玄関ドアの塗装はDIYが可能です。木製ドアは古くなると雨水をはじかなくなり、色褪せも気になります。金属製ドアはサビや塗装の剥がれが生じると、腐食の原因になるでしょう。ドアの材質別の特徴や塗料、DIY塗装の流れ、プロに依頼した際の費用について解説します。


玄関ドアの素材と特徴
家の顔といっても過言ではない玄関ドアは、家屋に合わせてさまざまな素材やデザインがあしらわれています。その中でも代表的な、3種類の玄関ドアを紹介します。
木製ドアの特徴
木の風合いが温かみを感じさせる木製のドアは、木材の種類や加工の仕方によりデザインの種類も豊富です。メリット・デメリットとして、以下の点が挙げられます。
【メリット】
- 軽い
- 断熱性が高い
【デメリット】
- 耐久性・耐候性が低い
- 塗装のメンテナンスが必要
木製ドアの優れた点は、断熱性の高さです。熱伝導率が低い木の特徴を活かすことで、外気温の影響をシャットアウトし、金属製のドアにありがちな結露の心配もないでしょう。
一方で木製ドアは天然素材のため、耐久性や耐候性が低く、気温の変動により収縮を繰り返します。経年による劣化を防ぐため表面に塗装を施しており、5年に1度の目安で再塗装を行う必要があります。
金属製ドアの特徴
金属製のドアは加工が容易にできるため、価格も比較的安価で集合住宅に使われることが多いドアです。以下のようなメリット・デメリットがあります。
【メリット】
- 防犯性が高い
- 防火性が高い
【デメリット】
- 断熱性が低い
- 重い
金属ドアの素材はスチールと呼ばれる、厚さ3mm以上の鋼(はがね)の板です。防犯性が高く防音、防火の機能にも優れています。
金属製ドアのデメリットは、断熱性に劣る点です。金属は熱伝導率が高いため、内外の気温差が激しいと結露を起こします。また金属製のドアは木製ドアより重量があり、開閉に負担を感じる場合も少なくありません。
耐久性に優れた素材のため、メンテナンスはほとんど必要ありませんが、表面にキズやサビが出てきてしまった場合には塗装を行う必要があるでしょう。
アルミ製ドアの特徴
アルミ製のドアは多くの住宅で採用されています。メリット・デメリットについても確認しましょう。
【メリット】
- 軽量
- サビに強い
【デメリット】
- 断熱性が低い
アルミは金属の中でも特に軽く、サビに強い点が特徴です。その特徴を活かし、多くのメーカーが製造しているため、デザインが豊富で選択肢が広い点もメリットでしょう。
金属製のドア同様に熱伝導率が高いため、断熱性能は木製ドアより劣ります。そのため断熱材を充填して、断熱性を高めたアルミ製ドアも出回っています。
アルミ製のドアの場合は高度な技術とアルミ用の塗料が必要となるため、業者によってはアルミ製のドア塗装を行っていなかったり、塗料の取り扱いがなかったりして塗装できないことがあるので注意しましょう。
玄関ドアのメンテナンス
日ごろの手入れはドアの傷や、塗装の剥がれの発見にも役立ちます。正しい手入れを実践することが、ドアを美しく保つ秘訣です。ドアの素材ごとの手入れ方法を解説します。
日常の手入れ
木製ドアは水や湿気に弱いため、日ごろの掃除は乾拭きをおすすめします。表面は塗装で保護されていますが、経年により塗装が弱ると、水分を吸収しやすくなるためです。乾拭きでホコリを落としたら、玄関用ワックスを塗り、雨や紫外線から守りましょう。
金属ドアは比較的手入れが簡単です。ただしアルカリ性や酸性、アルコールや漂白剤の洗剤に弱く、塗装が剥がれる原因になりかねません。しつこい汚れでも、水拭きや乾拭きに留めておきましょう。
小さな傷やサビを直す
木製ドアの小さな傷はクレヨン式の補修材で直しましょう。ドアの色に合わせた補修材を塗りこんでから、ヘラで表面をならし、仕上げにラッカーを塗っておきます。深い傷やへこみはウッドパテを使います。パテでへこみを埋めた後、サンドペーパーで表面を滑らかに仕上げ、外装用のウレタン塗料を塗って完成です。
金属ドアのサビは金属用のサンドペーパーで落とし、ドアと同色の水性塗料を塗って仕上げます。
クローザー・ドア枠・蝶番のチェック
ドアが勢いよく閉まる、閉まるまでに時間がかかるという場合は、ドアクローザーの調整ねじで調整します。本体から油がしみ出ている場合は、故障のサインです。
ドア枠に擦った後が付いている場合は、蝶番が緩んでいるか、歪んでいる可能性があります。そのままにしておくとドア枠を傷めたり、ドアが外れたりといった、深刻な事態も考えられます。蝶番のトラブルは潤滑剤を補充し、ねじを締めるだけで解決する場合がほとんどですが、歪んでいる場合は交換が必要です。
玄関ドアをDIYで塗装する
玄関ドアには定期的なメンテナンスが必要です。木製のドアであれば、10年に1 度が再塗装の目安といえます。
そこで木製ドアのDIY方法について紹介します。
ドア塗装は高度な技術が必要となり、施工に失敗して塗装が2・3年で剥がれてしまうこともあるため、業者に依頼することをおすすめします。
必要な道具
ドアの塗り替えを自分で行う際に必要な道具には、以下のようなものがあります。
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養生シートとマスキングテープが一体になった「マスカー」を利用すると、簡単に養生できて便利です。
サンダーはサンドペーパーを装着して、木材や金属の表面を研磨する電動工具です。広い面にヤスリをかける場合に重宝します。使用する際はかならずドアを枠から外して作業しましょう。研磨作業では防塵マスクとゴーグルが必要なケースもあります。
玄関ドア用の塗料
玄関用の塗料には材質や仕上がりに合わせて、以下の2種類のタイプがあります。
- 浸透型塗料
- 造膜型塗料
浸透型塗料は木材の風合いを活かしたい場合におすすめです。塗料が木材の内部まで浸透し、木目や木の風合いを際立たせる効果があります。ドアの表面の傷を補修しやすい反面、コーティング用の仕上げ材が必要です。
造膜型塗料は、一般的にペンキと呼ばれている塗料で、傷や汚れに強く耐水性に優れています。一方で透明感がないため、木目を活かせない点や、傷や剥がれのメンテナンスが難しい点がデメリットといえるでしょう。
作業の流れ
木製ドアの塗装のうち、浸透型の塗料でペイントする流れを解説します。以下のような手順で作業を進めましょう。
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傷やへこみはウッドパテを充填し、サンドペーパーで表面をならしておきましょう。ドアノブやクローザー、ドア枠のほか、ドアの周辺全体を養生します。
床は新聞紙を使うと滑らず安全です。金属製のドアはスプレー塗料で吹き付け塗装します。吹き付け塗装はハケやローラーで塗装するよりも塗料が飛散しやすいので、より広範囲に養生しましょう。
木製ドアでもドア塗装は技術が必要です。
玄関ドアを塗装する際の注意点
DIYで玄関ドアを塗装する際の、注意点も押さえておきましょう。塗装は下地作りを入念に行うことで、出来栄えが変わります。塗料の扱いは意外に難しく、剥離剤を使う際は細心の注意が必要です。
古い塗装を丁寧に剥がす
浸透型の塗料の場合には、再塗装の前にコーティング用の仕上げ塗料を落とす必要があります。仕上げ塗料を完全に落とさないまま塗装すると、新しい塗料が密着せず剥がれやすくなるからです。
剥離剤を使用する場合は扱いに注意が必要です。剥離剤はジクロロメタンというシンナーと同等の薬品で、皮膚に付着すると炎症を起こし、長時間の使用では中毒の可能性もあります。
塗膜型の塗料の塗り替えは、塗料をすべて剥がす必要はありません。新しい塗料が定着しやすいよう、サンドペーパーで細かい傷を付けておくだけで十分です。
アルミ製のドアの塗装には注意が必要
アルミの面に塗装する際は、ドア全面にサンドペーパーで細かい傷を付けてから、下塗りのプライマーを吹き付けます。下塗り材が完全に乾くのを待ってから、スプレー塗料で塗装します。
アルミ製のドアの塗装は、高度な技術と経験が必要なため、業者によっては施工を断られる可能性があるほどです。DIYでは難しい材質のため、専門の業者に依頼するのが無難です。塗装業者に依頼する際も、必ずアルミ製の玄関ドアの施工技術があるか確認して依頼しましょう。
塗装が完全に乾くまでの時間
ドアの塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3段階に分けて行うのが、一般的な方法です。重ね塗りができる状態になるには、少なくとも1~2時間は必要で、内部まで完全な乾燥状態になるには、およそ2週間かかります。
十分な時間をかけて乾燥させずにドアを閉めると、ドアが開きにくくなる可能性があります。これは塗料がドアのパッキンに付着して、ゴムの可塑剤が塗料に移ったために起こる現象です。そのため塗装工事には、塗装を終えるまでに2~4日を要します。
玄関ドアの塗装を業者に任せる場合の料金
養生やヤスリがけなど、ドアの塗装には多くの手間がかかる上、乾燥の様子を確かめながら塗装するのはなかなか骨の折れる作業です。専門業者に任せた場合の料金相場と、ドア枠ごとドアを交換した際の費用を確認しましょう。
ドアの素材ごとの料金相場
ドアの塗装を専門業者に任せた場合、以下のようにドアの素材によって、塗装費用は大きく異なります。
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金属製ドアの塗装は木製ドアに比べると価格は安めです。ただしサビが広範囲にあると、サビ落としの作業が増えて塗装費用が割高になる可能性があります。
アルミ製のドアはスチール製のドアに比べ塗装工程が複雑になるため、費用は金属製ドアより割高になる傾向です。
玄関ドアの交換とカバー工法の料金相場
劣化が著しい玄関ドアは、交換かカバー工法でリフォームします。
交換 | カバー工法 | |
木製ドア・金属製ドア | 30万~50万円 | 15万~35万円 |
ドア枠から新しいものに交換する場合は、ドア本体とドア枠、撤去費用、設置費用がかかり、大がかりな工事になるでしょう。
カバー工法は現在の玄関ドアの枠に、新しいドア枠をかぶせ、新しいドアを取り付ける工法です。1日でドアの交換ができるため防犯上の心配もなく、工事費用を抑えることが可能です。古いドア枠を使うため、施工後はわずかに段差ができる点と、ドアのサイズが一回り小さくなる点がデメリットといえます。
玄関ドアの塗装は専門業者に任せるのが安心
玄関ドアは外気を遮断し、防犯・防火の役割を担っています。日常の手入れでドア表面や付属部品をチェックし、定期的な塗装でドアを長持ちさせましょう。
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