濃紺の小さな実が特徴的なブルーベリーは食べられることはもちろん、見た目の可愛さからも庭木として人気です。適切な剪定と害虫対策を行えば、初心者でも失敗せずに育てられるのでオススメできます。
本記事では剪定の時期や方法、害虫対策などを紹介します。
ブルーベリーの剪定時期は12~2月と7~9月の2回
ブルーベリーの剪定は12~2月の冬剪定と7~9月の夏剪定の年2回行います。どちらも透かし剪定を行いますが、冬剪定では夏よりも強めに剪定し、春の生長をさらに促進させます。またブルーベリーが幼木のときと成木のときでも、剪定方法が若干異なるため注意しましょう。
花芽の数を適切に管理しながら剪定を行えば、安定した収穫量を期待できます。剪定する時間がない、あるいは切りすぎてしまわないか不安といった人はプロに依頼してみるのもオススメです。
ブルーベリーの剪定に必要な道具
- 剪定用手袋
- 剪定ばさみ
- 剪定用ノコギリ
剪定用手袋
ブルーベリーを剪定する際は剪定用の手袋を必ずつけましょう。剪定をしている際に枝が刺さってケガをしたり、毛虫に触れたりすることで皮膚がかぶれてしまうことがあります。とくにイラガという害虫に刺されると、20分ほど痛みや痒みに襲われて大変です。そのため手袋はもちろん長袖も着用して、なるべく肌を露出させないよう気を付けましょう。
剪定ばさみ
ブルーベリーのような細い枝を剪定するなら剪定ばさみが便利です。ペンチのような形をしており、切る際に握りこんで使う形状が多く、力が伝わりやすいように設計されているので、女性の方でも軽く握るだけで剪定できます。
握りの部分やサイズは多種多様にあるため、手の大きさに合わせて選ぶと良いでしょう。
剪定用ノコギリ
ブルーベリーは冬に強剪定のために太い枝を切ることがあります。剪定ばさみで切れないような枝は剪定用ノコギリを使って切り落としましょう。
剪定用のノコギリは角材を切るような大きいノコギリではなく、軽量で持ち運びがしやすいので、脚立に乗りながら太い枝を切るときにも役立ちます。また折り畳み式や電動式、ピストル式といった剪定ノコギリもあるので、自分にあったものを探すと良いでしょう。
ブルーベリーの剪定方法
冬剪定では春に向けて強めに剪定を行い、枝数や花芽が増えるよう多めに枝を剪定します。夏は花芽の数を調節しながら軽く剪定します。やり方は初心者でも問題なく行えますが、心配であればプロにとよるのもオススメです。
【冬剪定】枝を多めに剪定する強剪定のやり方
12~2月の冬は太い枝を育て、ブルーベリーの実りが良くなるように強い剪定を行います。軸となる主幹を3~5本ほど選び、それ以外のひこばえや成長を邪魔する枝を切り取っていきましょう。また夏剪定と同様に風や光が木々の中に入るように剪定することも大切です。
冬にかけて新しく生えた枝は3分の1ほど切り戻し、さらに新しく枝が生えるよう誘発させましょう。
【夏剪定】不要な枝を切り落とす透かし剪定のやり方
ブルーベリーは樹形を整えるために7~9月の夏にも剪定を行います。まずは春に伸びすぎた不要な枝を取り除く透かし剪定を行い、徒長枝や絡み枝、ひこばえなどを取り除いていきましょう。ただし枝先にはすでに花芽ができているため、切ってしまわないよう注意してください。花芽を切るとブルーベリーの実ができなくなってしまいます。
不要枝の種類 | 見分け方 |
---|---|
①腹切枝 | 幹と交差する太い枝。 |
②交差枝 | 他の枝と交差してしまっている枝。 |
③平行枝 | 複数の枝が平行に伸びてしまっているもの。 |
④車枝 | 枝の一部から多数の枝が出ているもの。 |
⑤懐(ふところ)枝 | 幹付近から伸びた弱々しい枝。害虫の温床になりやすい。 |
⑥ヤゴ・ひこばえ | 樹木の根元から生えてくる枝。 |
⑦下がり枝 | |
⑧からみ枝 | 枝が絡み合ってしまっているもの。 |
⑨徒長(とちょう)枝 | 真上に伸びすぎてしまった枝。雨風で折れやすい。害虫の温床にもなりやすい。 |
⑩かんぬき枝 | 主幹を挟んで左右対称に生えている枝。樹形のバランスを考え、どちらか一つを剪定する。 |
⑪逆さ枝 | 幹に向かって生えているもの。 |
樹形を乱すように長く飛び出している枝は20cmほど切ると樹形がコンパクトな状態を維持できます。また冬剪定のように多くの枝を剪定しすぎると葉の数が減り、光合成がしづらくなってしまうため、剪定をしすぎないよう気を付けましょう。
植えてから1~2年は花芽を落とし、樹形づくりに専念する
ブルーベリーを植えてから1~2年ほどはあえて花芽を全体の半分程度、切り落としましょう。花を咲かせないことで、ブルーベリーの枝や根の生長に専念できます。また花芽を落とすと下の葉芽から枝が新しく生えてくるので枝数が増えます。2年目も同様に枝数を増やせば充実した株になり、3年目以降のブルーベリーの収穫量が安定して増えるでしょう。
ブルーベリーを剪定するときの注意点
ブルーベリーを剪定する際、花芽や株立の更新について注意しなければならないことが2点あります。特に花芽に関することは今後の実つきに関わってくるためよく確認しておきましょう。
3年目から花芽のついた枝を切り落としすぎないようにする
1~2年目はブルーベリーの株を充実させるため花芽を切り落とし、株の主枝を育てたり、枝数を増やすことに集中させます。3年目以降はブルーベリーの収穫を行うため、花芽を切らないようにしましょう。
花芽が多くついている枝は花芽が3つ程度になるように切ると、養分が分散せず甘くておいしいブルーベリーができるためオススメです。
「サッカー」は切り「シュート」は数本残す
ブルーベリーは地中の浅い部分に根を張り横方向へ伸ばしていきます。「サッカー」はその横に張った根が地表の光を感じると生えてくる新しい枝です。本体と離れているため一般的には見つけ次第、取り除きます。
シュートは本体の幹から勢いよく出てくる枝のことで、基本的には取り除きますが残して育てる場合があります。4~5年ブルーベリーを収穫した古い枝は実つきが悪くなってくるため、地際から切って、シュートを株立ちの一本として育てます。こうして株を更新し続けることで、安定した量のブルーベリーを収穫できるでしょう。
ブルーベリーのお手入れ方法
ブルーベリーを美味しく育てるには肥料や摘果などいくつかのコツがあります。
養分バランスの良い肥料肥料を年に2回与える
ブルーベリーは5~6月と9~10月の2回肥料を与えます。肥料は窒素、リン酸、カリがバランス良く配合されたものを選びましょう。よくわからない場合はブルーベリー専用の肥料を買えば失敗しにくいです。
摘果をしてブルーベリーの質をあげる
ブルーベリーがたくさん実るとうれしいですが、大量に実ると樹が弱ってしまうことがあります。元気な実に栄養をなるべく集中させるため、ブルーベリーが熟して色づく前の段階で、生長が悪い実は摘み取ってしまいましょう。
ブルーベリーの病気・害虫対策
通常、果樹は病気や害虫の被害を受けやすいですが、ブルーベリーはその中でも比較的、被害に遭いにくく、初心者にもオススメできます。害虫や害鳥の被害を受けないように、あらかじめ対策する方法を解説します。
ヒヨドリによる被害はネットで防止
ブルーベリーを育てていて気を付けなければならないのは鳥害です。他の果物と比べてサイズが小さいうえ糖度が高いので、ヒヨドリやムクドリ、スズメなどに狙われてしまいます。また餌場と認識されてしまうと、花も食べられてしまい実すら育たなくなってしまうケースもあります。
鳥害対策でも最も即効性があるのは防鳥ネットでブルーベリーを完全に囲うことです。年中囲う必要はなく実が成り始めているがまだ収穫はしないときなどにかけると良いでしょう。ムクドリやヒヨドリ対策なら25~30㎜ほどの網目のネットを張るのがオススメです。
コガネムシの幼虫は防草シートやマルチングで対策
ブルーベリーの害虫による被害の大半はコガネムシによるものです。特にブリジッタやオニール、ヌイといった品種は被害に遭いやすく、対策が必須でしょう。
コガネムシの幼虫はブルーベリーの根を食べて枯らしてしまいます。しかし地植えの場合は地面を掘り返して駆除するなどは不可能に近いため、そもそも卵を産み付けさせないように工夫するのが大切です。
ブルーベリーの根元に防草シートやウッドチップでマルチングし、コガネムシの卵を産ませないよう守ることができます。鉢植えの場合は鉢植えを交換する際に見つけ次第、手で取り除きましょう。
毛虫やイラガなどは見つけ次第捕殺する
毛虫や毛虫の仲間であるイラガを見つけたら捕殺しましょう。イラガに刺されると痛みと痒みで、長い間苦しむことになるため、手袋を忘れずにつけてください。
またイラガを放置していると集団発生し、大きくなると木全体に広がり、葉がすべて食べられてしまいます。幼虫の初期段階であれば集団で行動しているため、その時点で確実に駆除しましょう。
業者にブルーベリーの剪定を依頼する場合の費用相場
剪定を業者に依頼する場合、費用の算出方法は2パターンあります。
日当制の場合は職人の単価×日数で金額が計算されます。日当制の相場は1日あたり1万5000~2万円です。職人のレベルや経験によって単価は大きく異なるのでチェックしておきましょう。
単価制の場合1本あたりの木の大きさで料金が変わります。たとえば高さ3m以下なら1,000~5,000円が相場です。
ブルーベリーの剪定に困ったらプロに依頼を
「ブルーベリーの剪定が手に負えなくなった」「樹形を整えたいが翌年の実付きが心配」といった方はプロに依頼して剪定をしてもらうのがオススメです。依頼者は労力と時間の節約になるうえ、ブルーベリーに大きな負荷を与えてしまう心配も少ないでしょう。
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