ロシアンオリーブはグミ科の植物で、「ホソバグミ」「ヤナギバグミ」などと呼ばれる落葉小高木です。
オリーブオイルなどで有名な、地中海沿岸原産のオリーブとは違う種類です。
春ごろに黄色みがかった白い花を咲かせ、秋には赤い実を付け、楽しませてくれますし、特にシルバーリーフにひかれている方が多くいます。
ただし、ロシアンオリーブは生育旺盛で枝が伸びやすいため、剪定作業は欠かせません。
この記事では、ロシアンオリーブの剪定時期や方法についてご紹介します。
ロシアンオリーブの剪定時期は落葉期の12~3月
ロシアンオリーブのおすすめの剪定時期は落葉期の12~3月です。
この時期は、葉が落ちていて剪定すべき枝が分かりやすく、枝を切ってもダメージを受けにくいので、おすすめです。
また、ロシアンオリーブは成長が早く、株が暴れやすいので、樹形が乱れてきたら落葉期以外にも剪定が必要な場合があります。
ロシアンオリーブは丈夫な植物なので、切りすぎに注意すれば、時期をずらしても問題はありません。
ただし、その場合間隔をあけずに剪定をするとダメージが残ってしまうので、「何カ月毎に剪定する」など、頻度をあらかじめ決めておくと良いでしょう。
ロシアンオリーブの剪定に必要な道具
ロシアンオリーブの剪定に必要な道具を紹介します。
どれもインターネットショッピングで購入可能ですし、一度、自身の目で確かめてから購入したい場合は、園芸店やホームセンターで購入するのがおすすめです。
手袋
剪定用の手袋を準備しましょう。
普通の軍手ですと、剪定中に枝や葉が刺さってケガをする場合があります。
手のひら側が樹脂コーティングになっているものがおすすめです。
剪定バサミ
枝を切断するための専用ハサミで、片刃が鋭利な刃物、もう片方の刃は平らな受け刃になっています。
植物の枝を傷つけることなく、きれいに切断することができ、高炭素鋼やステンレス鋼などで作られているので長期間、切れ味を保つことができます。
サイズは色々あるので手の大きさ、左手用など自分にあったものを選びましょう。
脚立
脚立は背の高い樹木を剪定するときに使用します。
剪定では幹や枝の隙間に足をねじ込んで脚立を立てることが多いので、三脚を使いましょう。
脚立を使う際には、以下の注意点を守って使用してください。
- 登る前に調節器具がロックされていることを確認する
- 一番上の段に載って作業しない
- 上を向いて作業しない
- 悪天候下では使わない
癒合剤
ロシアンオリーブの枝の剪定後の切り口に塗ることで、病気や菌から守ることができます。
保護剤を塗ることを忘れると病気や菌が侵入し、多大なダメージを受ける可能性があるので、清潔なハケ等で塗りましょう。
ロシアンオリーブの剪定方法
ロシアンオリーブの剪定は、不要な枝を間引く間引き剪定が基本となります。
ただし、樹高を抑えたい場合には芯止めを行うべきでしょう。ここでは、それぞれの剪定方法について紹介しています。
不要な枝を間引く間引き剪定
ロシアンオリーブは、間引き剪定が基本です。
まずは、不要な枝を見極める必要があります。
枝の種類 | 枝の状態 | その他 |
---|---|---|
枯れ枝 | 変色し、周囲の枝と比べてツヤがない | 残しておくと病害虫の発生原因 |
徒長枝 | 勢い良く伸びた枝 | 他枝の生長を妨害、樹形を乱す原因 |
車枝 | 幹の一ヵ所から数本の枝が放射線状に伸びている状態 | 樹形を乱すので1~2本だけ残す |
平行枝 | 長さや太さ同じの枝が上下、左右に平行して伸びている枝 | 樹形を乱すので1~2本だけ残す |
下り枝 | 主枝からわかれて、下に向かっている伸びる枝 | 樹形を乱す原因 |
逆さ枝 | 主枝の向きに逆らって、幹に向かって生えている枝 | 樹形を乱す原因 |
絡み枝 | 枝同士が交差しながら生長しあっている枝 | 通気性の悪化、樹形を乱す原因 |
かんぬき枝 | 幹の左右前後に対象に伸びる枝 | 片方の枝を剪定する必要 |
胴吹き枝 | 幹から直接生えている枝 | 栄養分を過剰吸収し、樹形を乱す原因 |
ふところ枝 | 幹付近から伸びた枝 | 樹形を乱す原因 |
ひこばえ | 樹木の根元から出ている細い枝 | 樹木を衰弱させたり、樹形を乱す原因 |
切り方は、枝の付け根近くで斜めに切ることを意識してください。
樹皮を傷つけないように注意して、大きな枝は数回に分けて切りましょう。
剪定後の切り口は癒合剤を塗布し、切り落とした枝は速やかにゴミ袋にまとめて片付けましょう。
全部の片づけが終わったら、剪定で使った道具の手入れを行っておくとより良いです。
樹高を抑えたい場合は芯止めを行う
樹高を抑えたい場合には、芯止めを行いましょう。
芯止めは、樹木の頂部にある主幹(芯)を切り詰める作業のことです。
タイミングは春の新芽が出る前か秋の生育が落ち着く時期がおすすめです。目標の高さより20〜30cm上で切り、切り口は少し斜めにしましょう。
芯止め後はロシアンオリーブへのダメージが強いので、癒合剤を塗布してください。
ロシアンオリーブを剪定するときの注意点
ロシアンオリーブを剪定するときは、以下の点に注意して行いましょう。
理想の状態よりもやや多めに剪定する
ロシアンオリーブは生育が非常に旺盛な樹木であり、剪定後も驚くほど早い速度で成長します。
そのため、最終的に目指したい樹形よりも20〜30%程度多めに枝の量を剪定しましょう。
また、季節によって生長速度が異なるため、注意が必要です。
特に春から夏にかけては成長が旺盛なため、この時期の生長量を見越した剪定を心がけましょう。
さらに、全体的な樹形のバランスを崩さないよう、片側だけが極端に刈り込まれることのないよう注意してください。
ポイントは下記の通りです。
- 生育が旺盛なため、理想の状態より20〜30%多めに剪定する
- 季節ごとの生長量を考慮して切り詰める
- 樹形バランスを意識した剪定を行う
実を収穫する場合は枝の切り落としに注意
ロシアンオリーブの実は観賞価値が高く、収穫する場合も枝の切り落としに注意が必要です。
果実をつける枝を見分けることが最初の課題です。
基本的に、前年に伸びた枝に実がなることが多いため、これらの枝を過度に切り詰めないよう注意しましょう。
また、果実の色づきには十分な日光が必要となるため、日当たりを考慮した枝の配置も大切です。
樹冠内部まで光が届くよう、適度な間引きを行いながら、実のなる枝を残していくことを意識してください。
木の幹を太くしたい場合は繰り返し剪定する
健康的で見栄えの良い樹木に育てるためには、剪定を繰り返し行うことが欠かせません。
特に若木の段階では、定期的な剪定により幹の肥大成長を促すことができます。
ただし、一度に強い剪定を行うのではなく、樹木の生育状態を見ながら、適度な枝葉のバランスを保つことが大切です。
また、地上部の剪定する量は根の張り具合と密接な関係があります。
根の発達が十分でない段階で過度な剪定を行うと、樹勢の衰えを招く可能性があるため、根張りの状態を考慮しながら、剪定量を調整していく必要があります。
ロシアンオリーブのお手入れ方法
ロシアンオリーブは適切なお手入れを行うことで、より美しく健康的に育てることができます。
ここでは、基本的なお手入れ方法について詳しく解説します。
水やり
ロシアンオリーブは乾燥に強い特性を持っていますが、定植後の初期管理では適切な水やりが重要です。
特に植え付けてから1年目は、土の表面が乾いたら十分な量の水を与えるようにしましょう。
植え付け直後
- 土全体が十分に湿る程度の量を与える
- 晴天が続く場合は1日1〜2回水やりをする
- 根張りを促すため、深めの水やりを心がける
定着後
- 週1〜2回程度の水やりを行う
- 夏季は朝か夕方の涼しい時間帯に実施する
- 土の状態を確認しながら調整する
水をやりすぎすると、根腐れする可能性があるので注意してください。
肥料
ロシアンオリーブは基本的には、無理に肥料をやらなくても健康に育ちます。
もしも、木がなかなか育たなかったり、花や実のつき具合が悪かったりする場合は、遅効性肥料(油かすや骨粉)を与えましょう。
窒素分が多く含まれる肥料は、徒長枝が増える可能性が高いので、やりすぎには注意が必要です。
植え付け
ロシアンオリーブの植え付けは、今後の生育を左右する重要な作業です。
場所の選定から植え付け後の管理まで、細心の注意を払って行いましょう。
場所の選定
- 日当たりの良い場所を選ぶ
- 水はけの良い土壌を確保する
- 周辺の植物との間隔を考慮する
植え穴の準備
- 根鉢の1.5倍程度の大きさに掘る
- 底部の土壌改良を行う
植え付け作業
- 根鉢を崩さないよう丁寧に扱う
- 植え付け深さの確認をする
- 支柱立てを検討する
このように、ロシアンオリーブの管理には水やり、施肥、植え付けの各段階で適切な対応が必要です。
特に初期の管理を丁寧に行うことで、その後の生育が大きく変わってくるので、お手入れのポイントはしっかり守りましょう。
ロシアンオリーブの収穫
ロシアンオリーブは庭木としても人気がありますが、実の収穫も楽しめます。
収穫時期は幅広く、実の活用方法によって異なるので、自身の活用方法に合わせて収穫すると良いでしょう。
収穫時期
ロシアンオリーブの実は、10~11月が収穫時期ですが、育てる環境によってタイミングが異なる場合があります。
実がついて、ある程度大きくなったとき、赤色で皮が柔らかくなっていれば収穫できる目安です。
収穫の基本
- 実を傷つけないよう、丁寧に摘み取る
- 枝を痛めないよう注意する
- 収穫用の道具は清潔に保つ
- 収穫は晴れた日に行う(雨上がり直後は避ける)
活用方法
ロシアンオリーブの実はジャムにして、食べるのがおすすめです。
生でも食べられますが、味が渋いため、あまりおすすめできません。
【必要な材料】
- ロシアンオリーブの実
- 砂糖(実の重量の50~100%)
- レモン汁
- 鍋
- ザル
- 木べら
- ジャムを入れる瓶(煮沸しておく)
【ジャムの作り方】
- ロシアンオリーブの実を水でよく洗う
- 鍋にお湯を入れて沸騰させる
- お湯に実を入れて1~2分茹でる
- 木べら、ザルを使って裏ごしをする
- 裏ごしした実と砂糖、レモン汁を鍋に入れて煮込む
※弱火から~中火で煮込んでください。 - かき混ぜながら灰汁を取り除く
- とろみがついたら瓶に入れ、ふたを閉める
※ふたを閉じたら、沸騰したお湯に入れて弱火で15分程度煮てください。
その後、ふたをしっかり閉じて、逆さ向きで冷めるのを待ちます。
ロシアンオリーブの病気・害虫対策
ロシアンオリーブが気を付けなければいけない病気や害虫について、症状や予防・対策方法を紹介します。
病気:うどんこ病
うどんこ病は、ロシアンオリーブの葉に白い粉をふいたような症状が特徴的な病気です。
この病気は特に春から初夏にかけて発生しやすく、放置すると樹勢の衰えにつながる可能性があります。
症状の特徴
- 葉の表面に白い粉状のカビが発生する
- 重症化すると葉が黄変し、落葉する
- 新芽や若葉に特に発生しやすい
- 生育不良や樹勢低下を引き起こす
予防と対策
- 風通しの良い環境づくり
- 適切な間隔で植え付ける
- 過度な窒素肥料を控える
- 症状が出た葉は速やかに取り除く
- 殺菌剤を散布する
病気:梢枯病
梢枯病は、枝先から枯れ症状が進行していく病気です。
特に湿度の高い環境で発生しやすく、適切な管理が必要です。
症状
- 枝の先端部分が枯れ始める
- 病気にかかった部分が灰褐色に変色する
- 枯れ症状が徐々に下方に進む
- 重症化すると大枝にも影響が及ぶ
対策方法
- 排水性を改善する
- 過湿を避ける
- 通気性を確保する
- 日当たりを調整する
- 症状が出た部分を取り除く
- 適切な殺菌剤を使用する
- 切り口の保護処理を行う
害虫:アブラムシ
アブラムシは新芽や若葉に寄生し、吸汁による被害を与える害虫です。発生初期の対応が重要になります。
特徴
- 新芽や若葉に群がって寄生する
- 葉の大きさが歪んだり変形する
- すす病の二次的な発生につながる
- 樹勢の低下につながる
対策
- 初期段階で駆除する
- 殺虫剤を適切に使用する
- 症状が出た部分を取り除く
害虫:ハマキムシ
ハマキムシは葉を巻いて中に潜み、葉を食害する害虫です。見た目の悪化だけでなく、生育にも影響を及ぼします。
症状
- 葉が巻かれた状態になる
- 葉の内側から食害する
- 新芽や若葉への被害が多い
- 美しさを損なう
対策方法
- 健全な樹勢を維持する
- 巻かれた葉を除去する
ロシアンオリーブの病害虫対策は、予防と早期発見、適切な対応の組み合わせが重要です。
定期的な観察を行い、異常が見られた場合は速やかに対処することで、健康的な生育を維持することができます。
また、予防的な管理を心がけることで、病害虫の発生リスクを大きく低減することが可能です。
業者にロシアンオリーブの剪定を依頼する場合の費用相場
ロシアンオリーブオリーブの剪定を業者に依頼する場合、費用の算出方法は主に2つのパターンがあります。
樹木の状態や規模、地域によって大きく異なるため、事前に複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
樹木のサイズによる料金
樹木の大きさを基準に費用が決定します。
一般的には樹高や枝の広がり、幹の太さなどが考慮されます。
剪定金額の目安は、以下の通りです。
剪定金額の目安料金
高さ | 料金 |
---|---|
3m未満 | 3,000~5,000円 |
3m~5m未満 | 5,000~15,000円 |
作業時間別の目安料金
剪定に要する時間を基準に費用が決定されます。
時間 | 料金 |
---|---|
30分未満 | 5,000円〜8,000円 |
1時間程度 | 8,000円〜15,000円 |
半日(4時間) | 15,000円〜30,000円 |
剪定料金の詳細はこちらの記事を参考にしてください。
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