車のタイヤは様々な理由で劣化しますが、放置すると非常に危険なため、交換が必要です。安全な走行のために、劣化したタイヤの危険性とタイヤ交換のタイミングを把握しましょう。寿命の延ばし方や交換方法についても解説します。
タイヤの劣化を放置する弊害
タイヤは摩耗や空気抜け、硬くなるなど徐々に劣化するものです。そのまま放置すると、振動や騒音で乗り心地が悪くなるだけではなく、様々な危険をもたらします。
スリップの危険性が高まる
タイヤの劣化を放置してしまうと、雨の日にスリップする可能性が高くなり危険です。
摩耗で溝が浅くなったタイヤの場合は、排水効果や摩擦力が低下します。雨天や積雪、凍結など路面状態が悪い日は、スリップ事故が起きやすくなり危険です。
タイヤは柔らかなゴムでできた溝が地面をつかみ、そのグリップ力で滑らずに走る仕組みです。劣化したタイヤの場合は、ゴムが硬くなることによりスリップの危険性が高まります。
道路運送車両法違反になる
溝が減り、スリップサインが出ている状態のタイヤで道路を走行すると、道路運送車両法違反に該当します。道路運送車両法にて、乗用車のタイヤの溝は1.6mm以上なくてはならないと明記してあるためです。
乗用車で溝の残りが1.6mm未満のタイヤで走行した場合、整備不良となり道路運送車両法の取り締まり対象になってしまいます。違反点数が加算され、罰金の支払い義務も発生するため、注意が必要です。
浅い溝のタイヤが法律違反にあたるということは、当然車検にも通りません。普段からタイヤの溝をチェックする習慣をつけましょう。
参考:国土交通省「道路運送車両保安基準」第89条4の二
車のタイヤ交換時期とは?
劣化してきたタイヤは交換が必要です。見た目や使用期間、走行距離で交換時期が判断できます。こちらでは、タイヤの交換時期について見ていきましょう。
スリップサインが出ている
タイヤ交換の目安として、スリップサインをチェックすることがあげられます。
タイヤの側面には何か所かに三角印が描かれており、その延長線上の溝の奥をよく見ると、ゴムが盛り上がっているところがあります。それがスリップサインです。
溝が1.6mmになると、スリップサインとタイヤの地面に接地する面が同じ高さになります。この状態になったら、速やかにタイヤ交換が必要です。
スリップサインはあくまでも目安です。「現在1.6mmギリギリでスリップしやすい状態ですよ」というお知らせなので、スリップサインが出る前にタイヤ交換をすることをおすすめします。
使用開始から5年以上経過している
たまにしか車に乗らない人の場合、タイヤの摩耗は遅くなります。そのためスリップサインが出るまでに、何年もかかるでしょう。しかしスリップサインが出ていなくても、タイヤの使用開始から5年以上経過したら交換が必要です。
タイヤはゴムでできているため、経年劣化でゴムの特性が変化し、新しいときは柔らかかったタイヤが徐々に硬くなっていきます。すると溝が残っていてもグリップ力が落ち、ハンドリングやブレーキなどの操作に影響を及ぼします。
タイヤは使用開始後、5年を目安に交換しましょう。一般のタイヤよりも柔らかいスタッドレスタイヤは、3年が目安です。
走行距離が30,000kmを超えている
タイヤの交換時期はスリップサインと使用年数以外に、走行距離を目安にすることもできます。
メーカーや商品、使用状況によって変動しますが、タイヤは一般的に約5,000km走ると1mm摩耗するといわれています。
新品のタイヤの溝はおよそ8mmです。道路運送車両法で定められている1.6mmまで6.4mmの幅があります。6.4mm×5,000km=32,000kmとなるため、走行距離が30,000kmを超えたら交換のタイミングです。
タイヤの寿命を見極めるコツ
タイヤ交換は交換時期だけではなく、タイヤの寿命を見極めることも必要です。経年劣化だけではなく、外的要因により新品のタイヤでも寿命が短くなってしまうことがあります。こちらではタイヤの寿命を見極めるコツを見ていきましょう。
タイヤの製造年を確認する
タイヤの製造年は、側面に刻まれた4桁の数字でわかります。上2桁は製造された週、下2桁は製造年です。例えば「4221」と書いてある場合、「2021年の42週目、つまり10月ごろに製造された」とわかります。
しかしこの数字はあくまでも製造年です。製造から時間が経ってしまったタイヤを購入していた場合は、ズレが生じます。
新品なのに製造から時間が経ったタイヤを購入しないためにも、製造年の確認方法を覚えておきましょう。
ひび割れ、亀裂をチェックする
タイヤの寿命を見極めるために、タイヤにひび割れや亀裂が入っていないか確認する方法があります。
経年劣化で硬くなったタイヤには、ひび割れや亀裂ができます。直射日光にさらされて乾燥することも、タイヤにひび割れや亀裂が入る原因の一つです。
新しいタイヤでも、悪路走行や異物を踏んで空気圧が不足しているなどの理由で、ひび割れや亀裂が入ることがあります。
タイヤの外側はゴムでできていますが、内部には合成繊維や鉄線などの「タイヤコード」が入っています。
ひび割れや亀裂をそのままにしてタイヤコードまで達してしまうと、パンクやバーストの原因になり、非常に危険です。バーストとは走行中にタイヤが破裂する現象のことで、大事故につながる可能性があります。
タイヤの変形に注意する
タイヤのチェックをする際は、スリップサインや亀裂・ひび割れの確認だけではなく、変形にも注意しましょう。
本来タイヤはドーナツのような綺麗な円形です。しかし劣化や空気圧管理の不備、偏摩耗により変形してしまうことがあります。縁石のような段差に乗り上げるなどの激しい衝撃も、変形の原因になるため、新しいタイヤでも注意が必要です。
タイヤは変形し始めると元に戻りません。そのままにしておくと、異音がしたりハンドルを取られたりなどの症状が現れます。バーストしてしまう可能性もあるため、非常に危険な状態です。
タイヤの変形を見つけたらすぐに業者に見てもらうか、新しいタイヤに交換するなどの対処をしましょう。
日常点検を心掛ける
車に乗る前に、タイヤにひび割れや亀裂がないか、変形していないか、スリップサインが出ていないか確認することを心掛けましょう。
また月に1度は空気圧の確認も必要です。整備工場やガソリンスタンドで見てもらうことができます。車の指定空気圧は、ドア周りもしくは給油口フタの裏側に貼ってあるシールに書いてあるので確認しましょう。
多くのガソリンスタンドでは無料で空気圧の点検を行っていますが、中には有料にしているところもあります。見てもらう前に確認すると安心です。
また、セルフスタンドには自分で点検・空気の充填ができるところもあります。器具の種類によって使用方法が異なるため、最初はスタッフに確認しながら行うと良いでしょう。
タイヤの異変をすぐ見つけるために、上記のような日常点検を心がけるようにしましょう。
タイヤの寿命を延ばす方法
タイヤは適切な保管と定期的なメンテナンスで、劣化や摩耗を遅らせることができます。こちらでは、タイヤの寿命を延ばす方法を見ていきましょう。
直射日光が当たらない環境に保管する
タイヤを長持ちさせるためには、保管方法にコツがあります。
タイヤはゴムでできているため、直射日光や炎天下にさらされると、劣化が早まります。そのため、気温25度以下で直射日光が当たらない場所に保管することがおすすめです。特に冬用のスタッドレスタイヤは柔らかいため、気を付けましょう。
タイヤを保管する際の置き方は、タイヤ単体でもホイール付きでも横積みにしてください。保管期間が半年程度なら気にする必要はありませんが、長期間保管する場合は一番下になるタイヤに負担がかかるため、定期的に上下をローテーションさせましょう。
ホイール付きの場合は、保管中ゴムやコードに負担がかかることを避けるため、空気圧を適正値の半分程度に調整する必要があります。
タイヤをローテーションさせる
一般的に、リヤタイヤよりもフロントタイヤの方が摩耗が早い傾向にあります。またフロントタイヤはハンドルを切ると向きが変わるため角が、リヤタイヤは向きが一定のため中央の溝が減りやすいです。
タイヤの摩耗を均等にするために、5,000kmを目安にタイヤをローテーションしましょう。
FF車の場合は、前輪の左右を入れ替えずに後輪へ、後輪は左右を入れ替えて前輪へ交換します。FR車は、後輪の左右を入れ替えずに前輪へ、前輪は左右を入れ替えて後輪へローテーションします。
前輪と後輪の入れ替えのみを指定しているタイヤもあるため、あらかじめ確認が必要です。タイヤをローテーションすることによって摩耗が均一になり、タイヤの寿命を延ばすことができます。
車のタイヤ交換を行う方法
工具と時間がある場合、自分でタイヤ交換を行うことで工賃を節約できます。逆に時間を節約したい、自分で交換することに自信がない場合は、業者に依頼することがおすすめです。自分に合った方法でタイヤ交換を行いましょう。
自分でタイヤ交換する
作業場所と工具が確保できれば、自分でタイヤ交換をすることができます。タイヤ交換に必要な工具は、ジャッキ・十字レンチ・輪止め・空気圧計・軍手です。タイヤ交換の手順を解説します。
- 交換するタイヤの対角線上にあるタイヤに輪止めをかける
- 交換するタイヤのホイールに付いているナットを十字レンチで緩める
- ジャッキアップしタイヤを地面から2~5cmほど浮かせる
- 2で緩めたナットを外してタイヤを車から外す
- 新しいタイヤを取り付けて均等にナットを締める
- 車を下ろしてナットを締め増しする
- 空気圧を確認する
- 走行して不具合がないか確認する
ジャッキアップポイントと空気圧は、車種によって異なります。タイヤ交換をする前に、確認しておきましょう。
業者に依頼する
自分でタイヤ交換を行うためには、工具を揃える必要があります。作業に慣れていないと、着脱やバランス調整に手間取ってしまい、時間がかかってしまうでしょう。
工具がない場合や自分でタイヤ交換することに自信がない場合、時間がない場合は、業者に依頼することがおすすめです。
タイヤ交換を依頼すると、タイヤ1本ごとに工賃がかかります。タイヤのサイズや業者によって工賃が大きく変わるため、事前に見積もりを取りましょう。
ミツモアなら簡単な質問に回答するだけで、最大5社の自動車修理・整備業者から無料見積もりが届きます。チャットで質問することができるため、納得できる業者選びが可能です。
劣化したタイヤは必ず交換しよう!
劣化したタイヤのまま走行することは、スリップやバーストの可能性があり非常に危険です。また、スリップサインが出るほどすり減ったタイヤは、道路運送車両法違反に該当します。
安全に走行するためには日常点検を心がけ、タイヤの溝の残りや亀裂・ひび割れ、変形がないかチェックすることが必要です。タイヤの劣化に気づいたら、必ず交換しましょう。
車のタイヤ交換のプロに見積もりを依頼しよう!
ミツモアでは豊富な経験と知識を持ったプロに車のタイヤ交換の見積もりの依頼ができます。まずはプロに相談をしてみてはいかがでしょうか?