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月桂樹は病気や害虫に注意!対処法や日頃の予防方法も紹介

最終更新日: 2021年06月21日

月桂樹は丈夫で育てやすい植物ですが、害虫や害虫によって引き起こされる病気に注意が必要です。では実際に害が出たらどのように対処するとよいのでしょうか?害虫や病気の種類、そして具体的な対処法、予防方法について見ていきましょう。

月桂樹ってどんな木?

月桂樹

まずは月桂樹がどのような特徴を持っているのかチェックします。見た目の美しさはもちろん、育てやすさの面でも人気の植物です。

美しく育てやすい人気の観葉植物

南ヨーロッパ原産の常緑高木である月桂樹は、とても丈夫で簡単に育てられる植物です。日当たりのよい場所がベストですが、半日陰でも十分に育つため、室内での栽培にも向いています。

注意すべきは乾燥した風に当てないことです。冬の屋外や室内でもエアコンの風に注意しましょう。水切れを起こさないよう土の乾燥具合を確認することも大切です。土が乾いたら、鉢底から流れ出るくらい水を与えます。

月桂樹の葉は「ローリエ」と呼ばれるハーブの一種で、煮込み料理や肉の臭み消しに用いられることでも有名です。自宅で育てている月桂樹の葉を使うときには、乾燥させてから用いるとよいでしょう。

病気や害虫には注意

月桂樹は丈夫で初心者でも育てやすい植物ですが、病気や害虫には注意しなければいけません。月桂樹から漂う香りが「カイガラムシ」「ハマキムシ」「テッポウムシ」などの害虫をおびき寄せるからです。

特にカイガラムシは被害が多い害虫です。排泄物から「すす病」が発生することもあるため、見つけたらすぐに対処することがポイントといえます。

月桂樹に多いすす病について知ろう

丈夫にすくすく育つ月桂樹ですが、すす病にかかることがあるため注意が必要です。すす病はどのような病気なのか、特徴・原因・対処法を紹介します。

黒い斑点ができ全体が黒カビで覆われる

すす病はカプノデウム科に属する糸状菌が原因で発生する病気です。感染すると葉や茎が菌の胞子で覆われます。すすに似た黒い粉末が付いていて、触れると黒い粉末が付くという場合にはすす病の可能性が高いでしょう。

気温が高くなる春から秋にかけて、風通しの悪い環境やほこりがたまる場所で発生しやすい病気です。

カイガラムシなどの排泄物から発症

発症の原因として代表的なのは「カイガラムシの排泄物」です。葉の表面に付着したカイガラムシの排泄物を餌に菌が繁殖することで、すす病が発症します。

そのためすす病の対策をしたとしても、カイガラムシの発生を抑えられないままでは、繰り返し感染し株が弱ってしまいます。カイガラムシ対策をする上では、さまざまな外見や形態の種類がいることに注意しましょう。

例えば白い粉やふわふわの糸状のものをまとっているもの、硬い殻を持つもの、殻と虫の体が別になっているものなどがあります。

対処の鍵は害虫駆除

すす病にかかった月桂樹には、原因となる排泄物を出すカイガラムシやアブラムシなどの害虫が棲み着いている可能性が高いでしょう。そのため株全体をチェックし、害虫が付着していないか確認します。

黒っぽいすす状の粉末が付着した部分を取り除くことも大切ですが、同時に害虫を駆除しなければ、繰り返し感染することが考えられるからです。

カイガラムシは成虫になると殻が薬剤をはじいてしまうため、効果がありません。薬剤を使用するなら5~7月の幼虫の段階で散布しましょう。ただし葉をハーブとして利用するなら、手作業で除去するのが安心です。

また成虫になったカイガラムシは、へら・たわし・歯ブラシなどでこすり落とします。

テッポウムシやハマキムシなどにも注意

テッポウムシ

注意が必要なのは病気だけではありません。幹や葉に被害をもたらす害虫にも注意が必要です。月桂樹に被害をもたらす代表的な害虫である、テッポウムシやハマキムシの特徴と対策をチェックしましょう。

幹の内側から食い荒らすテッポウムシ

テッポウムシはカミキリムシの幼虫です。成虫のカミキリムシは幹の内部に産卵し、幼虫は幹の中で成長します。その際に幹の内部をボロボロに食い荒らしてしまうのです。

幼虫が成虫になるまでは1~2年かかるため、気付かず放置していると大きく成長した木でも枯れてしまうかもしれません。

また幹の根元近くに大きな穴があいている場合には、すでに幼虫が成虫になり出ていっているので、相当のダメージを受けていると考えられます。

葉を丸めて中に棲み着くハマキムシ

葉を丸めて食害する幼虫をハマキムシといいます。チャハマキとコカクモンハマキの幼虫が多く、4~11月にかけて4~5回発生するのが特徴です。

幼虫は丸めた葉の中で越冬するため、そのままにしておくと新芽が出る時期に孵化した幼虫に食べられてしまい、葉や軸にダメージが生じます。

葉を丸められ見た目が悪くなるのもハマキムシの被害といえます。くわえて丸められることで光合成がしにくくなり、小さな株では枯れることもあるでしょう。

見つけたらすぐに駆除しよう

害虫を見つけたらすぐに駆除しましょう。テッポウムシであれば専用ノズル付きの殺虫剤を使用すればOKです。もし食害が進み殺虫剤での除去が難しい場合には、穴から針金を入れて幼虫を取り除きます。

除去後はほかの害虫が侵入しないよう、穴をふさぎましょう。また成虫のカミキリムシを見つけたら産卵されないよう駆除すると予防につながります。

ハマキムシは幼虫や卵を見かけたら付いている葉ごと摘み取り、駆除します。特に丸まった葉の中に隠れてしまうと薬剤で駆除できないため、摘み取って処理するしかありません。

薬剤散布を考えている場合には、孵化した直後のハマキムシに使用しましょう。

病気を防ぐには日頃の管理が大切

ローリエ 月桂樹

月桂樹の病気を予防するには、適切な管理が欠かせません。日頃の管理次第で病気にかかりにくい丈夫な月桂樹に育てられます。

日々のチェックと害虫の駆除を怠らない

まず大切なのは小まめにチェックすることです。何か変わった様子はないか毎日チェックしていれば、変化に気付くでしょう。小さな虫だからと放っておくのではなく、速やかな駆除が大切です。

くわえて予防することも月桂樹の健康な成長に役立ちます。例えばすす病の原因となるカイガラムシ対策として、見つけてから取り除くことだけでなく、幼虫が孵化しやすい5~7月に薬剤散布をしましょう。

テッポウムシも産卵後では対処が難しいため、成虫が飛来しないよう5~9月にかけて殺虫剤を散布します。防虫ネットも用いて虫が入り込まないよう対策する方法も有効です。

定期的な剪定で風通しよく

枝葉が茂り過ぎていると風通しが悪くなり、月桂樹は病気にかかりやすくなります。剪定の適期である4月頃には、密度が高くなっている箇所を剪定しましょう。

月桂樹は芽吹く力が強いため、短く刈り込んでも問題ありません。樹形を整えつつ伸び過ぎた枝や不要な枝を切り取っていきます。

通気性がよくなることで病気予防につながると同時に、月桂樹の成長を促すことにもつながるでしょう。

適切な施肥と日当たりの確保で弱らせない

肥料が足りず栄養不足の状態になると、弱った部分に害虫が付き病気にもつながりやすくなります。そこで夏と冬に油かすと化成肥料を混ぜたものを与え、肥料切れによる生育不良が起こらないようにするのです。

日当たりを確保することも重要なポイントです。半日陰でもよく育つ月桂樹ですが、病気予防のためには日当たりのよい場所が向いています。日光によく当たることで、幹や枝が丈夫に育ちやすくなるでしょう。

大切な月桂樹を病害虫から守ろう

ローリエ 月桂樹

丈夫で育てやすい月桂樹ですが病害虫には注意が必要です。幹の中を食い荒らすテッポウムシや、葉を丸めて食害を起こすハマキムシのほか、すす病の原因になるカイガラムシにも注意しなければいけません。

害虫を見つけたら速やかに駆除することはもちろん、予防も大切です。薬剤散布や防虫ネットを活用し、害虫を月桂樹に近寄らせないようにしましょう。

病気予防には剪定や日当たりの確保、適切な施肥が大切です。ポイントを押さえたお手入れで、月桂樹を美しく健康に育てられるでしょう。