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葬儀の受付は何をすればよい?仕事の流れや必要な準備などを解説

最終更新日: 2024年06月28日

葬儀全体の運営に気を配るのに忙しい喪主に代わって、参列者を迎える役割を担うのが葬儀の受付係です。遠縁の親戚を中心に、ご遺族と親しい友人や、会社関係の人物が行うことも少なくありません。

受付係を依頼されたときに困らないように、受付の流れや挨拶、マナーを確認しておきましょう。

この記事を監修した専門家

HIROKO MANNER Group 代表/一般社団法人 マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会 代表理事
西出ひろ子

葬儀の受付は何をする?

葬儀の受付の様子

葬儀の受付係は、ご遺族に代わり参列者を出迎えるのが主な役割です。参列してくれたことへの御礼を述べ、記帳してもらうことに加えて、香典を受け取って、ご遺族に渡すまで管理します

場合によっては、式場までのご案内を担うこともあるでしょう。駐車場、お手洗い、売店の場所を聞かれたときに、ご案内できるようにしておくのも受付係の役割です。

地域によって役割に違いがある

参列者への対応や香典の受け取り・管理など、どの地域でも葬儀の受付係が共通して担う役割です。

しかし香典の扱い方や仕事の流れは、地域の慣習や習わしによって異なる場合もあります。もし受付係を依頼された場合は、その地域で主流となっている受付の役割について、事前によく調べておくと安心です。

ご遺族の意向に沿うことが大切

最も大切なことは、ご遺族のご意向に沿って受付を行うことです。マナーは決して慣習やしきたりのような決まりきった型ではないことを心得ておきましょう。受付の仕方も多種多様です。

また葬儀社が当日に指示を出してくれるケースもあります。ご遺族のご意向を最優先にしつつ、その道の専門である葬儀社の担当者に従うと安心です。

葬儀の受付の流れ

お葬式の受付

葬儀における、一般的な受付の流れは以下の通りです。

開式1時間前に集合

受付係は受付台のセッティングや事前準備のため、ご遺族からの指示に従い、開式の1時間前には会場に到着します。葬儀は日中に行われることがほとんどで、開始が午前中の場合もあるので、遅刻しないように到着しましょう。

到着したら故人とご遺族へご挨拶を行い、その後、受付のやり方や式のスケジュールについて、葬儀社から説明を受けます。

受付開始前に、以下についてご遺族や葬儀社に確認しておくと安心です。

  • 筆記用具の有無
  • 施設全体の導線(手洗い・駐車場・待合室など)
  • 全体のスケジュール
  • 返礼品・香典返しを渡す条件
  • 香典の取り扱い
  • 受付後の対応

また受付係は焼香をするタイミングがその式により異なります。式の半ばで焼香することもあれば、受付開始前に行うこともあります。葬儀社のご案内に従いましょう。

参列者を迎え入れて挨拶

葬儀の受付は、一般的に開式30分前から開きます。参列者が訪れたら、ご遺族に代わって、弔問に対するお礼を伝えましょう。

笑顔を見せないように気を付けながら、厳かに落ち着いた声で「本日はご多用の中、ありがとうございます」と挨拶をします。

香典を受け取る

参列者から香典を受け取る場合は、両手で丁重に受け取ります。「確かにお預かりいたします」と伝えて受け取り、一礼しましょう。

香典を受け取ったら、誰から受け取ったのか分かるようにしておく必要があります。基本的には香典袋に記名されているはずですが、参列者に記帳してもらうノート(芳名帳)の番号を、香典袋に鉛筆で記載しておくとより安心です。会計係が別にいる場合は、そちらに渡しておけば問題ありません。

なお家族葬の場合、香典を辞退しているケースも多いです。ご遺族側の意向で香典を断る場合は、その旨をご遺族に代わってしっかりと伝えましょう。それでも「受け取ってほしい」と言ってくる参列者もいる場合は、ご遺族に対応を確認する必要があります。

その場で確認をするのはスマートではないので、このようなケースも想定し、対応の仕方を事前にご遺族に確認をしておくと良いでしょう。

前日のお通夜で香典を渡した方は、葬儀で香典を持ってこない場合もあります。そのような参列者に失礼のない対応を取ることも意識しておきましょう。いずれにせよ香典の取り扱いをどうすべきかは、ご遺族や葬儀社へ確認することが大切です。

芳名帳に記帳をお願いする

香典のやり取りが完了したら、芳名帳に記帳してもらいます。記帳を忘れて式場に入ろうとする参列者もいるので、「恐れ入りますが、こちらにお名前とご住所のご記入をお願いいたします」と声をかけましょう。

香典返しや会葬礼状を送るためにも、芳名帳への記帳は重要です。名字だけで済ませる方もいますが、フルネームで、また住所を書く欄があれば住所まで、しっかり書いてもらいましょう。

既にお通夜で記名した方に、再度記帳してもらうかどうかは家族によります。ご遺族にどう対応するかを事前に確認しておくことが重要です。

返礼品を渡す

返礼品を受付で用意している場合、このタイミングで参列者に返礼品を渡すケースもあります。一方で参列者にとっては荷物になってしまうことから、帰る際に渡す場合も少なくありません。どのタイミングで渡すかも、地域や遺族の意向によって異なるので、事前にしっかりと確認しておきましょう

また返礼品を香典返しとして用意していることもあります。誰に何を渡すかを、ご遺族に確認しておくことが重要です。たとえば「香典をうけとった場合のみ渡す」「香典の有無にかかわらず、一律で渡す」などさまざまなパターンがあります。

葬儀会場にご案内する

参列者に式場の場所をご案内するのも、受付係の重要な仕事です。ほかにご案内係がいる場合もありますが、複数の受付係で役割分担する場合も、少なくありません。

たとえご案内係ではなかったとしても、記帳の際に告別式の場所や、お手洗いの場所などを聞いてくる参列者もいるので、スムーズに答えられるようにしておきましょう。

受付で参列者の荷物やコートなどを預かる場合は、管理の仕方に注意が必要です。番号札を用意して、帰りにスムーズに渡せるようにするといった、工夫が求められます。不要なトラブルを招かないように、貴重品を預かるのは避けましょう。

受付係が気を付けるべきマナー

芳名帳に記帳する男性と、葬儀の受付係

葬儀の受付係もご遺族同様、服装や言葉遣い、立ち居振る舞いに配慮しなければいけません。ご遺族の代理の役割であることを念頭に、失礼な印象を与えないようにしましょう。

服装のマナー

受付係の服装は、一般的な喪服を着用します。男性の場合は黒の上下スーツを着用し、白い長袖のワイシャツに、ネクタイ、靴、靴下も黒で統一します。鞄も黒色を選び、余計な装飾が付いていないものにしましょう。

女性の場合も黒色のスーツやワンピースで、ストッキングも黒色にそろえる必要があります。靴は装飾のないものを選び、余計なアクセサリーは付けないように注意しましょう。

ただし、ジェットや白色の真珠や黒真珠の一連のネックレスに、お揃いのイヤリングやピアスなどは、問題ありません。ネックレスは二連以上のものは身につけないようにしましょう。不幸が重なるという意味になります。イヤリングやピアスは1粒のものを選びましょう。

受付係は参列者と頻繁に接するので、身だしなみには特に気を配る必要があります。

言葉遣いや振る舞いのマナー

参列者と言葉を交わす際には、ゆっくりとした丁寧語を心掛けましょう。高齢で耳が遠くなっている人もいるので、聞き取りやすい声で話すことも大事です。

また葬儀はしめやかな場のため、明るい口調では話しません。落ち着いた低い声のトーンを意識しましょう。

また4や9といった不吉な数字、不幸が続くことを想像させる「たびたび」「引き続き」といった忌み言葉も避けます。

参列者とは長話をせず、短く丁寧に挨拶やご案内をすることが大切です。

受付前に確認しておくべき点

葬儀の受付用品

受付係をする際に、とくに確認しておくべき点を紹介します。当日の事前確認をしっかり行えば、スムーズな受付を行えるでしょう。

基本的には自己判断せず、ご遺族または葬儀社の指示に従うことが大切です。

施設の導線や筆記用具を確認

受付係は参列者に各施設の場所を聞かれることが多いので、滞りなくご案内できるようにしておきましょう。実際に会場内を見回って、手洗いや待合室はどこにあるか、参列者の導線はどのようになるかなどを、確認しておくことが大事です。

受付台や椅子、記帳用具などのセッティングは、事前に葬儀社やご遺族が済ませている場合が多いです。ただし受付係がセッティングするケースもあるため、ご遺族や葬儀社の指示に従いましょう。

芳名帳、筆記用具、香典を入れる箱、返礼品といった、受付に必要な備品が揃っているかも確認します。ご遺族が準備してくれている場合も、受付をスムーズに行えるように各備品の配置を整えておきましょう。

スケジュールを把握する

当日のスケジュールも把握しておく必要があります。参列者からスケジュールに関しても質問をされる場合があり、問題なく答えられるように式次第の確認をしておきましょう。

スケジュールは受付を閉じる時間にも関わります。

返礼品や香典返しを渡す条件を確認

返礼品や香典返し、または会葬礼状をどのタイミングで誰に渡すかは、ご遺族の意向や地域の慣習により異なります。

「香典の有無にかかわらず、一律で同じものを受付後に渡す」と決まっていても、たとえば連名の香典をいただいたとき戸惑うかもしれません。

「連名の香典をいただいた場合、金額にかかわらず人数分の返礼品を返す」「○○部一同といった一同表記の場合、返礼品は1つ」とされることもありますが、用意している返礼品の数やご遺族の意向により対応は異なるため、迷った際は必ず葬儀社などに確認しましょう。

参列者が多いと受付中確認することは難しいので、事前に確認しておくのがおすすめです。

役割分担を明確にする

大規模な葬儀となると受付係が1名では対応できないため、2名以上で対応する場合が少なくありません。複数人で受付を担当する場合は、事前に役割分担を明確にしておきましょう

たとえば芳名帳に記入をご案内する係と、香典を受け取る係、返礼品を渡す係、会計係やご案内係など、役割を明確にしておきましょう。

また交代で休憩を取るようにして、受付が無人にならないように工夫する必要があります。

受付後の対応も明確に

「受付をいつ頃閉めるか」「受付が終わった後、何の業務をすべきか」「葬儀後、芳名帳や香典をどのように渡すか」も事前に喪主に確認しておきましょう。

葬儀は終わりの時間が決まっている関係でスケジュール通りに進行します。そのため、葬儀開始から30分後ごろに受付を閉めることが多いです。

受付を閉めた後は一般的に、香典袋と芳名帳の記載内容にずれがないかの確認、香典金額の確認を行います。香典について受付係がどこまで行うかは、ご遺族の指示に従いましょう。金額の確認などは、ご遺族で行うこともあります。

また葬儀が終わったら、喪主は火葬のために火葬場に移動することがほとんどです。そのため受付係は、芳名帳や香典はどのように保管しておくべきかを事前に確認しておく必要があります。なお喪主を含めたご遺族は、火葬直後の法要のために会場に戻ってくる場合もあります。

葬儀で受付をしてくれた人へのお礼はどうする?

数珠

葬儀の受付を担当した方には、基本的にはご遺族からお礼を用意するのがマナーです。会社関係者や近所の人など、依頼した相手や地域によって、お礼の品物が変わるでしょう。

現金または品物を渡す

葬儀の受付に対するお礼の相場は、1日あたり3,000~5,000円です。

会社関係者に依頼した場合は、現金や商品券を「心付け」として渡します一般的には、白い無地の封筒に入れると問題ないでしょう。表書きを目上の人には「御礼」、親しい間柄の人には「寸志」もしくは「志」とします。

親族や近所の人に受付を依頼した場合は、お菓子やお茶のような消えものや、カタログギフトを渡しても良いでしょう。

間柄や地域によっては、食事でお礼をすることもあります。参列者が帰った後に、精進落としと同じ内容の料理やお酒を振る舞いましょう。

受付のお礼に関して不安がある場合は、葬儀社に相談することがおすすめです。

受付は代行業者にも依頼できる

パソコンを操作する人

受付係は故人の友人や知人、会社関係者や遠縁の親戚、あるいは日頃から親しくしている隣人などに、依頼するのが一般的です。しかし適任者が見つからない場合もあるでしょう。

葬儀社のスタッフが受付係を担当してくれる場合もありますが、難しい場合は受付の代行業者も利用できます。

葬儀の受付代行サービスとは、受付だけでなく、会計や香典帳作成まで行ってくれるサービスです。

受付の代行業者を選ぶポイント

代行業者は葬儀社を選ぶ場合と同様に、できるだけ実績の豊富な業者を選ぶことが重要です。安心して受付の仕事を任せられる業者を探しましょう。代行の費用は業者によって異なるものの、スタッフ1名につき1万円前後が相場と考えましょう。

小規模な葬儀であれば1名でも問題ありませんが、規模が大きくなると、複数人の受付が必要になるので、業者と相談して最適な人数を依頼しましょう。

代行業者にお礼は必要?

葬儀社に受付代行を依頼する場合は、オプション扱いになるので別途料金が発生し、葬儀代に上乗せされます。

葬儀受付代行サービスに依頼する場合も同様です。葬儀社とは別途契約し、料金を支払うことになるでしょう。

サービスに対して料金を支払っているため、葬儀社や葬儀受付代行サービスに依頼するケースではお礼は不要です

受付の役割と流れを知っておこう

お葬式の様子

葬儀の受付は参列者を迎え入れ、記帳してもらうのが主な仕事です。香典を受け取って、返礼品を渡す役割などもあります。

ご遺族は常には受付の場にいられないので、故人の友人や知人、会社関係者や仲の良い隣人などに、受付係を依頼するのが一般的です。

誰でも受付を依頼される可能性があるので、具体的な仕事内容を覚えておくとよいでしょう。担当できる人がいなければ、代行業者を利用する方法もあります。

ミツモアで葬儀・お葬式を依頼する

監修者:西出 ひろ子

HIROKO MANNER Group 代表
ウイズ株式会社 代表取締役会長
HIROKO ROSE株式会社 代表取締役社長
一般社団法人 マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会 代表理事

葬儀会社などの企業にて、お客様の心に寄り添う営業接客・接遇研修や、マナーコンサルティング、マナー研修を行う。「めざせ!会社の星」 (Eテレ)、「芸能人品格チェックスペシャル」 (ABC朝日)、「なないろ日和」(テレビ東京)などのテレビ番組にてお葬式や喪服のマナーについての出演、監修など多数。NHK大河ドラマや映画、CMなどでは超一流俳優や女優へのマナー所作指導実績数日本NO.1。

著書・監修
国内外でマナー本100冊以上。著者累計100万部以上のマナーの専門家。
  • 『お悔やみのマナー』 (アドレナライズ) 2013/9/24発行
  • 『知らないと恥をかく 50歳からのマナー』(ワニブックス) 2020/8/25発行
  • 『気くばりにいいこと超大全』(宝島社)2022/6/15発行

など多数

コメント
葬儀の受付は、ご遺族の代わりとして参列者をお迎えする最初の場所です。故人やご遺族に恥をかかさないよう、その心構えが大切です。そして、服装などの身だしなみから、立ち居振る舞い、言葉遣いなど、失礼のないように準備をしていきましょう。

受付を任されたと言って勝手な対応はしないように注意してください。ご遺族のご意向に沿った対応をすることが大事です。わからなことがあったら、その場にいる葬儀会社の人かご遺族に確認しましょう。

急な葬儀に駆けつけて下さった参列者の方々に、故人とご遺族の代わりとして、心から感謝の気持ちを持って対応することが受付としての心構えです。金銭のトラブルなどのないように、しっかりとその場を管理し守るお役目を果たしましょう。