木蓮を育てており、枝の伸び過ぎを解消したいけど「どう剪定したらいいのかわからない」と悩んでいる方が多いのではないでしょうか。木蓮の枝は伸びやすく、正しい剪定をしないと花が咲きません。


最悪の場合は、枯れてしまうこともあるので剪定は定期的に行う必要があります。この記事では木蓮の剪定方法や剪定を行う時期、注意すべきポイントについて紹介していきます。
モクレン(木蓮)の剪定に適した時期
花を楽しむ落葉樹であるモクレンは、花後の剪定と休眠期の剪定を組み合わせて行います。花をたくさん咲かせるには、花芽が形成される前の時期か、葉が落ちて花芽の位置がわかりやすい時期に剪定するのがポイントです。
5月下旬~6月:花が咲き終わった後の剪定
モクレンの開花時期は3月~5月上旬ごろです。6月下旬ごろには翌年咲く花芽の形成が始まるので、5月中旬~6月にかけて、花後剪定を行いましょう。
この時期には花芽がついていないため、翌年の花付きをあまり気にすることなく剪定ができます。
また、モクレンは葉よりも先に花が咲き、開花中に葉が出てきます(ハクモクレンの場合は花が咲き終わってから)。葉が生い茂る前であれば、枝の切り戻しや大幅な透かし剪定など、強い剪定をしても大丈夫です。
11~1月:休眠期の剪定(春夏に剪定しなかった場合)
木蓮は落葉樹ですが、冬はすでに翌年に咲く花芽をつけているので、花芽形成前である花後すぐの剪定がおすすめです。
ただし花後剪定を行わなかった場合は、休眠期である11~1月に剪定しても構いません。元々剪定に適した時期なので、花芽がつかなくなった枝や大きくなりすぎた枝の切り戻しなどの強剪定もできます。
花芽の位置を確認しながら、花芽を残すように意識して不要な枝を剪定しましょう。
モクレン(木蓮)の基本的な剪定方法
木蓮の剪定は、花が咲き終わった後6月ごろまでに以下の手順で行います。
春~夏に剪定しなかった場合は、落葉樹の休眠期である冬に剪定することも可能です。
ただしこの時期は翌年の開花に向けてすでに花芽がついています。花芽を残すようにしつつ、不要な枝を切る程度にとどめましょう。
①主幹を1~3本残してひこばえを切る
木蓮はひこばえが出やすい樹種です。単幹仕立てにする場合は1本、株立ちで育てる場合は3本の主幹を残して、新しく伸びてきたひこばえは地際から切り取りましょう。
②不要な枝や古い枝をつけ根から切る
枯れた枝や樹形を乱す不要な枝、古くなった枝を剪定して取り除きましょう。
カサカサに乾いていたり、樹皮の中まで茶色く変色している枝は枯れています。枯れ枝を放置すると病気や害虫の原因になるので、最優先で取り除きましょう。
次に、以下のような生え方をしている不要な枝を切り落とします。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は切り取る
木蓮の木のボリュームをおさえるには、新しく伸びた枝と同じ量の古い枝をつけ根から切り落とし、木全体の葉の量を制限しましょう。
③長い枝を切り戻す
長く伸びた木蓮の枝にはほとんど花芽が形成されません。花が咲いた後から伸びてきた、新しく短い枝の先端につきます。
根元から5~6芽を残して、枝の途中で切り戻し、そこから新しい短枝が伸びてくるのを促しましょう。
④高くなりすぎたら主幹を切り戻す
木蓮は種類によっては10mを超える大木になります。大きくなりすぎたら、高さ2~3mになるように、枝分かれしている部分で主幹を切り戻しましょう。
⑤枝の切り口に癒合剤を塗る
病原菌や害虫が侵入しないように、剪定が終わったら枝の切り口に癒合剤を塗りましょう。断面のゴミを取り除いて、切り口全体に薄く均一に塗り広げます。
癒合剤を使ったほうが良いのは以下のケースです。
- 枝の切り口が大きいとき(直径3cm以上)
- 主幹から直接生えた枝や近い枝を切り落としたとき(3cm以内)
- 病気になりやすい木(サクラ、果樹など)
基本的には自然にはがれ落ちるので、塗った後はそのままにしておいて大丈夫です。
モクレン(木蓮)をうまく剪定するコツ
写真に切る枝を事前に収めておく
木蓮の剪定をする冬は葉がない状態なので、どれくらい葉が混みあっているのか、わかりにくいです。剪定時に葉がある時の状態を確認できるように、葉が生い茂っている6月頃に、写真を撮っておきましょう。写真があれば剪定時の参考にでき、どこを剪定したらいいのか、わかりやすくなります。
写真で確認しながら剪定作業を進めると、花が咲く枝の剪定を防げます。感覚で枝を切ってしまうと、間違えて花芽がたくさんついてる枝まで切ってしまう可能性があるので注意が必要です。木蓮は花を楽しむ植物です。花を楽しむためにも、必ず夏の間に写真を撮って、花牙がついている枝を残せるようにしましょう。
全体のバランスを見て剪定する
樹木の剪定は、自然に生えているような樹形を目標に行います。そのためには、常に全体を見ながら剪定をすることが大切です。
数か所の剪定をしたら、木から離れた少し遠いところから全体のバランスを見てください。
左右対称に切らない
剪定するときは左右対称に切らないよう注意しましょう。木蓮の花を美しく魅せるのであれば、左右対称にしないほうがバランスが良くなります。また左右対称にしない目的は見栄えだけではありません。
左右対称の樹形だと、日当たりや風通しが悪くなり、木の健康に良くないのです。日当たりや風通しは、木が健康に育つために大切なことで、害虫予防にもつながります。剪定時に左右対称にしないことで、見栄えと木蓮の健康が両立できます。
モクレン(木蓮)の剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
モクレン(木蓮)のお手入れのポイント
剪定以外にも、木蓮を育てるうえで気を付けたいポイントを紹介します。
害虫がいたらすぐに対処が必要
剪定中に害虫を見つけたら放置せず、すぐに駆除することが大切です。害虫を放置したままにすると、葉を食害されるだけでなく、木が病気になってしまうことがあります。病害虫は木蓮の成長を妨げ、枯れる原因にもなるので、必ず駆除しましょう。
木蓮に付きやすい害虫:カミキリムシ

カミキリムシは幼虫が木の幹に入り込み、木の内部を食い荒らします。木蓮の根元に木くずが落ちていたら、カミキリムシの幼虫が住み着いている証拠です。
食い荒らされた幹は剪定して、薬剤を撒いて予防します。薬剤の中には、毒性の強いタイプの薬剤があるため、成分を確認してから使用してください。使用するときは、薬剤の注意事項を守りましょう。
木蓮に付きやすい害虫:カイガラムシ

カイガラムシは、白い見た目が特徴です。木蓮の幹の表面に住み着き、ときにはびっしりと大量のカイガラムシが発生していることがあります。カイガラムシから出る排泄物が「すす病」を引き起こす原因になります。
すす病とは、すす病菌と呼ばれるカビの一種が葉の表面で繁殖する病気です。繁殖すると葉が黒くなってしまい、光合成や水の蒸散ができなくなります。最悪の場合は、木が枯れてしまうことも。
カイガラムシは貝殻のような厚い皮に守られており、薬剤は効きません。そのため手で取るしか駆除方法がありません。
剪定後は肥料を与えよう
剪定後は切られた部分の成長を補おうとするので、一時的に木蓮が弱りやすい状態になります。場合によっては枯れる可能性があるため、肥料を与えてしっかりケアをしてあげましょう。
与える肥料の量は、多くても少なくても良くありませんので注意が必要です。与える量が少ないと効果が出ませんし、逆に肥料が多いと浸透圧(しんとうあつ)の関係で木蓮の水分が土の中に流れ出てしまい肥料やけをします。肥料やけをすると、さらに木が弱ってしまうので適量にしましょう。
肥料によって適量が異なるため、説明書を読んで適量を確認してから肥料を与えてください。
モクレン(木蓮)の剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。庭に植えている木蓮の場合、2~3mであることが多いので、1本あたり2,900~3,600円が目安です。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
庭木の剪定をプロに依頼するには、まず自宅に訪問してくれる近くの庭師を探す必要があります。
「ミツモア」では、地域で活躍する植木屋・庭師をかんたんに見つけられます。
「依頼内容」「希望の日程」「作業場所」などの質問に答えると、最大5社から自動であなたにカスタマイズされた見積もりが届きます。
見積もりの料金や口コミ評価を比較して、気になる庭師に剪定を依頼してみましょう。正式な依頼前に、チャットで疑問点を相談することもできます。
自動の見積もりをもらうだけなら無料でできるので、自宅の庭木の剪定料金を確認してみてはいかがでしょうか?