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戒名費用の目安は?ランク別・宗派別にかかる金額を紹介

最終更新日: 2023年01月04日

戒名(戒名)とは、仏の弟子となった証として授けられる名前です。一般的に仏式の葬儀において、故人の死後の名前として与えられます。

日本で行われる葬儀はほとんどが仏式ですが、仏式葬儀を執り行う場合、原則として戒名の授与が必須です。葬儀を行わず先祖代々の菩提寺(ぼだいじ)に納骨だけしてもらう場合も、菩提寺のルールに従って、戒名を付けてもらう必要があります。

戒名にかかる費用はランクにより100万円以上かかる場合もありますが、一般的には30万~50万円が多いでしょう。

戒名の授与にかかる費用の目安や、費用を抑える方法のほか、戒名料を支払うときのマナーも解説します。

この記事を監修した専門家

葬送儀礼マナー普及協会 代表理事
岩田昌幸

戒名とは

戒名と紙幣と線香

戒名は仏式の葬儀で、故人に付ける名前です。仏教では人が亡くなると、仏の世界に行くと考えられています。死後に仏の世界で、迷わず浄土に往生できるように、戒名を授かるのです

かつて戒名は、出家して厳しい修行を終えた後に、仏の弟子となった証として付けられる名前でした。現在では出家していなくとも、亡くなったタイミングで故人に付けられます。生前に戒名を付けてもらうことも可能です。

故人に戒名を付ける制度が庶民に広がったのは、檀家制度が生まれて、僧侶に葬儀を依頼するのが一般的になった江戸時代ごろからだと言われています。

宗派や宗教ごとの戒名

宗派によって戒名の呼び方が異なる点は特徴的です。浄土真宗では「法名」、日蓮宗では「法号」と呼ばれます。

戒名は仏教徒が授かる名前なので、神道やキリスト教ではもちろん必要ありません。ただし似た概念として、神道では「諡(おくりな)」、キリスト教では「洗礼名」が存在します。

なお仏式葬儀で戒名を付けてもらうのは日本だけです。海外の仏教徒の間で、戒名の授与はありません。

戒名の費用は文字数・ランクによって異なる

数珠と百合の花

戒名は「院号」「道号」「戒名」「位号」の4つから構成されるのが一般的です。戒名の値段は全体の文字数と、位号のランクによって異なります。

院号 院殿号とも呼ばれ、戒名の最初に「〇〇院」「〇〇院殿」のように付けられます。院号は宗派の功労者に付けられるもので、院号がない戒名も珍しくありません。
道号 故人の性格や、特徴が感じられる2文字の漢字です。
戒名 いわゆる「戒名」の部分で、2文字の漢字で表します。故人の俗名と、経典や尊敬する人から1文字ずつ取るのが一般的です。
位号 仏教徒としての位階を表す文字です。位号はランクの高い順に「院居士・院大姉」「院信士・院信女」「居士・大姉」「信士・信女」です。

戒名のランクを表す位号は、故人や遺族が自由に選べるわけではありません。宗派や地域に対する故人の貢献度によって決まるためです。ある程度はお布施の金額によって高いランクを付けてもらえますが、戒名を決定する要素はさまざまです。

また先祖と同じ墓に入るときは、先祖よりも高いランクの戒名は良くないという寺院もあります。

実際に支払う費用はどのくらい?

喪服姿で計算機を持つ女性

僧侶に戒名を付けてもらうとき、戒名料がかかります。戒名料は位号のランクと宗派によってさまざまです。一般的な費用相場と、ランクや宗派別の費用相場を紹介します。

30万~50万円が目安

そもそも戒名料は、戒名を付けてもらったお礼として支払うものではありません。ご本尊に捧げるお布施として渡すものです。対価ではないので決まった金額はありませんが、実際には30万~50万円に落ち着くのが一般的です

とはいえ気持ち次第でお布施の金額は変動するほか、位号のランクや宗派によって、適切とされる金額が変わってきます。ランク別や宗派別の相場も、あらかじめ確認しておくことが大切です。

ランク別の費用

最もランクの低い信士・信女で、30万円~50万円が費用の目安です。次にランクの低い居士・大姉は、出家をせずに仏教に帰依していた人に付けられます。居士は男性、大姉は女性に付けられる位号で、50万~80万円を渡すのが一般的です。

続いて院信士・院信女は70万円以上、最もランクの高い院居士・院大姉では100万円以上かかるでしょう。

また浄土真宗には信士・信女と居士・大姉の代わりに、釋(しゃく)・釋尼(しゃくに)と院釋・院釋尼の位号があり、それぞれ20万円以上と50万円以上のお布施を渡します。

戒名料にかかる費用を抑えるには?

墓地にいる僧侶

戒名を授かるのに数十万円、ときには数百万円もかかることから、なるべく費用を抑えたいと考える人もいるでしょう。戒名料をかけない、あるいは費用を抑える方法について紹介します。

費用を抑えられるか事前に相談する

経済状況により戒名料を支払えない場合は、事前に菩提寺の僧侶に相談しておきましょう。菩提寺とは葬儀で読経をしてもらう、懇意にしている寺院です。

あくまでも戒名料は「お気持ち」であるため、生活を苦しめてまで支払うものではありません。ただし相談なしに一般的な費用よりも少ない金額を渡すのは、失礼と捉えられる可能性があるでしょう。

僧侶としっかりコミュニケーションをとって、費用について相談することが大切です。

菩提寺以外の葬送方法を検討する

公営の墓地や民間霊園に納骨する場合や、海などに散骨する場合は、戒名を付けなくても大丈夫です。

ただし菩提寺がある場合は、必ず事前に相談して同意を得ておきましょう。事前相談なしに別の葬送方法をとった場合、寺院との関係性が悪くなる恐れがあります。自分自身は問題なくとも、親戚全体に関わってくる問題です。

自分で戒名を付けられる?

菩提寺がある場合や寺院に納骨する場合、ご自身では付けられないと考えましょう。そもそも戒名は寺院の僧侶から、仏弟子になった証として授けられるものです。勝手につけた戒名では、葬儀や納骨を受け付けてもらえないでしょう。

ペンネームのような位置づけで自分で考えることは可能ですが、仏式の葬儀で取り扱える名前ではありません。

海洋散骨をする場合などはご自身で付けても問題ないでしょう。自分のイメージに合わせて納得のいく戒名を付けるために、オンラインの戒名授与サービスや、戒名アプリも利用できます。

戒名料に関するトラブルを避けるために

スーツ姿で白い手袋をしている女性

戒名料は高額なため、すれ違いが発生すると、大きなトラブルに発展する恐れがあります。トラブルを避けてスムーズに戒名を付けてもらうために、気を付けるべきポイントを解説します。

菩提寺の有無を確認する

戒名を付けてもらうとき、まずは菩提寺があるかどうか確認しましょう。菩提寺は先祖代々の墓所があったり位牌を収めたりする寺院です。菩提寺の有無は、親族に確認するか、思い当たる寺院に連絡しましょう。

菩提寺がないと思い込んだまま葬儀を執り行ってしまうと、先祖と同じ墓に納骨できない可能性があります。または戒名を付け直すこととなり、費用負担が大きくなるでしょう。

戒名料がいくらか事前に聞く

戒名料を含むお布施の金額は、「お気持ちで」決めるように言われるものです。しかし適切な金額が分からないままお布施を渡すと、後から注意を受ける可能性もあります。

お気持ちでと言われた場合も、「お気持ちの目安を教えていただければ」と丁寧に聞き直せば、教えてもらえる可能性が高いです。事前に戒名料の目安を確認しておけば、無用なトラブルを避けられるでしょう。

戒名料を渡すときのマナー

お布施

戒名料はお布施として菩提寺に手渡します。お布施を渡すときの正しい包み方やタイミングを理解して、適切に渡せるようにしましょう。

お布施の包み方

お布施を裸のまま渡すのは良くありません。奉書紙に包んだ上で渡すのがマナーです。最初に折り目や破れが少なく、新札に近い紙幣を用意して、表裏と向きを揃えます。紙幣を整えたら、紙幣の表面が、中包みおよび上包みの表面と一致するように包みましょう。

奉書紙の上包みの表面上部には、黒墨の筆あるいは筆ペンで「お布施」と書き、下部には、喪主のフルネームまたは姓のみを書きます。

中包みの表面にはお布施の金額を「金参萬圓也」のように、「金」と「也」で挟むようにして大字と呼ばれる漢数字で書きますが、近年は横書きの算用数字で書いても失礼ではありません。裏面には喪主の氏名と住所を書きましょう。

渡すタイミングと渡し方

お布施は葬儀の前に挨拶をするタイミング、あるいは読経が終了してお礼を伝えるタイミングで渡すのが一般的です。お勤めに対する感謝の気持ちを伝えた上で、渡すと良いでしょう。

お布施を手渡しするのはマナー違反です。切手盆に乗せて間接的に渡すか、奉書紙を包んでいた袱紗の上に置くようにして渡します。袱紗は弔事の場に合わせて、紺色や深緑色など暗い色を選ぶのが適切です。さらに渡すときは「お布施」の文字が僧侶の方に向くように、気を付けましょう。

相場に適した戒名料を渡そう

仏前で読経する僧侶

戒名は浄土に往生できるように授けられる名前で、仏式葬儀においては必須です。戒名の授与にかかる費用は位号のランクと宗派によって異なりますが、一般的には30万~50万円に落ち着きます

戒名費用に関するトラブルを避けるために、不明な点があれば菩提寺に必ず相談することが大切です。戒名料の目安を聞いたうえで、どうしても支払えない場合は改めて相談すると良いでしょう。

戒名料の金額だけではなく、戒名料を渡すときのマナーにも目を向けることが大切です。相場に適した戒名料を用意した上で、お勤めに対する感謝の気持ちとともに渡しましょう。

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監修者:岩田昌幸

葬送儀礼マナー普及協会 代表理事

参考:一般社団法人葬送儀礼マナー普及協会