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オンライン葬儀はどんな葬儀?実際のやり方や費用についても紹介

最終更新日: 2022年10月31日

昨今はあらゆるもののオンライン化が進んでおり、葬儀も例外ではありません。しかし葬儀をオンラインで行うイメージが、湧かない人もいるでしょう。オンライン葬儀の意味や流れ、メリット・デメリットを解説します。

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この記事を監修した専門家

葬送儀礼マナー普及協会 代表理事
岩田昌幸

オンライン葬儀とは

スマートフォンを操作する葬儀社のスタッフ

オンライン葬儀という言葉の意味は理解できても、実際どのような葬儀なのか、イメージがつきにくいかもしれません。まずはオンライン葬儀の概要を解説します。

リモート葬儀とも呼ばれる葬儀形式

オンライン葬儀はリモート葬儀とも呼ばれ、ビデオ通話のできるアプリを使って、葬儀の様子をライブ配信する形式の葬儀です。葬儀会場にいる人と遠隔地で映像を見ている人が、会話できる場合もあります。

実際に執り行う際には、既存のビデオ会議ツールを使う場合や、葬儀社独自のシステムを使うケースなど様々です。葬儀社によってオンライン葬儀の対応可否やサービス内容は異なります。

コロナ禍で注目されるオンライン葬儀

葬儀の様子を映像に収めて配信するサービスは、数年前から存在していました。近年では新型コロナウイルスの影響により、急速に認知されるようになっています

葬儀といえば大勢の人が集まる形式が一般的ですが、オンライン葬儀であれば人の密集を避けながら実施することが可能です。そのため感染予防の観点からも、参加しやすい形式として、一部で取り入れられるようになりました。

ライブ配信の形式は普及には至っていない

ただし話題性はあるものの、普及までには至っていないのが現状です。オンライン葬儀といっても会場の様子が中継されるだけであり、「参列」という意識にはなりにくいでしょう。

また今は親しい間柄であれば、自分たちの携帯端末で簡単に動画をつなげることが可能です。参列できない親戚などに、会場の様子を伝えている光景はしばしば見かけられます。

コロナ禍以前から葬儀の簡素化・縮小化の流れがあり、家族葬のように内々で行う葬儀が増えているため「あえてオンライン葬儀という形でオープンにしなくても」という背景もあるのが現状です。

オンライン葬儀は、実際は「生中継」よりも、編集して5分くらいにまとめたものにニーズがあるでしょうそのため終了後に配信するシステムを導入している葬儀社もあります。

オンライン葬儀の一般的な流れ

案内するポーズの葬儀社の女性スタッフ

オンライン葬儀の一般的な流れを解説します。故人の親族のみ実際に葬儀を行う会場に参列し、それ以外の親戚や友人はオンラインでの参列ということが多いです。

大まかな流れを理解して、実際に葬儀が必要になったときの参考にしましょう。

まずは葬儀社に相談

まずは葬儀社に、オンライン葬儀に対応しているかどうかを問い合わせるところから始めます

オンラインといっても定義はなく、無料で使用できるビデオ通話アプリでつなぐケースもあれば、記帳から香典決済まで完結できるオンラインシステムを導入しているところなどさまざま。どのようなシステムで実施が可能か相談してみましょう。

大手だけでなく、町の小さな葬儀社でもオンライン葬儀に対応しているケースもあります。問い合わせだけなら料金はかからないので、事前に確認するとよいでしょう。

親しい間柄の人につなぐだけであれば、葬儀社のシステムを使用しなくても遺族の携帯端末を使用することも可能です。新しい形式だからこそ、細かいところまですり合わせておきましょう。

システムへの登録・リンクの共有

葬儀社と打ち合わせの上葬儀内容が決まったら、親族や参列してほしい人にオンライン葬儀の案内をします。当日使うビデオ通話ツールをインストールし、参加者にも招待リンクを共有しましょう

ビデオ通話のできるアプリなど、既存のツールが使えるかどうかを事前に確認しておくとスムーズです。葬儀の案内は従来通り電話やハガキでも問題ありませんが、葬儀社が用意している訃報連絡機能を使えるケースもあります。

オンライン葬儀には慣れていない人がほとんどのはずなので、不便がないように丁寧に案内することが重要です。

通夜・告別式での流れは一般葬と同じ

当日になったら、弔問客はリンクにアクセスし、葬儀社の指示に従ってオンライン葬儀に参列します。一般的な葬儀との違いは参加方法のみで、通夜と告別式の流れは、通常と変わりません

お通夜では僧侶による読経や焼香を行い、葬儀・告別式では閉式後に出棺、火葬場に移動します。

通常の葬儀では最後に精進落としがありますが、オンライン葬儀では式が終わり次第ログアウト(退出)します。

オンライン葬儀ができる業者を探すには

オンライン葬儀に対応している葬儀社を探すには、直接ホームページで確認したり、電話で問い合わせたりする必要があるでしょう。

オンライン葬儀は認知度こそ高まっているものの、普及までには至っていません。オンライン葬儀の動画に写真などを入れて編集し、後日配信するといったサービスの方が実際にはニーズがあります。

また葬儀社によっては、動画配信だけではなく記帳や香典決済、供花・供物・弔電をオンラインで送ることも可能です。そのためまずは、いくつかの葬儀社にどのようなオンライン葬儀に対応しているか聞きましょう。

葬儀社の検討を付けるには、一括見積もりができるミツモアを利用してみましょう。チャットで葬儀社に質問ができるので、どのようなオンラインサービスを導入しているのか確認できますよ。

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一般的な葬儀より安くできる?

計算機を持った喪服姿の女性

オンライン葬儀にかかる費用は「一般的な葬儀の費用+配信サービス料」です。

一般的な葬儀の費用

まずは一般的な葬儀の費用を見ていきましょう。オンライン葬儀でも式の流れは通常の葬儀と同じなので、費用も同じようにかかります

一般的な葬儀の費用相場は、80万~150万円です。費用の内訳は大きく分けて以下の通りです。

  • 葬儀一式の費用
  • 僧侶へのお布施
  • 飲食代

葬儀一式とは式場や祭壇、送迎・搬送費用などが含まれます。

オンライン葬儀でも葬儀費用の総額はあまり変わらないでしょう。外部のオンラインシステムを使用する場合は、別途システム利用料がかあることがあります。

配信方法によって費用が異なる

葬儀のライブ配信に対してどの程度の費用がかかるかについては、まだ具体的な相場が確立していません。遺族自身がライブ配信を行う場合はもちろん無料ですが、葬儀社のシステムを使う場合は、数万円程度のオプション料金がかかる場合があります

なお参列者側にライブ配信に関する費用がかかることはありませんが、香典オンライン決済については遺族側、参列者側のどちらかが手数料を負担する形式です。こちらも葬儀社や設定によります。

自分が納得いく料金プランを提示してくれる葬儀社を選ぶことがポイントです。

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オンライン葬儀のメリット

人さし指を立てる喪服姿の女性

オンライン葬儀が持つ長所を解説します。喪主の負担を軽減できることや、誰でも参列いただけることがメリットです。

喪主の手間や負担の軽減

故人が亡くなってから葬儀を開くまでには時間がなく、やることも多いので、どうしても遺族の負担は大きくなります。しかしオンライン葬儀であれば、遺族や現場の負担を小さくできます。

記帳や決済システムを導入している場合は、香典の管理や香典返しの準備などの作業を軽減可能です

また参列者からのメッセージがシステム上に集まるので、通常メールやLINEなど分散して送られてくるメッセージをひとつにまとめられます。故人の動画や画像を、システム上にUPできるシステムもあります。

家族葬でも参列者を招待できる

家族だけでゆっくりお別れしたいという意向で「家族葬」として葬儀を執り行う場合でも、声をかけたい人にオンライン葬儀を実施する旨をお伝えし、参列していただくことが可能です。

故人の交友関係を遺族がすべて把握しているとは限らず、「故人とお別れがしたかったという人が予想以上に多かった」という声もよく聞きます。誰でも招待できる点もオンライン葬儀のメリットです。

場所や状況に左右されない

オンライン葬儀の一番の長所ともいえるのが、場所や状況に左右されない点です。スマホ1台あればどこにいても葬儀に参加できるので、通常の葬儀なら時間と場所の都合で現地に赴けない人でも、参列しやすいでしょう。

また体調が悪い人や、海外にいる人でも参列しやすいです。このように場所と状況の制約を受けず、故人を偲ぶ気持ちがあれば誰でも参列できる点が大きなメリットといえます。

参列者の立場からすると、葬儀には自分の知らない人も大勢参加することから、何かと気を使う場面もあるものです。しかしオンライン葬儀ならほかの人を気にすることなく、故人を送り出せるでしょう。

オンライン葬儀は遺族だけでなく、参列者にとってもメリットのある葬儀形式です。

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オンライン葬儀のデメリット

悩む喪服姿の女性

オンライン葬儀は新しい形ならではの障害もあります。オンライン葬儀のデメリットを3つ解説します。

インターネットの環境・知識が必須

葬儀をオンラインで行う以上、遺族・参列者双方の側でインターネット環境が整っていることが前提です。特に地方や高齢者の家庭では、そもそも自宅にインターネットが通っていないケースがあるでしょう。

インターネット環境がない場合は、オンライン葬儀に参列することはできません。またインターネットを使えたとしても回線状況が悪いと、映像が途切れ途切れになってしまいます。それでは葬儀に集中できないでしょう。

オンライン葬儀を行うときには、通常の葬儀では気にする必要のなかった部分にも、気を配る必要があります。

理解を得られない可能性も

人によってはオンライン葬儀に抵抗を示す人もいるかもしれません

オンラインで葬儀をすることが、故人に対して失礼と感じる人がいる可能性があります。特に親族からはこのような意見が出やすく、理解を得るのに苦労をするでしょう。

またお住まいの場所が斎場に近い人にとっては、故人の顔を見に行けないことに歯がゆさを感じる可能性があります。

その場合には、オンライン葬儀にする必要性やメリットをしっかりと話し、理解をしてもらうことが重要です。

お葬式の雰囲気を伝えきれない

画面越しでは気持ちが入らないと感じる人もいるでしょう。

カメラを複数台設置する、状況に合わせてズームするといった工夫も不可能ではありませんが、ライブ配信は他の参列者への配慮も必要になりますので、あまり細かい演出はできません

編集して後日配信という形ができないかに、葬儀社に相談してみましょう。

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オンライン葬儀に参列する際のQ&A

香典袋と数珠

オンライン葬儀は通常の葬儀と勝手が違うので、「この場合はどうしたらいいの?」といった疑問を持つ人もいるでしょう。オンライン葬儀に参加する際のポイントをQ&A方式で解説します。

香典はどうすればよいの?

オンライン葬儀に参列する場合は、香典もオンラインで送るのが無難です。オンライン葬儀に対応している葬儀社であれば、香典をオンラインで送るシステムを用意しているケースが多くなっています。遺族側の費用管理も楽になるのがメリットです。

香典をオンラインで送る場合は、クレジットカードで決済することが多いでしょう。もしオンライン決済の手段を持っていない場合は、現金書留で送れば問題ありません。

昨今では喪主側が香典を辞退するケースも増えています。香典を断られた場合は、従いましょう。

お悔やみの言葉などメッセージは?

オンライン葬儀の場合は「受付を実施しないケース」も多くなっています。それではどのタイミングで、お悔やみの言葉を伝えればよいのでしょうか。

文字でのメッセージ機能を搭載しているシステムの場合は、ログインした時や記帳した時にお悔やみのメッセージを送ります。

お悔やみの言葉を伝える際の注意点は、一般的な葬儀と同じです。「長々と話さない」「忌み言葉や死因についての質問は避ける」などの配慮をしましょう。

服装はどうすればよい?

オンライン葬儀の服装のマナーに決まりはありませんが、通常の葬儀に準じた形が無難です。

オンライン葬儀の服装のマナーは、通常の葬儀と変わりません。ビデオ通話機能を利用する場合は、自分の姿が映るため派手でない服装を選びましょう。

男性はブラックスーツに白のワイシャツ、黒のネクタイが基本です。女性も基本は黒を基調とした服装にし、肌の露出はできるだけ避けます。派手なアクセサリー類は外しましょう。

ビデオ機能はオン・オフどちらにしたらいい?

オンライン葬儀は前例が多くありませんので、ビデオ機能のオン・オフどちらが良いか、また、氏名を画面上に出すかどうか厳密に決まっているわけではありません。

ビデオ機能をオンにする場合は画面に集中すること、途中で離籍する場合はオフにするなどの配慮は必要でしょう。

大切な人との新しいお別れの手段

屋外にいる喪服姿の男性

オンライン葬儀は昨今の情勢から認知度を上げている、新しい葬儀の手段です。人数や場所、状況に制限されず、インターネットを使える人なら、誰でも参加できることが最大のメリットといえます

しかしまだ普及しているとはいい難く、葬儀社によって対応可能か否かは異なるのが現状です。インターネット環境が悪いとスムーズにいかない点や、親戚や参列者の理解を得づらいなどの課題も、クリアしなければなりません。

ただし今後は、オンライン記帳や香典決済、供花・供物・弔電の送付などがWeb上で行うことができるシステムが主流になってくるでしょう。

オンラインシステムを導入しているか否かが葬儀社選びの決め手となるのもそう遠くないかもしれません。

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監修者:岩田昌幸

葬送儀礼マナー普及協会 代表理事

葬送儀礼(臨終から葬儀、お墓、先祖供養等)が多様化している中で、「なぜそのようにふるまうのか」といった本来の意味を理解し、そうした考え方や習慣を身につけられるよう「葬送儀礼マナー検定」を実施しています。メディア監修多数、終活・葬儀・お墓関連セミナーも実施しています。

コメント
オンライン葬儀はビデオ通話で直接つなぐイメージがあるかもしれません。しかし現在では5分ほどに編集した葬儀の動画を、後から送るという手段もとれます。遠方の方に葬儀の様子を伝えたい場合、検討してみてもよいでしょう。

参考:一般社団法人葬送儀礼マナー普及協会