日本の多くの企業は株式会社ですが、近年、合同会社を設立する方が増えています。
合同会社を設立する最大のメリットは、設立・運営にかかる費用の低さ。なんと、株式会社より約14万円も安く設立することができます。
あのIT巨人であるGoogleやAmazonの日本法人も、実は合同会社です。
今回はそんな合同会社の設立費用について、詳しく見ていきましょう。
この記事を監修した税理士
EMZ国際投資税理士法人 - 東京都港区六本木
合同会社の設立費用は6万円
合同会社を設立する最大のメリットは、設立費用が株式会社と比較して大幅に安いことです。
まずは、そんな合同会社の設立にかかる費用について詳しく見ていきましょう。
合同会社と株式会社の設立費用の比較
合同会社と株式会社の設立費用について、以下のようにまとめてみました。
合同会社は約6万円、株式会社は約20万円かかることから、合同会社の方が約14万円安く済むことが分かります。
それでは各費用について、詳しく見ていきましょう。
合同会社の設立にかかる法定費用
上記の表の内、定款認証手数料や定款印紙代、定款謄本代の定款に関わる費用、登記に関する登録免許税のことを法定費用と言います。
定款認証手数料は公証役場で定款を認証してもらうためにかかる費用で、前述したように合同会社の場合は定款の認証を受ける必要がないため、定款認証手数料はかかりません。
収入印紙は紙の定款に貼る必要のあるもので、その費用は定款印紙代と呼ばれます。定款印紙代は4万円かかりますが、電子定款で提出することで4万円浮かせることがで可能です。
定款の登記申請用・保管用として謄本の発行手数料を定款謄本代と呼びますが合同会社の場合は謄本を発行してもらう必要がないため、費用はかかりません。
登録免許税とは法務局に法人として登録する際にかかる費用のことです。最低金額は6万円ですが、資本金の1000分の7の金額が6万円を上回る場合、その金額を支払う必要があるので注意しましょう。
合同会社の設立にかかるその他の費用
法定費用以外では登記事項証明書と印鑑証明書のその他の費用がかかります。
会社を設立する際に、第三者に法人であることを示すために登記しなければなりません。実際に登記されていることを示す資料が登記事項証明書です。登記事項証明書を発行するためには、1通あたり600円の手数料がかかります。
印鑑証明書とは、登録された印鑑が本物であることを証明する書類のことで実印による押印の際には一緒に提出することが求められ。印鑑証明書を発行するためには1通あたり450円の手数料が必要です。
この登記事項証明書と印鑑証明書は、契約を締結する際や法人名義の銀行口座を開設する際に必要となるので大切に保管しておきましょう。
合同会社の設立を代行するときの費用
最後に、合同会社の設立を専門家に依頼するときにかかる費用について紹介します。
当然ですが、設立者が自分で登記を行う場合、費用はかかりません。しかし、登記の申請書類は煩雑であるため、専門家に代行してもらうことが一般的です。
費用は依頼する事務所や依頼内容によってばらつきはありますが、行政書士や司法書士に代行してもらう場合、最低でも約5万円は必要です。また、税理士や社会保険労務士にも代行してもらうことができるのですが、すべてを代行することはできません。それぞれの職域に従って、合同会社の設立登記を代行してもらうことになります。
ミツモアを活用して、複雑な書類の作成から官公署への書類申請までの会社設立に関わる事務手続きを、行政書士や税理士に代行してもらいましょう。
さらに、会社設立に必要な定款作成も、費用をおさえた電子定款を利用するなど、ニーズにあったアドバイスも受けることができます。
合同会社と株式会社の違い
合同会社と株式会社の違いは、株式を発行しているか否か、だけではありません。
そこで、両者の違いとそのメリット・デメリットについて紹介していきます。
メリット・デメリットの比較
以下の表は、合同会社と株式会社のメリットとデメリットを表したものです。
それぞれについて上から簡潔に説明していきましょう。
前述したように、合同会社は株式会社と比較して約14万円安く設立することができます。
合同会社は、2006年に新設された形態であること、日本の多くの企業が株式会社を採用していることなどから、まだまだ知名度が低く、人材や資金を集めにくいと言われています。しかし、GoogleやAmazonの日本法人が合同会社を採用しているなど、その知名度は上昇中です。また、合同会社には補助金や助成金が出る他、近年はクラウドファンディングの登場によって、様々な形の資金集めが可能となりました。
また、株式会社の最高意思決定機関は株主総会です。そのため、経営者はその決定に従った経営を行わなければなりません。一方で合同会社は、出資者と経営者が同じであるため、経営の自由度が高いと言えます。
ランニングコストは、株式会社の場合、決算公告義務があるので官報掲載費に6万円かかります。一方、合同会社には決算公告義務がないため、その分のランニングコストを抑えることが可能です。
合同会社から株式会社への組織変更は可能か?
合同会社から株式会社に組織変更することは可能です。しかし、以下の2つの条件を満たさないと組織変更することはできません。
・社員全員が同意していること
・債権者保護手続きが必要
合同会社の出資者は社員であるため、組織変更するためには社員全員の同意が必要です。一人でも反対すると株式会社に組織変更することはできません。
2つ目の条件である「債権者保護手続き」とは、債務者が変わる場合、債務者に事前に通告すること手続きのことです。債権者保護手続きで、株式会社への組織変更に異議申し立てする債権者がいた場合は、支払いに応じる必要があります。
合同会社に向いている人とは
最後に、合同会社を設立したほうが良いと考えられる事業・経営者について紹介します。
大きなポイントは以下の2つです。
(1)BtoCビジネスであること
(2)話し合えるビジネスパートナーがいること
また、上記の2つ以外にも合同会社に向いていると思われる事業・経営者についてもまとめました。
(1)BtoCビジネスであること
BtoCビジネスとは、商品やサービスを消費者に対して提供している事業のことです。日本では合同会社の知名度が低いため、法人間で契約をする際に合同会社では「何となく安心できない部分があるから」という理由で契約してもらえないケースがあります。
しかし、消費者は良い商品・サービスを重視しているため、合同会社で問題ありません。実際、IT巨人のAmazonは合同会社ですが、国内最大手のeコマース事業者です。
(2)話し合えるビジネスパートナーがいること
2つ目は話し合えるパートナーがいることです。合同会社の経営の自由度は高いため、業務執行者間で意思決定することができます。
しかし、裏を返せば、業務執行者間で意見の対立が頻繁に起こると業務が滞る恐れがあるため、肝胆を傾けて話し合えるパートナーがいることが理想的です。
その他の向いている人
また、以下のような人たちも合同会社を設立したほうが良いと考えられています。
・法人としての許可が必要な人
・株主総会や決算公告などの事務手続きを億劫に思う人
・事業開始時に資産をあまり必要としない、IT関係やコンサルなどのビジネスを始める人
・個人の能力を生かして、ワンマン経営を行いたいと考えている人
上記に当てはまる人はぜひ一度、合同会社設立を考えてみましょう。
合同会社の設立費用のまとめ
合同会社の設立費用について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
合同会社は株式会社と比べて、設立費用を大幅に抑えることができます。また、決算公告義務がないことからランニングコストを抑えることができる他、経営の自由度も高いことがメリットです。
そんな合同会社は、知名度を必要としない個人向け事業や節税を考えている人に向いている会社形態です。
合同会社と株式会社、どちらの会社を設立しようか迷っている人は、行政書士や司法書士、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
監修税理士からのコメント
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