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お別れ会とは?葬儀・告別式との違いと開催のポイントを解説

最終更新日: 2022年11月15日

「お別れ会」とは葬儀とは異なる故人とのお別れの場です。「偲ぶ会」とも呼ばれることもあり、芸能人や著名人が亡くなった際に多く行われてきました。

近年では葬儀を家族葬などで小規模に行うことから、一般の方でも別日にお別れ会を開催するケースが見られます。

お別れ会を開催する場合の準備や当日の流れ、参加するときに気を付けたいマナーについて確認しましょう。

この記事を監修した専門家

株式会社SAKURA 代表取締役/一級葬祭ディレクター
近藤 卓司

お別れ会とは

花が多く置かれている祭壇

お別れ会は故人の知人・友人、関係者が中心に集まって、故人に別れを告げる場です。故人を偲ぶことから「偲ぶ会」とも呼ばれます。

家族葬や密葬では、参列者が一部の人に限られます。そのため故人にゆかりのある人が、お通夜、葬儀・告別式、火葬の後に、日を改めてお別れ会を開催するケースが多いです。

お別れ会を開催するに当たって、特に宗教的な縛りはありません。故人の人柄や、性格に合った自由な形で故人を見送れます。

葬儀・告別式との違い

葬儀・告別式とお別れ会の最大の違いは開催形式や日程の自由度でしょう。

葬儀は故人のご冥福を祈るための儀式で、ご逝去から数日後に行われます。宗教・宗派ごとに形式は決まっていることが多いです。たとえば仏式葬儀では僧侶がお経を読み上げます。

一方告別式は「参列者が故人に別れを告げる場」です。開催の目的はお別れ会と大きく違いがありません。ただし告別式は葬儀と同じ日に、連続して行うのが一般的です。そのため葬儀と区別がつけにくく、形式も決まっている場合が多いでしょう。

お別れ会は故人との別れの場を設けることが第一の目的です。そのため宗教的な儀礼に囚われず、自由な形とタイミングで開催できます。

お別れ会の開催形式

立食パーティ

お別れ会は自由な形で開催可能ですが、主な形式はセレモニー形式と会食パーティー形式の2種類です。それぞれの形式の特徴を紹介します。

セレモニー形式

セレモニー形式は比較的フォーマルなお別れ会の形です。会場の前方に生花祭壇と故人の遺影を設置し、参列者は祭壇に向き合う形で並べられた椅子に座ります。

セレモニー形式は司会の進行に従って故人の紹介や親族による挨拶、弔辞の挨拶が行われるのが一般的です。告別式と同じように焼香と献花を行ったり、自由な形式の場合は故人の好きだった音楽やスライドショーを流したりします。

会食パーティー形式

会食パーティー形式はセレモニー形式よりもカジュアルです。セレモニー形式と同様に祭壇と遺影が設置されますが、ホテルの宴会場で行うことが多いため祭壇の作りが簡素でしょう。また遺骨の持ち込みや焼香はできない場合があります。

弔辞の挨拶や献花が行われた後、食事に移る流れが主流です。食事中は、故人との思い出話に花を咲かせられるでしょう。

献花だけあるいは会食だけなど、途中参加および途中退場が自由にできます。そのため予定が合わず十分な時間を確保できなくても参加しやすい点がメリットです。

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お別れ会は誰が主催する?

棺に花を手向ける人

お別れ会を開催したいけれど、自分が主催して良いのか分からず足踏みしてしまうこともあるでしょう。主催者や司会者の決め方を解説します。

親交の深い友人・知人が主催することが多い

お別れ会の主催者に、特別な制限はありません。故人の遺族や親族に限らず、友人や同僚もお別れ会を主催できます

実際には遺族や親族が主催するケースよりも、葬儀に参列できなかった、故人の知人・友人が主催するケースが多いです。

司会は主催者以外でもOK

お別れ会の司会は、必ずしも主催者が務める必要はありません

喪主や遺族がお別れ会を主催する場合は、遺族や親族の誰かが司会を務めるのが一般的です。故人の友人に司会を依頼しても問題ありません。

また知人・友人が主催するお別れ会でも、他の人が司会を務めるケースもあるでしょう。

規模が大きかったり、格式の高さを求められたりするなら、専門の司会者に依頼する選択肢も考えられます。

お別れ会準備のスケジュールとポイント

手を合わせる喪服姿の女性

お別れ会をトラブルなく開催するためには、会の当日までに十分な準備をしておくことが大切です。準備のスケジュールと注意するポイントを解説します。

1カ月前に準備を始める

お別れ会の準備は、開催予定日の1カ月前には始めるのがおすすめです。まずは招待する人数や会場の規模、費用の負担方法、日程を決めます。大枠が決まったら、早い段階で案内状を送付するのがポイントです。案内状の送付が遅れると参加者の日程調整がうまくいかず、人が集まらない恐れがあります。

返信用のはがきとともに、2つ折りカードや単カードで参加いただきたい方に宛てて、お別れ会の案内状を送りましょう。

3週間前には案内状の返事が届き始めます。会場のレイアウトや料理、当日の式次第を確認していきます。また弔辞を読んでもらう人を決めて、お願いすることも必要です。会食パーティの場合、故人の好きだった料理を出すと、参列者の間で思い出話に花が咲くでしょう。

2週間前には当日に使用する遺影やBGMなど、細かいところまで詰めていきます。この頃までに式次第やメニュー表などの印刷物が届くようにしておきましょう。届いたら誤植がないか、入念にチェックすることが大事です。

1週間前には人数を確定させて、最終的な料理の数や席数、会費の金額を把握します。当日は早めに会場に到着して、レイアウトや流れに問題ないか最終確認を行いましょう。

お別れ会の開催に適切な日程

お別れ会を開催する日程に決まりはありませんが、葬儀から2週間以上経った頃が一般的です。特に四十九日の法要の頃に開催されることが多いでしょう。

葬儀後すぐに行う場合は参列者が集まらない可能性が高いです。そのため2週間~1カ月後、遅くて四十九日後が通常のタイミングといえます。

また一周忌や三回忌などの法要に合わせて行ったり、ご逝去後5年や10年など分かりやすいタイミングで催したりするのもよいでしょう。

お別れ会に適した会場

お別れ会は葬儀・告別式のように、葬儀場や寺院で行う必要はありません。特に会場の決まりはなく、お別れ会の規模や交通の利便性を考慮して、決めるとよいでしょう

セレモニー形式の場合は、葬儀・告別式と同様に、宗教的な儀式も行うケースが多いです。また規模が大きいため、葬儀場やセレモニーホールで開催すると良いでしょう。

会食パーティー形式では、ホテルの宴会場やレストラン、貸会議室が会場に選ばれるケースも珍しくありません。

遺骨を持ち込んで焼香をあげたり、僧侶に読経してもらったりする場合は、ホテルやレストランに断られる可能性があります。あらかじめ宗教的な儀式が可能かどうか確認を取りましょう。

お別れ会の費用は誰が負担する?

お別れ会の開催に必要な費用は、主催者が負担するケースもあります。しかし故人の知人・友人が主催する場合や、会食パーティー形式のときは、会費制にして参列者から費用を集めても良いでしょう。

会費制での1人当たりの費用は、料理のグレードや、会場の広さなどによって変動しますが、基本的には1万~2万円に収めます。会費の有無は案内状に記載しておき、参列者が会場に着いてから困らないように配慮しましょう。

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お別れ会当日の流れ

受付をする風景

会食パーティ形式のお別れ会を例として、一般的な流れを紹介します。

  1. 受付
  2. 開会の辞
  3. 故人への黙とう
  4. 故人の略歴紹介
  5. 弔辞の挨拶
  6. 献花、焼香
  7. 会食
  8. 閉会の挨拶
  9. 集合写真の撮影
  10. 参加者に粗供養品を渡して解散

開会の辞では、開催に至るまでの経緯を主催者が説明することが多いです。解散時は、参加者ひとりひとりへの挨拶を忘れないようにしましょう。

お別れ会に参加するときの服装・香典マナー

喪服の男性

「お別れ会」に参加する際、服装や香典マナーは葬儀とは異なるのでしょうか?一般的なマナーと注意点を紹介します。

服装は平服でよい

お別れ会は、葬儀よりも服装についてのマナーが緩やかです。基本的には平服でよいとされていることが、多いでしょう。

平服といってもカジュアルな普段着ではなく、ある程度は喪服に準じた服装が基本です。スーツ・ワンピース・ツーピースなど、公式の場を意識した服装を心掛けましょう。

柄物や葬儀にふさわしくない光り物などは避け、控えめで黒を基調としたスタイルがおすすめです。

ただし招待状で服装について指定があるときは、指示に従いましょう。招待状に記載されている項目は主催者の希望です。一般的なマナーと異なる場合でも、招待状の記載を優先すると良いでしょう。

香典を持参する

お別れ会に参列する際は、基本的に香典を持参します。招待状に「香典は不要」と記載している場合は必要ありません。

香典を持参する場合のマナーは葬儀と同様です。香典袋(不祝儀袋)に香典を入れ、袱紗(ふくさ)に包んで持参しましょう。袋に記載する内容は宗教によって異なります。宗派がわからない場合は「御香典」と書けば問題ありません。なおキリスト教式では「御花料」、神前では「御榊料」が使われます。

また会費制の場合は、名前・住所を記載した白無地の封筒に会費を包むのが一般的です。必要な金額は招待状に書かれていますが、1万〜2万円であることが多いでしょう。

お別れ会は故人を偲ぶ大切な場

色とりどりの花

お別れ会は故人を偲び、感謝の気持ちを伝えて別れを告げる大切な場です。故人の知人・友人でも開催でき、自由な形式で故人を偲ぶことができます。

失敗せずスムーズに執り行いたい場合は、プロの葬儀社に準備をお願いするのも1つの手です。

準備のポイントやマナーを理解して、満足のいくお別れ会を開催しましょう。

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監修者:近藤 卓司

株式会社SAKURA 代表取締役
厚生労働省認定 一級葬祭ディレクター

1964年東京都生まれ、中央大学卒。大手互助会で大型葬儀や社葬、合同葬を担当。独自の音楽葬スタイルを研究し、世に広めるため家族葬専門葬儀社を経て株式会社 SAKURAへ転職。2012年代表取締役に就任後、音楽葬プランの立ち上げ、日本のおもてなしの原点である茶道の取り入れを含め、葬儀プランをすべて見直す。これまでに3,000名以上のお葬式を手掛ける、現役の一級葬祭ディレクター。

著書・監修

  • 『わたしの葬式心得』(幻冬舎) 2016/07/01発行

コメント
お別れ会(偲ぶ会)の最重要ポイントは、主催者が「コンセプト」を明確にすることです。ストーリーが加わると、さらに良いでしょう。「故人が歩んでこられた人生の道程をともに偲び、称える。そして未来永劫のものとする。」といったコンセプトを踏まえ、参列者に何をお伝えしたいのかを決めます。
お別れ会(偲ぶ会)の開催は、「コンセプト」にもよりますが、想像以上に困難なものです。経験と実績のある葬儀社や、ホテルに相談をしながら進めていくと良いでしょう。