外壁や屋根の塗装リフォームをすることで、建物の外観と耐久性を維持することができます。しかし塗装に不向きな時季に施工すると、初期不良が起こったり、寿命が2~3年縮んだりしてしまいます。
この記事では、外壁・屋根塗装を施工するのにふさわしい時季・ふさわしくない時季を、月ごとに解説していきます。
外壁・屋根塗装に向いていない月は?
まずは結論として、外壁・屋根塗装に向いている月と不向きな月とを一覧表にまとめました。
向き/不向き | 理由 | |
12月
1月 2月 |
向いていない | 雪、霜、気温 |
3月
4月 5月 |
◯ | - |
6月
7月 8月 |
向いていない | 梅雨、高い湿度 |
9月
10月 11月 |
◯ | - |
このように、外壁・屋根塗装を施工するのにふさわしいのは3月~5月、そして9月~11月の時季だと言うことができます。
この時季は天候が安定していることが多く、雨や湿気が少ないので塗料が乾きやすいのです。また一般的な塗料は気温5度以下だと施工することができませんが、春や秋ごろなら暖かいので心配ありません。
逆に6月~8月の梅雨・雨季には、塗料が湿気や雨を吸収しやすくなってしまいます。また12~2月にも雪や霜によって作業を失敗しやすく、気温も低いのであまり施工に適していません。
塗装のときに避けるべき要因
外壁塗装は塗料を塗り乾燥をさせ、塗膜を重ねることで完成します。その工程においてマイナスな影響を与える可能性があるのは、以下のような要因です。
天候 |
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気温 |
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湿度 |
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気温や湿度に関しては、塗料メーカーも条件を守るように推奨しています。これらの悪条件がそろっている時季は、施工のタイミングとしてあまりふさわしくありません。
【天候・湿度による影響】
外壁・屋根塗装をするときには、「下塗り→乾燥→中塗り→乾燥→上塗り」というふうに繰り返して3回以上の塗装をするのが一般的。
それぞれの乾燥時間は、短ければ4時間ほど。気温によっては8~12時間以上かかることも。
このあいだに雨や雪が降ってしまうと、塗料に余計な水分が染みこんで、乾燥が遅れてしまいます。メーカー指定の希釈量よりも水分が多くなってしまうので、「塗膜の膨れ」など初期不良の原因に。
湿度が高いときも一緒です。空気中に多く含まれている水分が、塗膜の乾燥を妨げてしまいます。
【気温による影響】
外壁・屋根塗装に最適な気温は15~30度くらいです。このくらいの気温の晴れている日に施工することで、塗膜が乾燥しやすくなり、仕上がりが良くなります。
逆に気温が低い状況だと、塗料に含まれる水分やシンナーの揮発が遅れてしまうことで、塗膜の乾燥が遅れてしまうのです。
ただし「暑ければ暑いほどいい」というわけではなく、真夏日の塗装も避けたほうが無難です。塗膜の温度が高くなりすぎることでひび割れを起こしたり、気泡が発生したりするリスクがあります。
塗料が乾かない・水分過多だと、どんな不調が起こる?
そもそも塗装をするときには、どうしてそこまで「乾燥」させることが大切なのでしょうか?
水性塗料は水で、油性塗料はシンナーやベンゼンなどの溶剤で希釈します。塗料を塗布したあとには、水分や溶剤が揮発することで乾燥し、固まります。
逆にこの揮発がうまくいかないと、塗膜に水分や溶剤が残ったり、十分に固まらないまま重ね塗りしたりすることに。
その結果、施工不良や初期の劣化が起こってしまいます。おもに以下のような症状です。
- 塗膜の膨れ
- 部分的な剥がれ
- ひび割れ
- 細かい気泡ができる
- 色にムラが出る
- 耐用年数が平均より短くなる
外壁・屋根塗装にふさわしい時季を選ぶということは、すなわち「キレイに塗装を完成させて、防水性や寿命などの機能を高める」ということにつながります。
塗装をする月・季節ごとの特徴と注意点
天候・気温・湿度に関しては、地域差も大きいもの。そのためあくまでも目安にはなりますが、外壁・屋根塗装にふさわしい月とふさわしくない月について、工事をする際の注意点・ポイントを解説しましょう。
外壁・屋根塗装に向いている:3月~5月(春)
3月、4月、5月あたりは降雨量が少なく、気温も安定しはじめる季節です。気温が15度を超えはじめると、塗料が乾燥しやすくなるので、外壁塗装・屋根塗装に適しています。
ただし、この季節は外壁塗装にふさわしいことに加えて、新年度という節目にも重なるため、塗装業者にとっても繁忙期となることに注意しましょう。早めに依頼しなければ予約を取れない可能性が高く、スケジュール管理に注意が必要です。
また地域によっては、3月ごろまで霜が降りるなど朝・夕に冷え込むこともあるでしょう。その場合は、気温が安定しはじめる時季について業者と相談しておくのがオススメです。
外壁・屋根塗装に向いている:9月~11月(秋)
9月、10月、11月も比較的天候が安定しやすい時季で、外壁塗装に適しています。
3月~5月ほどの繁忙期にも該当しないため、施工業者の予約も取りやすく、時間をかけて業者選びができるでしょう。
注意点は、九州地方や沖縄では台風が上陸しやすい時期に重なることです。また、黄砂や花粉の影響を受ける可能性もあります。
外壁・屋根塗装に不向き:6月~8月(梅雨)
6月、7月、8月あたりは梅雨の時期と重なります。
外壁・屋根塗装を雨天時に決行することは不可能なので、工期が予定よりも延びる確率が上がることがデメリットです。また湿度によって塗膜の水分が多くなり、施工不良を起こしやすくなります。
8月あたりに梅雨明けしたあとは、逆に真夏日にも注意しましょう。35度を超えるような猛暑だと、かえって塗膜が割れやすくなったり、気泡が浮いてきやすくなったりします。
外壁・屋根塗装に不向き:12月~2月(冬)
12月、1月、2月にかけては日照時間が短くなるため、外壁塗装ができる作業時間を長く確保できません。
また、気温が5度を下回るときには工事そのものが行えない可能性も。さらには結露や霜、雪などの影響を受けて、塗膜が乾燥せずに初期不良の原因となってしまいます。
そのため基本的には外壁塗装にふさわしくない季節です。もし施工できる条件が整っている場合は、涼しい季節なので、工事中に窓を閉め切っていても快適に過ごせることはメリットです。
外壁塗装にふさわしくない月でも工事はできる?
新築する時期やリフォームのタイミングによっては、本来ふさわしくない時期に外壁塗装せざるを得ない場合もあります。こういった時期でも工事ができるのかどうか整理しておきましょう。
天候・気温・湿度の条件が良ければ可能
前述のとおり「6月~8月には梅雨と重なってしまう」こと、「12月~2月には雪や気温の低さが影響してしまう」ことから、基本的には塗装工事にふさわしくない時季とされています。
しかし天候・気温・湿度という3つの条件さえ揃えば、6月~8月、12月~2月でも問題なく外壁塗装を行える可能性はあります。
ノウハウがある優良業者なら、気温にあわせて塗料の希釈濃度を調節し、問題なくリフォームを進めることが可能です。またその地域で長く塗装をしてきた業者なら、地域柄に合わせてベストな選択をしてくれるでしょう。
気候や時季に不安がある場合は、地域密着型の実績豊富なプロを探してみましょう。
積雪地帯の場合、雪が積もるときは難しい
積雪地帯の雪が積もっている場合は、仮に天候が良く気温が高い日でも、塗装作業はできません。
足場を組むことが難しくなることに加えて、雪が解けて外壁・屋根を濡らしてしまうため塗装ができません。このタイミングで外壁塗装を依頼することは諦めましょう。
「雪は降らないけど、気温が低い」という場合、とくにモルタルなどの塗り壁なら、ジョリパットという塗料を選ぶのがオススメです。一般的な塗料は気温5度未満で施工することができませんが、ジョリパットの「ノンフリーズ」なら「マイナス6度」まで対応できます。
外壁塗装にふさわしくない月に工事するメリットも!
外壁塗装にふさわしくない月にあえて工事を依頼するメリットもあります。
この時期は業者にとって閑散期で、依頼が激減するタイミングです。そのため、費用面の値引きに応じてくれる可能性があります。
ただし「足場代が無料!」など極端な値引きをうたう業者には注意しましょう。残念なことに、作業効率だけを優先してしまう業者や、悪徳業者も少なくありません。
金銭面はあくまで二の次に考え、まずは実績や評判などの情報を確認しながら業者選びを進めることが大切です。
外壁塗装を依頼する業者の選び方
塗装にふさわしくない時季にリフォームしてしまうと、施工不良が起こったり、劣化を早めたりしてしまいます。
優良業者であれば、塗装にふさわしいタイミングを見極め、頑丈で機能的な外壁・屋根に仕上げてくれるでしょう。しかし残念ながら、なかには施工を急ぐあまり雨のなかでも作業を強行する業者もいます。
塗装業者を選ぶときにどんなポイントに着目するべきか、頭に入れておきましょう。
複数の施工業者から見積もりをとる
外壁・屋根塗装を検討するときには、必ず3社以上から見積もりを取りましょう。
塗装リフォームは業者によって費用がかなり変わります。1社や2社だと適正価格を把握しにくいので、複数業者の見積もりを見て、相場をつかみましょう。
その際には料金だけでなく、見積書の内容が詳しいか、工程ごとに単価が記載されているか、施工面積が正しいか、などを確認しましょう。
業者の種類にも着目しよう
地元の塗装専門業者 |
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リフォーム業者 |
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ハウスメーカー |
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「塗装業者」とひと口に言っても、業態などが複数分かれます。
大手のリフォーム業者やハウスメーカーのほうが信頼しやすいものの、実際に施工する下請け業者への中間マージン(仲介料)が発生するので注意しましょう。
またリフォーム業者やハウスメーカー自体は「塗装に特化しているわけではない」という点もおさえておく必要があります。
その点、地元密着型の塗装専門業者であれば、地域の気候などを把握したうえで、専門的なリフォームを施してくれます。たとえば「沿岸地域は塩害が起きやすいので、この塗料を使いましょう」といった具合に、ベストな選択をしてくれる可能性が高まります。
免許や資格を取得しているか確認する
外壁・屋根塗装は、免許や資格がなくても始めることができます。しかし実は国家資格も存在するので、業者選びの時にひとつの基準にしてみてはいかがでしょうか。
特に重要なのは、以下の資格・許可書です。
- 一級塗装技能士(厚生労働大臣が認定)
- 県知事許可書
「一級塗装技能士1級」は国家資格です。この資格を取得できるのは、7年以上の実務経験を持つ職人に限られます。ちなみに「二級」の場合は2年の実務経験、または職業訓練学校に通って取得します。
屋根塗装の場合、あわせて雨漏り修理などもしてほしいなら「雨漏り診断士」という民間資格も確認しておくなど、リフォームの目的にあわせて調査してみるのがオススメです。
技術力・実績を確認する
技術力は依頼する前に把握しにくいポイントですが、利用者からの口コミ・評判を確認すればある程度の情報を集められます。ホームページなどで写真つきの実績を公開している業者なら、どの程度の力量を持つ業者なのかを見極めることが可能です。
逆に言えば、実績やスタッフの能力について一切触れていない業者の場合、信頼性が乏しい可能性も否めません。
また飛び込みで営業をする外壁塗装業者には注意しましょう。とくに「今すぐ契約してくれれば、足場代が無料です!」など甘いうたい文句を言ってくる場合は、悪徳業者の可能性もあります。
アフターサービス・保証内容を確認する
塗装工事の直後は見栄えが良くても、1年から2、3年ほど経過した後に塗膜が剥がれたり、通常の範囲には収まらない傷が付いたりする場合があります。
こういった問題が起きた場合に誠意を持って対応してくれるアフターサービスの有無を、必ず確認しましょう。
保証に関しては「自社保証」と「団体または組合の保証」に分かれることに注目です。
「団体または組合の保証」が付く場合、万が一施工会社が倒産したとしても継続して保証を受けられるため、より信頼性が高いと考えて問題ありません。
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この記事では、外壁塗装にふさわしい時季や避けるべき時季について、月ごとに解説してきました。
なるべく「12月~2月」の冬季、「6月~8月」の雨季は避けるようにしましょう。天候や湿度の関係で、施工不良が起きたり工期が延びたりしやすいからです。
外壁塗装にふさわしいのは、「3月~5月」の春ごろ、「9月~11月」の秋ごろです。ただし塗装業者の繁忙期でもあるので、早めにスケジュールを立てておきましょう。
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