物を最小限まで減らし、自分にとって本当に必要な物だけで暮らす「ミニマリスト」という言葉が波及してきた現在、生前整理に興味を持っている方も多いです。また「病気になる前に相続を決めておきたい」という方もいるでしょう。
そこでこの記事では、生前整理の目的や適正年齢からやり方まで詳しく解説します。やることリストもあるので是非参考にしてください!
生前整理とは?目的や適性年齢を解説
そもそも生前整理とは何なのでしょうか。その目的や遺品整理との違い、適正年齢などについて解説します。
生前整理は「終活」の1つ
生前整理は、自分の死に向けて所有物や財産の整理をすることで、「終活」の1つです。最近ではミニマリストという概念が普及し、最小限の物で快適に生活するために、若くから生前整理を行う人もいます。
生前整理の内容は大きく分けて2つです。
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自然災害や事故など、万が一の事態はいつ起こるか分かりません。認知症や病気・ケガによって、突然正常な判断ができなくなってしまうこともあります。こういった「もしも」に備えた準備を健康なうちにしておきましょう。
生前整理の目的は?遺品整理とは違った良さがある!
生前整理は自分のためにも、家族のためにもなります。
自分のため
生前整理をしておけば、自らの希望を叶えてもらい易くなります。生前整理をせずに遺言書も残していない場合、自らが望んだ配分で遺産相続ができません。また連絡を取って欲しかった大事な人に自らの死が伝わらない可能性があります。
生前整理をすると整理整頓した家で快適に暮らすこともできます。自分の人生の終わりについて考えるので、現在の生活の目標を定めることにも繋がりますよ。
家族のため
生前整理をすることで相続トラブルを防ぐことができます。生前整理では所有物を整理し明確にするため、遺品整理の最中に新たな相続財産が出てきて遺族が揉めるという事態を回避することが可能です。
また生前整理をすることによって遺品整理の負担を軽減することができます。故人が亡くなった後に行う遺品整理のように、故人しか知らない暗証番号を調べたり、気持ちの整理がついてない状態で相続財産を整理したりする必要がないからです。
生前整理は何歳から始めるべき?
生前整理は40代や50代など、なるべく早いうちから始めましょう。これは体力のあるうちに行った方が楽だからです。最近はミニマリストという概念の影響から、20代のうちに生前整理を始めている人もいます。
生前整理をしないまま亡くなってしまうことは「遺品整理や相続のトラブル」の元。遅くとも健康寿命である70歳代にさしかかる前までに生前整理を完了させておきましょう。
こんな人は生前整理を始めた方が良いかも!
以下の項目に当てはまる人は、生前整理を始めた方が良いです。
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なお近年は遺産が比較的少ない家庭での相続トラブルが増加しているので、財産の大きさに関係なく実施した方が良いです。
生前整理やることリスト
では生前整理として何を行えば良いのでしょうか。
やること一覧
やること | 準備するもの(あれば便利なもの) | |
1 | 物の整理整頓・不用品の仕分け(断捨離) | ダンボール、ゴミ袋、軍手 |
2 | 重要書類の場所を明確にする | 書き留めておく紙など |
3 | デジタル機器やデータ類の整理 | 自分が所有するデジタル機器 |
4 | 財産の整理整頓 | 財産目録のひな形、通帳、印鑑 |
5 | 遺言書を作成する | 公正証書役場の指示に従う |
6 | エンディングノートを作成する | 市販のエンディングノート |
作業を詰め込み過ぎないようにしよう
生前整理は膨大な時間がかかるので、作業を詰め込み過ぎないように注意しましょう。
そもそも生前整理は1度きりの作業ではありません。今後さらに所有物が増えることもありますし、財産の内容も変わっていきます。一度でやろうと思わず、定期的に進めましょう。
自力では無理そうな方は専門業者に依頼すると良いかもしれません。生前整理業者の作業内容や費用については「生前整理は専門業者に相談するのもオススメ」で解説しています。
やること①:物の整理整頓・不用品の仕分け(断捨離)
身の回りの整理整頓や不用品の仕分けは、最も簡単に始められる生前整理です。
身の回りの物を仕分けしよう
まずは身の回りの物を以下の4つに仕分けします。
①使用中のもの・現在の生活に必要なもの ②使用していないが捨てたくないもの ③一定の価値があるもので、誰かに譲りたいと考えているもの ④不要なもの(5年以上使用していないもの・今すぐに捨てて良いもの) |
仕分けができたら④の不要なものを処分し、断捨離を行いましょう。また③も現時点で譲れるものは譲ってしまいます。最後に②が本当に残しておきたいものなのか再度確認し、なるべく物を減らしましょう。
整理整頓は現在の生活をより良くするためにも重要です。自分にとって大切なもの・不要なものが分かれば、大切なもののみに集中することができます。またお金の使い方について考える契機にもなり、不要なものへの無駄な支出を減らせます。
時間がない場合は業者に依頼するのもオススメ
本格的に着手する時間がない場合は、小さい範囲を少しずつ仕分けしましょう。スキマ時間にコツコツ進めるだけで、いつの間にか部屋がスッキリします。
不用品が大量に出る場合はかなり大変な作業なので、生前整理の業者に依頼するものオススメです。「時間がない」「体力がない」という方も依頼した方が良いでしょう。生前整理業者については「生前整理は専門業者に相談するのもオススメ」で解説しています。
やること②:重要書類の場所を明確にする
身の回りの整理整頓と同時並行して進めたいのが、自分の持つ貴重品や重要書類をまとめておく作業です。
重要書類って何がある?
重要書類や貴重品には以下のようなものが該当します。
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重要書類を整理整頓する手順
重要書類の整理整頓は以下のような手順で進めます。
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重要書類をまとめて保管するのが心配であれば、金庫などを利用すると良いでしょう。
また重要書類の場所を自分以外の人に教えておくことは、自分に何かあったときの対策として非常に有効です。自分が急に病院にかかる際にも家族が落ち着いて対応できます。
やること③:デジタル機器やデータ類の整理
次にデジタル機器やデータ類の整理をしましょう。
デジタル機器やデータ類って何がある?
デジタル機器やデータ類の整理には以下のようなものが該当します。
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デジタル機器やデータ類を整理整頓する手順
手順は以下の通りです。
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デジタル機器のデータは、適切な処分方法をとらないと悪用される危険性があります。重要な内容が入ったデータ類は、自分の死後、確実に処分してもらえるようにしておきましょう。
各種IDやパスワードは信頼できる家族や貸し金庫など、極力他人の目に触れない場所に保管してください。また普段から不要なデータや登録は放置せず、適宜削除・解約することも大切です。
やること④:財産の整理整頓
次に財産の整理整頓を行います。
財産目録を作成しよう
まずは財産目録を作成します。財産目録とは自分が所有する資産を一覧化した資料のことです。地方裁判所などが財産目録のひな形を用意しているので、そこに以下のような資産の数量や価格をまとめましょう。
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生前整理で財産目録を作成しておけば、相続人の負担を小さくすることができます。また自分が生きている間に、相続税を試算することもできます。
財産目録の作成方法や節税に悩んだ場合は、弁護士や税理士・生前整理業者などに相談することも検討しましょう。
銀行口座の一覧を作ろう
所有している銀行口座のカードや通帳を集め、一覧表を作成しましょう。表には銀行名や支店名、口座番号、預金の種類や残高を記します。
印鑑や暗証番号は家族だけが分かるヒントを書き記すか金庫に入れて保管するなどして、他の人に悪用されないように気を付けましょう。
一覧表ができたら使用用途を書き込みます。その後、その口座が本当に必要か、複数口座を1つにまとめられないかを確認してください。
口座の解約も検討しよう
不要になった口座は全額引き出すか解約しましょう。解約してしまった方が遺族の手間を省くことができます。
銀行口座の解約は本人が銀行窓口で行うことが多いですが、郵送やインターネットでできる銀行もあります。解約に必要な物は以下の通りです。
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口座解約後に再度口座を開設しようとしても、何らかの理由で断られてしまうことがあるので、口座を解約する際には注意しましょう。また定期預金の中途解約は満期解約に比べて利率が低くなってしまうのも注意点です。
やること⑤:遺言書を作成する
自らが望む通りに遺産相続が行われるよう、遺言書を作成しましょう。なおその際に「公正証書遺言」の作成をオススメします。
遺言書を作成するメリット
遺言書の中で遺産分割を指定することで「特にお世話になった親族に多めに渡す」などの調整が可能です。遺産分割を遺言書で指定しないと「法定相続分」で配偶者や近親者に自動的に分割されます。
また遺言書では葬儀や埋葬方法を指定したり、家族への感謝の気持ちを書いたりすることができます。ただしこれらの付言事項は法的な効力を持ちません。
公正証明遺言の作成がオススメ
遺言書は民法で定められた方法にのっとって適切に作成することで、法的な効力を持つ書類です。自力で作成するのは難易度が高いので、確実に効力のある遺言書にするには「公正証書遺言」を作成することをオススメします。
公正証書遺言とは「遺言書の作成方法を熟知した人(その遺言の効果を証明してくれる人)」に書いてもらった遺言です。公証人という公務員に遺言の内容を伝えると、内容のチェックから保管まで、全てを一括して行ってもらえるため安心です。
実際に公正証書遺言を作成した場合は、親しい親族に公正証書役場に遺言がある旨を伝えておきましょう。
やること⑥:エンディングノートの作成
最後にエンディングノートを作成し、遺言書では伝えきれなかったことを書き記しておきます。
エンディングノートとは
エンディングノートとはその名の通り「自分がどんな人生の終わりを迎えたいかを記すノート」です。具体的には次のようなことを書きます。
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記入する内容は自由で、特別な書式はありません。市販のエンディングノートを購入して作成しましょう。
法的な拘束力はないので注意!
エンディングノートは公式の遺言書とは異なり、法的な拘束力がないので注意が必要です。ですが死後の希望を記したり、生前整理の作業全般をまとめておいたりするのに役立つものです。
死後に対する想いを自分の中で整理することで、人生の目標を見直すきっかけにもなります。
家族信託という選択肢も
家族信託とは、保有する不動産や預貯金といった資産の管理や処分を家族に託すことです。
銀行も信託サービスを提供していますが、その場合は高額な信託費用が発生する可能性があります。家族の場合は報酬取引が柔軟なので、それほど高額な費用がかからないのがメリットです。
また遺言書ではできない財産処分も可能なうえ、不動産の相続を巡る紛争を予防することができます。家族信託によって生きている間に相続を完了するという選択肢も考えてみてください。
生前整理は専門業者に相談するのもオススメ
生前整理は全ての作業を自力でやろうとすると大きな手間と時間がかかります。そこでオススメなのが生前専門業者です。ここでは作業内容や費用相場、費用を抑えるためのコツについて解説します。
こんな人は業者に依頼した方が良いかも!
以下のような人には業者への依頼を強くオススメします。
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作業内容や料金相場
生前整理の作業を依頼・相談できるのは以下の専門業者や専門家です。作業内容や料金相場と照らし合わせて、利用を検討してみましょう。
専門業者 | 作業内容 | 料金相場 |
生前整理業者(遺品整理業者との兼任がほとんど) | 生前整理の作業内容ほぼ全てを依頼可能。以下の作業はオプションであることが多い。
・デジタルデータの処理 ・財産目録の作成 ・特殊清掃 |
1LDKあたり8万円~(部屋の整理整頓・不用品回収/廃棄) |
生前整理アドバイザー | 生前整理のアドバイスやコンサルティング | 1日あたり5,000円~ |
不用品回収業者 | 仕分けをした不用品の回収や廃棄 | 1LDKあたり4万円~ |
税理士 | 相続税の計算や節税の相談など | 各事務所に要相談 |
司法書士 | 不動産相続や不動産活用の相談など | 各事務所に要相談 |
弁護士 | 遺言の書き方や遺産分割協議に関する相談など | 各事務所に要相談 |
自力で少し進めておくと費用を抑えられる
全ての作業を業者に依頼すると高額な費用が必要になります。費用を抑えるためには、自力でできる範囲の整理整頓を進めておくことが有効です。自力でやることで自分にとっては大事なものが誤って捨てられるという事態を防ぐこともできます。
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