インターネットショップ、商品カタログは写真が売り上げを大きく左右します。”売れる”商品写真の撮影テクニック、コツをプロカメラマンのMphotoが伝授いたします!
”売れる”商品写真はプロ並みの機材や撮影セットが使われているから?と、思われるかもしれませんが、自宅でも再現は可能です。
初心者でも簡単にできる一眼レフカメラの設定や俯瞰撮影の方法、手軽にスマホで商品撮影をするポイントやコツもご紹介します。
商品撮影のコツ1)照明の当て方
ここでのメインライトはこの世界で一番大きな照明を使います。
それはずばり太陽です。
プロの商品撮影のライティングはストロボや定常光など、人工的なライティングを作る照明機材を使って撮影しますが、それは細かい調整をするためです。
クライアントの要望に応えるためには必要な作業ですが、ここでは太陽光のみで撮りたいと思います。
コツを抑えておけば、アパレル、雑貨や反射を抑えたパッケージ写真など様々なものが太陽光で撮れます。
LEDのライト、例えばスタンドライトやシーリングライト、スポットライトなどで、太陽光と同じ色もしくは似たような色があれば使っても構いません。ただし、影が二つ出ないようにしましょう。
※光には色があり、違う色の光を混ぜるのは基本的にNGです。光の色を混ぜないことも、商品撮影のテクニックの一つです。
基本1.商品撮影のライティング「自然光の当て方」
① 悪い例 | ② 良い例 |
|
|
基本的に商品撮影の照明「自然光」の当て方は前からではなく、斜め後ろくらいから当てましょう。
① 悪い例
①写真のように前から光を当てると、全体に光が均等にあたり立体感がないフラットな印象になります。さらには前からの光は被写体の後ろに影を落とします。この影は内臓ストロボで撮っているように人工的で、まるで暗い場所で撮影しているような印象になります。
さらには①はiphoneのライトを使って色温度をミックスしています。
前からライトをあてると、フラットになっていて四角い形がよくわかりませんね。色温度も違う光をミックスしているので、光の色がバラバラになり色が安定していません。太陽光は白に対してiphoneのライトは黄色っぽいですね。
② 良い例
②の写真は太陽光一発で撮りました。。色が安定し形がよくわかります。影の流す方向は、被写体の後ろではなく、前斜めに流します。
後ろの方から光をあてることで写真全体が明るくなります。そして木箱の見えている三面がすべて違う明るさになっているのもポイントです。
上面が一番明るく、前面は二番目に明るく、側面が暗く落ちている。この明るさの違いが、見ただけで形を伝えるということです。
これが商品撮影の光の方向とあて方です。
基本2.商品撮影にかかせないディフューザーとレフ版の使い方
①ディフューザー
続いてはディフューザーとレフ版です。ディフューザーとは、拡散版のことです。
ディフューザーは光の前にかざして光を均等に拡散させることで光を柔らかくします。光が柔らかいということは影も柔らかくなるということです。
今回の撮影セットで使うのは窓についたレースのカーテンです。
①はカーテンなしで撮影。影が濃く写ります。
②はレースのカーテンを閉めて撮影しました。カーテンは光を弱めてくれます。
ただ側面が暗すぎると感じた場合はレフ版などで抑えましょう。
※補助光として、白熱電球や白色蛍光灯の色が太陽光と似ている場合は使っても大丈夫です。その場合はトレーシングペーパーなどのディフューザーを使って光の固さを調整し、影が二つにならないようにしましょう。
②レフ版
前面をレフ版で抑えると、前面が明るくなりました。
このようにして影の固さを調整することが大切です。
ちなみにレフ版はなんでもいいです。自分はハレパネを使って適当な大きさに切りました。それだけです。
自分はこのようにハレパネを切って、自立するようにしました。これはダンボールに紙を貼っても同じです。紙は白ければなんでもいいです。
コピー紙をダンボールに貼り付けてもいいし、紙ではなくアルミホイルでもOK。アルミホイルの場合はより固い光を反射させることができます。
また黒い紙を貼って、光を回らなくさせる(光を切る)こともできます。影を濃くして陰影を調整するのです。
レフ版を含めた詳しいセッティング方法については後述します。
基本3.商品撮影のライティングで反射を抑える方法
パッケージの反射を抑えるポイント
|
続いては商品撮影のライティングで反射を抑える方法ですが、ここではパッケージの俯瞰撮影を想定します。
パッケージは大体クシャッとなっていて乱反射を起こしやすいものです。白い筋のような光がたくさん入っているとパッケージ写真として美しくないですよね。
それに大事なラベルの一部分が光ってしまって文字が読めないなんてこともあります。商品撮影の照明の当て方一つで、劇的に反射を抑えることができます。
①の写真のようにラウンド面にライティングを直接あてると、そのラウンド部分が光ってしまいます。ですのでラウンド面に直接あてずに上からあてます。
ここでは照明を動かすのではなく商品をくるくる回します。テカらないところを探しましょう。
②の写真はテカリが消えて商品の中身がみやすくなりました。
ディフューザーをつかい反射の強さを抑え、光をラウンドさせないことが反射を抑えるコツです。
さらに詳しくは、商品撮影のライティング記事でご紹介しています。
自然光や撮影のためのライティングの準備はやっぱり難しいと感じたら、プロに撮影を依頼するのもおすすめです。
商品撮影のコツ2)背景の選択とセッティング方法
物撮りの基本の背景は白です。白は商品の色や形をわかりやすくみせてくれます。
ではその白をどのようにセットすればいいのか、お話しします。壁とテーブルを利用して、簡単にセットが作れますよ!
まず背景色についてです。
商品撮影の背景色は白、黒、グレーなどがありますが、基本は白にしましょう。白背景で撮った商品撮影は基本であり、わかりやすいので。黒背景は時計やアクセサリーなど光るもの、後宮に見せたい場合などに有効です。
では、次に素材を選びます。素材は紙、木目、布、アクリル版があります。一つづつ見ていきましょう。
背景の選択と素材
1.紙 | 100円ショップで売っている紙でOK 。 |
2.木目 | 白い木目調の背景素材。ホームセンターに壁紙として売っています。 |
3.布 | 布はドレープなどを入れると高級感を演出。ジュエリー向き。 |
4.アクリル板 | 鏡のように反射して、清涼感が出ます。 |
さらに詳しい解説は物撮り背景の記事でご紹介しています。
背景のセッティング方法
さて、背景の素材を選んだら次はセッティング方法です。ここでは紙を選択しました。
まず窓からの大きな光が半逆光になるような位置にセットします。
ポイントは白壁でなるべく囲むことです。右壁と背景壁も白ですので光が回って全体が明るくなります。
窓はディフューザーになるカーテンをかけて光を柔らかくしています。
背景紙はセットペーパーを使いました。
このセットペーパーはロール状になっていてとても長いです。その背景紙を持ち上げてカーブを作り、壁に白いテープで貼り付ければアールの背景の出来上がりです。
高さがなければアールにする必要はありませんが、後ろの壁は被写体に色を被せてきます。木箱の上面に特に影響があるので、念のためアールにしておきました。
※バッグなど高さがある商品はアールにしたほうがよいかもしれません。
そしてレフ版を置きます。これで光の調整も可能です。
商品撮影に重要なアングル(角度)
アングルのポイント
|
商品撮影のセットが完了したらアングルを決めましょう。アングルの基本は斜俯瞰です。人が物を見るときの一般的な角度といえると思います。
アングルが決まったら、三脚を立てて安定した撮影をしましょう。
商品を大きく見せたい場合はローアングルで撮影してもいいかもしれません。ただこの木箱の場合はローアングルだと上面が見えなくなります。やはり箱ものは三面が見えた方がいいので斜俯瞰で撮りました。
商品の歪みをなくすため、ズームで撮影するのが基本ですが、ズームで撮影するとフォーカスを合わせた部分以外のボカしが強くなります。
そのため、F値が開放(2.8や4などレンズの最小F値のことを開放といいます)に近くなればなるほど、さらにボケが激しくなり商品に隈なくピントがきていない状態になります。
従って商品に隈なくピントがきている状態にするためには、F値を11〜16まで絞り込む必要があります。
絞りの説明(補足)
F値の数値を大きくすることを絞り込むといいます。レンズ自体を前からのぞいてみると、F値が大きい時は、レンズ羽根の穴が小さくなっているはずです。その絞り込んだ状態の時は、ピントが手前から奥まできます。それをパンフォーカスといいます。
やはり商品はパンフォーカス、つまり手前から奥までピントがきている状態が基本です。
ですので、ズームでF値を11〜16くらいにしてシャッタースピードもしくはISOで明るさを調節しましょう。
商品画像の背景の作り方はこちらの記事から
背景をセッティングして、カメラのアングルを決める。やっぱり難しい・・・と、思われたら。プロに依頼してみましょう。
商品撮影のコツ3)カメラの選択と設定方法
カメラはiphone?コンデジ?一眼レフ?あなたはどれをお使いになりますか。
それぞれに異なる注意点やメリットがあります。設定方法や仕組みを理解することも撮影には大切なことです。
【スマホ・コンデジ・一眼レフの設定】
スマホ | コンデジ | 一眼レフ | |
F値 | オート | 8 | 11or16 |
露出補正 | オート (タッチパネルをスライド) |
プラス0.3 | マニュアル |
ISO感度 | オート | 100 | 100 |
ホワイトバランス | オート | 太陽、またはオート | 太陽、またはオート |
シャッタースピード | オート | スロー(1/2等) | スロー(1秒等) |
自分にとって最適なカメラを選びましょう。
ここからはカメラごとに見ていきます。まずはスマホから!
スマホ撮影の設定と注意点
【スマホ撮影のポイント】
|
スマホはマニュアルで操作はできません。タッチパネルで操作します。
タッチパネルを押した箇所が適度な明るさになるように露出補正してくれますので、アングル等が決まって三脚で固定したら、露出を決めましょう。機種によっては、タッチパネルをスライドで露出の調整ができます。試してみましょう。
グリッドを出して置くと水平が撮りやすいです。
商品が正方形で撮れる場合は、スクエアモードで撮ることをおすすめします。
色調フィルターは「なし」をおすすめします。それは色のコントラストを抑え、後から加工がしやすい色調を確保しておくためです。
コンデジ撮影の設定と注意点
canonのs120を例にあげてみます。
【コンデジの撮影のポイント】
|
コンデジはイメージセンサーが小さいです。となるとISOを上げてもすぐにノイズが出てしまいます。ですので感度は100でスローシャッターを使いましょう。
その時セルフタイマーを使うと、ブレを防ぐことができます。意外とシャッターを押した衝撃でブレてしまうことがあるので注意が必要です。
コンデジでもきっちり撮れば綺麗に仕上げることができます。
広角で近づいて撮影すると商品が遠近法でゆがむので、なるべく離れてズームで撮りましょう。
一眼カメラの設定と注意点
【一眼レフ撮影のポイント】
|
基本的な考え方はコンデジと同じですが、やはり画像に余裕があるので安心感があります。F値も16くらいまで絞れば、パンフォーカスで撮ることができます。
商品撮影は光の反射や角度が、少しズレただけで全く違う印象になります。商品撮影の機材の準備として三脚はもちろんのこと、ブロアーや白いテープなどを用意しておきましょう。
商品別の撮影テクニック【洋服、小物、アクセサリー】
それでは商品ごとのコツをみていきましょう。
ここからは応用編です。
基本は白バックですが、ここでは白に限らず商品イメージが伝わりやすいような背景を取り入れました。
洋服、小物、アクセサリーなど使用イメージが伝わるような写真にしていきましょう。
ポイントごとに紹介していきますね。
洋服
【洋服の商品撮影のポイント】
|
さらに詳しい洋服撮影のコツはこちらの記事でどうぞ
アクセサリー
白い布で撮影。高級感を演出した。
【アクセサリー撮影のポイント】
|
時計
【時計撮影のポイント】
|
腕時計の写真撮影のコツはこちらの記事から
関連記事:カッコよく撮る!腕時計写真の撮り方~スマホでインスタ映えのコツ |
化粧品
【化粧品撮影のポイント】
|
化粧品撮影のコツはこちらの記事から
小物
【小物撮影のポイント】
|
化粧品撮影のコツはこちらの記事から
モデル、トルソー、平置き撮影の見せ方の違い
ネットショップ、カタログ等の洋服の商品撮影はバリエーションがあります。それがモデル、トルソー、平置きです。
どれも洋服の良さを伝えるための写真ですが、見せ方に違いがあります。その違いを理解しておくと、商品をどのように撮ればいいのかが決まってきます。
モデル
【洋服の商品撮影のポイント】
|
【トルソー撮影のポイント】
|
平置き
【平置き撮影のポイント】
|
このようにそれぞれにメリットとデメリットがありますので、商品やターゲットにあった撮影を選択する必要があります。
洋服、アパレル関係の記事はこちらから
商品撮影の料金相場
商品撮影の料金相場は、どこにどのように頼むかで大きく変わります。
撮影の代行業者に委託するのか、写真スタジオに持ち込むのか、商品撮影のカメラマンに頼むのかで変わってきます。
当然カメラマンの拘束時間やカット数、データで受け渡すのかプリントして受け渡すのかによっても変わってきます。
商品撮影・物撮りの相場
40,000円
標準相場
26,000円
リーズナブル
65,400円
プレミアム
大まかな価格変動の要素の例↓
- キリヌキ撮影なのかイメージ撮影なのか
- 小道具はレンタルなのかどうか
- アパレル撮影などでスタイリストはつけるのかどうか
- 完全にお任せにする
- その場で自分も確認したい
- 出張しにきてほしい
- スタジオに自分が行きたい
- 外スタジオをレンタルするのかどうか
など、様々なケースがあると思います。
商品撮影を代行業者に委託する
商品を送って撮影をしてもらうのが代行業者です。商品1点の撮影価格が抑えられて、低価格でスピーディーな撮影をしてもらうことが可能です。
撮影に立ち会えないことが多いので、商品のイメージが正確に伝わるか、撮影者との綿密なコミュニケーションが必要となります。商品を送付しただけで、撮影をお任せしてしまうとイメージから離れて仕上がってしまうことがあります。
写真スタジオに持ち込んで商品撮影
物撮り専門の写真スタジオも多く存在します。
そこでは1カットでいくらといった計算方法もありますが、1時間いくらといった料金プランもあります。
実際に商品を持ち込んで撮影してもらえば、その場で商品イメージの確認もできますし、カメラマンと話しながら進めることも可能です。
イメージにこだわりがある方には、直にやりとり出来るほうがいいかもしれませんね。
商品撮影のプロカメラマンを探す
スタジオで探すのではなくカメラマンを探す方法もあります。
カメラマンによってはスタジオを持っていたり、ロケーションでの撮影が得意だったり、自然光撮影やストロボ撮影など、
様々な得意分野があります。
自分の商品イメージを伝えて、密にやりとりができるのも特徴かもしれません。
商品撮影を専門とするカメラマンを探すならこちらから
ミツモアで物撮りカメラマンに依頼しよう!
ミツモアには、物撮りカメラマンとして、広告、通販カタログ、ネットショップ用の写真撮影を専門に手がけているプロが多数登録されています。
思わず購入したくなるような素敵な商品写真で、ネットショッピングの売上アップにお役立てください。
「やっぱりプロに頼んでよかった!」「プロの物撮り写真は全然違う!」という声をたくさんいただいております。