近年イモビカッターによる車両の盗難被害が相次いでいます。適切な対策をせず無防備でいると、簡単に愛車が盗まれてしまうかもしれません。この記事ではイモビカッターの仕組みや手口、被害に遭わないための有効な対策などを紹介します。
イモビカッターとは
イモビカッターとは、車両のイモビライザー(自動車盗難防止システム)の機能を無効化する装置です。元々は自動車整備業や合鍵を作製する鍵業者が使用していた道具でしたが、盗難のために悪用されることが増えています。
イモビカッターの所持や製造を条例で禁止する県もあり、メーカーも対策を講じていますが、なかなか有効な対策を打てず、未だ根絶には至っていないのが現状です。
イモビライザーを無効化する装置
イモビカッターとは、盗難防止のために車両に搭載されたイモビライザーの機能を無効化する装置のことです。
イモビライザーは車のキーに埋め込まれたICチップのIDコードと、車両本体の電子制御装置に記録されたIDコードが一致しなければ、エンジンが起動しない仕組みです。2000年代頃から車両に搭載されるようになり、近年の多くの車種には標準装備されています。
この仕組みを逆手に取り、車両本体の電子制御装置に侵入し、IDコードを書き換えて車を動かせるようにしてしまうのがイモビカッターです。
元々は自動車販売店や整備工場での作業のために開発されたものでした。しかしインターネットなどを通して入手できるようになり、悪用されることが増えています。
条例で所持を禁止する県もある
イモビカッターによる車両の盗難事件の増加によって、鍵業者や自動車整備業者などの一部の業種を除き、イモビカッターの所持を条例で禁止する県も出てきました。
2021年時点で、以下の件では車両の盗難を目的としたイモビカッターの製造や所持が条例で禁じられています。
- 愛知県(2013年)
- 茨城県(2014年)
全都道府県のうち2つの県でしか実施されておらず、全国的には法規制の整備が遅れているといえるでしょう。
自動車メーカーもイモビカッターによる被害を防止すべく、新しい車種の開発に合わせて従来のイモビカッターへの対策を施しています。しかし新たな対策を施した車種が販売されるたび、それを破るイモビカッターが次々に出てくるため、未だ根本的解決には至っていません。
狙われやすい車種やメーカー
イモビカッターは車種ごとに違うため、特定のメーカーや大量生産されている車種が狙われやすい傾向にあります。特に注意すべきはトヨタ車です。
トヨタ車は盗難に遭いやすい
盗難車の大半は解体され、海外へ輸出されます。その後現地で部品ごとに取引されたり、再度組み立てられて流通したりします。
以下は損害保険協会が調査した近年の車両盗難件数上位の車種です。
2018年11月調査 | 2020年2月調査 | 2020年11月調査 | |
1 | レクサス | ランドクルーザー | ランドクルーザー |
2 | プリウス | プリウス | プリウス |
3 | ランドクルーザー | レクサスLX | レクサスLX |
4 | ハイエース | アルファード | レクサスLS |
5 | アクア | レクサスLS | クラウン |
また、イモビカッターは車種ごとに異なるため、1つのイモビカッターで多数の車が盗難できたほうが効率的です。そのことから、
- 海外で人気がある
- 量産されており、広く普及している
という特徴がそろっているトヨタ車は特に盗難に遭いやすいのです。
狙われやすい時間と場所
- 車が盗まれやすいのは夜22時~朝9時
- 屋外駐車場に停めてある車は要注意
日本損害保険協会が発表している資料によると、最も車両の盗難が発生する時間帯は夜22時~朝9時で、実に車両盗難事件の7割以上を占めています。
盗難発生場所については、屋外が圧倒的に多いです。自宅の屋外での盗難が過半数で最も多く、次に多いのが屋外の契約駐車場で、2割以上を占めています。
機械式駐車場などの屋内駐車場と比べ、屋外の駐車場や庭のカーポートなどに車を停めてあると、被害に遭う確率がかなり高まるということです。屋外の駐車場を利用している場合には、十分に注意する必要があります。
盗難に遭わないためのイモビカッター対策
イモビカッターによる盗難被害に遭わないためには、自ら対策を施しておくに越したことはありません。
最近ではさまざまな対策装置が出てきています。それぞれの商品を単体で取り付けても効果はありますが、上手に組み合わせて使うことで効果が期待できるでしょう。
新たな警報装置を取り付ける
有効なイモビカッター対策として、まず挙げられるのは車両に新たな警報装置を取り付けることです。
警報装置はイモビカッターによる進入を検知すると妨害し、さらに警報音を鳴らすことで異常を知らせてくれます。
警報音が鳴り響くことで窃盗犯が諦めて逃げる確率も高まり、車両の盗難対策にはかなり有効といえるでしょう。
Bullcon「イモビカッターガード」
イモビカッター対策としてディーラーでも扱われている、比較的メジャーな商品です。車両に装着してイモビライザーを守るために使います。
単体でもある程度の効果は見込めますが、より万全な対策を期すためには、併せて警報装置を取り付けると良いでしょう。本体価格は1万円以下と、比較的安価なのも魅力です。
コネクタの形状が違う場合には装着できませんので、メーカーホームページで確認の上で購入しましょう。
MPD「OBDガード」
イモビカッターでの侵入は、車両に装着されているOBDコネクタという装置から行われます。
OBDコネクタは車の心臓部であるコンピュータへと繋がっている重要なものですが、運転席の足元から確認することができ、かなり無防備な状態でさらされています。
このOBDコネクタを物理的に守るのが「OBDガード」です。取り付けることでイモビカッターによる不正な侵入を完全にブロックしてくれます。
取り付けも簡単で「2017年度のカーセキュリティ セキュリティシステム部門」で1位になった人気の商品です。
ほかにもできる車の盗難防止対策
盗難防止対策は設置や施錠が面倒に思うものもあるかもしれません。しかしその分だけ、窃盗犯にも解除が面倒に映り、対策として有効です。
愛車を窃盗から守るために、自分に合ったものを見つけて導入しましょう。
車内外にセンサーを設置する
2021年現在、盗難防止対策のためのセンサーにはさまざまなものがあり、車内外に設置することができます。
最も手軽で取り入れやすいのが威嚇するタイプのものです。人が接近した時に、光を点滅させることで何らかのシステムが起動していることを表せるので、一定の効果が期待できます。
続いて防犯効果が高くメジャーなのが、異常を検知すると警報音を鳴らして知らせてくれるタイプです。高額なものも多く、設置にはプロに頼まなくてはならないものもあります。しかしその効果はかなりのものです。
ただし誤作動が起こると近所迷惑にもなるので、このタイプの商品を導入する際は、よく調べてから精度の高いものを選ぶのが無難といえるでしょう。
また防犯意識の高さをアピールすることも、単純ではありますが効果的です。自宅の駐車場に、人の接近や動きを感知すると発光するセンサーライトや、防犯カメラを設置するだけでも、窃盗犯に狙われる可能性は格段に下がります。
タイヤロックする
タイヤロックとは、タイヤに装着することで車両を動けなくするための器具のことです。装着していると破壊するのに時間がかかるため、窃盗犯が諦めやすく被害防止に役立ちます。
目立つ色のものを選べば、離れたところからでもタイヤロックを装着していることを認識でき、抑止力になります。
タイヤを両側から挟んでロックする形状のものが多いため、購入の際はあらかじめタイヤのサイズを確認してから選ぶと失敗がありません。
ハンドルロックする
ハンドルロックは手軽に取り入れられる上、ロックを解除しなければ車を運転することができないため高い防犯効果が期待できます。
ロック形状には鍵式のものとダイヤル式のものがありますので、メリット・デメリットを考慮した上で選びましょう。
鍵式の場合はロックも解錠も簡単で、セキュリティ面でも安心できます。しかし特殊な鍵のため紛失してしまうと解錠が困難で、最悪の場合二度と鍵を開けられなくなるかもしれないところが難点です。
ダイヤル式の場合、鍵を携帯する必要もなく、紛失の恐れもない点では便利かつ安心です。しかしダイヤルが合わせられてしまうと解錠される危険もあり、セキュリティ面では鍵式のものより劣ります。
これらの他にも、他にもアラーム付きの高性能なものや、ロックする箇所で選べるものなど、さまざまなタイプのハンドルロックがあります。手ごろな値段で手に入るものも多いので、自分に合った安心できるものを選びましょう。
追跡サービス(GPSトラッカー)を利用する
2021年現在提供されている追跡サービスには、車両が盗まれてしまった後でもその居所をつかむことができるものや、一定以上の距離を車両が移動したときに通報してくれるものなどもあります。
実際に利用する際には、GPS機能を搭載したGPSトラッカーを車両に設置して使います。GPSトラッカーにはSIMカードが必要になることも覚えておきましょう。
端末だけでなくSIMカードも別途準備する必要があったり、毎月の通信料金がかかったりする場合もあるため、購入前にコストを計算しておくと失敗を減らせます。
新たな盗難手口、リレーアタックにも注意
イモビカッターだけでなく、新たな盗難手口であるリレーアタックにも注意が必要です。
スマートキー機能を悪用
スマートキーと車は常に微弱な電波を放っており、互いにある程度近づき、電波の一致を確認することで開錠、起動する仕組みになっています。リレーアタックとはスマートキーの機能を悪用した盗難手口です。
リレーアタックによる盗難は、複数の窃盗犯で行われるものです。手口はまず窃盗犯のうちのひとりがスマートキーに近づき、電波を増幅させて飛ばします。
そして車の近くで待機している別の人間が、増幅されたスマートキーの電波をキャッチして車を開錠します。そのままスタートボタンを押して発進し、車両を盗んでしまうのです。
元々は海外で横行していた手口でしたが、最近になって日本国内でも被害が発生するようになっています。
リレーアタックの対策方法
リレーアタックの被害に遭わないためには、スマートキーから発せられている電波をキャッチさせないことが大切です。そのために、発信電波を遮断するか、電波そのものを切ってしまう方法があります。
具体的には以下のような対策が考えられます。
- 市販の電波遮断ポーチを利用
- お菓子の缶など金属製の入れ物にしまっておく
- スマートキーの電波そのものをオフにする(ディーラーで設定してもらう)
トヨタ車の中には電波の発信を中断する「節電モード」を採用している車種もあり、ボタン操作をすることで設定や解除を行うことができます。
これらの方法ではスマートキー本来の利便性を失ってしまいますが、盗難リスクが心配な人は実践してみると良いでしょう。
大事な愛車は自分で守ろう
自動車メーカーが盗難防止のための機能を開発しても、窃盗犯たちはまたすぐに新たな手口を編み出すため、いつまでたってもいたちごっこが続きます。
行政も対策に乗り出しているところもありますが、それで車両盗難が根絶されるわけもなく、結局は自分の愛車は自分で守るしかありません。
盗難対策をするといっても複雑なことをする必要はなく、すぐにでも取り入れられるものも多々あります。自分に合ったものを積極的に採用し、大切な愛車を盗難から守りましょう。
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