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形見分けって何?意味から方法、注意点や生前の形見分けまで解説

最終更新日: 2021年11月15日

「形見分け」は、故人が愛用していた品物を親戚や友人など、故人が生前に親しかった人に分けることです。いざやろうと思っても馴染みがなく、具体的なルールや注意点が分からないですよね。

ここでは形見分けの意味や時期の他に、形見分けの際の注意点やマナーを紹介します。

形見分けとは?【意味、遺品整理との違い、時期、対象人物】

アクセサリー

そもそも形見分けとは何でしょうか?形見分けの意味や時期など、形見分けを実施するうえで必ず知っておいて欲しいことを以下の表にまとめました。それぞれについてこの後詳しく解説します。また紛らわしい遺品整理との違いについても説明しています。

形見分けの意味 故人が愛用していた品物を、親戚や友人など生前に親しかった人に分けること
任意?それとも義務? 任意
時期 仏教:四十九日法要後
神教:三十日祭もしくは五十日祭
キリスト教:宗教上の時期はない
誰が 法定相続人
誰に 故人が生前に親しくしていた家族や親戚、友人
何を 衣服やアクセサリー、日用品といった、故人が生前に愛用していたもの
どうやって贈る? 遺産分割協議が終わってから包装せずに贈る

形見分けの意味

形見分けは、故人が愛用していた品物を故人が生前に親しくしていた親戚や友人に分けることです。「形見」とは故人を思い出すより所となる品のことです。そのため故人が日頃から身に付けていた物や、愛用していた物が形見分けの対象となります。

形見分けは日本独自の風習で、昔は衣類を形見にすることが一般的だったことから、「袖分け」「裾分け」と呼ぶ地方もあります。

なお形見分けの実施は任意であり、必ず行わなければならないものではありません。遺産相続・遺産分割と違い、法的な拘束力がないからです。

遺品整理・遺産分割との違い

形見分けとよく混同されるのが「遺品整理」や「遺品分割」です。紛らわしいですが、これらには明確に違いがあるので理解しておきましょう。

遺品整理 残された遺品を整理して、処分するか残すか決めること
遺産分割 故人が残した財産価値のあるものを、相続人で分割し、相続すること
形見分け 故人が残した遺品の中で財産価値のないものを故人と生前親しかった人で分けること

遺品整理→遺産分割→形見分けの順で行うのが一般的です。形見分けは、遺品の中で財産としての価値がなく遺産分割の結果残った物を、故人と親しかった人に形見として分けることと言えます。

関連記事:遺品整理の費用相場は?安くするためにできること・業者の選び方を紹介

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時期は宗教によって異なる

形見分けの時期は宗教によって異なります。

宗教 形見分けの時期 理由
仏教 四十九日法要後 忌明けの法要に相当するため
神教 三十日祭もしくは五十日祭 忌明けの法要に相当するため
キリスト教 宗教上の時期はなし 遺産相続という法的な観点で最長3か月以内だが、一般的には一か月以内

形見分けは日本の風習なので、仏教と神教では忌明けの法要後と明確な時期がありますが、キリスト教では決まった時期がありません。そのためキリスト教では遺産相続の法的な範囲内で行うのが良いでしょう。

形見分けは誰が誰に声をかけるべき?

形見分けは法定相続人が主導し、故人が生前に親しくしていた家族や親戚、友人に声をかけて形見を贈ります。

法定相続人とは、法律によって遺産相続すると決められている人のことです。法定相続人になれる人は法律で決まっていて、以下のように順位も決まっています。

相続の順位 故人との関係 法定相続人になれる状況
常に法定相続人 配偶者 常に法定相続人
第1順位 子ども(亡くなっている場合は孫) 常に法定相続人
第2順位 両親(亡くなっている場合は祖父母) 子供や代襲相続人がいない場合
第3順位 兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥、姪) 両親、祖父母がいない場合

形見が不要な人も居るので、親族が集まったタイミングで形見が欲しいかどうか聞いておくと安心です。関係性の分からない人から声をかけられた場合は、必ず相続人全員の同意を得てから形見を贈りましょう

また法定相続人の定義から、義理の家族が形見分けを主導するのはあまり望ましくないと言えます。義理の家族が故人と親しくない場合は無理に形見を贈る必要もありません.

ただし遺産相続を放棄した場合であっても、財産価値のないものであれば形見分けが可能です。遺産相続を放棄したけど形見は欲しい場合は、法定相続人の許諾を得てから形見をもらうようにしてください。

形見分けの品は何がある?

反物

形見分けの品は様々ですが、受け取る側が喜ぶものを贈るようにしましょう。また現金を贈ることは可能ですが、いくつかの点に注意してください。

衣類やアクセサリー、日用品が一般的

形見分けでは故人が愛用していたものとして、衣服や着物、アクセサリーを贈ることが多いです。時計や筆記用具といった日用品を贈ることもあります。以下のことに注意して贈りましょう。

  • 衣服:クリーニングして渡す
  • 着物:クリーニングして渡す、数珠入れなどにリメイクするケースも増えている
  • アクセサリー:好みやサイズもあるので迷惑にならない物を渡す、リメイクもあり
  • 日用品(時計、万年筆など):故障していないものを渡す、必要であればメンテナンス・クリーニングする
  • 写真・ビデオ:無理に押し付けないようにする

形見分けで現金を贈ることは可能!ただし注意が必要

形見分けに現金を贈ることは可能です。受け取った側は形見分けとして受け取った現金を大切に貯金したり、ずっと使うことのできるアクセサリーや家具を買ったりすると良いでしょう。ただしトラブルを避けるため、贈る側は以下の2つ点に注意してください。

相続税・贈与税に注意

形見分けとして財産価値があり、高価なものは相続税と贈与税の対象となります。対象となった場合、形見分けを受け取った側が税金を納める必要があるので、財産価値をしっかり調査してから形見分けを行いましょう。

遺産分割協議を先にする

故人が残した現金は、法的には全て法定相続人に受け取る権利があります。遺産分割協議を完了し、法定相続人に分割された状態で形見分けをしましょう。また故人の意向を尊重するう場合や遺産分割後の相続人個人のお金の場合は、遺産分割協議について注意する必要はありません。

受け取る側の気持ちを考慮して形見分けをしよう

形見分けの際は、贈る相手の年齢や好みを考えて何を贈るか考えましょう。贈ったものを気に入らなかった場合、処分しようにも遺品であることから心理的にハードルが高く、受け取り手が困るケースも考えられます。

事前に形見を受け取りたいか調査して、「要らない」と言われた場合は無理に贈らないようにしましょう。

形見分けの注意点

指摘をする女性

形見分けをする際にはこれから紹介する6つの点に気を付けてください。

形見分けは遺産分割協議を終わらせてから

形見分けは必ず遺品整理、遺産分割協議を終わらせてから行いましょう。故人の遺品は法定相続人全員の物なので、法定相続人であっても1人の判断だけで処分を決めることはできません。

また形見分けの最中に財産価値のあるものが見つかってトラブルに発展することがあります。そのようなトラブルを避けるためにも、遺品整理・遺産分割協議を終わらせてから形見分けに取り組みましょう。

故人の目上の人には贈らない

故人の目上の人に形見分けをすると失礼と見なされてしまいます。そのため特に申し入れがない場合を除いては、目上の方に形見を贈るのは避けましょう。

高価なものは贈らない

形見分けで高価なものを贈ってしまうと、相続財産と見なされて贈与税の対象となってしまうので気を付けてください。

贈与税は、個人から年間110万円を超える財産をもらった場合、もらった個人が負担する税金です。受け取り手に思わぬ負担が発生しないよう、高価なものを形見分けするのは避けてください

形見分けすべきものは大切に保管しよう

形見分けの品は、一見ゴミに見えるが思い出が沢山詰まっている大切な物であることが多いです。思い出を知らない他の人が誤って処分してしまわないよう、形見分けすべきものは他の場所に移すなどして大切に保管し、正常に形見分けが行われるようにしましょう

遺品は綺麗にしてから贈ろう

形見分けの遺品は、必ずクリーニングやメンテナンスをしてきれいな状態にしてから贈ってください。時計などの機械類は、きちんと動作するかきちんと確認し、動作しない場合は修理してから渡すことが大切です。また衣類や着物であればクリーニングは必ず行いましょう。

絵画や掛け軸などの特殊な品物の場合、破損していたら専門の業者に修理を依頼する必要があるので、予算と時間に余裕をもって相談・依頼しなければなりません。

包装は不要

形見分けはプレゼントではなく、あくまで遺品なので、包装せずに贈ります。手渡しできるのであれば包装をしないでそのまま渡すか、半紙などの白く簡易な紙で包んで贈るのが良いです。

遠方で郵送が必要な場合は、傷んだり壊れたりしない程度の最低限の包装で済ませましょう。

形見分けを受ける側のマナー

黒いスーツを着た女性

形見分けを贈る側があれば受ける側もあり、人と人とのやり取りになるため、当然マナーも求められます。遺品と言う故人と遺族にとって大切な品物だからこそ、受け取る側としても正しいマナーを知っておくことが大切です。

故人にとっても受ける側にとっても、良い形見分けになるようにしっかりマナーを把握しておきましょう。

基本的には形見分けを受け取るのがマナー

形見分けは故人やご遺族のためにも、受け取るのが一般的です。どうしても受け取れない場合は、理由を丁寧に説明し、しっかり納得してもらった上でお断りしましょう。

要らない場合は処分するのではなく、事前に断ろう

形見分けが要らない場合は、受け取りを拒否することもできます。拒否しても形見分けの習慣上、故人や遺族に対して失礼には当たりません。受け取って処分するより、先に断っておいた方が良いです。

「形見分けをいただけるのは嬉しいですが、見るたびに故人を思い出してつらくなるので、お断りさせてください。」「私は普段使うことがないので、日頃から良く使う、ふさわしい方にお譲りください。」などの言い回しを使って断ると角が立ちません。

どうしても処分する必要がある場合はお焚き上げがオススメ

形見分けでもらった品物は、基本的には処分しない方が良いです。どうしても手元に置けなくなった場合は処分することも可能ですが、故人が大切にしていた遺品なので第三者に譲ったり現金化することはやめましょう。

処分する際は、神社でお焚き上げしてもらうことをオススメします。お焚き上げは、神社やお寺で品物を燃やして浄化・供養する儀式です。故人にお焚き上げしてもらった物を届けることができるので、形見分けの処分にピッタリでしょう。

形見分けのお礼は不要

形見分けを受け取った際、お礼は不要です。お礼が不要な理由は、そもそも形見分けは不慶事、つまり嬉しくない出来事であるからです。嬉しくない出来事に対してお礼をしているということになり、不謹慎であるというイメージからお礼をしない慣習が根付いています

。形見分け自体が日本独自の文化であ宗教や地域による違いもあるので、ケースバイケースで対応するのが良いでしょう。

生前に形見分けをするという選択肢も

相談する老夫婦

形見分けは自分が旅立った後のことだと考えていませんか?実は生前であっても形見分けを進めることができます。

生前の形見分けとは

自分が生きている間に、生前の形見分けをすることも可能です。最近では終活の1つとして行う人も増えています。口頭のみで親族や友人に説明するだけだと死後にトラブルになるリスクがあるので、遺書で形見分けの意思を残しておくと良いでしょう。

また相続人達に納得してもらっておくと、死後のトラブルを避けられるかもしれません。まずは生前整理をして、そこから何を誰に形見分けするか考えておきましょう。

関連記事:生前整理とは?内容や効果・始め方!そもそも自分には必要?【やることリストあり】

生前に形見分けをするメリット

生前に形見分けを行うメリットは次の3つです。

  • 誰に何を贈るのか、自分の意志を明確に伝えられる
  • 贈られる方も好みの品物を自分で選択でき、ミスマッチが減る
  • 形見分けのトラブルが減る

形見分けだけでも生前にあらかじめ決めておけば、自分の死後に葬儀の対応などで慌ただしくなっても、自分の意思をしっかり尊重してもらうことができるでしょう

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財産価値のある品物をめぐってトラブルにならないためにも、形見分けをする前にしっかり遺品の整理を済ませておくことが重要です。

遺品が多くて親族だけでは整理しきれない場合は、信頼できる遺品整理業者に作業を依頼するのも1つの手でしょう。

信頼できて、かつ安い遺品整理業者を選ぶには以下の3点がポイントです。

  1. 複数社の相見積もりを取得すること
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