁塗装に使用される塗料のことです。砂やセメントを水に混ぜて作られたもので、ヨーロッパでレンガ造りの建物を石造りに見せるために使用されたのが始まりと言われています。
日本で使用されるようになった時期は洋風建築が建てられるようになった明治時代です。モルタルには高い耐火性と意匠性といったメリットがあり、今では広く利用されています。
モルタル外壁が普及したきっかけのひとつに、関東大震災(1932年)があります。木造建築が多い日本では被害がかなり大きく、特に火が起きるとあっという間に燃え広がってしまいました。
このことから耐火性の高いモルタル外壁が見直されるようになったのです。
味わいがあるがひび割れしやすい
モルタル外壁はデザインの自由度が高く人気のある塗装のひとつです。塗装職人がオリジナルの模様を付けられるため、既製品にはない味わい深い外観が作れます。
しかし同時にひび割れが起きやすいという最大の難点がモルタルにはあります。ひびが入るとホコリや雨水が入り劣化しやすくなるのです。
そのためキレイな外壁を保つには定期的な補修や塗装が必要になります。モルタル外壁はメンテナンスに掛かる費用や手間が発生することを覚えておくと良いでしょう。
モルタル壁にひびが入る原因
モルタルは経年劣化だけでなく、自然災害などによってもひび割れを起こしやすくなります。キレイなモルタル外壁にひびが入ってしまう原因を紹介しましょう。
経年による劣化
モルタル外壁のひび割れは程度によって大きく2段階に分けられます。
幅0.3mm未満の小さなひび割れは『ヘアークラック』と呼ばれ、それ以上は『構造クラック』と言われます。
どちらも風雨や紫外線を浴びることによる経年劣化が原因です。膨張と収縮を繰り返し亀裂が発生してしまうのです。
ヘアークラックであればすぐに修繕が必要になることはなく、コーキングなど簡易な補修で対応できるでしょう。
しかし構造クラックとなれば亀裂から雨水が浸水し鉄骨がサビてしまったり、内部が腐食する恐れがありますので、なるべく早い修復が必要です。
地震や外部からの衝撃
地震や台風などによりモルタルにひびが入る場合があります。日本はこれらの自然災害を受けやすい土地です。
大きな地震でなくとも体に感じない揺れが複数回続くことで、知らぬうちにダメージを受けてしまいます。
台風になれば強い風雨だけでなく、物が飛んできて壁に当たる場合もあるでしょう。日々の天候不良が外壁に大きな負担を掛けているのです。
小さなひび割れがあれば地震や台風により亀裂が大きくなってしまいます。自然災害が収まった後は外壁をチェックしたり、簡単なメンテナンスをしたりすると良いでしょう。
乾燥による収縮
モルタルはゴムや他の素材のような伸縮性がほとんどありません。そのため乾燥で収縮した場合にひびが入りやすくなるのです。
塗料が乾燥して固まると外壁の表面を覆う塗膜になりますが、これが乾燥するとひび割れが生じます。
モルタルを塗装する際は水分をなるべく抑えたり、生コン打設時に密に固めたりすることでひび割れを予防するのが一般的です。
しかし完璧には防げないので修復方法やメンテナンス方法を知っておくと良いでしょう。
モルタル壁のひび割れを補修する方法
モルタル壁のひび割れを補修する方法にはコーキング材を購入して自力で補修する方法や、業者に依頼する方法があります。ひび割れを修復する方法や業者に依頼する際の相場を紹介しましょう。
軽いひび割れはDIYで
ちょっとしたひび割れであれば自力で補修できます。深いひびになる前に対処するのがおすすめです。
まずほうき等を使って補修箇所のゴミを取り除きます。コーキング材を使いひび割れを防いでいきますが、関係のない箇所に付着するのを防ぐため養生しましょう。
続いて下地となるプライマーをひび割れに塗り、乾燥させます。プライマーは外壁とコーキング材を接着させる役割があります。
最後はプライマーの上からコーキング材を埋めていきましょう。平にならしながらヘラでひび割れに押し込むようにします。
深いひびは専門の業者に依頼
見た目は小さなひび割れでも、深く中まで亀裂が走っている場合があります。そのようなひび割れは補修が不十分なすき間から雨水が侵入し、中まで浸食してしまう可能性があります。
そのため築年数が長い家などは業者に修理を依頼するのもひとつの手段です。自分で補修した場合は数年後にまた補修が必要になる可能性があります。プロに任せればしっかり補修してくれるでしょう。
業者の補修手順はひび割れの表面を一度カットして、シーリング材などを充填します。外壁のカットは素人が行うと状況を悪くしてしまいかねないので、自力での作業はおすすめできません。
補修、塗装の費用相場
補修や塗装の費用相場は塗料の種類などで変わりますが、ひび割れ補修であれば1万~10万円が相場になります。コーキング修理であれば20万~50万円が目安です。
塗装工事の相場は100~200㎡の外壁につき100万円前後であり、それ以上の面積になるとさらに費用が高額になります。
ただし、これらはあくまでも一般的な費用相場です。塗装剤や下地のランクによっても工事料金は変わります。複数の業者に見積もりを取り、おおよその相場を確認すると良いでしょう。
相見積もり複数取る際はミツモアを利用すると便利です。ひとつの見積もり依頼で複数の業者から一括で見積もりを取得できます。
ひび割れ以外にも注意したい劣化症状
モルタルの外壁はひび割れ以外にも注意したい劣化症状があります。モルタル外壁のメンテナンスが必要になるパターンを紹介しましょう。
カビや藻、苔の発生
外壁にカビや苔が発生してしまうとはっ水性を損ねてしまいます。日当たりが悪く湿気の多い場所や北側の外壁にこれらを発生してしまう場合が多いでしょう。
水を弾かない外壁は水分を保ちやすくなってしまい、よりカビや苔が生えてしまいます。そのまま放置しておくと外壁のはっ水機能は低下してしまうため、何かしらの対処をおすすめします。
害となる植物や菌を取り除くためには、高圧洗浄で外壁を清掃するのが一般的です。それからカビや苔に強いコーティング材を塗装すると良いでしょう。
塗膜の浮きや剥がれ
経年劣化で塗膜が浮いてしまう場合があります。これは外壁の一部が泡のように膨らむ現象です。塗膜の膨れは雨や風が下地の外壁材にまで浸透する恐れがあり、塗膜が剥がれることがあります。
塗膜は劣化すると下地との接着力が弱まり、このような膨らみが起きるのです。下地の外壁材に雨水が浸水すると水分を吸収してしまい、下地まで劣化してしまう可能性があります。
また塗膜ではなくモルタル自体が浮く現象も要注意です。モルタルは温度変化により反りや膨張を繰り返すと、劣化して躯体から剥がれてしまいます。
そのすき間から雨水が浸水すれば、躯体が腐食してしまうでしょう。
チョーキング現象
モルタル外壁を手で触ると白い粉が付くことがあります。これはチョーキング現象と呼ばれ、塗料内部の顔料が表面に出てきてしまっている状態です。紫外線による劣化が主な原因になります。
チョーキング現象が起きると、外壁のはっ水性が低下し水をかなり吸い込みやすくなります。そのまま放置していると、ひどい場合では雨が降るたびに雨漏りしてしまうこともあるでしょう。
対処方法としては塗り替えが一般的です。下地調整のコストを抑えられるため、古くなった外壁はチョーキング現象が起きたタイミングで塗り替えると良いでしょう。
ひび割れを見つけたら早めに補修を
モルタルは耐久性や意匠性の高い外壁塗料です。よく住宅などに使用され、人気のある塗料のひとつと言えます。
しかし経年劣化によるひび割れが起きやすいので、これを見つけたら早めに補修すると良いでしょう。
小さなひび割れであれば自分で補修することもできますが、確実に対処するには業者に任せるのがベストです。
また、ひび割れだけでなく塗膜の膨れやチョーキング現象にも注意しましょう。そのまま放置しておくと、かえって大きなメンテナンスが必要になる可能性があります。
モルタル外壁を使用する際は状態に目を配りながら、快適な暮らしを続けましょう。
ミツモアで外壁塗装業者に見積もりを依頼しよう!
ミツモアでは豊富な経験と知識を持ったプロに外壁塗装の見積もりの依頼ができます。まずはプロに相談をしてみてはいかがでしょうか?