徘徊防止錠は主に4種類あります。施錠方法や鍵の保管方法など、それぞれに特徴があり費用が違うため、設置場所や予算に合うものを取り付けましょう。徘徊防止錠の特徴からおすすめの鍵、自分で取り付けることが不安なときの鍵屋の選び方まで解説します。
徘徊防止鍵はどこに取り付ける?
認知症の人は、介護者や家族をわざと困らせようとして徘徊しているわけではありません。認知症で徘徊する理由を理解し、効果的な場所に徘徊防止錠を取り付けるようにしましょう。
そもそも認知症ではなぜ徘徊してしまう?
認知症になると、直近の出来事や考えたことを思い出せなくなります。目的を持って行動を起こしても、何をするつもりだったのかを忘れてしまい、そのまま行動し続けるのです。
例えば何かを探すはずだったのに何を探していたか忘れてしまい、探すという行動だけを延々と続けます。
また自分がいる場所や時間、周囲の状況や目の前にいる人が誰なのかを認識できなくなることもあります。近所のスーパーや公園などの行き慣れた場所に出かけようとしたものの、自分がどこにいるのか分からなくなり、何時間も歩き続けてしまうのです。
恐怖や不安、ストレスも徘徊の引き金になります。新しい環境や、人が多い場所で不安を感じると、落ち着ける場所を探し始めるのです。
また家族や介護者に叱られると、恐怖を覚えます。そのときのことを思い出すとその場から逃げようとするため、徘徊につながるのです。
徘徊防止の鍵を取り付ける場所
徘徊を防止するために、まずは普段の出入りで使う玄関や勝手口に徘徊防止錠を取り付けましょう。玄関や勝手口が自由に出入りできる状態だと、簡単に外出できてしまうためです。
しかし確実に徘徊を防止するためには、出入口以外にも注意が必要です。
玄関や勝手口以外に、大人が出入りできる大きさの窓がある場合、そこから出かけてしまう可能性もあります。徘徊の仕方や自宅の構造によって、徘徊防止の鍵を取り付ける場所は様々です。
徘徊のパターンやどこから出入りしてしまうのかを考えた上で、鍵の設置場所を決めましょう。
徘徊防止鍵の主な種類
徘徊防止錠には様々な種類があります。鍵の仕組みや管理の仕方を把握し、家族や介護者に合ったものを選びましょう。
こちらでは徘徊防止錠それぞれの特徴について解説します。玄関や勝手口に取り付けるものだけではなく、窓に付けるタイプの鍵についても見ていきましょう。
着脱式サムターン
サムターンとは内側から開錠するときに回すつまみのことです。着脱式サムターンは施錠後つまみを外せるため、鍵につまみがついていない状態になります。つまみを付けなければ開錠できないため、簡単に出入りできなくなり、徘徊防止につながります。
つまみを外したときの置き場所を、家族や介護者と共有しておかないとトラブルにつながります。つまみをどこに置いたのか分からなくなってしまうと、開錠できなくなってしまうためです。
外したつまみの置き場所は、しっかりと決めて共有しておきましょう。
両面シリンダー錠
施錠・開錠するための鍵穴をシリンダーといいます。通常はドアの外側がシリンダー、内側がサムターンですが、両面シリンダー錠はその名の通り内側もシリンダーになっています。
両面シリンダー錠は外に出るときにも鍵が必要です。鍵を持っていないとドアを開けられないため、徘徊防止につながります。
両面シリンダー錠も着脱式サムターン同様、鍵を管理する家族と介護者で、鍵の場所を共有する必要があります。
デジタルロック
デジタルロックとは、暗証番号の入力やカードキーなどで施錠・開錠を行う鍵です。デジタルロックの種類によってはオートロックや遠隔操作などの機能がついているため、利便性が高いことが特徴です。
暗証番号タイプの場合は鍵が不要なため、鍵を紛失する心配がありません。
デジタルロックの多くは電池やアダプタなどのバッテリーが必要です。バッテリー切れに備えて鍵で施錠・開錠ができるタイプもあります。
補助錠
補助錠とは追加で取り付けられる鍵です。両面シリンダー錠やデジタルロックを補助錠として取り付け、1ドア2ロック式にすることで、徘徊防止対策になります。
そして徘徊防止のためには、大人が出入りできる大きさの窓にも対策が必要です。
窓に多いクレセント錠は簡単に開けられるため、窓用の補助錠をつけて対策しましょう。窓枠や窓ガラスに強力な両面テープで貼り付けるタイプと、レールに設置するタイプの2種類です。
窓用補助錠の多くは、設置場所以上に窓を開けられなくなります。換気ができる程度の隙間を残して設置し、それ以上窓が開かなくすることで、徘徊防止になります。
自分でも取り付けられる徘徊防止鍵
ネット通販やホームセンターなどで、手軽に徘徊防止錠を購入できます。自分で取り付けられる簡単なものが多く、補助錠として検討することがおすすめです。
取付方法は簡単で、取付金具をドアにはめ、つまみを回して固定します。ドア内側に出た取付金具先端部にロック金具を差し込むだけで、取付完了です。
南京錠の色は2色展開で、ブラックかシルバーを選べます。
暗証番号の入力をボタンで行いますが、電源不要のため、バッテリー切れや停電時でも不作動の心配がありません。暗証番号を自分で設定でき、番号変更も簡単です。
シルバーとブロンズの2色展開で、ドアや引戸に合ったカラーを選べます。
ダイヤルタイプの鍵をつまんで回すだけで、ロックできます。取付後に黒い鍵を外せるため、ロック効果と徘徊防止効果が高まります。
単品販売と3個セット販売があるため、使用場所の数に応じて選びましょう。シルバーとブロンズの2色展開で、レールに合ったカラーを選ぶと自然で目立ちません。
徘徊防止鍵の取り付けを鍵屋に頼む場合
自分で徘徊防止錠を取り付ける場合、取り付け時にドアを傷つけてしまわないか、取り付けた後に外れてしまわないかという不安が生じます。
確実にしっかり取り付けたい場合は、プロの鍵屋に依頼することがおすすめです。
徘徊防止鍵の取り付けにかかる費用相場
玄関や引戸の鍵の取り付けを業者に依頼した場合の相場を紹介します。
- 新たに補助錠を設置する場合は、5,000~20,000円
- 鍵を新しいものに交換する場合は、4,000~15,000円
- 窓用の鍵を交換する場合は、8,000~15,000円
取り付ける鍵の種類によって、値段が大きく変わります。単純な作りの鍵は交換費用が安く、デジタルロックなど複雑な鍵は高額になるためです。
使い勝手や管理の方法など、家族や介護者に合ったものを選びましょう。
介護保険の適用が可能な場合がある
家族が要介護・要支援認定を受けている場合は、徘徊防止錠の取付費用として、介護保険が適用される可能性があります。まずはケアマネージャーなどに相談してみましょう。
介護保険を受ける場合は徘徊防止錠を取り付ける前に、自治体に書類を提出しなければいけません。自治体のホームページを参照したり、ケアマネージャーに相談したりしながら、承諾書や申請用の書類を用意する必要があります。
また介護保険が適用された場合でも、支給されるのは取付完了後です。そのためかかる費用を自分で立て替えることになります。
参考:厚生労働省「介護保険における住宅改修」
安心できる鍵屋を選ぶ方法
ネットで検索すると、多くの鍵屋が出てきます。その中からどの鍵屋を選べばいいのでしょうか。こちらでは、安心できる鍵屋の選び方を解説します。
複数会社から見積もりを取る
鍵屋に徘徊防止錠の取り付けを依頼する場合は、相見積もりを取りましょう。相見積もりとは複数の会社から見積もりを取り、値段やサービスを比較することです。
鍵屋選びで失敗すると、見積もりになかった追加料金を作業後に請求されたり、取付後に業者のミスによる不具合でも修理代金を請求されたりなどのトラブルが考えられます。
良心的な鍵屋を探すために、相見積もりは必須です。しかし自宅まで来てくれる鍵屋を複数探し出し、別々に見積もりを依頼することは時間と手間がかかります。
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料金設定やアフターフォローもチェック
徘徊防止錠を鍵屋に依頼する際、料金設定が明確かどうか確認しましょう。
例えば「鍵の取り付け6,000円」と記載されている場合、総額で6,000円なのか、出張費・作業費は別途かかるのかで支払金額が大きく変わります。
見積もりの時点で、どの作業にいくらかかるか、部品代や出張費はいくらかかるかが、わかりやすく記載されているかチェックしましょう。料金の内訳が不明瞭なまま依頼をしてしまうと、思わぬ追加料金が発生してしまう可能性があります。
また鍵屋がアフターフォロー制度を設けているかどうかも、見積もりの時点で確認しましょう。
万が一取り付け完了後に鍵の不具合が起こった場合、改めて修理を依頼すると、修理費用がかかってしまいます。一定期間内は無料で対応してもらえる、アフターフォロー制度が充実した鍵屋を選ぶようにしましょう。
鍵を取り付けて徘徊を防ごう
認知症による徘徊は本人にとって危険なだけでなく、介護者や周囲の人にとっても大きな負担です。
いつ家の外に出ていってしまうかわからない状況は、心の休まる暇がありません。長期にわたり家庭で介護をするためには、介護者の生活や健康を守ることも大切です。
玄関や勝手口には「着脱式サムターン」や「両面シリンダー錠」、「デジタルロック」が有効です。窓には窓ガラスやレールに取り付ける補助錠をつけましょう。
徘徊自体を止めることは困難ですが、徘徊防止錠を上手に活用することで、本人と介護者の負担を大きく減らせます。
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