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神式葬儀で必須の「霊璽(れいじ)」とは?その作り方や祀り方を解説

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最終更新日: 2024年06月28日

神道において、葬式や故人を祀るときに必須となるものが「霊璽(れいじ)」です。霊璽は故人の御霊を移すための依り代で、仏教の位牌(いはい)と同じような役割を持ちます。

霊璽の置き方や祀り方は位牌とは異なるため、適切な知識が必要です。霊璽の基本知識から作り方、適切な置き方を解説します。

霊璽とは

神道の祭壇

霊璽(れいじ)とは神式葬儀で用いる道具で、故人の御霊を宿す依り代です。仏教における「位牌」にあたります。

霊璽には故人の名前である「霊号(れいごう)」を書き、仏式の仏壇にあたる「祖霊舎(それいしゃ)」に祀るのが一般的です。

霊璽を祀ることで、その家の子孫を守ってくれるとされており、神道の中でも神聖なアイテムの1つと言えます。

霊璽の由来

霊璽や位牌の「先祖の霊が家を守る」という思想は、中国の儒教に由来があるとされています。中国の儒教では祖先崇拝の考えのもと、先祖の御霊を移した木の板「位板」を祀って祭事が行われていました。

位板は鎌倉時代に日本に伝えられ、江戸時代に一般化されたとされます。仏教では「位牌」、神道では「霊璽」として使われるようになりました。

霊璽の素材や費用

霊璽はヒノキやケヤキといった木材で作られています。大きさは高さが15センチ、幅が6センチ、奥行き6センチ程度のものが多いでしょう。4寸~8寸からサイズを選びます。

費用相場は1万~2万円です。ただし葬儀の時点で個別に購入する必要はなく、多くの場合において神職が霊璽を準備してくれます

霊璽の種類

霊璽には主に「一体型」「繰り出し型(回出型)」の2つの種類があります。最初は一体型を選んでおき、先祖の数が多くなるにつれて、繰り出し型に変えるのが一般的です。

一体型

一体型はスタンダードな形式の霊璽です。1名分の御霊を移すための霊璽で、1名分の霊号しか書けません。祖霊舎に複数の霊璽を収納する余裕があれば、一体型が選ばれるケースが多くなります。

繰り出し型

繰り出し型は、複数の霊璽を札板に変えてまとめたものです。およそ10枚分の、霊号が書かれた札板を収められます。霊璽が多くなり祖霊舎に収納するスペースがない場合には、繰り出し型に変更することが多いでしょう。

「遷霊祭」で霊璽に御霊を入れ

神式葬儀

霊璽は本体を用意したら終わりではありません。霊号を入れる、御霊を移すといった儀式が必要です。

「神葬祭」を執り行う

神葬祭とは神式の葬儀です。仏式の葬儀は僧侶が勤めますが、神葬祭は神社神職が執り行います。神葬祭の実施を依頼すれば、白木に霊号(死後の名前)を入れた霊璽を、神職が用意してくれるでしょう。

神葬祭では、仏教で通夜にあたる通夜祭が行われます。この通夜祭と同時に、遷霊祭を実施し、故人の御霊を霊璽に移します。

「遷霊祭」で御霊を霊璽に移す

「遷霊祭(せんれいさい)」で、御霊を霊璽に移す儀式を行います。

なおここで準備される霊璽は、あくまで神職が用意したものです。また地域によっては仮の霊璽を使用します。自分で用意した霊璽に御霊を移したい場合は、神道の忌明けにあたる「50日祭」で、新しい霊璽に移す儀式を行ってもらいましょう。

霊号の書き方

霊璽に御霊を移すにあたり、霊号を正面に書かなければなりません。霊号とは仏教でいう戒名に該当し、故人の死後の名前です。

霊号は故人の名前に続けて、「称名(たたえな)」と「尊称(そんしょう)」を加えて書きます。また霊号のほかに、故人が亡くなった日付などを刻むのが一般的です。

「称名」とは故人の性別や身分、年齢を表し、成人の男性であれば「大人(うし)」、成人の女性は「刀自(とじ)」と書きます

「尊称」は「命(みこと)」が使用されるケースがほとんどです。一例として成人男性の霊号を挙げると、名前の下に「大人之命」と書きます。

称名は亡くなった年齢や地方によって異なるので、気になる際は葬儀社に聞いたり、事前に調べたりするとよいでしょう。

霊璽の置き方や祀り方

神道の葬儀に参列している人

霊璽は祖霊舎(それいしゃ)の中で祀るのが一般的です。霊璽の置き方について確認しましょう。

霊璽の置き場所

神道では亡くなった人を「祖霊」と呼ぶことから、祖霊舎に霊璽を置きます。祖霊舎とは神道における、祭壇の1つです。先祖の霊璽を祀るための棚であり、神社のお札を祀る神棚とは別のものである点に注意しましょう。

祖霊舎の中央には内扉が設けられていて、霊璽はその中に配置します。または戸張と呼ばれる幕を掛けて、霊璽が見えないようにしましょう。

祖霊舎は、神棚より低い場所に、吉祥の方角とされる南か東に向けて置きます。神棚を上に位置させる目的は、神様を上座に配置させるためです。

霊璽の祀り方

霊璽を祀る際は、祖霊舎にお供物をして、毎日お祈りをします。先に神棚に向かって手を合わせ、祖霊舎はその後にしましょう。お祀りは2礼2拍手1礼が基本ですが、神社によって異なります

お供え物は、故人が好きだったもののほかに、塩や米、水や酒などを供えましょう。塩は「海のめぐみ」米は「大地のめぐみ」を表すものです。水は「生命の源」であり、酒は「稲から作られるもの」として縁起がよいものとされます。

ほかに「清める炎」「一族の繁栄」という意味でろうそくと榊を供えましょう。お供物は定期的に取り替えます。

霊璽について知って適切に祀ろう

屋外にいる喪服姿の女性

霊璽とは神道式の葬式で、御霊を移す神聖な依り代です。霊璽は祖霊舎の中央に配置し、お供えと共に毎日祀ります。

大切に保管し、先祖への感謝の意を忘れず祀りましょう。

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監修者:岩田昌幸

葬送儀礼マナー普及協会 代表理事

葬送儀礼(臨終から葬儀、お墓、先祖供養等)が多様化している中で、「なぜそのようにふるまうのか」といった本来の意味を理解し、そうした考え方や習慣を身につけられるよう「葬送儀礼マナー検定」を実施しています。メディア監修多数、終活・葬儀・お墓関連セミナーも実施しています。

コメント
霊璽の霊号が書かれた部分には、蓋がついているのが通常です。普段は蓋をつけたままお祀りしますが、命日や年祭といった特別なときには、蓋を外すこともあります。

参考:一般社団法人葬送儀礼マナー普及協会