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その整備工場で大丈夫?進化する自動車整備の世界と安心守る規準作り

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最終更新日: 2024年06月28日

自動車に起きている変化とは?

自動車業界を取り巻く最新技術

昨今、自動運転機能の発展に伴い新しい技術が波のように押し寄せており、自動車業界全体が活発化しています。

しかし、目覚ましい発展と共に重要視しなければならいのが安全性です。

自動車は人の命を乗せるもの、身近な存在であるからこそ、安全であることが当たり前に求められます。

お客様の手に渡った後の自動車の安全安心を支えるのが、自動車整備工場・自動車整備士たちです。

その工場、新しい自動車を直せますか?

自動運転機能の開発が自動車メーカーの中で激化しており、最新の自動運転機能が搭載されている車種が数多く市場に出回っています。

つまり、自動車整備工場自体もその最新技術に対応していかなければならないのです。

例をあげると、自動運転機能の中でも代名詞的な存在となっているのが自動ブレーキシステムです。
自動ブレーキシステム搭載車は、乗用車メーカーの販売全体に占める割合が2017年には6割程度に高まり、トヨタ自動車は2018年には乗用車の9割に自動ブレーキを搭載すると表明しています。

自動ブレーキシステムの肝になるのはセンサーですが、センサー類だけでも大きく分けてカメラ・赤外線レーザー・ミリ波レーダー・ソナーなどがあります。

それらの取り付け角度が1度程ずれているだけでも、安全装置は正しく作動しなくなってしまいます。

障害物を正確に認識できなくなることはもちろん、思いもよらぬものを障害物と認識してしまい、走行中に急ブレーキがかかってしまって事故になる事例は、実は少なくありません。

そのセンサーを修理する作業をエーミングと言います。

エーミングの作業内容は車種による部分もありますが、共通しているのは作業場にある程度の広さが必要で、スキャンツールなどの専門的な設備が必要だということです。

平成29年度3月22日付けで国土交通省が公表した「前方センシングシステムのエーミング作業実施に係る事業主等へのアンケート調査」では、全体でのスキャンツールの保有率は増加してきているものの、保有していない事業者もまだ存在しています。

つまり、新しい技術に対応できる工場とそうでない工場が明確に分かれているのです。

自動車整備工場に求められること

自動車の技術の発展と同時に、整備する側も足並みをそろえて技術を発展させていかなければ、いざお客様に助けを求められた時に適切な修理・修繕が行えません。

その自動車に合った修理が行えないとどうなるかは、想像に難くありません。

車体に合わない不適切なパーツを組んでしまったり、板金塗装の塗料が違ったものであったりすると、お客様に無駄な費用を負担させることになるどころか、最悪命に関わる事故に発展する恐れも出てくるでしょう。

そんな事態にならない為にも、いま自動車整備業界は変化を求められているのです。

技術が伴わない自動車整備は事故に繋がることも

自動車整備工場に求められること

粗悪な修理がもたらす危険性

自動車は外装パーツが綺麗になっていると、中身がどんな状況になっているかは素人目からは分かりづらい部分があります。

特に自動車に詳しくないユーザーは、ブレーキ時の音がおかしいとか、運転中変な振動があるとか、明らかな変化がなければ全く気が付きません。

「修理に出したし、気になっていた所は改善されてるからもう大丈夫だろう」と、整備工場を信用しきっています。

ですが、中には板金塗装の途中で作業を放棄していたり、ボディにひずみが発生しているのに直せていなかったり、求められる技術に対応できていない工場に修理を出してしまうと大きな事故に繋がってしまう可能性があるのです。

知っていますか?工場選びの重要性

一口に板金塗装と言っても、工程は様々で複雑です。

板金塗装の技術が未熟であると、不十分な板金塗装が行われた部分から、ジワジワと車体にサビが広がって行ってしまう恐れが。

表向きは綺麗に塗装されていても、中の修繕がきちんと行われていないと、どんどん車中に腐食が進んでしまい、大切なパーツまで錆びてしまうこともあります。

たかがサビと思われますが、ブレーキ配管やエンジンミッション周り、タイヤ周りや大事な部分を繋いでいるネジなどが錆びてしまった時、ある日突然ブレーキが利かなくなったりタイヤと本体のジョイント部分がダメになったりと、事故に繋がる危険性は十分に考えられます。

命を乗せて走る自動車だからこそ、板金塗装を依頼する自動車整備工場選びは慎重に行いたいですね。

自動車の進化に対応している整備工場を選ぶことが重要

整備工場の技術力を確認せずに依頼を出してしまうと、ちょっとした欠陥が自動車の寿命を縮めてしまうことにもなり兼ねません。

トヨタをはじめとする各乗用車メーカーの自動ブレーキシステムの導入率を思えば、新しい技術が搭載されている車種が出回り、自動車整備工場に持ち込まれる依頼のほとんどがそれらの車種の修理になるでしょう。

塗料も同じで、商品は進化し続けます。
それらに対応できる自動車整備工場を、きちんと選ばなければなりません。

自動車修理の事業者選びのポイント

お近くの整備工場を探してみましょう。
自動車整備工場にも、種類があります。(画像提供:polkadot_photo/Shutterstock.com)

自動車修理サービスはどう分類されるのか?それぞれの特徴を比較

自動車の修理を依頼する時、どのように決めていますか?
それぞれのお店の特徴がありますので、内容を見てみましょう。

①ディーラー

修理金額: 高い

サービス: 営業担当が対応する

仕上がり: 工場の技術力による

ディーラーの多くは、自社工場を抱えていません。つまり、ディーラーに持ち込んだとしても板金工場に修理を外注しているのが実情です。結果として3割程度の中間マージンが発生しているといわれており、その分修理金額が高くなってしまうのです。

サービスについては、もともと購入した時の営業担当がいる場合も多いので、相談しやすいといえるでしょう。ただし、ディーラーの営業担当は技術の細かいところまではわかりません。営業の知識内で修理の要望に応えてくれるでしょう。

仕上がりについては、外注に出された工場の技術力によるでしょう。どのような工場に外注しているのかを聞いて、事前に調べてもいいかもしれません。

②修理工場

修理金額:ディーラーより安い

サービス: 技術担当が対応する

仕上がり:工場の技術力による

修理工場に持ち込んだときには、ディーラーと違って中間マージンが発生しないので、その分費用が安くなります。

サービス面では、技術担当のスタッフ=板金の専門技術を持つ人に直接相談できることの利点が大きいです。技術担当が直接修理箇所を見て、顧客のニーズを探りながら予算・仕上がりの両面で最適な修理方法を考えてくれます。「外から見える部分は完璧にしたいが、見えない部分は予算を抑えたい」「中古部品を使いたい」そういった要望をヒアリングしながら、求める予算とレベルに合わせたきめ細かい修理を行ってくれるでしょう。

仕上がりは、ディーラーのときと同じく工場の技術力によります。

修理依頼で重要視すべきは?

修理の依頼を出す際、最も重要視すべきは「頼みたい内容・サービスを満たしてくれるか」を修理に出す前に確認しておくことです。

破損の具合や傷の深さ、予算、自身がこだわっているポイントなどを依頼する側である程度依頼内容を固めておいて、頼もうとしている工場がどこまでケアしてくれるのかを見極める必要があります。

特に、最も大事なポイントである「仕上がり」については、どうしても工場の技術力に左右されます。しかし、自動車技術をわかっていない一般消費者にとっては、どの工場が安心・安全な修理を行ってくれるかを事前情報無く見分けるのは至難の業。うまく判断する方法を次の章でご紹介します。

安心安全を証明するBSサミット事業協同組合の認定制度

テュフ認定は分かりやすい指針となります。
テュフ認証は安心安全を守るための証明です。(画像提供:Boophuket/Shutterstock.com)

テュフ認証を知っていますか?

日本全国に自動車修理の拠点を持つ自動車修理のプロネットワーク『BSサミット事業協同組合』は、自動車整備業界に認定制度の導入を提唱しています。

組合の認定制度は4段階に分かれており、まずはBSサミットが設けた「BSサミット加盟工場基準」に適合するところからスタート。

階級を進め、さらにコンプライアンスや設備機器などの条件をクリアすると、安心安全を担保できる証明として「テュフ認証」を取得できる、という内容です。

テュフ認証とは、ドイツに本社をおく国際的な第三者検査機関、テュフ ラインランド ジャパン株式会社が発行する認証です。品質・安全・環境・テクノロジーなど、様々な観点で人々の暮らしを支える製品の品質保持に尽力しています。

BSサミット事業協同組合が独自で設けている認定制度もテュフが監修していますので、組合に加盟していることが技術力の高い整備工場であるという証明になります。

認定を取れば明確な基準を設けた第三者に認められた『証』を持つ工場として、依頼をしようとする人がその工場の技術力を判断する時の大きなプラスの要素となります。

『証』が車の安全を守る時代が来る

テュフ認証の力が分かりやすく発揮されるのは、損害保険会社との関係です。

センサーの不具合などで起こる事故が発生した場合、コンプライアンスや設備機器の問題をクリアしている工場だと分かる何かがあれば、そちらと取引しようと思うのが通常の思考ですよね。

それは一般のユーザーも同様で、テュフ認証の有無によって、最新技術に対応できる技術力の高さがあり、従業員の意識もしっかりしている工場とあると一目で分かるようになります。

これから更に進化する自動運転技術。自動車は生活から切り離せない物だからこそ、安全を守るためにも整備は確かな技術力がある工場に依頼したいですね。