アスファルトシングルの塗装まるわかり!劣化症状や費用相場は?
アスファルトシングルとは?防水に優れたオシャレ屋根
屋根の素材のひとつである「アスファルトシングル」が開発されたのは、100年以上前のことです。北米で誕生し、以来、アメリカやカナダで広く普及しました。
基材のグラスファイバー(ガラス繊維)にアスファルトを埋め込んで硬化させたものに、砂粒や石粒で着色した素材です。6mm程度の薄いシート状なので扱いやすく、様々な形状の屋根に適用可能です。
耐用年数が20~30年と長く、人気の屋根素材であるガルバリウム鋼板や軽量瓦よりもコストが低いという優れもの。
またアスファルトシングルの屋根は薄くて軽いため耐震性に優れ、耐水性にも優れています。洋風でおしゃれな雰囲気に仕上がるので日本でも使用する事例が増えてきているそう。
柔軟性があり割れる確率が極めて低い点、用いる砂粒・石粒の色によって多様なカラーリングが可能な点も魅力的ですね。
似ている名前の屋根材に「アスファルトルーフィング」というものもありますが、これは防水用として下葺きに用いられるものです。
アスファルトシングルの劣化症状と、メンテナンス時期
アスファルトシングル屋根のメンテナンスは10年に1回程度が目安です。
塗装で解決できる主な劣化症状を以下にまとめます。
- 色あせ、反り
- コケの発生
- 石粒の落下
屋根は紫外線や酸性雨にさらされるため、経年劣化によって色あせしていきます。アスファルトシングル屋根の場合も例外ではなく、色あせや反り、コケなどが気になったときにはメンテナンスが必要です。
またアスファルトシングルの多くは砂粒・石粒を使用しているため、劣化によって表面の石粒が剥がれることがあります。
石粒は屋根材の保護をしてくれている重要な部分なので、塗装することで落下を防ぎ、耐久性を保つことができます。
アスファルトシングル屋根を塗装する場合の費用相場は、40〜60万円が目安です。
相場より高すぎる場合には注意が必要なのは分かりやすいとおもいますが、安すぎる場合にも注意しておきましょう。業者のなかには、工程を省いたり塗料を薄めて使用することで費用を削減していることがあります。
塗装以外の対処が望ましい場合もある
アスファルトシングル屋根には、塗装以外にも補修方法があり、場合によっては塗装だけでは対処できないこともあります。塗装以外のメンテナンス方法は、主に下記の3つです。
葺き替え(ふきかえ)
葺き替えとは、既存の屋根材を丸ごと取り外して張り替えることです。
アスファルトシングルを超えて下地まで劣化してしまっている場合には、葺き替えで対処。症状としては主に雨漏りなどの症状が当てはまります。
廃材処理・撤去の費用が加算されるため高額に。日ごろからメンテナンスをしておくことで、耐用年数まで葺き替えするハメにならないようにしましょう。
費用は150万~200万円前後が相場です。
カバー工法
塗装ではなくカバー工法を行うこともあります。
アスファルトシングルの表面が傷んでしまっているものの、下地までは劣化していないような比較的軽い症状の時に行うリフォーム方法です。
既存の屋根をそのままに、上から新しい屋根材を被せます。撤去費用などはかかりませんが、屋根の重量が増えてしまうというデメリットに注意です。
費用は100~150万円前後が相場となっています。
一部分の補修
屋根材の一部分のみが剝がれたりめくれたりしたときには、その部分のみ補修する対処法もあります。
対象の部分のみに新しいアスファルトシングル材を張り付けることで、耐水性を守るリフォーム方法です。アスファルトシングルは1枚当たり4,000~10,000円程度です。
アスファルトシングルを塗装するときの注意点
塗料の選び方
アスファルトシングルを塗装するときに注意すべき点は、必ず水性塗料を選ぶことです。
もしも油性の塗料を使用すると、アスファルトが溶け出してしまう「ブリード現象」が起こってしまいます。
また塗料選びの際には、ツヤ消し塗料を選ぶようにしましょう。アスファルトシングルは塗料を激しく吸い込んでしまう性質があり、ツヤのある塗料では相性が悪いのです。
以下に、主要メーカーの塗料と、種類別の費用相場をまとめて紹介します。
メーカー | 塗料の種類 | 塗料名 |
水谷ペイント | シリコン | 水系カスタムシリコン |
水谷ペイント | シリコン | 水系ナノシリコン |
水谷ペイント | シリコン | 水系シリコン |
エスケー化研 | シリコン | 水性ヤネフレッシュシリコン |
エスケー化研 | フッ素 | 水性ヤネフレッシュフッソ |
エスケー化研 | 遮熱シリコン | 水性クールタイトSi |
エスケー化研 | 遮熱フッ素 | 水性クールタイトF |
日照時間の長い地域などでは遮熱塗料を使用することを検討するとよいでしょう。
単価相場(㎡) | 費用相場(30~39坪) | 耐久年数の目安 | |
シリコン | 2,000~2,500円/㎡ | 35~50万円 | 10~13年 |
フッ素 | 3,000~5,000円/㎡ | 55~65万円 | 15~20年 |
縁切り(えんぎり)
「縁切り(えんぎり)」または「タスペーサー」は、アスファルトシングルの塗装で必ず実施するものです。
カッターやヘラを用いて屋根材と屋根材の継ぎ目を切り、隙間を作っていく作業を指します。
縁切りをしなければ、雨水の排水を促せません。その結果、毛細管現象という水の吸い上げが生じやすくなり、屋根材の腐食や雨漏りの原因になるのです。
アスファルトシングル塗装の見積もり書をもらったときには、かならず「縁切り」という項目が含まれているかどうかチェックしましょう。
塗装手順と費用内訳をチェック!
費用の内訳
アスファルトシングルの塗装工事では、以下のような作業内容が費用内訳に含まれます。
足場の設置 | 800~1,100円/㎡ |
高圧洗浄 | 200~300円/㎡ |
塗装 | 2,000~4,000円/㎡ |
縁切り | 400~600円/㎡ |
屋根や外壁のリフォームでは、塗装自体の工程以外にも、足場の設置などが必要です。
足場費用は決して安くはないため、併せて別の箇所のリフォームを検討することでお得になるかもしれません。
塗装の工程①:高圧洗浄
屋根や外壁の塗装作業では、まず対象部分の汚れを落とします。アスファルトシングルの塗装にあたっても例外ではありません。
高圧洗浄によってコケやカビ、ホコリなどの汚れを落としきることで、新しく塗る塗料の密着性を高める効果と、残った劣化部分が進行するのを防ぐ効果があります。
塗装の工程②:下塗り、上塗り2回を行う
塗装は下塗りを1回、上塗り(仕上げ塗り)を2回という全3回に分けて、それぞれ乾ききってから行うのが基本。
アスファルトシングルの下塗りには専用の下地調整材、また上塗りには水性の塗料を使うことが必須条件。
もしも誤って油性塗料を使うと、アスファルトが溶け出す「ブリード現象」の原因になるからです。
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アスファルトシングルについて、基本的な特徴から劣化のサイン、塗装するときの注意点などを紹介してきました。
住宅などの建物で外観を保つには定期的なメンテナンスが不可欠です。
アスファルトシングル屋根の高い防水性や美しい外観を守るために、劣化などのチェックを怠らないようにしましょう。もし劣化症状がみられた時にはすぐに業者に相談するのがおすすめです。
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