車のエンジンキーが回らず、困った経験はないでしょうか?そうした事態が起こる原因は、ギア・フットブレーキ・ハンドルロック・バッテリーなど、さまざまなものが考えられます。
この記事では、原因や解決策を解説するとともに、トラブルを防ぐために普段すべき備えまで紹介します。
車の鍵が回らないときの原因と対処法8パターン
エンジンキーが回らないとき、考えられる原因はいくつかあります。症状を詳しく確認して、まずはどこに原因があるかを見極めましょう。
確認すること | 考えられる原因 |
バッテリーの残量があるか? | 【原因1】バッテリーが上がっている |
ハンドルは回るか? | 【原因2】ハンドルロックがかかっている |
ギアの位置がAT車の場合はP(パーキング)、MT車の場合はN(ニュートラル)になっているか? | 【原因3】ギアのモードが違う |
フットブレーキを踏んでいるか? | 【原因4】フットブレーキを踏んでいない |
(MT車の場合)クラッチペダルを踏んでいるか? | 【原因5】クラッチペダルを踏んでいない |
車に対応した正しい鍵を使っているか? | 【原因6】車と鍵が一致していない |
鍵が鍵穴の奥までささるか? | 【原因7】鍵の破損、損耗 【原因8】シリンダーの損耗、異物混入 |
【原因1】バッテリーが上がっている
エンジンがかからないトラブルで一番多いパターンが、バッテリーが上がってしまった場合です。車のバッテリーが上がった状態だと、エンジンキーは回りません。
対処法①JAFなどのロードサービスを呼ぶ
車がトラブルに遭った際に利用できる「ロードサービス」に連絡すれば、プロのスタッフが駆けつけてトラブルに対応してくれるため、車に詳しくない人でも安心です。
ただしロードサービスは、すべての地域に対応しているわけではありません。場所によっては利用できないケースもあり、また利用する際も費用がほかの方法よりもかかるといったデメリットがあります。
ガソリンスタンドでもバッテリーの充電・交換に対応してもらえますが、出張対応をしてくれるかどうかは店舗によって異なります。また費用も10,000~15,000円程度はかかると考えておくべきでしょう。
対処法②ほかの車からバッテリーを充電してもらう
バッテリーが上がったときには、ほかの車と自分の車のバッテリーをケーブルでつなぎ、バッテリーを充電してもらう「ジャンピングスタート」と呼ばれる解決策もあります。
これにはカー用品店やインターネット通販で手に入る「ブースターケーブル」という専用のケーブルが必要です。
以下のような手順で行います。
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この方法を実行するには、同じ電圧の車同士である必要があります。また、ハイブリッドカーや電気自動車はバッテリーが異なるため、普通のガソリン車を救援することができません。
対処法③バッテリーを自力で交換する
予備のバッテリーと工具が備えてある場合は、自分でバッテリーを交換する手段もあります。しかしバッテリーの取り扱いを誤ると、火災を引き起こしたり、怪我を負ったりすることも考えられます。
知識や技術に自信がない場合は、自力でのバッテリー交換は控え、プロに依頼しましょう。
【原因2】ハンドルロックがかかっている
キーが抜かれてエンジンがかかっていない状態でハンドルを回すと、ハンドルが動かなくなるという「ハンドルロック機能」が、車には搭載されています。ハンドルロック中はエンジンキーも回りません。
ハンドルロックの解除方法
キーを挿し込んで回すことでエンジンをかけるタイプの車の場合、以下の方法でハンドルロックを解除できます。
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メーカーを問わずハンドルロックの解除方法は同じです。
左右どちらかに回して解除できなかった際は、逆側に回してみると解除できる場合もあります。コツは最初に軽く左右へハンドルを動かして、動きが軽い方へ回すことです。
車の鍵がスマートキーの場合
乗っている車の鍵がスマートキーの場合は、シフトレバーがP(パーキング)に入っていることを確認し、上記と同様にハンドルを左右に回しながらエンジンスイッチを押せば、ハンドルロックを解除できるでしょう。
【原因3】ギアのモードが違う
エンジンキーはギアが特定の位置に入っていなければ回りません。以下の位置にギアが入っているか確認してみましょう。
- AT車(オートマ車):パーキング(P)
- MT車(マニュアル車):ニュートラル(N)
【原因4】フットブレーキを踏んでいない
フットブレーキを踏んでいる状態でなければエンジンキーは回らないようにできています。これはエンジンがかかった瞬間に車が急発進することを防ぐ安全対策によるものです。
この場合は落ち着いてフットブレーキを踏みながらエンジンキーを回しましょう。
【原因5】クラッチペダルを踏んでいない
MT車(マニュアル車)のみの仕様ですが、クラッチスタートシステムを搭載している車の場合は、クラッチペダルを奥まで踏まないとエンジンがかかりません。
安全のため、クラッチペダルとブレーキペダルをしっかり踏みながらエンジンキーを回してみましょう。
【原因6】車と鍵が一致していない
複数の車を所有している場合に起こりがちなのが、乗ろうとしている車の鍵と違う鍵で回そうとしているケースです。鍵の形が合致しないため、この場合は当然ながらエンジンキーが回りません。
対策としては、キーホルダーをつけて目印にするといった方法があります。キーホルダーに限らず、ほかの鍵と判別できる手段であれば構いません。
【原因7】鍵の破損、損耗
- 鍵のギザギザになっている部分が変形している、欠けている
- 鍵自体が曲がっている
というように、鍵自体が破損、損耗している場合、シリンダーに鍵がささらなくなったり、ささっても回せなくなったりします。
この場合は正常なスペアキーを使えばエンジンをかけることができますが、手元にない場合は鍵業者に修理または新たなスペアキーの作製を行ってもらいましょう。
物理キーではなくスマートキーの場合は、電池切れの可能性も考えられます。
【原因8】シリンダーの損耗、異物混入
バッテリーやハンドルロック、操作方法に問題がなく、鍵にも異変はないのに鍵が回らない場合は、シリンダーの鍵穴内部が損傷して鍵と一致しなくなっている可能性もあります。
そもそも鍵がささらないのであれば、鍵穴内に異物が混入しているかもしれません。掃除機や歯ブラシでゴミを取り除き、鍵穴専用の潤滑油をさすと解決することがあります。
鍵は回るがエンジンがかからないときの原因と対処法
バッテリーやハンドルロック以外にも、パーツの故障やエンジンそのものの故障によってエンジンがかからない場合もあります。
鍵は回るけれどエンジンが起動しないときは、その症状から原因の見当をつけてみましょう。
ただし車内部のパーツの故障や不具合は素人が自力で対処できないことが多いので、JAFなどのロードサービスに頼ることをおすすめします。
症状 | 不具合・故障が考えられる箇所 |
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ガス欠 |
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セルモーター、ヒューズ |
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オルタネーター、バッテリー |
ガス欠
ガソリンタンクに走行に十分な量のガソリンがない場合、エンジンがかからなくなります。長期間乗っていない車のエンジンがかからない場合は、ガソリンの品質が低下している可能性も考えられます。
オルタネーターやセルモーターの故障
自動車における発電機である「オルタネーター」が故障すると、エンジンがかかりません。エンジンをかけるためのバッテリーは充電が必要ですが、オルタネーターが故障するとその充電が行えないためです。
またエンジンを動かすためのパーツであるセルモーターが故障した場合も、エンジンはかかりません。エンジンをかけたときにモーターの作動音がするかどうかで、故障しているか否かを判断できます。
どちらも経年劣化によって故障する可能性があるため、メンテナンスを定期的に行うことが重要です。もし故障した場合は新品と交換しなければなりません。オルタネーターは50,000~100,000円ほど、セルモーターは30,000~50,000円ほどが相場です。
電気系統の故障
車には電流からあらゆる部品を守る「ヒューズ」というパーツが備わっています。不意のトラブルによって過剰な電流が流れた場合、このヒューズが断線するケースがあります。
ヒューズが断線すると、エンジンを動かすために必要な電流が届かなくなるため、エンジンがかかりません。
ヒューズの断線が起こった場合、新品と交換する必要があります。自力での交換も可能ですが、ヒューズはヒューズボックスに収納されており、車種によって場所が異なります。
自分の車のヒューズボックスがどこにあるのか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
エンジンの故障
エンジンがかからないそもそもの原因として、エンジンがオーバーヒートしていたり、エンジンオイルが切れていたりと、エンジン自体に不具合が発生している場合も考えられます。
オーバーヒートはエンジンの温度が高くなりすぎたことにより、正常に動かなくなってしまう現象です。エンジンオイル切れは、オイル漏れなどが原因で発生するケースがあります。
経年劣化によってこれらの問題は起こりやすくなるため、異音がする・車の挙動がおかしいなど不審な点があれば、すぐに点検してもらうことをおすすめします。
故障の場合はロードサービスを頼ろう
車の部品が故障した場合、自力で修理・交換することは難しい可能性が高いです。無理に自力で解決しようとせず、JAFや任意保険のロードサービスを利用し、プロに対処してもらいましょう。
緊急時に頼れるロードサービスと連絡先一覧
エンジンがかからない原因が自分で対処できるものでない場合や、原因が分からない場合は、無理して自分で解決しようとせず、JAFや加入している保険付帯のロードサービスを利用しましょう。
JAFに連絡
JAFのロードサービスは、会員になって年会費を払っていれば多くのサービスが無料で受けられますが、加入していなくても受けることができます。
プロのスタッフが24時間365日駆けつけてくれるので、会員でなくても緊急時には利用するのも手でしょう。
JAF会員でない場合にかかる費用は、JAF公式サイト「ロードサービスの料金を調べる」から確認することができます。
JAF「JAFを呼ぶ」 | 0570-00-8139 |
加入している任意保険の会社に連絡
民間の損害保険会社が提供する車両保険にはロードサービスが付帯していることもあります。
保険の内容によって受けられるサービスの範囲や費用が異なるため、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
代表的な保険会社のお問い合わせページと、ロードサービスに関する連絡先は以下の通りです。
保険会社別お問い合わせページ | 連絡先 |
東京海上日動火災保険「もし事故が起こったら」 | 0120-616-180 |
損保ジャパン「自動車保険の事故受付」 | 0120-365-110 |
SBI損保「お電話でのお問い合せ(自動車保険 専用)」 | 0800-2222-581 |
三井住友海上火災保険「事故・故障によるレッカー手配などのご連絡」 | 0120-096-991 |
あいおいニッセイ同和損保「事故のご連絡」 | 0120-024-024 |
セゾン自動車火災保険「お問い合わせ」 | 0120-00-2446 |
チューリッヒ保険「事故・故障にあってしまったら」 | 0120-860-001 |
三井ダイレクト損保「三井ダイレクト損保のご契約者ページ」 | 0120-638-312 |
イーデザイン損保「ロードサービス」 | 0120-049-095 |
アクサダイレクト「トラブル対応の流れ」 | 0120-699-644 |
鍵やシリンダーが故障していたら
エンジンキーが回らない原因が鍵やシリンダーにあった場合には、スペアキーの作成や鍵交換を検討する必要があります。
車の鍵交換・作成の依頼先や、かかる費用について解説します。
鍵交換・スペアキー作製はどこに依頼する?
車の鍵を作製・交換したい場合は、ディーラーまたは車の鍵に対応している鍵業者に依頼することになります。
最近の車の鍵は簡単に複製ができないものも多いため、乗っている車の車種などの情報を伝えて相談しましょう。
スペアキーを作るのにかかる費用
鍵穴に挿し込む物理キーのスペアキーを作る場合は、鍵の形状や車の種類によって価格は異なります。
安いものでは5,000〜6,000円、形状が特殊なものは1万円以上かかることもあります。一般的に鍵の内側・外側に溝がある形状のものが特殊な形状とされ、価格が上がる傾向です。
また国産車よりも輸入車の方が料金は高くなるほか、元となる鍵が手元に1本もない状態から鍵を作る場合も、価格が上がりやすい点に注意しましょう。
スマートキーの場合
物理キーではなくスマートキーの場合には、スペアキーを作る費用がさらに上がります。またイモビライザーキーと呼ばれる、ICチップを搭載している鍵も同様に高額です。
費用の相場は車のグレードなどによって変動し、最低でも1万円から、なかには5万円ほどかかる場合もあります。
交換にかかる費用と修理の費用で、差が生じるケースもあるでしょう。手持ちの鍵が故障した際には、交換と修理のどちらが安価なのか見積もりを出してもらい、比較した上で決めるのがおすすめです。
トラブルに備えて普段からできること
外出先でエンジンキーが急に回らなくなってしまったら、気が動転してしまうかもしれません。
こまめなメンテナンスや予備バッテリーの準備、トラブルに遭ってしまったときに慌てないためのロードサービスへの加入など、いざというときのために備えておきましょう。
定期的にメンテナンスをする
エンジンオイルの量やバッテリーの経年劣化など、自分で確認できる範囲のチェックをこまめに行うことで、車の異常にすぐに気付けるでしょう。
また自分でメンテナンスを行うことももちろん大事ですが、無料点検サービスを活用するという方法もあります。ディーラーやガソリンスタンドで洗車を行う際に、点検もしてもらえるので便利です。
バッテリーターミナルに緩みがないか、バッテリーが劣化していないかといった点を確認してもらえるので、セルフチェックと併せて利用しましょう。
ブースターケーブルや電池を用意する
メンテナンスをしていても、不測の事態によりエンジンがかからなくなる可能性はあります。バッテリーが上がったのが原因であれば、ブースターケーブルを用意しておくことで解決できるかもしれません。
ほかの車からバッテリーを分けてもらう際にはケーブルが必要ですが、相手側が常に所持しているとは限りません。そんなとき自分で持っていれば、ロードサービスを呼ばずに解決できるかもしれません。
またスマートキーで解錠する車の場合、キーの電池が切れて使えなくなることもあります。そんな場合に備えて、予備の電池を持っておくと安心です。
ロードサービスに加入しておく
確実で安全な方法が、JAFや任意保険のロードサービスへ加入することです。車を運転していてエンジンがかからなくなった際には、連絡をすれば専門スタッフが駆けつけ対応してくれます。
その場でチェックと修理を行ってくれるのはもちろん、その場ですぐに対応できず車を動かせない場合にはレッカー移動もしてくれるため、立ち往生せずに済むでしょう。
加入しているロードサービスの連絡先をスマホ・携帯電話に登録しておけば、いざというときに冷静に対応できます。そのほかにも連絡先を書き留めたメモを車内に保管しておくのもよいでしょう。
せっかくサービスに加入していても、必要なときに連絡先が分からないといった事態を防げます。
エンジンキーのトラブルは対処法を知って冷静に
車のエンジンキーが回らない場合、ギアの位置や鍵の使い方が正しくないという人為的な問題から、パーツの故障などによる機械的な問題まで、原因はさまざまです。
まずは動かなくなっている原因がギアなのかハンドルロックなのか、あるいはバッテリーに問題があるのかを見極め、状況に応じて落ち着いて対処しましょう。
鍵交換のプロ探しはミツモアがおすすめ
エンジンキーが回らないときは、バッテリー上がりやハンドルロック、操作ミスが原因である可能性が高いですが、中には鍵やシリンダーの損傷が原因のパターンもあります。
スペアキーを作製したい、シリンダーごと交換したいといった場合には、お近くの地域ですばやく対応してくれる鍵業者に依頼してみましょう。
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