住宅の鍵の調子が悪いときに、自分で交換をしてみようと考える方もいるでしょう。鍵交換はプラスドライバー1本でもできるほど、作業そのものは簡単です。


ただし、鍵交換を自分でするにはいくつかの注意点があります。取り付け手順や業者に頼むべきケースを知って、自分で鍵交換ができるかを確認してみましょう。
鍵交換を自分でする前の確認事項
鍵交換をする前に3つの確認事項があります。鍵交換を失敗しないように、必ず確認しましょう。
① 交換する鍵の範囲

鍵交換は鍵穴部分のシリンダーのみか、ラッチボルトやデッドボルトなどを収めた錠ケースを含めた錠前のどちらかを交換します。
症状によって交換すべきパーツが異なります。
- 鍵の抜き差しがスムーズではない
- 鍵の回りが悪い
錠前を交換すべき症状
- ドアノブがぐらつく
- デッドボルトの効きが悪い
- ラッチボルトの動きが悪い
② 錠前のタイプ
自宅ドアにどのような錠前が使われているかも確認しましょう。
| 錠前の名称 | 備考 |
|---|---|
| シリンダー錠 | ドアノブと鍵穴が独立している |
| インテグラル錠 | ドアノブの中心に鍵穴がある |
| プッシュプル錠 | ハンドルを押したり引いたりして開ける |
| 装飾錠(サムラッチ錠) | 親指でレバーを操作するデザイン性の高いもの |
| 引き戸錠 | 引き戸に使われる専用の錠 |
プッシュプル錠や装飾錠は、製品ごとの互換性が低く、DIYで鍵交換をするときは適合する製品があるかチェックしましょう。
③ 現在使用中の鍵の型番
確実に交換できる鍵を購入するためにはメーカー名と型番の確認が必須です。
鍵の型番は、ドアの側面にあるフロントプレートにメーカー名とともに記載されていることが多いです。「MIWA LA」「GOAL AS」のように、アルファベットと数字の組み合わせで記されます。
鍵の型番については、以下の表をご参照ください。
| LA型 | BH型 | LSP型 | PMK型 | RA型 | NDR型 | PG型 | PX型 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 彫込 | 面付 | プッシュプル | |||||
| LA | BH | LSP | 75PM | 82RA | NDP | PG | PX |
| 13LA | AH | FE | – | 85RA | NDZ | DAF | GD |
| AL | BHSP | FESP | – | – | NDR-AT2 | LAMA | – |
| AL3M | DN | GAA | – | – | – | PA | – |
| ALA | DZ | GAE | – | – | – | PASP | – |
| DA | FF | GAF | – | – | – | PGF | – |
| DH | LD | LE | – | – | – | – | – |
| DV | LDL | LE-** | – | – | – | – | – |
| LAF | LDSP | LZSP | – | – | – | – | – |
| LAG | SL87 | SWLSP | – | – | – | – | – |
| LAMA | SLNE | PESP | – | – | – | – | – |
| LASP | UD | TE | – | – | – | – | – |
| LV | – | TE-** | – | – | – | – | – |
| PPA | – | TESP | – | – | – | – | – |
| WLA | – | TEFE | – | – | – | – | – |
鍵交換を自分でするときに必要な道具
鍵交換を自分でするときには以下の道具を用意しましょう。
| 必要な道具 | 備考 |
|---|---|
| 新しい鍵 | – |
| プラスドライバー | ネジを外したり締めたりする |
| マイナスドライバー | ピンや細かい部品の取り外し用 |
| ペンチまたはラジオペンチ | ピンの抜き差しや細かい作業を行う |
| 小物入れやケース | 外したビスや部品等の紛失を防ぐ |
| ドアストッパー | 作業中にドアが閉まらないように固定する |
| 取扱説明書 | 作業を開始する前に必ず確認する |
ドライバーは電動と手動のものがありますが、電動ドライバーを使うとねじ穴を潰してしまうリスクが大きいので、手動のものを使いましょう。
自分で鍵交換をする手順
DIYで鍵交換をするときは、以下の流れで行います。
手順そのものは複雑ではありませんので、鍵交換をする前に流れを確認しておきましょう。
① ドア側面のフロントプレートのねじを外す
まずはドアを開き、閉じないようにドアストッパーでドアを固定しましょう。
ドアの側面には金属製のフロントプレートがあります。上下をねじ止めされているので、ドライバーでねじを外しましょう。
- ドアを開けた状態で作業をする
- ねじ山を潰さないようにする
- 固着したねじには浸透潤滑剤を使う
② 固定ビスを引き抜く
プレートを取り外すと、錠前の各部品を固定しているビスが現れます。マイナスドライバーやペンチ・ラジオペンチなどを使ってビスを引き抜きましょう。
抜いたビスを紛失してしまうと新しい鍵を取り付けられなくなるので、無くさないようにトレーやケース、畳んだタオルの上に置いて管理してください。
③ 古い鍵を外す
固定ビスを引き抜くとシリンダーなどの鍵のパーツを取り外せるようになります。交換するパーツをすべて取り外しましょう。
取り外したパーツと取り付けるパーツが混ざらないように注意が必要です。パーツを入れるトレーを別のものにするなどの工夫が効果的です。
シリンダーのみを交換する場合と錠前ごと交換する場合で取り外し方が異なります。
シリンダーのみを交換する場合
- 室外側のシリンダーを止めているピンを抜く
- シリンダーを外す
シリンダーを外すときは、室内側のピンを抜いてはいけません。ピンを抜くときにシリンダーが落下しないように、シリンダーを手で押さえながらピンを抜くようにしてください。
錠前ごと交換する場合
- 室外側・室内側両方のシリンダーを止めているピンを抜く
- シリンダーを外す
- ドアノブを固定するねじを外す
- 室外側・室内側両方のドアノブを外す
- レバーとドアの間にある「丸座」のカバーを外す
- 丸座のねじを外す
- 丸座を外す
- 錠ケースを固定するねじを外す
- 錠ケースを外す
④ 新しい鍵を取り付ける
取り外すときとは逆の手順で新しい鍵を取り付けます。ねじを最後まで締めないとドアを開閉できなくなります。
シリンダーのみを交換する場合
- メーカーロゴが上になるようにシリンダーをドアの穴に差し込む
- ピンを差し込んで固定する
- フロントプレートを取り付ける
- ねじで固定する
シリンダーの交換はDIY初心者でも簡単に交換ができます。ピンなどの細かい部品を紛失しないように注意して作業をしてください。
錠前ごと交換する場合
- 錠ケースを差し込む
- 錠ケースをねじ止めする
- 丸座をねじ止めする
- 丸座のカバーをはめる
- ドアノブを取り付ける
- シリンダーをはめる
- シリンダーをピンで固定する
- フロントプレートを取り付ける
- ねじで固定する
錠前ごと交換する場合は交換するパーツが多くなります。今どのパーツを交換しているか混同しないように注意してください。
自分で鍵交換をするときのよくある失敗例
自分で鍵交換を行うと費用を節約できますが、3つの注意点があります。
DIYで鍵交換をする前に失敗例をチェックして、同じミスをしないようにしましょう。
① 細かい部品を紛失してしまう
鍵交換をするときにはビスやピンなど細かい部品を扱います。今使っている鍵を固定している部品は新しい鍵を取り付けるときに使うので、紛失しないように気を付けましょう。
トレーやケース、タオルなどを用意して、その上にビスやピンを置けば紛失を防げます。
ビスやピンを無くしてしまった場合は取り付けを中止し、鍵屋に鍵の取り付けを依頼してください。必要な部品が足りない状態で取り付けても簡単に取り外せてしまい、防犯上のリスクがあるためです。
② 古い鍵のねじ穴が潰れて取れなくなる
取り付けから時間が経っている古い鍵の場合、ねじが錆び付いて固着していたり、ねじ山の溝が潰れてしまったりして、ドライバーで回せなくなることがあります。
無理に力を加えると、ネジ山が完全になくなってしまい、取り外しがさらに困難になります。
ねじ山を潰してしまわないように、ねじ穴に合ったサイズのドライバーを使っているか確認しましょう。ねじを回すときは押し込む力7割・回す力3割を意識して、慎重に力を加えてください。
それでも回らない場合は、無理せず専門の業者に依頼しましょう。
③ ドアノブを外した状態でドアを閉めてしまう
ドアノブや錠前を分解する作業中に、うっかりドアを閉めてしまうと、家から締め出されてしまうインロック状態になるリスクがあります。
ドアノブやドア側面の三角形の部品である「ラッチ」がない状態では、外からも中からもドアを開ける手段がなくなります。
作業は必ずドアが開けた状態で、風などで閉まらないようにストッパーを挟んで完全に固定してから行いましょう。
もし締め出された場合は、すぐに鍵屋に連絡をしましょう。万が一のトラブルに備えて、スマートフォン等を手元に置いて作業をすることをおすすめします。
賃貸物件や集合住宅の鍵は自分で交換せず管理会社に相談する
賃貸物件や分譲マンションを含めた集合住宅に住んでいる場合、鍵を自分で勝手に交換してはいけません。
賃貸物件は入居者が借りているものであり、所有権は大家や管理会社にあります。無許可で交換すると契約違反であるだけでなく、退去時に原状回復として鍵を元に戻さないといけないので高額な費用が請求される可能性があります。
また分譲マンションを所有している場合も、玄関の鍵は共有部分にあたるため、管理会社等への相談が必要です。
鍵の調子が悪い、防犯性を高めたい、鍵を紛失したなどの理由で鍵交換が必要になったら、必ず大家や管理会社に連絡しましょう。費用負担率や業者の選定についても、相談の上進めてください。
鍵交換を業者に頼むべきケース
ケースによっては鍵を自分で交換しない方がよいことがあります。以下のケースに当てはまる場合は、業者に鍵交換を依頼してください。
① 錠前全体を交換するとき
ドアノブがぐらつくなど、不具合の原因が錠前にある場合は鍵屋に交換を依頼することをおすすめします。
DIYでも錠前全体の交換は可能ですが、以下に挙げるリスクがあります。
- 鍵がかからなくなる
- ドアが閉まらなくなる
錠前の取り付ける際にズレが生じるとドアの開閉に支障が出ます。安全のためにも錠前の交換をする際は専門業者に依頼をしましょう。
② 別メーカーの鍵に交換するとき
今使っている鍵と違うメーカーの鍵に交換するときも、鍵屋に依頼することをおすすめします。
他メーカーの製品とも互換性がある鍵も増えてはいるものの、メーカーや型番によって各パーツのサイズや形状、ねじ穴の位置などが異なることが多いです。ドアに追加の穴を開けたり、プレートを加工したりといった作業が必要になることが多く、専門技術が求められます。
プロの業者に交換を依頼すれば、必要な加工をしたうえで新しい鍵を取り付けてくれます。
③ ダブルロックの鍵に交換するとき
1つのドアに2つの鍵を取り付ける「ワンドア・ツーロック」形式にする場合も鍵屋に依頼しましょう。
ダブルロックにする場合はドアに穴空け加工をする必要があります。ドアの加工には専門技術が必要です。
ドアへの加工を失敗すると、防犯性能や見た目を大きく損ないます。また鍵の性能を最大限に発揮させるためには、ミリ単位での正確な位置決めが必要です。
ダブルロックにするのであれば、必ず鍵屋に依頼をしてください。
④ 玄関ドアの鍵交換をするとき
物置や室内のドアなど、比較的防犯性が重要視されない場所であれば、自分で鍵交換に挑戦しても良いでしょう。しかし玄関ドアは住宅の防犯に大きく関係するので、鍵屋に交換を依頼しましょう。
玄関ドアの鍵は些細な取り付けミスでも防犯性能が低下してしまいます。鍵屋の中には防犯設備士などの資格を持つ作業員もおり、最新の防犯知識について最適な鍵を提案してくれます。
鍵の交換も確実に行ってもらえるので、住宅の防犯性能を守るためにも玄関ドアの鍵交換は鍵屋に交換を依頼してください。
鍵交換を業者に依頼した場合の費用相場
鍵交換の費用相場は15,500円~35,200円
※ミツモアにおける「鍵交換・修理」サービスの成約価格から算出。(2024年1月1日~12月31日)
鍵交換の費用は、交換する鍵の種類と交換する範囲によって変動します。シリンダー交換のみであれば比較的安価ですが、錠前ごと交換する場合は費用が高額になりやすいです。
たとえば、防犯性能が高いディンプルシリンダーに交換する場合、本体価格とシリンダー交換作業の工賃を合わせて13,590円~20,020円が費用の目安です。
鍵交換の費用つき口コミ
【鍵のトラブルの内容】新居入居時の鍵を交換したかった
【鍵トラブルのあった場所】勝手口・裏口
鍵交換を自分でできないときは業者に依頼しよう

手順を見ても鍵交換が自分でできない場合は、鍵屋に鍵交換を依頼してください。
鍵交換の費用を抑えるために一括見積もりを取って、安い業者を探しましょう。ミツモアでは質問に答えるだけで最大5事業者からの見積もりが届きます。
