突然の訃報で葬儀に参列する際、子どもの喪服に困る方も多いのではないでしょうか。
喪服は故人とのお別れの場で悲しみの気持ちを表す服装のため、黒で統一された礼服を着用することが一般的なマナーです。ただし子どもの喪服は、大人ほどマナーが厳しくありません。子どもが葬儀に参列する際には、全体的なトーンを抑えめにすることが重要なポイントです。
子供の喪服選びで気を付けたいポイントや、身だしなみのマナーについて解説します。
この記事を監修した専門家
HIROKO MANNER Group 代表/一般社団法人 マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会 代表理事
西出ひろ子
学校の制服は礼服として着用できる
学校指定の制服がある場合は、制服を着て葬儀に参列すれば問題ありません。学校の制服は正式な礼服として認められているため、葬儀だけでなく、あらゆる冠婚葬祭の場面で着用できます。
制服は「正しく着る」ことが正式な礼服マナーです。ボタンを外したり、丈を短くしたりといった着こなしのアレンジは、行わないようにしましょう。
未就学児・小学生の喪服の選び方
制服のない未就学児や小学生は、葬儀に着る服を一番迷う年代かもしれません。服の色は黒一色である必要はなく、白や紺など落ち着いた色でまとめることで、葬儀の場で故人や参列者へ配慮した服装になります。小物や靴なども同様に、落ち着いた色で統一しましょう。赤やピンク、黄色、青など目立つ色は避けます。
男の子の喪服
男の子は大人が着るスーツスタイルを、子ども用にしたようなスタイルが無難です。
- トップス…白い無地のシャツ・白系のポロシャツ・ベストやカーディガン(あれば)
- ボトムス…黒(紺色やグレーでも可)のズボン
- 靴…ローファー・黒か白のスニーカー
小学1~2年生くらいまでなら、暑い時期に半ズボンを履いても問題ありません。
服の素材は光沢やツヤのあるサテンなどは避けましょう。かっちりとしたジャケットを用意する必要はありませんが、ベストなどがあればフォーマル感が増します。靴下は適度な長さの黒色か白色を選びましょう。
女の子の喪服
女の子は落ち着いた色のトップスにスカートの組み合わせや、ワンピースを着用すると良いでしょう。
- トップス…白いブラウス(レースの飾りも多少なら可)・カーディガン
- ボトムス…黒(紺色やグレーでも可)のスカート
- ワンピース…バイカラーや柄物でない黒や紺、グレーの無地
- 靴…ローファー・黒か白のスニーカー
肌が露出しすぎる服装は、お子様であっても葬儀ではマナー違反と思われてしまう可能性があります。スカートやワンピースの丈は、椅子に座った時や正座をしたときに、膝が隠れる長さのものを選びます。子どもだからといって丈の短いデザインは避けましょう。
半袖のワンピースでは肌寒くなる場合もあるため、すぐに羽織れるカーディガンを持っておくのと安心です。
中高生の喪服の選び方
中学生や高校生になれば、学校指定の制服があることが多いため、制服を礼服として着ることができます。ただし明るい色のネクタイやリボンがある制服の場合、葬儀の場では、外すようにしましょう。
靴はシンプルなデザインのローファー、スニーカーを履きます。ローファーの場合は黒色や茶色、スニーカーの場合は黒色や白色がよいでしょう。靴下の色と靴の色を合わせるとスマートです。
靴下は柄もの・ニーハイソックス・スニーカーソックス・ルーズソックスなどは避けます。くるぶしや、ふくらはぎが隠れる長さがおすすめです。
乳幼児の喪服の選び方
赤ちゃんなど小さな子どもを連れて葬儀に参列する場合、手持ちの服の中でも、ベージュや薄いカラーの服を選べば失礼にはあたりません。
赤ちゃんの場合は服の色よりも、着やすさを重視することが大切です。慣れない葬儀の場でぐずったときに、速やかに対応できるように着替えを余分に持つとよいでしょう。
また気分を変えるおもちゃや、お菓子を持参するなど、持ち物に気を配っておくと安心です。ただし、音が鳴るものは避けましょう。
子どもが葬儀に参列する際の喪服マナー
子供を連れて葬儀に参列する際、マナー違反にならないためにも、気を付けたいポイントを解説します。
柄ものやカジュアルすぎる服装は避ける
基本的に、シンプルなデザインの服を選びましょう。また子ども服では、人気のキャラクターがデザインされたものが多いです。落ち着いた服の色であったとしても、キャラクターデザインの服を葬儀で着ることは避けましょう。
普段身に着けるようなTシャツやジーンズ、サンダルなども、カジュアルな印象が強いため葬儀には不向きです。
また光沢感のある素材は、たとえ無地であっても避けることが無難です。バッグやアクセサリーなどの小物類にも注意しましょう。キラキラしたバッグやアクセサリーは、葬儀の場にはふさわしくはありません。
髪の毛を整える
髪型が整っていないと、葬儀の場では失礼な印象を与えてしまいます。子どもも髪型で印象が大きく変わるため、葬儀に参列する前に、以下の点に気を付けておきましょう。
- 前髪が目にかかっている場合は、カットしてそろえる
- 長い髪は1つにまとめる、耳にかける
- 髪留めは飾りが付いていないシンプルなものを選ぶ
髪が長い場合はまとめることで、すっきりとしたイメージになります。清潔感を意識した髪型にできるとよいでしょう。
靴や靴下にも気を配る
足元は意外と人から見られる部分のため、服装と同じくらい気を配ることが大切です。
ローファー、または黒、白、グレーといった落ち着いた色のスニーカーがベストです。音が出るスニーカーやローラー付きのスニーカー、光るスニーカーは、悪目立ちしてしまうので避けましょう。
靴下は黒または白で、服装にマッチした長さのものを選びます。長ズボンを履く場合は、ふくらはぎまでの長さでなくても良いでしょう。ただし、くるぶしまでの短すぎるものは避けます。
手持ちの服で代用できる?
暗めの色で揃えるといったマナーに沿っていれば、子供の喪服は手持ちの服で代用できます。急遽子供の喪服を用意しなければいけない際、手持ちの服で代用したい人も多いのではないでしょうか。喪服を手持ちの服で代用するときのポイントを紹介します。
手持ちの服で代用するメリット
子どもの喪服を新調する場合、大人と比べると費用を抑えられますが、一式揃えるとなるとお金がかかります。
また子どもは日々成長するため、一度買ったものが、数年後には丈が短くなる場合もあるでしょう。
手持ちの服で代用すれば、費用がかからずに済むだけでなく、現在のサイズに合った服を着用できます。
手持ちの服を利用するときのポイント
手持ちの服を喪服として着用する場合は、「黒や白などを基調とした控えめの色でシンプルなデザイン」であることが重要です。白無地のシャツや黒のパンツ・スカートを持っている場合は代用できます。
ただし子どもの成長は早いため、いつか着せようと取っておいた服が現在の体系に合っているかは確認することが大切です。
手持ちで代用できる服は使い、足りない場合は負担のない程度に買い足すことができれば、追加で用意しても良いでしょう。
子ども用の喪服はどこで買う?使いやすいお店4選
子どもの喪服を買いたいとき、駆け込みやすいお店4選を紹介します。
「西松屋」手頃な価格帯と品ぞろえに定評
西松屋は置いている商品の年代が赤ちゃん用品から小学生までと幅広く、価格帯も手頃なので利用しやすいお店です。
西松屋で扱っている子ども用喪服は、シャツやズボン、ワンピースなどの単品は1,500円未満から買えるものが多いため、足りない服のみ買い足せるでしょう。
また男の子・女の子別にスーツセットなども取り扱いがあります。店舗によって在庫数は変わりますので、確認してから行きましょう。
「ユニクロ」着心地とシンプルなデザインが人気
ユニクロはシンプルなデザインと、着心地の良さが魅力のお店です。店舗数も多いため足を運びやすく、価格もお手頃なので、突然葬儀に参列することになった際も利用しやすいでしょう。
ユニクロには普段着以外に、フォーマルウェアも展開しています。キッズサイズのフォーマルウェアのカテゴリもあるので、子ども用のスーツをこの機会にそろえたいという人にはおすすめです。
キッズフォーマルは100~160cmのサイズなので、小学生なら揃えやすいです。在庫の有無は店舗により異なるため、事前の確認が必要になります。
「しまむら」多彩なデザイン性と安さが魅力
しまむらは多彩なデザインの服が、リーズナブルに購入できるお店です。
カジュアルな服を取り扱うイメージが強いかもしれませんが、店舗によっては礼服も取り扱っています。礼服が必要な際は、店舗に足を運ぶ前に問い合わせるのがおすすめです。
またしまむらでは服だけではなく、靴や靴下・バッグなどの小物も、多数取り扱っているため、足りないものをピンポイントで買い足しやすいでしょう。
「イオン」子ども服ブランドが豊富
イオンは店舗数が多く、利用しやすいお店の1つです。取り扱い品が豊富なので、求めているものをイオンですべて揃えることができるでしょう。
イオンのオリジナルブランドも、手頃な価格と安定した品質で支持されています。
イオン内に入っているテナントも多く、さまざまなブランドを取り扱っているので、選択肢の幅が広いというメリットがあります。
マナーを踏まえて子どもの喪服を用意しよう
子どもの喪服は大人の喪服のマナーほど厳しくありません。急遽葬儀に参列することになった際にも、手持ちの服で代用したり、身近な店で購入したりできるので、焦らずに準備しましょう。
ただし暗い色の服を着用する、髪型にも気を配るなど、最低限守るべきマナーがあります。
故人を厳かにお見送りする気持ちをもって、マナーを踏まえた子供の喪服を用意し、葬儀に参列できるようにしましょう。
監修者:西出ひろ子
HIROKO MANNER Group 代表
ウイズ株式会社 代表取締役会長
HIROKO ROSE株式会社 代表取締役社長
一般社団法人 マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会 代表理事
葬儀会社などの企業にて、お客様の心に寄り添う営業接客・接遇研修や、マナーコンサルティング、マナー研修を行う。「めざせ!会社の星」 (Eテレ)、「芸能人品格チェックスペシャル」 (ABC朝日)、「なないろ日和」(テレビ東京)などのテレビ番組にてお葬式や喪服のマナーについての出演、監修など多数。NHK大河ドラマや映画、CMなどでは超一流俳優や女優へのマナー所作指導実績数日本NO.1。
- 『お悔やみのマナー』 (アドレナライズ) 2013/9/24発行
- 『知らないと恥をかく 50歳からのマナー』(ワニブックス) 2020/8/25発行
- 『気くばりにいいこと超大全』(宝島社)2022/6/15発行
など多数
コメント
お子様は、正式な喪服で参列しなくても構いません。とはいえ汚れた靴や、赤やピンク、青、黄色などの明るいお色のスニーカーなどは避ける心配りは大切です。故人を偲び、ご遺族へ配慮する気持ちを服装や靴、バックなどの色で表現することを、大人もお子様も知って理解できるといいですね。