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ハイドロテクト(光触媒塗料)とは?特徴や外壁塗装での効果・導入すべきかどうかを徹底解説!

最終更新日: 2024年06月28日

外壁を綺麗に保てる塗料を探している最中に「ハイドロテクト」が気になった人も多いのではないしょうか。ハイドロテクトとは、TOTOの技術を用いて開発された少し特殊な塗料。サイディングやタイルなどのコーティング材として使われています。

ただ結論として、ハイドロテクトを外壁の塗り替えに使うのはおすすめしません。できれば初めからハイドロテクトでコーティングされている外壁を選んだ方が良いでしょう。

この記事ではハイドロテクトの効果や注意点を詳しく解説していきます。外壁を長持ちさせたいと考えているのなら、ハイドロテクト以外の選択肢もありますので、ぜひ参考にしてください。

ハイドロテクト(光触媒塗料)とは?特徴や用途を解説

光触媒塗料

ハイドロテクトは「光触媒」を利用し、周りの環境を改善するために使う塗料。菌や有機物を分解し綺麗にする効果があり、外壁やトイレ・お風呂のタイルなどに使われています。

ハイドロテクトは「環境浄化技術」と呼ばれることもあります。環境浄化とは、汚れた環境から汚れのみを取り除き、浄化する技術のこと。つまりハイドロテクトは、光によって浄化する力を持った塗料ということですね。

ちなみにハイドロテクトに使われている光触媒とは、光(紫外線)が当たることで有害物質や菌を分解し、空気を綺麗にしてくれる材料のこと。水に馴染みやすい性質も持っているため、表面に汚れが付いても雨で流れ落ちるという特徴があります。要するに光触媒は以下の2つを持ち合わせているのです。

  • 汚れに対する「分解力」
  • 水を弾かずに馴染む「親水性」

ここからはハイドロテクトを使うメリットやデメリットを解説していきます。

ハイドロテクトの効果・メリット

マイホーム の塗装イメージ 段違い屋根 塗り替えイメージ

ハイドロテクトのメリットは以下の3つです。

  1. セルフクリーニングで綺麗な外壁を保てる
  2. 長持ちする
  3. 遮熱効果があり、家計にも環境にも優しい

それぞれ詳しく見ていきましょう。

メリット①:セルフクリーニングで綺麗な外壁を保てる

セルフクリーニングとは、手を加えなくても勝手に洗浄してくれる機能のこと。「雨の力で汚れを洗い流す外壁」と言えば、聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?雨に濡れることで外壁の表面に付いた汚れが浮き、そのまま雨と一緒に洗い流してくれるのです。これは親水性が高いからこそ成り立ちます。

親水性が高いというのは「水に濡らした紙」をイメージしてもらえれば分かりやすいでしょう。濡れた紙に鉛筆で何かを書こうとしても、なかなか色が付きにくいですよね。雨に濡れることによりハイドロテクトの表面が水に馴染み、均一に水分が含んでいる状態になります

ハイドロテクトのセルフクリーニング効果は他にもあります。

  • 車の排気ガスを無害なものに変化させる
  • 塵やホコリの吸着を抑える
  • 表面に付いた油汚れを落ちやすくする
  • 抗ウイルス抗菌・抗カビ・防臭効果

中でもハイドロテクトは「空気洗浄効果」が優れています。例えば約150㎡の外壁にハイドロテクトを塗った場合、テニスコート約4面分の緑地と同じ空気浄化能力を発揮するんです。

排気ガスがハイドロテクトに付着すると、紫外線によって化学変化が起こり、人体に害の少ない「硝酸イオン」に変化します。植物の光合成と似たような仕組みだと思ってもらえばOKです。

塵やホコリが付きにくいのは、親水性により静電気が起きにくいから。油汚れ落としたり予防したりするのはさすがに難しいですが、掃除をしやすくできますよ。

ちなみに「泥汚れ」は自然には流れてくれません。汚れに対しての効果が高いのは、車の排気ガスのような大気中の汚れだと考えてください。

メリット②:長持ちする

ハイドロテクトは耐用年数の長さが特徴的です。一般的なシリコン塗料の耐用年数が10年程なのに対し、ハイドロテクトは20年も効果が期待できます

10年ごとに足場を組んで工事することを考えると、ハイドロテクトを使った方がメンテナンスも楽になりますよね。40年で計算すると、シリコン塗料は4回のメンテナンスが必要ですが、ハイドロテクトなら2回で済みます。

トータル面でのコストもお得ですし、何より外壁がいつ見ても綺麗なので、住んでいて気持ちが良いです。

メリット③:遮熱効果があり、家計にも環境にも優しい

ハイドロテクトには赤外線を反射する遮熱効果があります。そのため夏場の強い日差しを受けても熱を持ちにくく、室内の温度上昇を抑えられます

一般的な塗料だと日中に溜まった熱は夜間にしか放出できないので、室内の温度も下がりにくいんです。

ハイドロテクトを使えば、夏場のエアコン代を下げる効果も期待できますね。エアコンの使用を減らせるので、環境にも優しいと注目されています。

ハイドロテクトの注意点・デメリット

塗装業者

ハイドロテクトのデメリットは以下の2つです。

  1. 費用が高い
  2. 現在では塗り替えがほぼできない

デメリット①:費用が高い

ハイドロテクトは他の一般的な塗料と比べて費用が高く、塗料の中でも最上級グレードになります。外壁塗装をする場合の費用は以下を参考にしてください。

塗料の種類 3回塗り単価(㎡)
ウレタン塗料 2,000~2,800円
シリコン塗料 2,500~3,600円
フッ素塗料 3,600~4,500円
ハイドロテクト 4,000~5,500円

一般的によく使われるシリコン塗料と比べても、1㎡あたりにかかる費用が1,500円以上違いますよね。1㎡で1,500円の差があると、30坪の住宅だと約20万円の差になります。

最初からハイドロテクトでコーティングされているサイディング外壁もありますが、一般的な外壁に比べてかなり高額です。一般的な外壁が約5,000円/㎡なのに対し、ハイドロテクトでコーティングされているものは10,000円/㎡以上。こちらも30坪の住宅だと約60万円の差が出ます

ちなみにハイドロテクトの技術が採用されている外壁には「外壁タイル」があります。パナホーム「キラテック」や一条工務店の「ハイドロテクトタイル」などが有名ですね。

これらの外壁タイルは、専用の接着剤で取り付けるセラミック製のタイルになっており、施工もしやすくなっています。

デメリット②:住宅での塗り替えに向いておらず、現在では塗り替えがほぼできない

ハイドロテクトは住宅での塗り替えに向いていません。なぜならハイドロテクトは「塗装ガン」を使って霧状に吹き付けるから。風の影響を受けると均一に塗装できないのです。塗装の厚みにムラができると光触媒が効果を発揮できないので、屋外の施工には適していません。

またハイドロテクトの塗料は現在販売されておらず、そもそも施工できなくなってしまいました。詳細は次の章で解説します。

もしハイドロテクトを使いたいのなら、初めからハイドロテクトが塗装されている「外壁タイル」を選ぶのがおすすめです。しかしその場合は、光触媒の効果が切れてもハイドロテクトを塗り替えることができないため、注意してください。

ハイドロテクトの外壁塗料は現在販売中止になっている

マイホーム(段違い屋根)の外壁塗装イメージ

ハイドロテクトの塗料は2017年に販売を終了しました。販売を中止した理由は、出荷量の減少だとメーカーから発表されています。施工が難しいので、業者も塗り替えを勧めなかったのかもしれませんね。そのため外壁の塗り替えに使用されていた以下の商品は、もう使用できません。

  • ハイドロテクトテクトコート
  • ハイドロテクトテクトカラーコート

現在はハイドロテクトによる塗り替えはほぼ不可能になっています。

ハイドロテクトの代わりになる塗料は?

塗装業者

ハイドロテクト以外にも光触媒の塗料があります。汚れにくい外壁塗料もあるので紹介していきますね。

ハイドロテクト以外の光触媒を紹介

光触媒の塗料は以下をご覧ください。

商品名 販売元
ピュアコート ピアレックス
エヌティオ 日本特殊塗料
スーパーチタンプロテクト PGSホーム
NU-COAT ニュートラル
シックコート SICコーティングス
オプティマスホワイトペイント OPTIMUS

相場は4,000~5,500円/㎡です。

あまり聞いたことのないメーカーばかりかもしれません。近年では住宅の塗り替えに光触媒が使われることも少ないです。ハイドロテクトの販売が終了してからは、光触媒を住宅の塗り替えに勧める業者も減りました

光触媒以外で、汚れにくい外壁塗料

光触媒と同じように「親水性」を持つ、汚れにくい塗料が2つあります。

  • フッ素塗料
  • 無機塗料

フッ素塗料は性能が高く、耐用年数も15年と長くなっています。ただ費用相場の平均が約4,000円㎡(3回塗り)と高額なため、費用を抑えたい人にとっては少し手が出しにくい塗料かもしれませんね。

無機塗料はセラミックやケイ素などを主成分にした塗料で、耐用年数は20年以上が期待できます。費用は光触媒と同じく5,000円㎡(3回塗り)程と高額です。無機質であるセラミックなど、シリコンやフッ素などの樹脂を合わせた塗料なので、ハイブリッド塗料とも言います。

上記の塗料はどちらも汚れに強く、光触媒と同じように耐用年数が長くなっています。基本的には塗装が難しくあまり主流でない光触媒よりも、これらの塗料を使うのがおすすめです。刷毛(はけ)やローラーで塗装できるため、住宅の塗り替えにも最適ですよ。

ハイドロテクトの外壁塗装を使うのはあり?こんな人におすすめ!

ハイドロテクトを外壁塗装に使うのは止めておきましょう。

ハイドロテクトは外壁の塗り替えに向かないため、塗装をするならフッ素や無機塗料を選ぶことをおすすめします

光触媒のように空気を綺麗にする力はありませんが、汚れにくい塗料であることは変わりません。費用が高額になるものの、耐用年数も長くトータルのメンテナンスコストでみるとお得になりますよ。

【フッ素塗料/無機塗料がおすすめな人】

  • 外壁の塗り替えをしたい
  • 外壁の色を変えてデザインを楽しみたい
  • 耐用年数が長い塗料が欲しい

ただし、ハイドロテクトでコーティングされている外壁を最初から使うのであれば良いでしょう。

ハイドロテクトが塗ってある外壁タイルは10,000円/㎡以上と高額になってしまいますが、その分メンテナンス費用は抑えられます。タイルそのものはほとんど劣化しないため、汚れや剥がれを綺麗にしたり、つなぎ目のシーリングを打ち替えたりすればOKです。ただしタイルは塗装で色を変えることができないので、色の変化を楽しみたい人には向いていません。

外壁の工事を行うのであれば、業者選びが重要になります。複数の業者に見積もりをしてもらい、比較して決めるのがポイント。

塗装業者を選ぶ際は、ぜひミツモアを利用してみてください。無料で複数社から見積もりを取ることができます。あなたの地域や予算などにピッタリの業者が見つかりますよ。

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