玄関ドアの見た目が劣化してきてお悩みではありませんか?木製ドアは古くなると雨水をはじかなくなり、色褪せも気になります。金属製ドアはサビや塗装の剥がれが生じると、腐食の原因になるでしょう。
ドアの材質別の特徴やプロに依頼する費用、DIYする際の塗料の選び方や手順などを解説します。
玄関ドアの塗装は業者に依頼するのがおすすめ
玄関ドアの塗装作業はイメージよりも難しい
木製の玄関ドアであればDIYすることもできますが、専門的な技術・道具などを必要とします。塗装の際に色ムラができたり、塗装してもすぐに塗料がはげ落ちてしまったりする恐れがあるなど、かなり難しい作業です。金属製ドアの場合はさらに難易度が上がるでしょう。
そのため、玄関ドアの塗装は素材にかかわらず業者に依頼するのがおすすめです。
素材によっては塗装業者でも対応できない
アルミ製の玄関ドアは、専用の強溶剤塗料を吹き付けて塗装しなければなりません。より高度な技術が必要となるため、業者であってもアルミ製のドア塗装は断っているところがあります。
扱うのが難しい素材であるため、アルミ製の玄関ドアの場合は、アルミの塗装にも対応している技術力の高い業者を探して依頼しましょう。
玄関ドアの素材と特徴
家の顔といっても過言ではない玄関ドアは、家屋に合わせてさまざまな素材が使われています。一般に使われる3種類の素材を見てみましょう。
木製ドアの特徴
木の風合いが温かみを感じさせる木製のドアは、木材の種類や加工の仕方により、デザインの種類も様々です。
メリット |
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デメリット |
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木製ドアの優れた点は断熱性の高さです。熱伝導率が低い木の特徴を活かすことで、外気温の影響をシャットアウトし、金属製のドアにありがちな結露の心配もないでしょう。
一方で木製ドアは天然素材のため耐久性や耐候性が低く、気温の変動により収縮を繰り返します。その劣化を防ぐため表面に塗装を施しており、5年に1度を目安に塗装しなおす必要があります。
金属製ドアの特徴(アルミ製以外)
金属製のドアは加工が容易にできるため、価格も比較的安価で集合住宅に使われることが多いドアです。
メリット |
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金属製のドアの素材には、スチール・ステンレス・アルミなどがあります。金属性のドアは防犯性が高く、防音・防火の機能にも優れています。耐久性もあるため、日々のメンテナンスもほとんど必要ありません。
一方のデメリットは断熱性に劣る点です。金属は熱伝導率が高いため、内外の気温差が激しいと結露を起こします。また金属製のドアは木製ドアより重量があり、開閉に負担を感じる場合も少なくありません。
アルミ製ドアの特徴
アルミ製のドアは多くの住宅で採用されています。
メリット |
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デメリット |
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アルミ製のドアは金属の中でも特に軽く、サビに強い点が特徴です。その特徴を活かし、多くのメーカーが製造しているため、デザインが豊富で選択肢が広い点もメリットでしょう。
しかし他の金属製のドア同様に熱伝導率が高いため、断熱性能は木製ドアより劣ります。そのため断熱材を充填して、断熱性を高めたアルミ製ドアも出回っています。
玄関ドアの塗装を業者に依頼する料金
玄関ドアの塗装を専門業者に任せた場合の料金相場と、ドア枠ごとドアを交換した際の費用を確認しましょう。
ドアの素材ごとの料金相場
ドアの塗装を専門業者に任せた場合、以下のようにドアの素材によって、塗装費用は大きく異なります。
ドアの種類 | 費用相場 |
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木製ドア | 5万~20万円 |
金属製ドア | 3万~10万円 |
アルミ製ドア | 8万円~ |
金属製ドアの塗装は木製ドアに比べると価格は安めです。ただしサビが広範囲にあると、サビ落としの作業が増えて塗装費用が高額になる可能性があります。
アルミ製のドアは他の金属製のドアに比べ塗装工程が複雑になるため、費用は金属製ドアより割高になる傾向です。
玄関ドアの交換とカバー工法の料金相場
劣化が著しい玄関ドアは、交換かカバー工法でリフォームします。
修理方法 | 費用相場 |
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ドア交換 | 30万~50万円 |
カバー工法 | 15万~35万円 |
ドア枠ごと新しいものに交換する場合は、ドア本体とドア枠の交換に加えて床や壁の補修などの作業も含まれ、大がかりな工事になるでしょう。玄関を一新できますが、その分どうしても工事費用がかさみます。
カバー工法は現在の玄関ドアの枠に、新しいドア枠をかぶせ、新しいドアを取り付ける工法です。ドア枠の撤去や周辺の補修の作業が省けるため、工事費用を抑えられます。1日でドアの交換ができるため、防犯上の心配も少ないでしょう。
ただし、施工後はわずかに段差ができる点と、ドアのサイズが一回り小さくなる点がデメリットです。
玄関ドアをDIYで塗装する方法
素人がドアを塗装すると2・3年で剥がれてしまうこともあるため、業者に依頼することをおすすめします。ただし、木製のドアであればDIYすることも可能です。必要な道具や手順について説明します。
必要な道具
ドアの塗り替えを自分で行う際には、以下のような道具が必要です。
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養生シートとマスキングテープの代わりに、これら2つが一体になった「マスカー」を利用すると簡単に養生できて便利です。
電動サンダーは、紙やすりを装着して木材や金属の表面を研磨する工具です。広い面にヤスリをかける場合に重宝します。使用する際は必ずドアを枠から外して作業しましょう。研磨作業では防塵マスクとゴーグルが必要なケースもあります。
浸透型塗料を使う場合、ワックスはクリアワックスにしましょう。ツヤを出しつつ、膜を形成してドアの表面を保護してくれます。
塗料の選び方
玄関用の塗料には材質や仕上がりに合わせて、以下の2種類のタイプがあります。
- 浸透型塗料
- 造膜型塗料
浸透型塗料は、素材の木を活かしたい場合におすすめです。塗料が木材の内部まで浸透し、木目や木の風合いを際立たせる効果があります。ただし、塗料がドアの表面で膜を形成せず雨や紫外線のダメージに弱いため、コーティング用の仕上げ材が必要です。
造膜型塗料はマットな仕上がりになり、傷や汚れに強く耐水性に優れています。木目は塗りつぶされますが耐久性が高く、傷や汚れから長期間ドアを保護します。しかし水分や空気を通さない塗料だと、木材の呼吸を妨げてやがて亀裂が入ったり、塗膜が剥がれたりします。造膜型を使用したい場合は、透湿性があるかどうか確認しましょう。
作業の流れ
木製ドアを塗装する流れを解説します。以下のような手順で作業を進めましょう。
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1.汚れやホコリを落とす
ドア表面に付着している汚れやホコリを雑巾で乾拭きします。
2.紙やすりや電動サンダーで古い塗料を落とす
古い塗料を丁寧に剝がしましょう。古い塗料を完全に落とさないまま塗装すると、新しい塗料が密着しづらいうえに古い塗料と一緒に剥がれてしまうからです。根気のいる作業ですが、最終的な完成度に大きくかかわるのがこの工程です。
剥離剤を使用する場合は扱いに注意しましょう。剥離剤はジクロロメタンというシンナーと同等の薬品で、皮膚に付着すると炎症を起こし、長時間の使用では中毒の可能性もあります。
3.養生する
塗料が付着すると困るところを入念に養生しましょう。ドアノブやクローザー、ドア枠や鍵穴のほか、玄関全体を覆っていきます。
この時、床には新聞紙を使うと滑りにくく安全です。
4.下塗り
ドアの隅や角などの塗りづらい箇所から塗っていきます。このような細かい箇所の塗装にはハケを使用しましょう。細かい部分を塗れたら、ローラーで全体を塗装していきます。
この時ローラーを同じ方向に動かせば、ムラになりにくく仕上がりがよくなります。塗料がはみ出してしまったら、薄め液を使って拭き取りましょう。
全体を塗装し終わったら、上塗りまで2~4時間ほど塗料を乾燥させてください。
5.上塗り
下塗りの塗料が乾いたら、もう1度同様の手順で塗装する「上塗り」の作業をします。全体を塗装できたら、再び2~4時間ほど塗料を乾燥させます。
仕上がりを良くしたい場合は、この後さらにもう1度繰り返して塗装をすることもあります。
6.ワックスで仕上げ
最後にドア全体にハケでワックスを塗り、ツヤを出したり保護膜を形成させたりしましょう。塗り終わったら、ドアは十分に乾燥させてから閉めましょう。あまり乾いていない状態で閉めると、ドアのゴムパッキンに塗料が付着し、ドアが開けにくくなります。
また塗料が付着する可能性があるため、しっかり乾燥するまで約1日はドアに触らないようにしてください。
集合住宅の場合は塗装の前に確認を
集合住宅の玄関ドアは、分譲か賃貸かによって個人で塗装できない部分があります。以下で確認しましょう。
分譲住宅の玄関ドアは内側だけ塗装できる
分譲住宅の場合、玄関ドアの内側(部屋側)は専有部分とみなされるため自由に塗装できます。塗料の劣化による再塗装に限らず、室内のインテリアに合わせて好きな色に塗り替えることなども可能です。
逆に玄関ドアの外側は共有部分になるため、個人で塗装することはできません。劣化が激しく再塗装を希望する場合やリフォームをしたい場合などは、必ず管理組合に相談しましょう。
賃貸住宅の玄関ドアは個人で塗装できない
賃貸住宅の場合、玄関ドアは個人で塗装できません。塗料の劣化でドアがボロボロだったり、自身の不注意で塗装に傷をつけたりし場合などでも、独断で塗装や補修をすることは厳禁です。
退去時のトラブルにも繋がるので、必ず大家や管理会社に報告してください。
自分でもできる!玄関ドアの3つのメンテナンス
自分でできるドアのメンテナンス方法を3つ紹介します。正しい手入れを実践することが、ドアを美しく保つ秘訣です。
日常の拭き掃除
木製ドア
木製ドアは水や湿気に弱いため、日ごろの掃除は乾拭きをおすすめします。表面は塗装で保護されていますが、経年により塗装が弱ると、水分を吸収しやすくなるためです。乾拭きでホコリを落としたら玄関ドア用ワックスを塗り、汚れから守りましょう。
金属製ドア
金属ドアは、水拭きや乾拭きで掃除しましょう。アルカリ性や酸性、アルコールの洗剤や漂白剤は、塗装が剥がれる原因にもなるため使用しないでください。
小さな傷やサビを直す
木製ドア
木製ドアの表面にできた小さな傷や凹みは、自分でも直せます。クレヨン式の補修材とヘラを使って、傷や凹みを埋めましょう。
ドアの色に合わせた補修材を塗りこんでから、ヘラで表面をならせばすぐに完成です。補修部分をより目立たなくするために、数色がセットになっていて混色もできる補修材がおすすめです。
金属製ドア
金属製ドアのサビは自分で落とすことができます。金属用の紙やすりと、ドアと同色の水性塗料を準備しましょう。紙やすりは、目の粗いもの(300番程度)と、細かいもの(600~1000番程度)の2種類必要です。
最初に目の粗い紙やすりでサビを削り、次に目の細かい紙やすりで表面を滑らかに整えます。削った粉や汚れをきれいに取り除いたら、その部分に水性塗料を塗って完成です。
ドアクローザー・ドア枠・蝶番のチェック
ドアクローザー
ドアが勢いよく閉まる、閉まるまでに時間がかかるという場合は、ドアクローザーの調整ねじで調整しましょう。ドアクローザーによって1~3個の調整ねじが側面についています。下の写真ではねじが2つついているのが分かります。
ねじが複数ある場合、上のねじは閉まり始めから途中までのスピード、下のねじは途中から閉まりきるまでのスピードを調整できます。遅くしたい時は時計回り、早くしたい時は反時計回りにねじを回してください。
ドア枠・蝶番
ドア枠に擦った痕が付いている場合は、蝶番が緩んでいるか、歪んでいるかもしれません。
まずは蝶番のねじを締めてみましょう。これで解決する場合がほとんどですが、改善しない場合は蝶番が歪んでいます。交換が必要になるため業者に連絡しましょう。そのままにしておくとドア枠を傷めたり、ドアが外れたりといった、深刻なトラブルに繋がります。
また、ドアが重い・開閉時にキーキーと音がする場合は蝶番が錆びています。真ん中で蝶番どうしを繋いでいる心棒の部分に、潤滑油を差しましょう。
玄関ドアの塗装は実績がある業者に依頼しよう
ドアの傷や穴は、ドアリフォーム業者に依頼するときれいに補修してもらえます。
自分でうまく塗装や修復をするのは難しそうと感じられた方は、プロの業者に依頼してみてはいかがでしょうか。