塗装工事で使われる塗料には硬化剤が必要になります。硬化剤とはそもそも何なのか、どんな役割を担うものなのか気になる方も多いですよね。
自分で塗装をする場合は、使い方や混ぜる際の注意点を知っておく必要があります。また業者に依頼する際にも正しく扱えるところにお願いしなければいけません。
そこでこの記事では、塗料に使われる硬化剤について詳しく解説していきます。
そもそも硬化剤とは?役割や種類・必要性を解説!
硬化剤とはその名の通り塗料を固めるための材料。必ず塗料とセットで使うものです。
硬化剤と塗料を混ぜ合わせると化学反応が起こり、しっかりとした塗膜(塗料が乾燥して膜状に固まったもの)ができます。
塗膜の主成分は樹脂。その樹脂は主剤と硬化剤を混ぜた時の化学反応によって作られます。つまり硬化剤の役割は、正確に言うと「主剤と混ぜて塗膜のもととなる樹脂を作ること」になります。
硬化剤は「2液性塗料」を使う場合のみ混ぜる必要がある!
硬化剤は必ず塗料に混ぜて使いますが、最初から混ざっている(使用者が混ぜなくてよい)タイプと、使用者が混ぜて使うタイプがあります。
- 硬化剤が最初から混ざっている塗料:1液性塗料
- 硬化剤を使用者が混ぜる塗料:2液性塗料
1液性塗料の場合は最初から硬化剤が混ざっているので、使用方法などを知らなくても大丈夫です。
それに対し2液性塗料の場合は、使用者が硬化剤を混ぜなくてはいけません。ただし2液性塗料は主剤と硬化剤が別々の缶に入ってセットで販売されています。塗料と硬化剤を別々で購入する必要はないので、覚えておきましょう。
よく「1液性は硬化剤が不要」と言われますが、正確には上述の通り「既に混ざっているため自分で混ぜる必要がない」ということです。1液性塗料は希釈剤で薄めるだけで使用できるので、素人でも扱いやすいでしょう。そのためホームセンターなどで見かけるDIY用のペンキはこの1液型塗料になります。
硬化剤を最初から混ぜる1液性と、後から混ぜる2液性では何が違う?
硬化剤を混ぜるタイミングによって、以下のような違いが出ます。
1液性塗料 | 2液性塗料 | |
使用時間 | 硬化スピードが遅いため、日付をまたいで使用することが可能 | 一度作成すると約5時間前後で使い切る必要があり、再使用不可 |
耐久性 | 2液性に比べるとやや劣る | 一般的に1液性より数年ほど耐久性が高い |
使用可能箇所 | 使用できる下地がある程度限られている | さまざまな下地に使用可能 |
費用 | 2液性よりも安い | 1液性と比べると1割ほど高い |
メリット・デメリットはそれぞれ相反するものになっています。詳しく見ていきましょう。
違い①:使用時間(扱いやすさ)
1液性塗料はすでに混ざっている硬化剤がゆっくりと化学反応を起こしていきます。そのため硬化スピードが遅く、日付をまたいで使用することが可能。
それに対し2液性塗料は、硬化剤を混ぜると瞬間的に大きな化学反応を起こすので、硬化スピードが早いという特徴があります。混ぜてから約5時間前後で作業を終えないと完全に硬化してしまい、使用不可能になってしまうんです。
そのため2液性塗料は、次の日に余った分を使用することができません。その日の作業量を計算し必要な分だけ作成しなければ、余分な経費がかかってしまいます。
また業者が規定の混合比率を守らずに肌感覚で作業をした場合、塗膜の硬化不良を起こす可能性もあります。その場合数年で塗膜がボロボロになってしまうかもしれません。
違い②:耐久性
各メーカーとしては1液性も2液性も同等の耐用年数を想定しているようです。しかし一般的には1液性塗料の方が耐用年数が短くなるといわれています。
なぜなら2液性塗料の方が急激な化学反応により、強い塗膜を作れるから。2液性塗料の塗膜は硬度が高いため、耐久性も高いということになります。
※ただし施工業者の腕や、建物周囲の環境も塗膜の劣化に影響を及ぼすので一概に言い切ることはできません。
違い③:使える下地の種類
1液性塗料は前述の通り、ゆっくりと硬化しながら塗膜を作っていきます。つまり急速に硬化する2液性塗料と比べて、下地への吸着力が弱いんですね。そのため使用できる箇所が限られています。
2液性塗料であれば吸着力が強いので、より多くの種類の下地にがっちりとくっつくことができるんです。
使用できる下地の比較表を作成してみました。
塗料+硬化剤 | 【1液性】
エスケー化研 一液マイルドシリコン |
【2液性】
エスケー化研 クリーンマイルドシリコン |
使用できる下地 | コンクリート
セメントモルタル サイディングボード 各種旧塗膜 |
コンクリート
セメントモルタル サイディングボード 各種旧塗膜 ALCパネル スレート板 GRC板 鉄部 亜鉛メッキ鋼 アルミニウム ステンレスなどの金属 |
違い④:費用
ここまで見てきたように、基本的には2液性塗料(硬化剤を使用者が混ぜるタイプ)の方が性能に優れています。
その分費用は2液性の方が若干高いでしょう。しかし高いといっても、1液性の1割増し程度であることが多いですよ。
硬化剤と強化剤の違いは?
硬化剤とよく似た「強化剤」という材料があります。どちらも塗料を固める目的で使いますが、強化剤は主に1液性塗料の性能を強化するために使われます。
2液性塗料を採用する方が多いと思うので、強化剤に関してはあまり深く考えなくても大丈夫です。
ちなみに硬化剤は塗料を使う際に必須ですが、強化剤はかならずしも必要というわけではありません。
硬化剤の使い方!2液性塗料と硬化剤の混ぜ方やコツを解説
硬化剤を主剤と混ぜ合わせる際は、塗料メーカーの規定した混合比率をしっかりと守る必要があります。計測器を使いそれぞれの量を正確に測りましょう。正確な量を測ることができたら、適正な比率で水やシンナー等で希釈し攪拌(かくはん)します。
希釈は塗料を薄めて、塗りやすくするために行います。塗料はそのままだと粘度が高く硬いので、スムーズに塗ることができないんですね。そこに希釈剤を入れることにより、ドロドロの塗料を少し滑らかなトロトロの状態にして扱いやすくするイメージです。
希釈剤として使われるのは水やシンナー等の溶剤で、使用する塗料の種類によって変わってきます。
2液性塗料は主剤と硬化剤を混ぜ合わせると、短時間で硬化してしまいます。そのため当日使用する分量をしっかり計算して、必要な分だけ混ぜるようにしましょう。塗料を余らせてしまうと、次の日にはガチガチに固まってしまい使用できません。
硬化剤はどのくらい混ぜる?混合割合の計算方法
主剤と硬化剤の混合割合や、水やシンナーの希釈率は製品ごとに細かく定められています。
例えば「主剤と硬化剤を9:1の分量で混合し、水道水を使用して希釈率5%で希釈する必要がある」塗料を1kg作る場合。
1kg=1,000gなので「9:1の分量で混合」するには、主剤900gと硬化剤100gを混ぜることになります。
その後「希釈率5%で希釈」をします。塗料1,000gの5%なので、1,000g×5%=50g。つまり50gの水道水を加えて希釈すればOKです。
外壁塗装は硬化剤や塗料を正しく使える優良業者に依頼しよう!
上述した通り、2液性塗料を正しく扱うには高度な技術が必要です。技術を有する業者が施工すればその特性を最大限生かせますが、そうでない場合塗料の良さを十分に発揮できない可能性もあるんです。
しかし現実には硬化剤を使わずに施工する悪徳業者や、目分量で混ぜてしまう職人も存在します。
そんな中でしっかりとした施工を行ってくれる業者を見分けるには、以下のような点を意識してみてください。
- 見積書に使用塗料がしっかりと記載してある
- 利用者の口コミを確認する
- 1社だけでなく複数社から見積もりを取り、金額的にもサービス内容的にも、最も信頼できそうなところに依頼する
優良な業者であれば、使用する塗料メーカーや製品をしっかりと提示してくれます。逆に自社や下請けの抱えている在庫の中から適当な塗料を見繕い、なんとか原価を安くあげようと考えている業者もいます。
その場合は大まかな内訳しか出さないことも多いでしょう。また施工技術の低い業者ほど、1液性塗料での提案を推す傾向があります。
見積もりに記載がない場合は、使用する塗料のメーカーと製品をしっかり確認するようにしましょう。
施工業者を選ぶ際は、ぜひミツモアを利用してみてください。ミツモアは求める条件を入力するだけで、複数の外壁塗装業者から仮の見積もりをもらえるサービスです。各社の見積もりや使用する塗料などを無料で確認し、安く信頼できるところにお願いできるというメリットがあります。
利用者の口コミを確認できたり、チャットで疑問点を質問できたりもします。施工業者に直接依頼できるので、一般的なハウスメーカーなどにお願いするより安くなるケースが多いですよ。
外壁塗装には硬化剤を別途用意する必要はない!おすすめの「2液性塗料+硬化剤」
基本的に外壁塗装をするなら2液性塗料(硬化剤を後から混ぜるタイプ)を使うのがおすすめです。その理由はここまで見てきたように、性能が高いから。2液性塗料を使った方が、塗膜が長持ちする可能性は高いでしょう。
2液性塗料に必要な硬化剤は主剤とセットで販売されているため、別途購入する必要はありません。
多くの現場で使用されている2液性塗料を紹介するので、参考にしてみてください。
おすすめ①:クリーンマイルドシリコン エスケー化研株式会社
クリーンマイルドシリコンは極めて高い耐久性を持ち、汚れにくい塗膜を作る製品です。最大の特徴は適用下地が多く、さまざまな場所に塗装可能という点ですね。
設計価格 | 2,200円~/平方メートル |
希釈 | 塗料用シンナーA |
適用下地 | コンクリート、セメントモルタル、ALCパネル、スレート板、GRC板、押出成形セメント板、各種サイディングボード、各種旧塗膜(活膜)など
鉄部、亜鉛メッキ鋼、アルミニウム、ステンレスなどの金属 |
期待耐用年数 | 12~15年 |
塗装する下地に合わせて設計された塗料を使った方が、より高い性能を発揮します。しかし部位ごとに塗料を変えるとコストがかかってしまいますよね。
その点クリーンマイルドシリコンならまとめて塗装できるため、費用を抑えられるんです。
おすすめ②:ファインSi 日本ペイント株式会社
ファインSiはおすすめ①のクリーンマイルドシリコンと同等の性能を持ち、さまざまな下地に適用できます。
設計価格 | 2,720~3,300円/平方メートル |
希釈 | 塗料用シンナーA |
適用下地 | コンクリート面(現場打ち)、セメント系建材、塗り替え改修用(アクリルリシン、吹き付けタイル、その他旧塗膜)、モルタル仕上げ面、ALCパネル、鉄部、カラー鋼板(トタンなど) |
期待耐用年数 | 公表数値無し |
期待耐用年数はメーカーから公表されていませんが、10~12年前後になるようです。
現場にこれ1本とメーカーがうたうように、どんな下地にも使えるオールラウンダーの製品です。
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