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【税理士監修】発行可能株式総数を会社設立時に決めよう!

最終更新日: 2024年06月28日

会社設立時に決めなくてはいけないことが多数あります。その中でも「発行可能株式総数」について設定目安が分からない設立者は特に多いのではないでしょうか。出来ることなら会社設立時に適切な発行可能株式総数を定めておき、後々に変更などで苦労がないようにしたいはずです。

そこで今回の記事では、発行可能株式総数について説明するとともに、会社設立時における設定の考え方を詳しく解説していきます。

この記事を監修した税理士

竹田健司税理士事務所 - 東京都豊島区南池袋

 

発行可能株式総数とは一体?

発行可能株式総数とは一体?
発行可能株式総数とは一体?

会社設立時における発行可能株式総数の設定目安を決める前に、まずは発行可能株式総数の概要について説明します。

また、発行可能株式総数は定款に定める必要があるのはなぜでしょうか。以下で詳しく解説していきます。

発行可能株式総数とは

発行可能株式総数とは、言葉の通り会社が発行できる株式の最大数のことです。

株式は資金調達の手段になるので最大数が多ければ資金調達が有利になります。そのため、過少に設定してしまえば株式を発行できなくなり、後で資金調達に苦労する結果となるので適正な発行可能株式総数を定めることが必要です(なお、最大数を超える場合は、定款変更が必要になるので、株主総会で特別決議を得なければなりません)。

ただし、会社の規模等によって定めることができる最大数は異なるので注意しましょう。

発行可能株式総数の意義

次に発行可能株式総数の意義について説明します。発行可能株式総数を定める意義は以下の2つです。

(1)資金調達の迅速化
1つ目は資金調達を迅速に行えるという点です。

資金調達の手段として、銀行融資が主な方法ではありますが、審査等で膨大な時間が掛かります。

一方で株式発行の対価として資金を調達する方法の場合、最大数の範囲であれば取締役会の決議のみで株式を発行できるため資金調達が迅速になります。発行できる株式の最大数が多ければそれだけ資金調達が容易になるのです。

(2)取締役の権利濫用の防止
発行可能株式総数を定める意義のもう1つは、取締役の権利濫用を防止するということです。確かに株式発行であれば資金調達は容易になりますが、取締役の決議のみで発行できるとなると、権利の濫用につながる恐れがあります。

株主は所有する株式数に応じて会社への影響力も変わるため、本来であれば株主総会の決議が必要になるはずです。そのため、発行可能株式総数を定めることで、取締役の権限によって発行できる株式最大数に制限を設けて権利の濫用を防いでいます。

発行可能株式の総数を定款で定めるワケ

発行可能株式総数を決める意義については理解いただけたかとおもいます。では、なぜ定款に最大数を定める必要があるのでしょうか。

それは株主を保護するためです。

上述したとおり、所有する株式数に応じて、会社への影響力が変わってきます。また、株主は定款の閲覧請求権を有しています。そのため、既存の株式発行数と発行できる最大数を事前に定款に定めることで、将来の発行可能数を把握でき、自分の発言力がどれだけ影響を与えるかを前もって知ることができるのです。

このように、定款に最大数を定めることで株主を保護することができます。

発行可能株式総数のルール

発行可能株式総数のルール
発行可能株式総数のルール

続いて、発行可能株式総数を定める上で順守するルールについての説明です。発行可能株式総数は株主にも影響があるので、当然規制の下で定める必要があります。

会社の種類によってルールも変わってくるので注意しましょう。以下で詳しく解説します。

公開会社と非公開会社では規則が全く異なる!

会社には公開会社と非公開会社があります。公開会社とは発行する株式に譲渡制限を設けていない会社のことで、非公開会社はそれ以外の会社のことです。この公開会社・非公開会社かによって発行可能株式総数の規制が全く異なってきます

まずは、非公開会社の場合は発行可能株式総数に制限を設けていません。これは、非公開会社はそもそも株式に譲渡制限が課せられているので、譲渡に関して規制すればよいためです。

一方で公開会社の場合は、発行済株式総数の4倍までしか発行可能株式総数の上限を設けることができません。これは、公開会社は株式譲渡に制限がないため、発行可能株式総数を定款で規制することで株主を保護する必要があるためです。

発行可能株式総数を変更する場合は?

事前に定めた発行可能株式総数が少ないことで新規株式を発行できないとなると、資金調達を迅速に行うことができません。そういった場合は、発行可能株式総数を変更する必要があります。

発行可能株式総数は定款の記載事項のため、変更するには定款変更の手続きが必要です。定款変更は株主にとって重大な影響を及ぼします。そのため、株主総会の特別決議によって初めて定款変更することができるのです

スタートアップ企業の発行可能株式総数の考え方

スタートアップ企業の発行可能株式総数の考え方
スタートアップ企業の発行可能株式総数の考え方

発行可能株式総数の概要や規制については上述した通りになります。最後に、スタートアップ企業が定めるべき発行可能株式総数の考え方についての説明です。以下で詳しく解説していきます。

発行可能株式総数は会社設立時に発行する株式数の10倍以上に!

上述してきたとおり、最大数を低く設定してしまうと迅速に資金調達を行うことができません。

また、最大数が多いからといって税金が高くなるわけでもないですし、発行可能株式総数は登記事項のため変更登記を行う都度、手続費用が掛かってしまいます。そのため、発行可能株式総数はある程度余裕を持って定めるべきです。

具体的には、会社設立時に発行する株式の10倍を目安に設定すればよいでしょう。一般的に見ても、10倍の設定をしている会社が一番多いですし、これぐらいであれば、資金調達が必要になった際に十分ですし過剰ということもありません。

会社設立時は1株1万円か5万円にする企業が多い

スタートアップ企業は会社設立時に1株1万円又は5万円に設定していることが多いといわれています。1株1万円に設定する理由は単純に分かりやすいからです。200株であれば200万円ということがすぐに分かりますし、株式保有率も把握しやすいです。

一方で1株5万円に設定する理由は、旧会社法の下では発行価格の上限が5万円以下だった名残といわれています。その名残から、当時の上限であった5万円に設定している企業も多いそうです。

今では上限に関する規定は撤廃されたため、株式の価格は自由に設定することができます。

株式上場を狙っている方は要注意

上場を考えていない株式会社の場合、非公開会社のことが多いです。この場合、発行可能株式総数に制限はありません。

しかし、将来上場を見越している場合などは注意が必要です。上場会社の場合、金融商品取引所で株式を公開している公開会社であることが一般的です。

上述したとおり、公開会社は発行可能株式総数に4倍ルールという制限があります。そのため、将来上場を考えているならば、この規制の範囲内で発行可能株式総数を設定しましょう。

監修税理士からのコメント

竹田健司税理士事務所 - 東京都豊島区南池袋

法人の設立時に疑問に思うのが今回の発行可能株式総数設定です。疑問を持ちながらも、多くの方は法人設立を専門家に依頼をするため、その専門家に身を任せ、言われるがままに発行可能株式総数が設定されているかと思います。基本的にはそれでも問題ないでしょうが、上場を目指す方や株式による資金調達を考えている方は、慎重に定めた方が良いでしょう。

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この記事の監修税理士

竹田健司税理士事務所 - 東京都豊島区南池袋

税理士の竹田と申します。東京都池袋にてtake会計事務所を経営しております。 特徴としてはMBAを首席で卒業しておりますので、 通常の税理士とは違い、マーケティングや売上アップのお手伝いを 顧問料の範囲内で行わせて頂くのが特徴となります。