ここ最近、「副業」という言葉を耳にすることが増えたのではないでしょうか。というのも2018年に日本政府より「働き方改革実行計画」が発表され、「副業」が推奨されているからです。
今では、多くの人が副業に挑戦し、会社を辞めることなく、副業で起業を果たしています。今回は、「会社を辞めずに副業で起業する方法」をご紹介します。
この記事の監修税理士
しんこう会計事務所 - 愛知県名古屋市中村区
起業に繋がる!副業のおすすめアイデア7選
「副業」と一言で言っても多種多様です。
ここでは、将来的に起業できる副業のアイデアをいくつかご紹介します。
ネットショップ運営
副業で人気が高いネットビジネスが「ネットショップ運営」です。インターネット上で店舗を運営し、オンラインで商品を販売するビジネス形態で、Amazonや楽天などの大手ショッピングモールへ出店を行い、顧客の集客を行うのが一般的です。
「ネットショップ運営」は、ヤフオクなどを使った転売ビジネスとは違い、自分で情報発信を行って集客する必要があり、自分のショップを育てていく楽しみがあります。
取扱う商品は自分で好きなように決められます。洋服の好きな方であれば、ファッションを中心としたネットショップを運営し、「趣味と副業」の両立が可能です。
最近では、顧客の集客するためにSNSやブログ、YouTubeなどを利用するオンラインショップも増加してきました。どうやったら顧客に自分のショップにアクセスしてもらうかを工夫することが肝になるネットビジネスです。
ウェブデザイナー
ウェブデザイナーとは、ホームページなどのデザイン、レイアウトなどを決めていく仕事です。デザインのセンスや知識はもちろん必要なのですが、それ以上にプログラミングの知識が重要です。
「HTML」「CSS」などのホームページを表示するためのプログラミング言語や、「Javascript」というホームページ上に動きをつけるプログラミング言語を習得する必要があります。
専門性が高い分、仕事の報酬も高く、ウェブデザインの仕事が受注できるクラウドソーシングサイトには高報酬の案件がたくさんあります。
ウェブエンジニア
ウェブエンジニアとは、インターネット上のECサイトなどで使われるシステムの設計・開発・運用・保守などを行う仕事です。時にはウェブページの制作なども行います。
必要なスキルは、「プログラミング言語」の習得と「データベース設計」です。ウェブエンジニアは経験を積めば積むほど仕事のスピードが上がっていき、報酬の単価も上がっていきます。
自宅でできるため、本業の空き時間にコツコツと行うことで、いつの間にか本業より収入が増えることも十分にありうる、夢のある副業です。
YouTuber
最近では、続々と有名人がYouTuberになって話題になっていますが、YouTuberは人気の副業でもあります。You Tubeを紹介するメディアでは、YouTuberの約85%の人が「副業」としてYouTuberをしており、その中の約40%の人の本業が会社員です。
YouTuberと聞くと顔をネット上に晒すことを想像してしまいますが、顔出しせずに声だけで出演することも可能です。また、アイデア次第では声出しなしで動画を作成して収入を得ることができます。例えば、「料理系チャンネル」「動物系チャンネル」などがあげられます。
ただし、ある程度の期間継続して動画投稿を続けなければ収入を得ることができません。すぐに収入を得たいと考えている場合はおすすめできない副業です。
講師・教師
副業で行う講師・教師には、家庭教師のように実際に生徒の家に行って教える場合と、在宅でインターネットを使ったオンライン講師があります。前者の実際に生徒の家で行う家庭教師は、仕事が休みの日にできる人気の副業ですが、学歴や教えられる教科によって収入が異なります。
一方、在宅で行うオンライン講師はスキマ時間でできるため、最近人気の副業です。オンラインのプログラミング講師や英会話教師、外国人向けの日本語教師などが人気で、場所を選ばずに稼ぐことができます。自分が得意なことを教えられるので、やりがいを感じられる副業です。
アフィリエイト
アフィリエイトとは、自分のサイトやブログに、記事と関連のある商品の広告を掲載し、サイトの閲覧者がその商品を購入した場合にサイト主に報酬が発生する仕組みのことを言います。アフィリエイトは、一度仕組みを構築してしまえば、継続的に報酬を受け取ることができます。
しかし、アフィリエイトで報酬を得られるようになるには、アクセス数の多いサイトやブログを制作する必要があり、また人気のあるサイトになるためには、かなりの時間がかかるでしょう。一般的に収益化するだけでも半年以上かかってしまうため、副業ですぐに収益を得たいと思っている人にはおすすめできません。
アフィリエイトのメリットは、パソコン1つで行うことができ、サイトの作成については、レンタルサーバーとサイトのドメイン取得費用だけで済むことですので、手軽に始められます。
サラリーマンが副業から起業するメリット・デメリット
ここでは、サラリーマンが副業から起業するメリット・デメリットをご紹介します。
週末起業なら、金銭面でのメリットが大きい!
本格的に起業するためには、多くの金銭的負担が必要です。法人を設立する場合には、設立登記などに30万円程度かかります。本格的に起業を行う前に週末起業を行えば、法人設立費用などを捻出することができます。
また、万が一起業が上手くいかなくても、本業で安定した収入を得られるため生活に困ることはありません。起業が失敗した時の金銭的リスクを回避することができるため、本格的に起業を行う前に週末起業がおすすめです。
副業してから起業をすると時間のロスが少ない
本業を辞めて、起業しようと考えている業界に就職し、経験を積んで起業を行うよりも、本業を続けながら副業で起業を行う方が時間のロスが少なくてすみます。また、転職する必要もないため、転職による年収の低下もありません。
また本業を行いながら、起業を視野に入れて副業を続けた方が、副業を日頃のルーティンにすることができ、無理なく続けることができます。
例えば、プログラムエンジニアで起業を考えている場合は、働いている会社を退職し、IT企業に就職して経験を積み、プログラムエンジニアとして独立するよりも、副業で少しずつ仕事の案件を取っていきながらプログラムの勉強をする方が圧倒的に時間のロスが少ないです。また、後者のほうが経済的にも安定します。
副業によって起業した際の人脈が確保できる
副業を行うことで、本業のみを行っていては得られない経験をすることができます。
例えば、本業が車の営業職で、起業したい業界がIT分野だった場合、本業のみを行っていたのでは、IT業界の人との人脈を確保することはできません。本業のみで、いつも同じ人と接していると人の成長はスローダウンしていきます。
「自分の周りの5人の平均が自分の姿」と言われるように、人は周りの影響を多大に受けます。副業で違う業界と接することにより、普段では出会わない人との出会いが自分の成長、そして起業した際の大きな人脈になっていくでしょう。
デメリットは負担が大きいこと
副業を行うと、現在の仕事に加えて新しい仕事の負荷がかかるため、心身にかかる負担が増加します。特に、本業と副業の関連性が低い場合は、その負担が大きくなりやすいと言われています。
副業のために毎晩遅くまで作業をしたり、週末に家族との時間を削ってまで副業を行ったりしていると、体や精神状態の方が先に参ってしまうかもしれません。そのため、いざ起業を行う際に上手くいかない可能性があります。
副業を行う場合は、無理のない時間配分で行うことをおすすめします。
副業禁止の勤務先にばれずに起業なら税金に注意!
政府の働き方改革によって、副業のイメージは良い方に変わっているでしょう。
政府が作成した「モデル就業規則」からは、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」が削除、新たに副業に関する規定が設けられ、「第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」が加えられています。
しかし、まだ「従業員の副業を禁止する」としている企業も存在します。副業によって起業を考えられている人の中にも、本業の職場が副業禁止の人もいるのではないでしょうか。
ここでは、どんな場合に副業が本業の会社にばれてしまうのかご紹介します。
取締役にならない
副業で起業、法人を設立して、その法人の役員に就任した場合は、会社に副業がばれるおそれがあります。法人の役員とは、取締役(代表取締役)と監査役です。法人には、「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」という法人の情報が記載されたものがあり、法務局で誰でも取得することができます。
つまり、法人の役員になっていることを、本業の会社の人は知ることができるのです。しかしこの法務局の登記情報は、インターネットで無料閲覧することができないですし、法人名を特定しなければ調べることができません。そのため本業の勤務先にばれる可能性は低いです。
本業の勤務先には絶対にばれてはいけない場合は、配偶者や親族に法人の役員になってもらうことでばれるリスクをより少なくすることが可能です。
住民税の納付は普通徴収に!
副業で設立した法人が給料を支給すると、本業の勤務先の給料から差し引かれる住民税の金額が増加するため、副業していることがばれてしまうかもしれません。
この住民税を給料から天引きする方法を「特別徴収」と言い、一方、自分で納付書によって支払いを行うことを「普通徴収」と言います。
基本的に会社は「特別徴収」で住民税を給料から天引きしますが、確定申告書に住民税を「給与から差し引き」ではなく「自分で納付に変更」にチェックをして提出すると、住民税の支払い方法が「特別徴収」から「普通徴収」に変更することができます。
しかし、確定申告書にチェックしたとしても必ず「普通徴収」になるわけではありません。地方自治体によっては、給料がある人の「普通徴収」による住民税の納付自体を認めていない自治体もありますので注意が必要です。
アルバイトとして給料をもらう
副業で設立した法人は、設立後5日以内に年金事務所に届出を行い、社会保険の加入をしなければなりません。
本業の勤務先で社会保険に加入している場合は、副業と本業の勤務先の給料に対して、それぞれの会社ごとに社会保険料を按分計算することになります。
そうすると、年金事務所で按分計算された社会保険料の通知が本業の勤務先にされるため、副業をしていることがばれてしまいます。ただし、本業の勤務先は、その勤務先以外からの給料があると認識できるだけで、どこから収入を得ているのかは通知されません。
対策としては、自分の給料をアルバイトとして支給すると、社会保険を非加入にすることができます。社会保険非加入であれば、本業の勤務先に通知されることがなく、社会保険料の金額でばれることがなくなるのです。
しかし、アルバイトとして給料の支給をした場合は、住民税の金額が高くなります。住民税の金額が高くなることで、本業の勤務先に副業がばれるおそれがあります。
副業から起業するタイミングと、簡単にわかる手続き
起業による法人設立は、税金面で有利になることが多くあります。家族を役員にすることで役員報酬を支払うことが可能になり、所得の分散を行えるため「税金を節税」することが可能です。
他にも、法人設立することにより対外的な信用を得ることができ、銀行からの融資を受けやすくなるなどのメリットがあります。では、どのタイミングで、どのように法人設立を行えばよいのでしょうか。
ここでは法人設立についてご紹介します。
副業から独立するベストタイミング
副業が軌道に乗ってくると、本業の会社員の給与よりも利益をたくさん得ることができるようになります。副業が本業の収入より多くなるときが起業する1つのタイミングと言っていいでしょう。
また、独立後に思うように収益を得ることができなくても、生活に困らないように半年間分くらい生活できる蓄えを持って起業すると良いでしょう。
法人設立のタイミングは、売上が1,000万円を超えた際が良いとされています。なぜなら、売上が1,000万円を超えると翌々年から「消費税の納税義務」が発生するからです。
法人設立を行った場合、個人事業主の時の売上は引き継がないため、設立後2年間は消費税が免税になります。つまり、売上が1,000万円を超えた際に法人を設立することで、「消費税の免税期間を延長」することができます。
法人設立のために定款の準備
法人設立を行うには「定款」を作成しなければなりません。「定款」には、以下の事項を決定しなければならないので、会社設立前に十分に検討しましょう。
①事業目的を決める
法人は、定款に記載していない事業を行うことはできません。そのため法人設立後にどのような事業を行うのかを十分に検討する必要があります。
現在はまだ行っていない事業であっても、将来的に行う可能性がある事業がある場合には、定款に記載しておくと良いでしょう。
また、定款の事業目的の最後に「前各号に付帯または関連する一切の事業」の文言を追加することで、新たな事業を開始しても定款変更の必要がなくなるケースがありますので、忘れずに記載しましょう。
②商号を決める
商号とは、会社名のことです。株式会社で法人を設立する場合は、会社名の前か後ろに「株式会社」の文字を入れなければなりません。商号は、会社の看板になりますので、十分に検討して商号を決定しましょう。
③本店所在地を決める
定款には、「本店所在地」を記載する必要があります。また賃貸している自宅を本店所在地にする場合は、注意が必要です。
住宅の賃貸借契約書には、「法人不可」の記載がある場合がありますので、しっかりと賃貸借契約書をチェックしましょう。
④出資の財産額、又は、出資の最低額を決める
株式会社を設立する際に、いくら出資するのか、又は、出資の最低額を定款に記載しなければなりません。
⑤発起人の氏名又は名称及び住所を記載
発起人とは、会社の設立手続きを行う人のことです。発起人の氏名・住所は定款に記載する必要があります。
資本金の準備
会社法では、資本金は1円からでも法人設立は可能です。しかし、1円で法人設立しても事業の運転資金がないため現実的ではありません。当面の会社の運転資金を計算して資本金の金額を検討しましょう。
ただし、資本金が1,000万円以上の場合は、法人設立初年度から「消費税の課税事業者」になってしまいます。副業から起業する場合には、前述した「消費税の免税期間を延長」の恩恵を受けられなくなってしまいますので注意しましょう。
資本金の払込の手順は次のとおりです。
①発起人個人の銀行口座を準備する
資本金の払込を行う時点では、まだ法人は設立されていませんので、発起人個人の銀行口座が必要です。発起人の銀行口座が必要と言っても、新たに銀行口座を開設する必要はなく、発起人が現在使用している銀行口座で問題ありません。
②資本金の振り込み
資本金は「振り込む」必要があります。預け入れではないことに注意しましょう。
理由は、資本金を払い込む人の氏名を確認する必要があるからです。ただし、発起人が1人の場合は、預け入れでも問題ありません。
③通帳のコピーを作成
発起人が資本金を払い込んだ証明をするために通帳のコピーが必要です。資本金を払い込んだ通帳の、「表紙」「表紙裏」「振り込み内容が記載されたページ」のコピーをとりましょう。
④払込証明書の作成
資本金の払込を証明する文書を作成します。払込証明書には以下の記載が必要です。
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払込証明書は次のように作成します。
登記申請
資本金の払込証明書の準備ができたら、次は登記申請に必要な書類を作成します。登記申請に必要な書類は以下の通りです。
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上記の書類の作成が終わったら、管轄の法務局で登記申請を行います。通常、登記申請には15万円の収入印紙が必要です。
書類の不備がないか法務局で確認をしてもらい、法務局の収入印紙の販売書で収入印紙を購入し、登記申請書に貼り付けましょう。
各種行政機関へ手続きをしに行く
登記申請後は、各種行政機関への届出手続きが必要です。その際に必要になるものが「会社の印鑑証明書」です。印鑑証明書は法務局で取得することができます。
まず、「印鑑カード」の交付申請を法務局で行い、印鑑カードを使って印鑑証明書を取得します。その際には、会社の「登記簿謄本」も一緒に取得しておきましょう。
一般的な各種行政機関への手続きは次のとおりです。
①税務署
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②県、市町村
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③年金事務所
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④ハローワーク (雇用者がいる場合)
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⑤労働基準監督署(雇用者がいる場合)
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監修税理士からのコメント
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この記事の監修税理士
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