会社設立にあたって面倒な設立の手続きや申請、「税理士に頼みたいけど、どのタイミングで相談すべきか、相談だけで費用がかかりそう」などの不安もありますよね。
しかし、税務の知識がない中で自分でやるのは、余計手間やコストだけでなく、追徴課税などのリスクもあります。
結論、起業するなら設立前のタイミングで相談し、会社設立の手続きから確定申告などの税務から、節税対策などのサポートまで丸投げするのがおすすめ。
この記事では、起業時にいつ税理士に依頼すべきか、適切なタイミングや費用相場、費用を抑えて相性のいい税理士を効率的に探す方法などを解説します。
起業する時に税理士は必要?
税理士への依頼や相談は起業前の段階で行うのがおすすめです。起業する際にやらなければならない手続きで、税理士に依頼できる内容は下記のようなものがあります。
- 定款の作成・認証
- 法務局・税務署・年金事務所などへ必要書類を提出
- 役員報酬の決定
はじめての起業で右も左もわからず時間と手間をかけて行うより、税理士に相談することで税負担や資金繰りに配慮した内容にすることができるでしょう。
税理士のサポートがなくても設立は可能ですが、上記のような面倒な手間が発生するだけでなく、節税や税金の優遇措置の見逃し、追徴課税を払うなど、本来であれば不要だったコストが発生する可能性も考えられます。
個人事業主であれば税理士に依頼しない選択肢もありますが、法人の場合、約9割が税理士が関わっているというデータもあります。資金繰りや節税対策の相談においても、会社経営において税金や会計の専門知識がある税理士の存在は不可欠でしょう。
ミツモアなら簡単な質問に答えるだけで自分にあった税理士からの見積もりが届きます。無料相談もできるため、税理士へ依頼を考えている方は是非ご覧ください。
起業したらいつ税理士をつけるべきか
税理士に相談すべきタイミングは、会社設立前・起業時、初めての決算期前、年間売り上げが1,000万円を超えたときです。
税理士に依頼のタイミング | おすすめ度 | おすすめの理由 |
---|---|---|
会社設立前、起業時 | ☆☆ | 会社設立時はやらなければいけないことが多く、複雑な申請や適切な節税対策を税理士に代行してもらうことで本業に集中できる |
初めての決算期前 | ☆☆☆ | 法人の決算は複雑で作業量も多く、約2ヶ月の作成期間になる。税理士へ依頼している起業がほとんど。 |
年間売り上げが1,000万円を超えたタイミング | ☆ | 売り上げ1,000万円を超えると税理士報酬が負担にならない。ただし法人ならこれより前からつけるのがおすすめ。 |
もちろん、できるだけ税理士費用は抑えて効率的に税理士を活用したいですよね。タイミングごとにおすすめの依頼の仕方や内容を解説します。
会社設立前、起業時
1つ目は個人事業主から法人化を目指す会社設立前からの依頼です。リスクや手間を考えると、できるだけ早い段階でつけることがおすすめでしょう。
会社設立前の資金調達の相談から、法人手続きや提出資料作成など、起業時から税理士に依頼することで、複雑な申請などを代行してもらうことができます。
すべて税理士に任せたい気持ちになりますが、ネットで調べれば解決できる内容もあり、まずは自分でやってみて、不明点を税理士に相談したり、納得した上で依頼することが得策といえます。
もちろん税理士と継続的な専属契約ではなく、スポットで複雑な業務を一時的に依頼することもできます。慣れていないことは専門家の力を借りて任せたいという方はおすすめでしょう。
初めての決算期前
2つ目は初めての決算期前での依頼です。法人の決算はとても複雑で税理士に依頼すべきでしょう。タイミングとしては最もおすすめです。
会社を法人化した場合、決算期に税務申告書の作成が必須になります。税務申告書とは、決算書をもとに作成する書類で、作成方法はとても複雑。税理士に依頼するパターンがほとんどです。
そもそも決算とは、決算日時点における会社の資産、負債、純資産や、1年間の収入や支出を確定する手続きです。法人は法律によって決算を行うことが義務づけられています。決算前に今期の全記帳を完了させ、財務諸表などの決算書を作成。そして決算書をもとに作成する法人税などの税金を申告する書類が税務申告書です。
決算書や税務申告書の作成は税理士に頼まずに経営者や経理担当者で行うことも可能でしょう。ただ、個人事業主の場合と違い、法人の決算は複数の決算書や税務申告書の作成が必要で非常に複雑です。会計や税務の知識も必須で作成期間も約2ヶ月ほどかかります。
そのため法人の場合、決算は税理士に任せることが一般的です。自分で行った場合は知識や経験は得られますが、節税対策が不十分だったり税務調査の対応に困ったりと、余計な時間やコストがかかることになりかねません。
決算月は多くの場合、3月や12月にしている企業が多く、決算前は税理士の繁忙期といえます。税理士に依頼しようと思っても、予定が埋まっており対応できない可能性があるため、税理士にスポットで決算書類を作成してもらいたい場合は早めに探しましょう。
年間売り上げが1,000万円を超えたタイミング
3つ目は年間売上1,000万円になったタイミングです。1,000万円を超えると、税理士と顧問契約を結んでも報酬の支払いが負担にならないことが多いです。
年間売上が1,000万以上にもなると、売上に比例して必要経費や従業員も増え、領収書や給与計算など経理業務にかなりの時間を要します。1,000万円以下なら会計ソフトなどを用い自社で完結させることもできますが、1,000万円を超えると作業手間が膨大になり、さらに消費税の課税義務も発生することで消費税課税事業者届出書などの作成手間も発生します。
また、売上が大きくなるにつれ、税務署の税務調査の対象になる可能性が出てきたり、帳簿が多くなることで申告漏れや誤りが出る可能性が出てきたりと手間やリスクも増えるでしょう。
ただ、いずれにせよ決算時にはかなりの手間がかかるため、1000万円超えるのを待たずとも、決算のタイミングでは税理士への依頼をするのがおすすめです。
Q.税理士の相談でお金は取られない?
相談だけで費用がかかることは基本的にありません。多くの税理士事務所や税務署では無料の相談会を実施しています。テキストメッセージなどで質問できることも多く、税理士をつけることを検討しているなら一度相談してみましょう。
ミツモアでもテキストメッセージを通して税理士と無料でやりとりできます。自分の状況を伝えつつ、いまは税理士をつけるべきかどうかなど相談できますよ。
起業〜会社設立後まで税理士に聞けること
起業から会社設立の流れで、税理士に相談できるのは以下のようなものです。
- 起業手続き
- 節税対策
- 資金調達
- 決算申告
- 税務調査
それぞれの点で、税理士にどのようなサポートを受けられるか解説します。
節税について
会社を設立し利益が上がっていくにつれ、経営者の頭を悩ませるのが法人税です。実は中小企業には多くの税金優遇措置が設けられており、本来払わなくてもいい税金を納め過ぎているということもあります。
節税対策には、固定資産の取得費用を年間の経費に一括計上したり、役員報酬を増額することで利益の調整を行ったり、毎年変わる税制の中で最適な方法のアドバイスをもらったり、税理士に相談することで法律に則り税金を圧縮することができるでしょう。
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決算書や確定申告書類などの作成
会社設立後、税理士への相談で特に多いのが、決算書などの税務書類の作成です。
1年間の業績をまとめた決算書の作成や細かいチェックは約2ヶ月にのぼることも。作成後は決算書の金額をもとに税務申告書の作成や確定申告を行います。これらの業務は複雑で膨大。事業に集中するために税理士に作成を依頼するケースが多いです。
その他にも、経理業務において年末調整や法定調書のような書類作成、給与計算などを税理士に頼むケースもあります。
年末調整
従業員を雇っている場合、所得税を給与から天引きする源泉徴収の過不足を年末調整で調整することが義務づけられています。年末調整は計算や手続きが非常に複雑で、税理士への依頼が多い業務の一つです。税理士へ依頼することで、手間の削減や申告漏れの防止ができるでしょう。
法定調書
法定調書とは給与所得の源泉徴収票や弁護士や税理士などに支払う報酬や料金、不動産の賃借料のような使用料など、定められた種類の1年間に支払った金額書類で、税務署への提出が義務づけられています。支払った法人が翌年の1月31日までに提出しなければなりません。提出を忘れると、懲役や罰則などに処せられる可能性があります。
こちらも税理士に依頼することで、漏れなく正確に提出することができるでしょう。
給与計算
経理業務にかかる負担を減らすため、給与計算も税理士に依頼することができます。経理業務の負担を減らすことができ、さらに社会保険関係の手続きも任せることも可能です。
資金調達のサポート
資金調達のため融資を受けるには、面倒な申告書の作成や融資担当者との面談などを通して銀行の承認が必要です。
そんな資金調達のサポートについても税理士に依頼がおすすめです。融資の可否は事業の状況や業績、経営者の信頼性などで審査されます。一人で進めるより、税理士に客観的なアドバイスをもらうことが重要でしょう。顧問税理士契約を結ぶことで、融資面談への同席や、申告書の作成も依頼できます。
また、資金調達の方法は銀行からの融資だけではありません。税理士によっても得意分野があり、利用者の状況によって最適な資金調達方法があります。状況に応じて税理士を選ぶことが大切でしょう。
資金調達には下記のような方法があります。
民間の金融機関からの融資
資金の調達でまず思い浮かぶのが銀行からの融資です。財政状況が安定していたり、ある程度資金に余裕があるような方がおすすめといえます。
国・自治体からの融資
政府の金融機関である「日本政策金融公庫」や信用保証協会の「制度融資」を利用する資金調達方法です。創業間もないスタートアップ企業におすすめです。
助成金・補助金
まだ実績があまりない、これから開業したいような方向けの資金調達方法です。公募制が多く、最新の助成金などに詳しい税理士に依頼しましょう。開業支援や創業融資を目指す人におすすめ。
その他
ベンチャー企業やスタートアップが投資家から資金を集める「ベンチャーキャピタル」、「クラウドファンディング」などの資金調達方法もあります。
起業の際の税理士の費用の相場
月額契約した場合の税理士費用相場は個人事業主・フリーランスでは月額15,000~30,000円ほど、法人の場合は30,000以上が一般的です。会社の売上や規模、税理士との面談頻度によって金額は変わってきます。
ただし確定申告や決算申告など、業務量が多いと別料金になることがあります。確定申告は顧問料月額の4~6ヶ月分、決算申告は下記のように個人で5万円、法人で15~25万円程度が追加で必要になります。
月額契約で依頼できる内容は、税理士事務所の依頼できる内容や企業の規模によっても異なりますが、定期的な面談を通しての相談や、税務申告、記帳代行などが一般的です。
決算申告を依頼する場合の相場
決算申告業務を税理士に依頼した場合の相場は、一般的に個人であれば5万円程度、法人であれば15万~25万円程度です。売上規模により税理士の業務量が異なるため、税務士費用もそれに応じて変動します。
決算申告とは、決算時に利益や損失を確定させ、その内容をもとに税額を決定し税務申告を行うことです。
なお、決算申告は業務量の多さから、税理士と顧問契約を結んでいる場合でも別料金になることが多いです。
決算申告を依頼した場合、1年分の帳簿や会計ソフトのデータを税理士に渡し、必要な書類を作成してもらう流れになります。税理士が決算申告業務を代行した場合、決算書類に税理士の署名が入ります。これにより確認する税務署に対して決算申告書の信頼性を高くすることができます。
会社設立を依頼する場合の相場
起業後に会社設立の手続きを税理士に依頼する場合、税理士費用の相場は3万~10万円です。定款印紙代や登録免許税など税理士に依頼しなくてもかかる費用を含めると、株式会社設立なら32万~34万円、合同会社設立なら16万円程度が必要になります。
会社設立手続きの主な作業内容は、会社名や事業目的などの概要の決定、法人用実印、定款の作成、資本金の払い込み、登記申請書類の申請、届出書を税務署や役場への提出などがあります。
この中で税理士が代行可能な手続きは、法人用実印の作成、定款の作成、登記申請書類の作成と申請、役所などへの手続きです。会社概要の決定や払い込みなどの経営者が行う作業以外は、ほとんど税理士で代行可能になります。
税理士に会社設立代行を依頼するメリットとして、税金の最新情報を教えてもらえたり、資本金や役員報酬などを適切に決定することによる節税対策ができたり、資金調達の相談やサポートを行ってもらえたりといったことがあげられます。手続きの煩わしさを感じることなく、適切なサポートを受けることができるでしょう。
経理業務を依頼する場合の相場
記帳代行などの経理業務を税理士に依頼した場合、月額の税理士を顧問契約する費用相場は個人で3万円程度、法人で4万円程度です。
事業において発生する請求や支払いなど、帳簿の記帳も税理士が代行できる経理業務の一つです。記帳業務は、日々多くの取引を記録しており、さらに帳簿を一定期間保存することが法律で定められていることからも、手間や時間がかかります。
また、帳簿をもとに決算書類や税額計算を行うことから、ミスの許されない業務です。そのため、記帳代行から決算申告までをまとめて税理士に依頼することが一般的になります。記帳代行はスポットの依頼でなく、顧問契約を結ぶことがほとんどです。
作業内容としては、領収書や発注書などの内容を税理士に送り、その内容をもとに会計ソフトへの入力と帳簿を作成するという流れになります。
経理業務を税理士に依頼するメリットとして、経理担当者の業務負担を大幅に減らすことができ、経理社員の人件費も減らすことができるでしょう。また、帳簿作成から決算業務まで一貫して依頼することで、スムーズに決算申告が行えます。
税理士の探し方
おすすめの税理士を見つける方法として、税理士紹介サイトと知人からの紹介があります。
「自分にあった税理士に出会いたい」。そう思っても、知り合いの税理士がいなければどうやって探せばいいかわかりません。税理士事務所があったとしても、はたしてその税理士が行ってほしい業務に対応できるか、相性がいいかなども判断できないでしょう。
下記では税理士紹介サイト、知人からの紹介の内容やメリットを詳しく解説しました。
税理士紹介サイトで探す
税理士探しは税理士紹介サイトがおすすめです。税理士紹介サイトは、在籍している日本中の税理士から、自分に合った税理士を無料で紹介してもらえるサービスです。
自分で税理士を探そうとすると時間も手間もかかり、あまり比較検討もできません。一方、税理士紹介サイトでなら、相談内容から利用者に最適な税理士を複数紹介してもらえることで、比較、選定することができます。
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知人からの紹介
すでに起業している経営者の先輩や税理士を利用している知人から、税理士を紹介してもらうということもできるでしょう。
知人から紹介してもらうことのメリットは、ある程度の信用が担保されていることです。利用者にとっても税理士にとっても、知人が入ることによって安心してやりとりすることができるでしょう。
一方でデメリットとして税理士との相性の良し悪しがわからないことや、断りづらいという可能性も考えられます。
知人との関係性にもよりますが、実際に会ってみて信用できるようなら契約し、合わないと感じれば他の方法で税理士を探しましょう。