シャラの木(ナツツバキ)は、ツバキ科ナツツバキ属の落葉広葉樹です。 夏には椿に似た白い花を咲かせ、秋には美しい紅葉を楽しませてくれます。


シャラの木は自然に樹形が整うので、若いうちはほとんど枝を剪定する必要はありません。木が大きくなり、枝葉が混み合ってきたら、剪定を行う必要があります。
この記事では、剪定の時期や手順について紹介します。
シャラの木の剪定時期は11月~3月上旬と6月
落葉樹であるシャラの木の剪定は、休眠期にあたる11~3月上旬をメインに、必要に応じて6月にも行いましょう。
11月~3月上旬:樹高や樹形を調整する
11月~3月上旬はシャラの木が休眠している状態なので、剪定をしてもダメージを比較的抑えることができます。
短い枝についている花芽を避けながら、横に飛び出した枝や地際の小枝などをつけ根から切り取りましょう。
また芯止めをする場合もこの時期がおすすめです。シャラの木は生長が早いため、幹が太くなる前に樹高を決めて切り取りましょう。幹が高くなりすぎている場合は根元で切り、新しく伸びてくる幹で樹高を調整します。
6月:不要な枝を間引く
開花期~開花後の時期にあたる6月は、日当たりを良くし、花芽に養分が行きわたるように混みあった枝や古い枝を切り落とします。
飛び出して樹形を乱す枝や古くて枯れている枝、地際から生えているひこばえなどをつけ根から切り落としましょう。
枝を途中から切ることを繰り返しているとダメージが蓄積し、7~8年で枯れてしまうことがあるため注意しましょう。
シャラの木の剪定方法
シャラの木の剪定手順は下記の通りです。
1.花芽を避けながら不要な枝を切る
次に、以下のような生え方をしている不要な枝をつけ根から切り落とします。このとき、花芽を落とさないように注意します。
細かい枝をちょこちょこと切っていると、数年で木全体が枯れてしまう場合があります。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は切り取る
2.真横に伸びた枝を切る
シャラの木は枝が横向きに生える性質があるため、放置すると、樹形が横に広がります。
広がりすぎないように、横に張り出した枝を木の内側に近い枝の分かれ目で切り、枝が上に向かって伸びるよう調整しましょう。
太い枝の場合は一度に強剪定せず、徐々に切り戻してください。
3.幹の下部に生えた枝を切る
シャラの木の見た目を保つために、幹の下部(地面から60cm程度までの高さ)に生えてきている小枝をすべて切り落としましょう。
4.樹高を抑えたい場合は芯止めを行う(必要な場合)
シャラの木が高くなりすぎてしまった場合、幹が太くなる前に芯止めを行いましょう。
高くなりすぎた幹は地際から切り、新しく伸びた幹に切り替えて樹高を抑えるのがポイントです。
5.枝の切り口に癒合剤を塗る
病原菌や害虫が侵入しないように、剪定が終わったら枝の切り口に癒合剤を塗りましょう。断面のゴミを取り除いて、切り口全体に薄く均一に塗り広げます。
癒合剤を使ったほうが良いのは以下のケースです。
- 枝の切り口が大きいとき(直径3cm以上)
- 主幹から直接生えた枝や近い枝を切り落としたとき(3cm以内)
- 病気になりやすい木(サクラ、果樹など)
基本的には自然にはがれ落ちるので、塗った後はそのままにしておいて大丈夫です。
シャラの木を剪定するときの注意点
シャラの木を剪定するときの注意点について紹介します。
これらの注意点を守らないと、健康状態に影響を与えるだけでなく、花付きにも悪影響を及ぼす可能性があります。
切り口は丁寧に手入れする
剪定するときの切り口は丁寧に処理してください。
シャラの木は、治癒力が比較的弱く、大きな傷の回復に時間がかかるため、傷口からの腐朽が進みやすい性質があります。
また、雑な切り口になっていると病害虫の侵入口となってしまいます。
正しい切り口の作り方
- 枝の付け根から切る
- かさ上がりにならないよう、幹に平行に切る
- 切断面は平滑にして、裂けるのを防ぐ
- 大きな枝を切る場合は、途中で裂けないよう段階的に切る
切り口の適切な処理方法
- 切断直後は、癒合剤を塗布する
- カビや腐敗の兆候が見られたら早めに対処する
枝数が少ないので剪定しすぎに注意する
シャラの木は枝数が少なく、一度切った枝の再生に時間がかかるため、一度にたくさん剪定すると枯れてしまう原因になります。
過度な剪定は樹勢の衰えを招くため、注意が必要です。
剪定量の目安
- 一度の剪定で全体の20%以上は切らない
- 主要となる枝は極力残す
- 数年かけて徐々に理想の樹形に近づける
- 生育状況を見ながら剪定量を調整する
剪定の優先順位
- 枯れ枝や病害虫被害枝を優先的に除去する
- 込み合った部分は少しずつ間引く
- 樹形を大きく乱す枝を処理する
- 細かな整枝は最後に行う
クチナシの剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
シャラの木のお手入れ方法
シャラの木は適切なお手入れをすることで、その美しさを十分に引き出すことができます。
水やり
シャラの木は季節によって水やりの頻度が変わります。
植え付け初期は、土が乾かないよう1日1回水やりを行い、定着後は季節にもよりますが週2〜3回程度を目安に水やりを行いましょう。
春期(3月〜5月)
- 新芽の成長期なので、土が乾燥しないよう注意して水やりを行う
- 朝か夕方の涼しい時間帯に水やりを行う
- 花芽形成期は特に水切れに注意する
夏期(6月〜8月)
- 早朝か夕方に葉水も含めて十分な水やりを行う
- 真夏は土の乾燥が早いため、1日1回は水やりを行う
秋期(9月〜11月)
- 紅葉期は夏期に比べて水やりを控えめにする
- 過湿は根腐れの原因となるため注意する
- 落葉後は水やりを減らす
冬期(12月〜2月)
- 凍結を避けるため、水やりは午前中に行う
- 1週間に1回の水やりを基本として行う
肥料
シャラの木は基本的に肥料を与えなくても問題ないです。
もし与える場合は、2月頃に寒肥として油かすと腐葉土・堆肥などをまきましょう。
木が弱っている場合は、8~9月頃に緩効性肥料を与えるのもおすすめです。
植え付け
植え付けは時期と場所が大事です。
植え付け時期
- 最適期:3月下旬〜4月上旬(春植え)
- 次善期:10月下旬〜11月中旬(秋植え)
- 真夏と真冬は避ける
植え付け場所
- 日当たり:明るい日陰〜半日陰
- 土質:水はけが良く、肥沃な土壌
- スペース:成長を考慮して周囲に余裕を持たせる
- 風通し:強風を避けられる場所
植え付け手順
1.植穴は根鉢の1.5倍程度の大きさに掘る
2.底部に軽く堆肥と元肥を混ぜ込む
3.根鉢を崩さないよう丁寧に据え付ける
4.支柱を立て、樹木を固定する
5.たっぷりと水を与える
植え付け後の管理
- 2週間程度は毎日水やりを行う
- 根付くまで施肥は控えめにする
- 風で揺れすぎない程度に支柱を調整しておく
- 土が沈んだ場合は適宜補充する
シャラの木の病気・害虫対策
シャラの木がかかりやすい病気や害虫について紹介します。
病気:灰色かび病
症状
- 花や新芽が灰色のカビで覆われる
- 感染部が褐色に変色して腐る
- 湿度が高い時期に発生しやすい
予防&対策
- 適切な剪定で通風を確保する
- 過密植栽を避ける
- 早朝の水やりを控える
- 感染部位は速やかに取り除く
- 殺菌剤を散布する
- 樹勢回復のために肥料を与える
病気:葉枯病
症状
- 葉に褐色の斑点が発生する
- 斑点が徐々に拡大していく
- 重症の場合、葉が枯れて落葉する
予防&対策
- 落ち葉を放置しない
- 排水性を改善する
- 定期的に殺菌剤を散布する
- 感染部位は速やかに取り除く
- 肥料と水やりで樹勢を維持する
害虫:チャドクガ
特徴
- 白い毒針毛を持つ毛虫
- 集団で発生する傾向がある
- 人体にも刺激性(痒み)がある
発生時期
- 春期(4〜5月)
- 秋期(9〜10月)
対策
- 早期発見が重要
- 防除の際は必ず手袋を着用する
- 専用の殺虫剤を使用する
害虫:アオドウガネ
特徴
- 金属光沢のある緑色の成虫
- 葉を食害する
- 夜間に活動が活発になる
発生時期
- 6月〜8月が最盛期
対策
- フェロモントラップを設置する
- 夕方以降に薬剤を散布する
- 幼虫期(土中)の防除を行う
害虫:カミキリムシ
特徴
- 幹や枝に穴を開ける
- 木屑が排出される
- 樹勢の低下を招く
発生時期
- 成虫は5〜8月に活動
- 幼虫は年間を通じて材内に生息する
対策
- 定期的に樹幹を観察する
- 予防的な殺虫剤の塗布を行う
シャラの木を病害虫から守るためには、定期的な観察と剪定が大事になります。
剪定を行うタイミングで、枝葉や地際の確認をしっかり行いましょう。
シャラの木の剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
庭木の剪定をプロに依頼するには、まず自宅に訪問してくれる近くの庭師を探す必要があります。
「ミツモア」では、地域で活躍する植木屋・庭師をかんたんに見つけられます。
「依頼内容」「希望の日程」「作業場所」などの質問に答えると、最大5社から自動であなたにカスタマイズされた見積もりが届きます。
見積もりの料金や口コミ評価を比較して、気になる庭師に剪定を依頼してみましょう。正式な依頼前に、チャットで疑問点を相談することもできます。
自動の見積もりをもらうだけなら無料でできるので、自宅の庭木の剪定料金を確認してみてはいかがでしょうか?