春先に花を咲かせるスノードロップは、雪の中でも成長する寒さに強い植物です。繊細な見た目ながら害虫に強く、お手入れもしやすいため初心者にも育てやすくおすすめです。
スノードロップを育てるときの注意点や、栽培環境を確認しましょう。
寒さに強いスノードロップとは
スノードロップは、名前の通り雪のように白い花を咲かせる植物です。まだ寒い春先から楽しめるスノードロップの特徴を解説します。
スノードロップの基本情報
植物名 | スノードロップ |
学名 | Galanthus |
科名/属名 | ヒガンバナ科/ガランサス属 |
原産地 | ヨーロッパ |
開花時期 | 2~3月 |
花の色 | 白 |
花言葉 | 慰め、希望 |
スノードロップはヒガンバナ科ガランサス属の多年草です。下を向いた白い花を一輪だけ咲かせる、繊細でかわいらしい見た目が特徴です。
日本では「待雪草(マツユキソウ)」や「雪の花(ユキノハナ)」とも呼ばれ、春を知らせる花として知られています。
寒さに強いものの暑さには弱く、花が枯れた後は茎も枯れて休眠期に入ります。夏を越え冬になると再び球根から芽が出るのです。
植え付けた後は頻繁に手入れをする必要はなく、初心者でも育てやすい植物といえるでしょう。
花言葉は「慰め」「希望」
スノードロップの花言葉は「慰め(なぐさめ)」と「希望」です。アダムとイヴを慰めるために、天使が雪をスノードロップに変えた伝承が由来です。
スノードロップには「あなたの死を望みます」という意味があるといわれていますが、それは間違いです。
イギリスには「亡くなった遺体にスノードロップを置くと、雪になって散ってしまう」という言い伝えがあります。
この言い伝えから、スノードロップの怖いイメージが広がったのでしょう。怖い意味はまったくないので、安心してくださいね。
代表的な2つの品種
スノードロップにはいくつか品種がありますが、ここでは2つの品種を紹介します。
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エルウェシー種
日本でポピュラーな品種です。球根のサイズが大きいため、海外では「ジャイアント・スノードロップ」とも呼ばれています。
日本でスノードロップといえば、トルコが原産地であるエルウェシー種を指すことが一般的です。エルウェシー種は乾燥にも強いことから、多くの園芸店で販売されています。
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ニヴァリス種
日本では流通が少ないものの、スノードロップを代表する品種です。ヨーロッパの寒い地域で栽培されており、咲き方や形もさまざまな園芸用の品種が多数存在します。
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スノードロップとスノーフレークとの違いは?
名前も見た目も似ている「スノードロップ」と「スノーフレーク」の違いを紹介します。注目すべき点は、①開花時期 ②草丈 ③花の特徴です。
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スノードロップ
開花時期 | 2~3月 |
草丈 | 15cm前後 |
花の特徴 |
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スノーフレーク
開花時期 | 3~5月 |
草丈 | 30~40cm |
花の特徴 |
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スノードロップの栽培に適した環境
庭や鉢植えでスノードロップを育てる際は、土作りにも注意が必要です。スノードロップが好む環境や、植え方のポイントを紹介します。
スノードロップが好む栽培環境
スノードロップはまだ寒い時期に芽を出すため、冬から春にかけては日当たりのよい場所を好みます。耐寒性があるため雪や霜があっても問題なく成長するのが特徴です。
花が枯れて休眠に入った夏場は、日光があまり当たらない涼しい日陰で育てるとよいでしょう。
地植えの場合、葉が落ちる秋以降は日当たりがよく、夏場は日陰にもなる落葉樹の下に植えるのがおすすめです。
鉢植えで育てる場合、冬場は鉢を外に置き、夏場は風通しのよい日陰に移動させるとよいでしょう。
水はけのよい用土がおすすめ
スノードロップを植える際は、水はけのよい用土を選びましょう。腐葉土に軽石やパーライトをブレンドしたり、少量の化成肥料を加えたりするのがおすすめです。
市販の用土を利用するなら、「球根用」や「野菜用」の培養土が適しています。地植えの場合は、あらかじめ土を掘り返し腐葉土と緩効性の肥料を混ぜ込んでおくとよいでしょう。
スノードロップの球根を植える方法
スノードロップの球根を植える方法について詳しく紹介します。
間隔を空けて浅く植えるのがコツ
球根を植えるときは最低でも5cmほどの間隔を取り、浅めに植え付けましょう。深さも地上から5cmあたりがベストです。
スノードロップは小さな花を一輪ずつ咲かせるため、球根の間隔を空けすぎると見た目が寂しい印象になってしまいます。植え付けの時期は、気温が下がり始める8月下旬〜10月上旬です。
水栽培もおすすめ
スノードロップは水栽培(水耕栽培)としても楽しむことができます。水栽培は「球根をガラス容器に入れ、水だけで育てること」をいいます。
土は不要なので非常に衛生的で、見た目もおしゃれです。大きさやデザインによって異なりますが、水栽培用のガラス容器は1,000円程で購入できます。
球根の選ぶポイント
球根を選ぶポイントは3つあります。
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店頭ではなくインターネット通販で球根を買う方は、信頼できるお店のサイトかどうかも見極めましょう。
口コミ評価を確認したり、種苗専門メーカーから買ったりするのがおすすめです。
スノードロップの育て方
毎日のお手入れにそれほど気を配らなくてよいのもスノードロップの魅力です。水やりや植え替えなど、育てる際に気を付けたい点を解説します。
水やり
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鉢植えの場合
土の表面が乾いたのを目安にたっぷりと水を与えます。花が咲き終わったら、休眠に向けて水の量を減らしていきましょう。
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地植えの場合
雨水だけでも成長するので水やりの必要はほぼありません。
肥料
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元肥(植え付け時に与える肥料)
緩効性化成肥料を少量与えましょう。量の目安は規定の1/3~1/2です。元肥の時期は、植えつけと同じ8月下旬~10月上旬です。球根用や野菜用の培養土を使う方は、元肥をする必要はありません。
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追肥(追加で与える肥料)
開花時期が過ぎる4月頃に追肥をしましょう。肥料は液体肥料がおすすめです。
花がら摘み
花が枯れた後は「花がら摘み」を行いましょう。花茎の根元から取り除くことで、病気の予防にもつながります。種を作る前に花がらを摘み、球根を元気に保ちましょう。
夏越し対策はしっかりと
スノードロップは暑さに弱いです。きちんと対策をしましょう。
鉢植え | 日中は、風が通る日陰に移動させる |
地植え | 土にワラやビニールを敷く「マルチング」をする |
球根は乾燥をすると痛むので、掘り出さず土の中で夏越しをさせてください。やむを得ず掘り出す場合は、涼しい場所で保存しましょう。
スノードロップを育てる際の注意点
スノードロップを育てるときに知っておくべき注意点を紹介します。
毒性のある球根に注意
スノードロップの球根には「アルカロイド」という成分が含まれており、強い毒性を持っています。体内に入ると、下痢や嘔吐(おうと)といった症状を引き起こすのが特徴です。
土に植えて育てるだけなら影響はありません。しかし、ペットや小さな子どもが球根を掘り返し、口に入れてしまう危険性があります。
子育て中の家庭やペットを飼っている家は、球根の管理に気をつけてくださいね。
注意すべき病気は「灰色かび病」
スノードロップは病害虫に強い植物ですが、湿度が高いと「灰色かび病」にかかる危険性があります。病気にかかると、葉や花が灰色のかびだらけになります。
灰色かび病にかからないためには、湿気に気をつける必要があります。
鉢植えであれば軒下の風通しのよい場所に移動し、梅雨時期に葉や茎に水が付かないようにしましょう。
地植えの場合は、枯れた葉や花を定期的に摘み取り、日当たりと風通しをよくしましょう。
スノードロップを植え替えるタイミング/増やし方
スノードロップを植え替えるタイミングや球根を増やす方法について、一緒にみていきましょう。
球根の植え替えるタイミングと方法
スノードロップの球根は乾燥に弱く、頻繁な植え替えには適していません。地植えの場合は、植え替えを行う必要はなく、植えっぱなしで問題ありません。
鉢植えの場合は、植えてから年数が経つと球根が増えてきます。鉢が窮屈になったと感じたら、植え替えを行いましょう。目安は3年に1回です。
植え替えの時期は、休眠期である夏以降の8月下旬〜9月上旬がおすすめです。
【植え替える手順】
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掘り出す際は、球根を傷つけないよう注意してくださいね。
増やしたい場合は分球がおすすめ
スノードロップを増やしたいなら、分球を行うのが効果的です。球根を掘り出してみると、下のほうに小さな子球(しきゅう)が付いていることがあります。この子球を外して植え付けることで、新たな株が増えるのです。
子球が1cmほどのサイズに成長していれば、乾燥しないように別の用土や鉢に植え付けましょう。2年ほど後に、子球が成長して芽を出し始めます。
子球がそれほど育っておらず小さければ、分球をせず親球と一緒に植え替えましょう。種をまくよりも早く花が咲くのが、分球のメリットです。
スノードロップは春を告げる植物
まだ肌寒い初春に開花するスノードロップは、雪の残る中でも成長する寒さに強い植物です。他の植物があまり芽を出していない時期だからこそ、白と緑のかわいらしい花は印象的に映るでしょう。
スノードロップは多年草なので、一度植えると小ぶりな花を何年にもわたって楽しむことができます。害虫に強く頻繁に水をやる必要がないため、育てやすいのもメリットです。
分球を行うことで、手軽に株を増やすこともできます。季節の移り変わりを楽しみたいなら、スノードロップを育ててみてはいかがでしょうか。
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