ムラサキシキブは、コムラサキと同じクマツヅラ科に属する日本の在来種の落葉低木です。


樹高は1.5~3m程度まで成長し、夏に小さな白い花を咲かせ、秋には黄色く紅葉し、紫色の美しい実をつけます。
ムラサキシキブのキレイな花芽を楽しむためには、年に1回の剪定作業が欠かせません。
この記事では、ムラサキシキブの剪定時期やコツについて紹介します。
ムラサキシキブ(コムラサキ)の剪定時期は11~3月と5~6月
「ムラサキシキブ」として庭に植えられている木のほとんどが、「コムラサキ」というよく似た別の植物です。
ムラサキシキブ(コムラサキ)の剪定は、11月中旬~3月上旬と、必要に応じて5月中旬~6月に行います。
11~3月:枝を間引き、樹形を整える
コムラサキは落葉樹であり、葉を落として休眠している11月中旬~3月上旬が最も剪定に適しています。この時期であれば、秋に紫色の美しい実を楽しんだ後にお手入れできます。
基本的には自然な樹形を楽しむ樹木であるため、植えているスペースが限られている、樹形から大幅に飛び出した枝があるといった場合にのみ剪定しましょう。混みあっている枝や伸びすぎた枝などの不要な枝を間引いて、健康な枝に栄養が行きわたるようにしてください。
5~6月:不要な枝を切り、日当たりを確保する
春に新しく出てきた枝が伸びすぎていたり、木の内部で絡まって日当たりや風通しが悪くなったりしている場合は、5月中旬~6月の間に軽い剪定を行いましょう。7月には花芽がつき始めるため、それまでに済ませます。
なお強剪定しすぎると逆に枝が勢いよく伸び、花つきや実つきが悪くなるため注意してください。
ムラサキシキブの剪定方法
庭で植えられているムラサキシキブ(コムラサキ)の剪定は以下の手順で行います。
5月中旬~6月に行う夏剪定は、不要な枝を切る程度にとどめます。
①枯れた枝をつけ根から切る
カサカサに乾いていたり、樹皮の中まで茶色く変色している枝は枯れています。枯れ枝を放置すると病気や害虫の原因になるので、最優先で取り除きましょう。
病害虫の温床となることを防ぎ、樹勢の無駄な消耗を防いでくれます。
枯れ枝は健康な部分との境目まで完全に除去し、切り口は斜めにして水はけを良くすることを意識してください。
②不要な枝をつけ根から切る
次に、以下のような生え方をしている不要な枝を切り落とします。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は切り取る
③バランスを見ながら混み合った枝を間引く
不要な枝を一通り切り落としたら、木全体のバランスを見ながら、混み合った部分を間引いて枝の数を減らしていきます。
枝の混み合いを解消することで、日当たりや風通しが良くなり、病気や害虫の被害を防げます。
具体的なバランスのとり方は以下が目安です。
- 主幹から四方にバランスよく枝が広がった状態にする
- 枝と枝の間隔をどこから見てもなるべく均等にする
「遠くから眺めたときに、枝の密度が均等になっているか」を確認しながら進めましょう。枝と枝の間隔が10cm程度になるように調整すると良いです。
強く剪定しすぎると徒長枝が出て、花や実が付きにくくなるので注意しましょう。
④伸びすぎている枝を切り戻す
樹冠から飛び出している枝は先のほうを切り戻しましょう。
冬剪定の時期にはまだ花芽を目視することはできませんが、芽を残すように切ります。
⑤すべての枝を根元から切って株を更新する(4~5年に1回)
4~5年に1回のペースで、すべての枝を地際から切り、株を更新します。
株を更新することで、大きくなりすぎず、また新しい枝が出て花や実がつきやすくなります。
ムラサキシキブを剪定するときの注意点
ここではムラサキシキブを剪定するときの注意点について紹介します。
自然樹形を生かす剪定をする
ムラサキシキブは、美しい紫色の実と自然な枝ぶりが特徴的な日本の庭木なので、自然樹形を活かした剪定を行いましょう。
自然樹形を活かす剪定は、ムラサキシキブ本来の成長パターンを尊重しながら、必要最小限の手入れを行うことです。
ムラサキシキブは、放射状に枝を伸ばす性質があるため、この特徴的な枝ぶりを生かしてあげるのがおすすめです。
剪定時は枝の根元から切り落とす
ムラサキシキブの枝を剪定する際は、必ず枝の根元から切り落とすことが重要です。
枝を中途半端な位置で切ると、切り残した枝が枯れて病害虫の温床となりやすいです。
また、根元から切ることで、エネルギーが無駄な部分に使われることなく、健康な枝の成長に活用されるでしょう。
ムラサキシキブの剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
ムラサキシキブのお手入れ方法
ムラサキシキブは比較的丈夫な日本の在来種ですが、より美しい花と実を楽しむためには適切なお手入れが欠かせません。ここでは、基本的な管理方法を詳しく解説します。
水やり
ムラサキシキブは乾燥に弱い植物なので、水やりが特に大事になります。
植え付け直後は土が乾かないよう毎日水やりを行い、根が活着するまでこまめに管理しましょう。
定着後の水やりは、土の表面が乾いてから与えるのが基本です。
特に気を付けたい時期は、梅雨明けから真夏にかけてです。
この時期は週2~3回程度、朝か夕方の涼しい時間帯に、根元にたっぷりと水を与えてください。
冬季は水やりの頻度を減らし、土の様子を見ながら行いましょう。
肥料
ムラサキシキブは、それほど肥料を必要としない植物です。
もし、肥料を与えたい場合は、冬の寒肥がわりに緩効性固形肥料を与えてください。
植え付け
ムラサキシキブの植え付けは春(3~4月)がおすすめですが、比較的丈夫なので、厳寒期や真夏を避ければ問題ないです。
植え付ける場所は日当たりの良い場所が良いです。
日当たりが悪い場所でも育ちますが、花つきが悪くなるため、花を楽しみたい場合は日当たりの良い場所を選びましょう。
また、乾燥に弱い植物なので、土壌はやや湿っている腐植質の多い土を準備しましょう。
ムラサキシキブを増やす方法
ムラサキシキブを増やす方法は、主に挿し木と種まきの2つです。
どちらの方法も、適切な時期と手順を守ることで、高い成功率が期待できます。
挿し木の方法
挿し木は、親になる木から枝を採取し、その枝を新たに独立した木として生長させる方法です。
親木と同じ性質を持つ株を得られる利点があり、比較的簡単で初心者にも取り組みやすい方法です。
挿し木に最適な時期は、4~6月です。
4月ごろに挿し木を行う場合は冬に剪定した枝を使用し、6月ごろに行う場合はその年伸びた枝を使用しましょう。
その年伸びた枝には葉がついている場合があるので、いちばん下の節の葉を取り除いてください。
挿し木の手順
1.挿し穂の調整
- 健康な新梢を15~20cm程度の長さで切り取る
- 下部の葉を除去し、上部に2~3枚の葉を残す
- 切り口は斜めにカットし、表面積を増やす
2.挿し穂を水に浸す
- 切り口に発根促進剤を付ける(任意)
- 2時間水に浸して吸水させる
3.鉢植えを準備する
- 挿し木用土を鉢に入れる
- 深さ5~7cm程度の穴を開ける
4.挿し穂を挿す
- 挿し穂を静かに差し込み、土を軽く押さえる
- 半日陰で管理し、十分な水やりを行う
種まきの方法
種まきは、種を採取してイチから育てる方法で、多くの個体を一度に増やせます。
ムラサキシキブの紫の実がなったら、種を採取しましょう。
種が乾燥していると発芽しにくくなるので、実から種を取り出したらすぐ、種まきを行ってください。
用意するもの
- 完熟した果実
- 育苗ポット
- 赤玉土や種まき用の土
乾燥に弱いので、種まき後、表面の土が乾いていたらたっぷりと水を与えましょう。
種から育てたものが10㎝程度の大きさに育ったら、育苗ポットではなく、地植えか大きめの鉢に移つことをおすすめします。
ムラサキシキブの病気・害虫対策
ムラサキシキブを健康に育てるためには、病気や害虫への適切な対策が不可欠です。
特にうどんこ病、カイガラムシ、アブラムシによる被害は深刻な問題となることがあり、早期発見と迅速な対応が重要です。
ここでは、これらの病害虫への具体的な対策方法について解説します。
病気:うどんこ病
うどんこ病は、ムラサキシキブの葉に白い粉をふいたような症状が現れる代表的な病気です。
主に春から秋にかけて発生し、初期症状は葉の表面に小さな白い斑点として現れます。
そのまま放置していると、葉の光合成を妨げ、生育不良を引き起こしかねません。
うどんこ病の予防には風通しの改善が最も効果的です。
枝葉が混み合わないよう、定期的な剪定を行い、十分な通気性を確保しましょう。
また、株元は清潔に保ち、落ち葉はこまめに除去してください。
害虫:カイガラムシ
カイガラムシは、枝や葉に付着して植物の樹液を吸う害虫で、被害を受けた部分は生育が悪くなり、ひどい場合は枯死する場合もあります。
カイガラムシは一度発生すると駆除が困難なため、定期的な観察による早期発見がとても重要です。
予防には、定期的な剪定による風通しの確保、冬季の樹皮の清掃が効果的なので、意識して行いましょう。
少数の場合は、歯ブラシなどで物理的に除去するのもおすすめです。
害虫:アブラムシ
アブラムシは新芽や若葉に集中して発生し、吸汁による直接的な被害だけでなく、すす病の原因になります。
早春から秋にかけて発生し、特に新芽の生育期に被害が多くなるので、この時期は注意深く観察してください。
予防には、過度な施肥を避け、適切な栄養管理を行うことが重要です。
特に窒素過多は新芽を軟弱にし、アブラムシの発生を助長してしまいます。
発生初期は、水で洗い流すことも効果的ですが、被害が深刻な場合は、専用の殺虫剤散布を検討してください。
ムラサキシキブの剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
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