鍵にはさまざまな種類がありますが、その中でもとりわけ防犯性が高い鍵として注目されるのがウェーブキーです。
「自宅や車の防犯対策をもっとしっかりしたい」と考えている人は、この記事を読んでウェーブキーの仕組みやメリットを押さえましょう。
また、似ている特徴をもつディンプルキーとの違いについても解説していきます。
高い防犯性を持つウェーブキーとは?
ウェーブキーは防犯性能に優れていると言われていますが、具体的にはどのような特徴があるのでしょうか。「ウェーブキーって何?」と疑問に思っている人は、まずはウェーブキーの仕組みと特徴について確認しましょう。
ピッキングされにくい特徴と仕組み
特徴 | 仕組み |
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防犯性が高く、波形が特徴
- 波形のうねりが鍵の表面に刻まれている
- ギザギザしていない
- ピッキングに強く、防犯性が高い
ウェーブキーとは、波形のうねりが鍵の表面に刻まれたキーのことを指します。一般的な鍵として想像されるギザギザとした形が側面に付いていません。またその見た目から、別名「彫刻キー」と呼ばれています。
1990年代後半から使用され始めたウェーブキーは、車の防犯性能を高める目的で開発されました。それまで広く使用されていたギザギザの鍵は、住宅・車においてピッキングに弱いという欠点があったためです。
開発されて以来日本国内だけではなく世界規模で採用されており、その高い防犯性は広く認められています。もともとは高級車のみに使用されていましたが、現在では自動車だけではなく、金庫の鍵や玄関の鍵、自転車の鍵などさまざまな領域で使用されるまでになっています。
不正解除が仕組み
- 不正開錠ができないサイドバー方式
- 合鍵作成が非常に困難
ウェーブキーは「サイドバー方式」と呼ばれる仕組みを搭載した鍵です。サイドバーと言われる特殊な金属部品をシリンダー内部に組み込んでいて、ピッキング道具を使用しても開錠できない構造です。
ピッキングは鍵を差し込むシリンダー内部のピンを、特殊な工具で押して開錠します。特定の鍵ではない限り、不正開錠ができません。
またウェーブキーは耐ピッキング性能が10分以上のシリンダーを持っています。対ピッキング性能とは、定められた試験方法に基づきピッキング試験を複数回行い、解錠するまでにかかった時間のことです。この耐ピッキング性能が10分以上だと、セキュリティには十分だと言われています。
高い防犯性の他に、鍵穴にスルっと滑らかに差し込める感覚もウェーブキーが人気を獲得している理由です。
さらにウェーブキーは、合鍵作成が非常に困難な仕組みでもあります。合鍵を作製するには専用機械と、取り扱う高度な技術が必要です。合鍵の作製などをお願いする場合は、鍵屋に確認してから依頼しましょう。
ディンプルキーとの違い
防犯性が高いとして有名な鍵の1つに、ディンプルキーが挙げられます。
ディンプルキーも鍵の側面にギザギザがないことが特徴です。一見よく似ているウェーブキーとディンプルキーですが、その特徴や構造には違いがあります。
ここでは、ウェーブキーとディンプルキーを比較しながらその違いを確認していきましょう。
ウェーブキー | ディンプルキー | |
見た目 | 表面に波模様 | 表面に丸状の小さな窪み |
構造 | 鍵穴の中でウェーブがはまったら開錠 | 窪み部分がピンに一致したら開錠 |
特徴 | ピッキングに強い、複製が難しい | ピッキングに強い、複製が難しい |
ウェーブキーは「鍵の模様と内部構造の完全一致」を必要としている鍵です。一方ディンプルキーはピンシリンダーで開錠しています。ピンシリンダーを持っていると、鍵に彫られたくぼみが複雑に仕組まれたピンに一致する必要があります。
つまり「サイドバーを使用している」か「ピンを使用している」かが、この2つの鍵の仕組み上の大きな違いとなります。
ディンプルキーはピンシリンダーと類似点がありますが、シリンダー内部のピンの本数と「アンチピッキングピン」というピッキングを不可能にするピンを配置しています。この2つの特徴によって、ディンプルキーのピッキングはピンシリンダーの3~10倍も困難です。
2つのキーは構造上は大きく異なりますが、防犯性能の高さは同じレベル。どちらもピッキングに強く複製が難しいことが最大のメリットでしょう。ただしウェーブキーはディンプルキーに比べると合鍵を作りやすくなっています。
より高い防犯性を求めたい人は、ウェーブキーとディンプルキーの構造を兼ね備えた鍵を作ることをおすすめします。ウェーブキーの波のような構造とディンプルキーの丸い窪みを組み合わせることで、より複雑でピッキングしにくい鍵を作成することが可能です。
ウェーブキーのデメリット
ピッキング対策上さまざまな特徴を持つウェーブキーですが、注意すべきデメリットも存在します。
交換を検討する前に以下で紹介するデメリットについても確認しておきましょう。
合鍵の作成が難しい
ウェーブキーは波状の模様を鍵の表面に彫り込むという、非常に複雑な加工が施されています。そのため合鍵を一つ作ろうと思っても、通常のシリンダーキーを制作するより高い費用がかかります。
また万一ウェーブキーを紛失し、すぐに開錠してもらいたいという場合でも対応が困難な場合があります。
従来のギザギザタイプの鍵であれば、業者がその場で鍵の構造を読み解き合鍵を作成することができます。しかし精巧な作りを持つウェーブキーの場合、鍵穴を見ただけでは合鍵を作ることができません。
鍵屋にウェーブキーを持ち込み合鍵を依頼した場合でも、「ウェーブキー専用の加工機械があること」「高度な技術を持つ職人がいること」などの条件が合う業者でなければ、精度の高いウェーブキーの複製は困難です。
劣化により抜き差しがしにくくなる
サイドバーが組み込まれているウェーブキーは使用し続けると、劣化による抜き差しの不具合が起こる可能性があります。これはピンよりも強い圧力がかかってしまうためです。
ウェーブキーを使い込んでいくうちに、鍵を差した時に若干の突っかかりを感じたり、鍵をスムーズに回せないなどの使いにくさを感じるかもしれません。
高い防犯性を実現しているものの、その複雑な形状ゆえに鍵の劣化が見受けられます。
一方ディンプルキーは基本的にそれほど劣化は早くありませんが、丸い窪みにホコリが溜まりやすい構造を持っています。ウェーブキーは表面に窪みを持たないため、ホコリなどが入る心配はありません。
ウェーブキーのおすすめ商品と費用を確認
劣化しやすいというデメリットもあるウェーブキーですが、その構造や特徴から考えると防犯性に優れていることは確かです。
ここでは、自宅や自動車、自転車のセキュリティを高めたいという人向けに、それぞれのおすすめ商品と交換費用について解説していきます。
「どの商品がいいのか分からない」「交換にいくらかかるのか知りたい」という疑問を解決しましょう。
住宅
依頼する鍵業者によって交換費用は変わりますが、交換工賃・部品代合わせて35,000円〜を見ておいた方が良いでしょう。
扱うメーカーによっても価格は変わることがあるため、取り付ける際には正確な見積を依頼するようにしましょう。
おすすめ商品
家研販売株式会社「ベルウェーブ」 | ユーシン・ショウワ「WXシリンダー」 |
交換費用:6,800円〜7,300円 | 交換費用:4,600円 |
「耐ピッキング性能」「耐破壊性能」ともに優れたシリンダー | 砂塵・雨水・凍結に強く、劣化しにくい |
家研販売株式会社のウェーブキー「ベルウェーブ」は、ピンにバネ圧がかからない構造を持っており、従来のシリンダーと比べてピッキングがより困難になっています。またキーがウェーブ形状になっているため、高い耐ピッキング性能と耐破壊性能を兼ね備えたシリンダーです。
カラーは3色展開になっており、シルバー・ブロンズ・ゴールドから選ぶことができます。
またユーシン・ショウワの「WXシリンダー」は、滑らかで軽いキー挿入に加え、理論上の鍵違い数はなんと2,800億通りにものぼります。
鍵穴部分にはシャッターがついており、粉塵や雨水がシリンダー内に入り込むことを防いだり、凍結を防止したりする点でも効果的です。抜き差しによる劣化が気になるウェーブキーの欠点を払拭してくれます。
自転車
iwiss「EK-BDLOCK」
頑丈なスチール素材を使用しているため、ピッキング対策に優れています。シンプルな見た目でデザイン性を兼ね備えている点も高評価でしょう。付属のマウントでボトルゲージ部分などにコンパクトに収納することができるため、携帯もらくらくです。
値段も1,780円と手に届きやすいため、検討してみることをおすすめします。なお、ウェーブキーを自転車に取り付ける際は自分で行います。
ウェーブキーを長く保つためには
劣化しやすいというデメリットがあるウェーブキーですが、高性能な鍵を長く使用し続けるにはどうしたらよいのでしょうか。ウェーブキーを長持ちさせる大切なポイントは以下の2点です。
- こまめなメンテナンス
- 定期的に業者に点検してもらう
こまめなメンテナンス
ディンプルキーほどではないものの、ウェーブキーは構造上劣化が早いことに加え複雑な形状であるため、窪みの中にホコリや異物が入り込みやすくなっています。
ゴミが溜まるのを防ぐために、こまめに窪みの中のホコリや異物を取り除くようにしましょう。使用し続けると、どんどん汚れは溜まっていってしまいます。
卓上の小さなハケで定期的に窪みを掃除する習慣を付けておくだけでも、異物による鍵トラブルを避けられるので効果的です。また掃除機やエアダスターで鍵穴のゴミやホコリをとり除く方法もおすすめです。
定期的に業者に点検してもらう
定期的なメンテナンスを鍵の業者に依頼することも重要です。あらかじめウェーブキーに対応している業者を知っておくことで、鍵を長持ちさせるだけではなく万が一の際に業者を慌てて探さなくて済みます。
また「鍵の開錠がスムーズにできなくなってきた」など違和感を感じた時も、早めに専門の業者に相談をしておくのも良いでしょう。
ウェーブキーは繊細かつ複雑な構造の鍵です。難しい作業を無理やり自分でやろうとすると、状況が今より悪化してしまうかもしれません。簡単なメンテナンス以外は触りすぎず、プロの技術にお任せしましょう。
業者によってはウェーブキーの対応をしていないところもあります。依頼の際には必ず事前に確認をとるようにしましょう。
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