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納骨とはいつ行うもの?タイミングや費用・納骨式の流れを解説

最終更新日: 2024年02月07日

納骨」とは遺骨をお墓に納める一連の儀式です。菩提寺の墓石(一般墓)へ埋葬することのほか、納骨堂や樹木葬にて遺骨を納めることも納骨と言います。

一般的な仏式葬儀の場合、納骨をする時期は四十九日や一周忌のタイミングが多いです。

本記事では納骨をいつ行うべきかや準備すべきこと、費用について解説します。また神式、キリスト式の場合の納骨タイミングも確認しましょう。

この記事を監修した専門家

日本葬祭アカデミー教務研究室 代表
二村 祐輔

納骨はいつ行うもの?

納骨式で焼香をする男性

基本的に、納骨の時期に決まりはありません。ただし慣習として、以下いずれかの法要と同日に行うことがほとんどでしょう。ほかの法要と納骨式を合わせて行うことで、単体で行うより参列者の手間を省き、費用を抑えられます。

  • 納骨するお墓がある場合:四十九日
  • お墓を新たに建墓する場合:百か日・一周忌・三回忌といった回忌法の機会

なお「納骨する気持ちになれない」「心残りがある」といった遺族の心境に合わせて、時期を決めても問題ありません。納骨するまでは、ご自宅の祭壇や仏壇で遺骨を安置しておきましょう。

四十九日に納骨する

お墓がすでにある場合は、四十九日法要の際に納骨式も一緒に行われることが多いでしょう。亡くなってから49日後は故人が極楽浄土に行く日とされており、またご遺族が喪に服す期間を終え、日常生活に戻るタイミングです。区切りのタイミングとしてふさわしいと言えます。

百か日・一周忌・三回忌いずれかで納骨する

ただし新しくお墓を購入する際は、四十九日に間に合わない可能性が高いです。その場合、一周忌法要や三回忌法要に合わせて納骨することになるでしょう。

百か日忌も1つの節目です。また各月の命日なども仏の供養日なので、何かしら縁のある日にちで、納骨すると意義も深まります。

納骨式の流れ

寺院

納骨式はほかの法要と一緒に行われるケースがほとんどです。法要から納骨式を行う場合の流れを確認しましょう。

一般的な法要の流れ

法要は一般的に、以下のような手順で進められます。四十九日・百箇日・一周忌それぞれの法要で、それほど変わりはありません。

  1. 参列者入場・着席
  2. 僧侶入場・着席
  3. 読経・焼香
  4. 法話(場合により実施)
  5. 僧侶退場
  6. 閉式の挨拶(施主)
  7. 墓所へ移動

納骨式の流れ

納骨式は、一般的に以下のような流れです。具体的な納骨方法は、地域や宗派によって異なります。

また法要や納骨式の前に、施主や遺族は前もって石とその周辺を清掃して、お寺や霊園の側で経机や香炉などを用意しておきましょう

  1. 墓前勤行の開始
  2. 納骨(石材店等が補助)
  3. 読経・焼香
  4. 閉式の挨拶(施主)と会食
  5. 会食(場合により実施)

開式の挨拶では施主が遺族の近況などを伝えて、参列者に感謝の意を示します。会食を用意している場合は、その旨を伝えましょう。

納骨では、墓石の下に設置されている「カロート」に遺骨を納めます。カロートは一般的には「納骨室」と呼ばれる収骨容器(骨壺)の安置場所です。

遺骨を納めたら、僧侶が読経を行い、参列者は故人との関係が深い順に焼香をします。

その後、会食場に移動します。施主が閉式の挨拶をするとともに、献杯をして食事に移りましょう。会食が終わったら、参列者が帰る際に引き出物を渡し、再びお礼の挨拶をして散会です。

納骨式までの準備と手順

墓石店

四十九日の法要後に納骨式を行うという設定で、一般墓に納骨する場合の準備について解説します。

①候補日を決めて菩提寺に予約をする

納骨式の日取りに決まりはありませんが、四十九日か百箇日、一周忌のいずれかのタイミングで、一緒に執り行う場合がほとんどです

いずれの場合でも、まずは候補日を決めて、菩提寺に連絡して納骨式の予約をしましょう。納骨式では僧侶に読経してもらうため、あまりタイトな日程だと、予約が取れない可能性があります。僧侶のスケジュールを押さえられなければ、候補日を変更しなければいけません。

②石材店に戒名を彫ってもらう

納骨式までに戒名や没年、享年などを墓石や墓碑に彫刻しておく必要があります。日取りを決めたら早めに石材店も連絡し、作業にかかる日数を聞いておきましょう。作業が納骨式の予定日までに終わらない場合、やはり日程の変更が必要になります。

戒名や命日は、墓石の「竿石」という一番上にある墓石の側面または裏面に彫刻、または併設の墓碑に刻字します。彫刻には数週間を要する場合もあるので、納骨式の1カ月前には依頼しておきましょう。

③埋葬許可証を用意する

納骨には「埋葬許可証」が必要になります。埋葬許可証とは自治体が発行した火災許可証に、火葬場の認印がされた書類です。火葬された遺骨であることを証明するもので、埋葬を許可された証にもなります。

「墓埋法(墓地、埋葬等に関する法律)」に定められているように、許可証がない場合は埋葬ができません。埋葬許可証は火葬した火葬場で受け取っているはずなので、紛失していないか確認しておきましょう。紛失防止の理由から、遺骨とともに骨箱の中に入れられていることが多いです。

もし埋葬許可証を紛失してしまった場合は、死亡届出をした市区町村役場で再交付を申請します。申請から発行まで、数日を要することもあるので注意しましょう。

④参列者に案内状を送り卒塔婆を供出する人のリストを作る

納骨式の日程が確定したら、親族に電話で納骨式を執り行う旨を連絡しつつ、卒塔婆(そとうば)を立てる人を募ってリストを作ります

卒塔婆(そとうば)
卒塔婆(そとうば)

案内状も作成して送付しましょう。

以下は四十九日の法要の際に、納骨式も執り行う場合の例文です。句読点や忌み言葉を使わないというルールを守りましょう。

【案内状の例文】

拝啓 〇〇の候 皆様方におかれましては益々ご健勝にお過ごしのことと存じます

亡 〇〇の葬儀に際しましては ご厚志を賜りまして誠にありがとうございました

早いもので ▲月▲日には四十九日忌を迎えることと相なりました

つきましては左記により法要及び納骨式を営みたく存じます

ご多用中恐れ入りますが ご参列賜りますようご案内申し上げます

敬具

令和◆年◆月

日時 △月△日(※曜日) 午前〇時〇分より

場所 ◆◆寺  東京都中央区築地三の三の一

電話 03-0000-0000

なお 法要後は供養の粗宴をご用意いたしております

※お手数ですが■月■日までに返信葉書にてご都合をお知らせ下さい

⑤会食の会場を予約し料理内容などを決める

返信の葉書が集まって参列者の人数が決まり次第、会食の会場を予約するとともに、料理の内容を決めます。料理の費用の相場は5,000~1万円の範囲で、メニューは特に決まりはありませんが個別の会席になります。

会食の意味は法要に集まってもらったことへの感謝と、故人を偲ぶ機会を持つことです。そのため故人生前のスライドショーや思い出話の披露など印象に残る宴席の進行もいいかもしれません。

⑥供物の準備

納骨時の墓前に供える供物は、「五供(ごく)」と呼ばれる「香・花・燈明・飲食・浄水」の5つを中心に用意しましょう

  • 香:線香・抹香
  • 花:生花・造花
  • 燈明:ロウソク
  • 飲食:仏飯・お菓子
  • 浄水:水・お茶

香と浄水はお参りする人の心や、身体を清めるものとしての意味を持ちます。花はトゲや毒性のあるもの、香りの強いものは避けましょう。燈明はロウソクの灯をお釈迦様の智慧に例えたもので、さらに飲食やお茶の湯気をお釈迦様が召し上がると考えられています。

このほかに、故人生前の嗜好品やたばこなども準備して供えます。

納骨式当日に持参するもの

お布施・数珠

納骨式当日に用意するものは以下の通りです。忘れ物があると式が滞るので注意しましょう。

  • 埋火葬許可証・認印・墓地使用許可証
  • 遺影・遺骨・位牌
  • 供物・供花・仏花・線香・ライター・卒塔婆・数珠
  • お布施・御車代・御膳料
  • 墓石用のスポンジ・掃除用具
  • 石材店への工賃支払いや不祝儀
  • 引出物・袱紗

季節によって虫よけスプレーやかゆみ止め、日傘なども用意しておくと便利です。卒塔婆はお寺が用意するので、墓所へ向かう途中で受け取ります。

納骨にかかる費用

お布施・遺骨

納骨に必要な費用は、僧侶をはじめとした宗教者へのお布施と、石材店への工賃・お礼(不祝儀・心づけ等)です。それぞれの相場と渡し方を紹介します。

菩提寺へのお布施

納骨式において宗教者に用意するお布施の目安は、以下の通りです。

  • 仏教:3万~10万円
  • 神道:3万~5万円
  • キリスト教:1万~5万円

お布施のほかに菩提寺や教会、神社から式場に呼んだ場合は、「御車代」を5,000~1万円、会食に参加しない場合は5,000~1万円を「御膳料」として別途用意します。また神道では神社に供物を用意してもらった場合、1万~2万円を上乗せします。

石材店への費用とお礼

お墓にかかる費用の相場として、以下のものが挙げられます。

  • お墓の建立費用(外柵・墓石代など):200万円ほど
  • 彫刻料:3万~5万円
  • 納骨時の設備人件費:2万~3万円

そのほかに、石材店の立ち合いスタッフに1人あたり3,000~5,000円の不祝儀・心づけなどを用意しましょう。白の無地封筒に新札、もしくは使用感のないお札を入れ、「御礼」と表書きします。

納骨前のタイミングで、お礼を伝えつつ先に渡すとよいでしょう。ただし近年では渡さないケースも多いです。

納骨式の服装マナー

納骨式

納骨式に臨むときの服装のマナーについて解説します。宗教者を招いて行う儀式なので、基本は全員喪服を着用しての参加です。

施主や遺族の服装マナー

法要の際に納骨式も執り行う場合は、施主・遺族は正喪服、親族は準喪服を着用します。

納骨式だけを別の日に行う場合は、喪が明ける一周忌より前の場合は法要と同じ格式を守るのが一般的です。それ以降のケースでは施主・遺族ともに準喪服、参列者は略式喪服と、格式を下げても問題ないとされています。

参列者の服装マナー

参列者は一般的に準喪服を着用します。参列者に対し遺族から「平服で」と案内がある場合、簡易的な礼服である略式喪服を指すので、くれぐれも普段着で参加しないよう気を付けましょう。

近年では喪服のマナーも略式の傾向にあり、施主や遺族がダークスーツやカラーフォーマルを着用する場面も見られます。ただし宗教者に対するマナーとして、極端に略式の服装はおすすめしません。

神式・キリスト式の納骨タイミングと流れ

協会

神式やキリスト式でもそれぞれの教義に沿って、納骨の日取りの目安などが指定されています。タイミングを聞いておきましょう。

【神道】納骨のタイミングと流れ

神道の納骨のタイミングは、多くは「五十日祭」を目安に納骨します。五十日祭までの間にある十日祭から四十日祭まで、10日ごとの儀式は省略する場合が多く、葬儀後の大きな節目として五十日祭が行われます。

すでにお墓がある場合は、火葬祭を執り行った日のうちに、納骨を済ませることも可能です。一方、新しくお墓を作る場合は、百日祭や一年祭に納骨する場合も少なくありません。

神道の納骨式は、献饌(けんせん)・祝詞奏上・玉串奉奠(たまぐしほうてん)・直会(なおらい)・清祓いの儀の順に進めます。

【キリスト教】納骨のタイミングと流れ

キリスト教ではカトリック教会とプロテスタント教会で、納骨のタイミングに若干の違いが見られます。カトリック教会では亡くなってから、7日目と30日目に追悼ミサを開くため、どちらかを納骨日とする場合が多いようです。

プロテスタント教会では亡くなった日から1カ月後の、召天記念日を機に納骨するのが一般的です。ただしお墓の準備が整わない場合は、命日から1年後のミサや、集会で納骨することも少なくありません。

キリスト教では宗教者の立ち合いのもと、石材店が納骨し、黙とう・賛美歌斉唱・聖書朗読・お祈りまでが、おおよその流れです。

しっかり準備して納骨式を迎えよう

お墓に手を合わせる人

納骨はほとんどの場合において、習俗的に四十九日を過ぎてから行われ、ある意味で心の切り替えのきっかけにもなる儀式といえます。できれば法要と一緒に執り行い、故人に縁のある人々とともに納骨式を行いたいものです

納骨式は大きな節目といえるので、取りかかれるところから、順序立ててしっかり準備するようにしましょう。

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監修者:二村 祐輔

日本葬祭アカデミー教務研究室 代表
『葬祭カウンセラー』認定・認証団体 主宰
東洋大学 国際観光学科 非常勤講師(葬祭ビジネス論)

著書・監修

  • 『60歳からのエンディングノート入門 私の葬儀・法要・相続』(東京堂出版) 2012/10/25発行
  • 『気持ちが伝わるマイ・エンディングノート』 (池田書店) 2017/9/16発行
  • 『最新版 親の葬儀・法要・相続の安心ガイドブック』(ナツメ社) 2018/8/9発行
  • 『葬祭のはなし』(東京新聞) 2022年現在連載

など多数

コメント
最近は直葬や家族葬など、小規模な葬儀施行が通念化して、多くの人がなんとなく、お葬式に対しての充足感を失っているようです。そこで「弔い直し」というような風潮も一部出現しました。内々の葬儀で済ませてしまった「悔恨」がその動機にあるようです。後日の納骨式や一周忌への案内を伝え、立ち会っていただくことで、あらためて「偲ぶ会」として節目を共有する機会にしています。これも社会的対応として重要な行いです。