毎年発生する台風。その強風や大雨による被害は多大なものです。とくに建物に多大なダメージを与え、ひどい場合だと屋根が飛んで行ってしまうことがあるのです。
台風で屋根が飛んでしまう原因と、飛ばないようにするための対策・メンテナンス方法は?また、もし台風で屋根が飛んでしまったら損害責任は発生するのか?
そんな気になる疑問を解消していきましょう!
台風で屋根が飛ぶ原因は?
台風で屋根自体が飛んでいってしまうケース
台風は、建物に多大なダメージを与えます。飛来物によって屋根や外壁が損傷してしまったり、窓が割れてしまったりということも。
そんななかでも建物に起こる一番最悪の事態は「屋根自体が飛んでいってしまう」ことです。
剥がれた屋根材が飛散してしまったり、崩れて一部分が落ちてくるというだけではなく、屋根そのものが飛んでしまうことがあるのです。そんな異常事態がなぜおきるのでしょうか?
屋根が飛んでしまう原因となるのは「窓の破損」。窓が割れると、家の中に強風が流れ込み屋根を上に押し上げます。その風圧や気圧で屋根が飛んでいってしまうのです。
実際に被害があった住宅はどれも窓が破損していたケースが多いそう。まちがっても屋根自体が飛んでいってしまうことの無いよう、台風の前には窓まわりを中心に対策しておきましょう。
台風で屋根材が飛んでいってしまうケース
台風被害で最も多いのは、屋根材が飛んでいってしまうケースです。とくに金属屋根などで頂点や四隅をカバーしている「棟板金(むねばんきん)」が飛びやすいので気をつけましょう。
棟板金が飛んでいってしまう原因は、打ち付けてある釘が経年劣化で緩んでしまうことや、板金が反っている場合に強風の影響をもろに受けてしまうことなどが挙げられます。
また瓦屋根の場合は、風速25m/秒になると瓦が屋根から剥がれて飛んでいく危険が。瓦がズレていたり、瓦を固定する漆喰(しっくい)が崩れてたりすることが原因になり得ます。
そもそも風速25m/秒は暴風域と呼ばれるレベルで、人が立っていられないだけでなく木や自動車も転倒してしまうなどの大きな被害が想定されます。
屋根が飛ばないようにする対策法は?
飛ばされやすい屋根(屋根材)の特徴
台風や強風などで飛ばされやすい屋根には、以下のような特徴がある場合が多いです。
- 棟板金(むねばんきん)が浮いている
- 瓦屋根で、瓦が割れたりズレたりしている
- 瓦屋根で、漆喰(しっくい)が崩れている
- 屋根材が反っている
- 屋根材同士の間に隙間がある
- 築年数が20~30年以上
基本的にはいずれも、経年劣化やメンテナンスの不十分さに基づいています。つまり屋根の台風被害を防ぐ具体的な対策方法は、定期的なメンテナンスということです。
一般的に屋根は、耐用年数にかかわらず7~10年に1回ほどの点検・メンテナンスが必要です。
屋根材の色あせやコケ、割れや反りなどの経年劣化を放っておくことで、いざというときに家を守れなくなってしまいます。また有事に限らず、雨漏りや剥がれなどの劣化症状を招くことも。
定期的に屋根の塗装・補修を業者に依頼しておくことで、台風などの災害にも強い家を保ちましょう。
以下はおもな屋根のメンテナンス種類と、費用相場の目安です。
屋根 | 工事詳細 | 費用相場(足場代含む) |
スレート・瓦 | 屋根材の部分修理 (割れ・めくれ・ズレ) |
15~30万円 |
棟板金(和瓦含む) | 屋根の『棟』部分補修 棟瓦の積み直し |
15~40万円 |
漆喰(しっくい) | 漆喰の部分的な塗りなおし | 20~30万円 |
雨漏り | 天井に雨ジミといった 小規模な工事の場合 |
20~35万円 |
台風が来る前に自分でできる対策
「定期的なメンテナンスと言われても、もう間に合わない」と頭を抱える人も多いはず。しかし、最低限の対策は自分でもできます。
- 家の外を整理
- 窓まわりの補強
- 非常用品の用意
これらの対策をすることで、自宅の屋根や外壁などがダメージを受ける可能性を減らし、台風に備えましょう。
家の外を整理
家の外にあるものを今一度、確認してみましょう。台風の影響を受けやすいものには対策する必要があります。
- 植木鉢やプランターを紐で固定する、または家の中へしまう
- 犬小屋などを紐で固定する、または倉庫などへしまう
- 物置がしっかり地面に固定されているか確認する
家の周辺にある、飛ばされやすいものをしっかり確認しましょう。紐でしばるなどしっかり固定して、飛んで家にぶつかる可能性をなくしましょう。
窓回りの補強
窓回りの補強の手順は以下です。
- 雨戸・シャッターを閉める
- 窓のテーピング、段ボールで補強
- カーテンなどで覆う
1.飛来物で窓が割れるのを防ぐために、雨戸やシャッターしっかり閉めておきましょう。雨戸などがない場合は、窓を木でふさぐといったこともできます。
木を設置する際の注意点として、「これでもかというくらい、しっかりと木材を固定する」こと。当たり前かもしれませんが、少しでも設置が甘いと強風で木材が倒れるなどして、かえって窓回りの危険度が増してしまいます。
2.窓のテーピングをして、その上からダンボールで補強します。窓にテーピングするときは、米印のように貼りましょう。窓の補強だけでなく、割れたガラスの飛散防止になります。
さらにテーピングの上にダンボールを貼れば、より補強効果が期待できます。窓の外側に貼ってしまうと雨や風で段ボールがふやけてしまったり、飛ばされてしまう恐れがあります。
窓ガラスとサイズが同じダンボールを使用する(切り貼りしたものでOK)ことを意識しましょう。
3.さらに補強の効果を強めたいときには、カーテンやシーツ、ブルーシートなどを被せましょう。窓が割れてしまった際に、家の中にガラスが入ってこないようにするためです。カーテンを閉め、そのまわりをテーピングでしっかりスキマなく固定します。
非常用品の用意
いざというときに備えて、食料や水はもちろん、懐中電灯、ラジオなどがあると安心です。
また雨漏りなどが心配であれば、あらかじめバケツや雑巾、ブルーシートなどを身近な場所に備えておきましょう。
もしも屋根が飛んでしまったら?修理依頼と災害保険
保険が適用できるかどうか、かならず確認しよう
台風などで屋根が飛んでしまった場合、以下の手順で修繕しましょう。災害で自宅が壊れた場合には、「火災保険」が適用できる可能性があります。かならず保険会社に確認しましょう。
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まずは屋根の修理業者に連絡を。業者が応急処置をする前に、損害保険の申し込みに必要となる被害箇所の写真を撮ってもらいます。その後、修繕にいくらかかるか見積りをもらいましょう。
もし余裕があれば、1社だけに依頼するのではなく、何社か見積りをもらって比較してみると安心です。台風被害に乗じて、不当な金額を請求してくる業者もいますので、しっかりと相場を把握しておく必要があります。
修理業者への対応がひと段落したら、次に保険会社に連絡を。連絡をスムーズにするためにも、加入している保険証券を準備をし、今回の被害に「火災保険」が適用されるのか確認しましょう。その後、必要な申請書類を取り寄せて申請という流れになります。
屋根の応急処置は自分でできる?
屋根が飛んでいってしまったとき、まず一番に業者に確認してもらうことが大切です。無理に自分で応急処置をすると、転落事故にもつながりかねないうえ、素人の処置ではあまり意味がありません。
もし雨漏りなどをしている場合は、できる範囲で応急処置をしましょう。雨漏りしやすい箇所としては2つ。
- 天井
- 窓の周囲
天井からの雨漏りにはバケツを使って対応しましょう。バケツの中に、準備した雑巾や新聞紙を入れると雨水が飛び散りません。またバケツの下にブルーシートなどを敷くことでより被害を抑えられます。
窓の周囲から浸水している場合、雑巾やペット用のトイレシートなどをあてがい、水を吸い取るようにしましょう。
台風被害に損害賠償責任はあるの?
台風被害によって、自宅の屋根や外壁が損傷した場合には、火災保険を申請したり自分で修理をいらいしたりできます。
ただ自宅の屋根材が飛んでいって、ほかの家に損害を与えてしまったときにはどうなるのでしょうか?台風被害で気になる損害賠償責任について紹介します。
賠償金が発生しない場合
基本的に台風などの災害によってもたらされた被害には、損害賠償責任はありません。
台風によって起こる屋根の飛来などは、自然災害の範疇なのです。
故意に屋根を飛ばすわけではなく不可抗力で起こる事象のため、自宅の屋根がほかの家を損傷したときでも賠償金を払う必要はありません。
賠償金が発生する場合
屋根が飛んだりして隣家を傷つけてしまったとき、自然災害とみなされないために賠償金が発生してしまうこともあります。
たとえば屋根材がサビや穴だらけで、クギがたくさん抜けているような状態では、自然災害の有無にかかわらず屋根が飛んでいってしまう可能性が高いです。
そういった状態にもかかわらず、建物の所有者が放っておいていたことが認められた場合には、賠償金が発生する場合があります。やはり普段から建物のチェック・メンテナンスをしておくことが重要です。
逆にいざというとき損害賠償を請求するためには、近隣でそういった安全性に欠ける建物がある証拠(少しの風で揺れいている屋根の写真・動画など)を保管しておきましょう。
台風や強風被害に強い屋根・弱い屋根
瓦屋根の特徴
瓦は粘土で形成され、焼き固めた屋根材です。
基本的には耐久性が高いうえ、屋根材の中で最も重量があるので、強風などによって飛ばされるリスクは比較的小さいと言えます。
瓦が強風で飛ばされるのは、隙間に強風が入り込むことで、飛ばされてしまうケースや、接着剤の役割がある漆喰(しっくい)の剥がれが原因であるケースなどがあります。
近年は防災瓦という、瓦同士をかみ合わせて固定する屋根も登場しています。
スレート屋根の特徴
スレートとはセメントが主な原料で薄くて、軽い板状の屋根材のこと。
釘で固定されている屋根なので、定期的なメンテナンスを怠ることがなければ飛ばされる可能性は低いです。またもし飛んでしまっても、軽さゆえに被害が大きくなりづらいというメリットがあります。
ただしメンテナンスを怠ると他の屋根材に比べても劣化が早く、強風の影響で剥がれやすくなってしまいます。
金属屋根(ガルバリウム鋼板・トタンなど)の特徴
金属屋根のおもな種類はガルバリウム鋼板やトタンなど。
いずれにせよ金属の板を加工した建材なので、飛来物にも強く、耐久性に優れています。メンテナンス頻度が比較的少ない点も特徴のひとつ。ただし軽いために飛ばされやすいというデメリットもあります。
金属屋根の注意点は、錆を発生させないようにすることが挙げられます。錆が広がって穴にならないように点検しましょう。
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今回は、台風で屋根が飛んでしまう原因や対処法について詳しく紹介してきました。
台風という大規模な自然災害がおこれば、当然、家が受けるダメージは大きいものです。いざというときに被害を抑えるという意味でも、定期的な点検やメンテナンスはとても大事。まずは業者に確認してみるのがおすすめです。
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