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会社設立時に知っておきたい会社の種類について徹底解説!

最終更新日: 2024年06月28日

会社の種類は1つだけではありません。

会社設立というと株式会社をイメージする人が多いですが、株式会社以外にも会社の形があり、設立費用や経営者の責任、出資者の責任などが大きく異なっています。

そのため、会社の運営方法や将来ビジョン、目的などに応じて、最適な特徴を有する会社形態を選択するべきでしょう。

この記事では、会社の種類とその特徴を詳しく解説していきます。

この記事を監修した税理士

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

 

会社の種類とそれぞれの特性

会社の種類と特徴
会社の種類と特徴は?

会社には4つの種類があります。

会社の形態によって経営者や株主の責任は大きく異なりますので、会社の種類と特徴を会社設立前から理解しておくことは非常に重要です。

2006年の新会社法施行に伴い、有限会社に代わって合同会社が設立できるようになりました。そのため今は設立することができる会社の種類は4つです。

まず、会社の種類の違いやその特徴を解説していきます。

4種類の会社の形態

2006年の新会社法施行によって2019年現在、設立することができる会社の種類は以下の4つです。

会社の種類 特徴 責任
株式会社 投資家が金銭等を出資して、経営は出資者間で選んだ者に任せる 有限
合同会社 金銭を出資した投資家だけで経営され、原則として投資家の中から経営者を選定して経営する 有限
合名会社 原則として投資家全員で経営する会社で、出資者全員が債権者に対して無限の責任を負う 無限
合資会社 合名会社に、経営に参加しない投資家が加わる会社 無限・有限

株式会社と合同会社は有限責任ですので、会社が倒産した場合には出資額以上の負担を投資家が負う必要はありません。

一方、合名会社は無限責任ですので、会社が倒産した場合には出資額を超える債務全額を無限に負担しなければならない可能性があります。

合資会社は無限責任社員と有限責任社員が存在し、無限責任社員は債務に対して無限に責任を負い、有限責任社員は債務に対して出資額までしか責任を負いません。

株式会社と持分会社の違い

合同会社、合名会社、合資会社を持分会社と言います。

株式会社と持分会社の違いは所有と経営の分離がなされているかどうかです。

株式会社は株式を発行して不特定多数の投資家から大規模な資金を集める会社形態です。原則として経営者と投資家は別で、会社の所有は投資家、経営は経営者というように、会社の所有者と経営者が分かれています。

しかし、持分会社は原則として出資者が経営に参画するため、所有と経営が一致しています。このため、出社全員で報酬や利益分配を話し合って決めることが一般的です。

合資会社と合名会社は社員にかかる負担が大きい

合資会社には無限責任社員と有限責任会社が存在します。

また、合名会社は社員全員が無限責任を負うことになります。

無限責任社員は会社が倒産した場合には、社員全員が会社の債務を無限に負担しなければなりません。

会社が倒産した場合のリスクは社員が無限に責任を負わなければならないので、社員の負担が大きな会社形態ということができるでしょう。

そのため、一般的には事業を始めるにあたっては、出資額以上には責任が及ばない有限責任の株式会社か合同会社が設立されることが一般的なのです。

ここからは株式会社と合同会社について詳しく解説していきます。

株式会社のメリット

株式会社のメリット
株式会社のメリットとは?

株式会社は以下の2つの点で持分会社と比較してメリットがあります。

  • 法人としての知名度と信頼度の高さ
  • 多くの資金調達ができる

株式会社の2つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

法人としての知名度と信頼度の高さ

株式会社は4つの会社形態の中で、最も知名度が高い会社形態です。

また、株式会社は国の基準をクリアして資本金を投資家から集めなければ設立することができない会社です。

さらに、以前は株式会社は資本金1,000万円以上ないと設立できなかったため(2019年現在は1円から設立可能)、株式会社というだけで「それなりに自己資本があり信用できる会社」と判断されることがあります。

そのため、株式会社は最も社会的な知名度が高く、取引先などからも信頼されやすいというメリットがあります。

多くの資金調達が可能

株式会社は不特定多数の投資家から資金を集めることを目的とした会社です。

実際に株式を発行して投資家を集めることで資金調達を受けることも簡単です。

株式会社のメリットとして、多くの資金調達を可能にして事業拡大に有効だという点もあげることができるでしょう。

株式会社のデメリット

株式会社のデメリット
株式会社のデメリットとは?

株式会社には以下のようなデメリットもあります。

  • 定款を公証人の認証を受けなければなりません
  • 任期ごとに役員登記が必要
  • 設立費用が高い

株式会社は設立する時に手間も費用もかかりますし、設立後も役員任期が到来する都度登記を行わなければなりません。

株式会社のデメリットについても理解しておきましょう。

定款に公証人の認証手続きが必要

会社を設立するためには、定款を作成する必要があります。定款とは会社の目的などの根本を定めたものです。

そして、合同会社、合名会社、合資会社では定款を公証人から認証される必要はありませんが、株式会社の場合は公証人による定款の認証を受けなければなりません

公証人から定款認証を受けるには費用もかかりますので、株式会社は設立時に手間も費用もかかってしまいます。

任期ごとに役員登記が必要

役員の任期は2年と決められており、定款で定めた場合のみ最長10年まで任期を延長することができます。

いずれにせよ、株式会社は役員任期があり、役員任期が切れた時には同じ役員が再任されるとしても登記をしなければなりません

役員の任期が切れる度に、重任登記で1万円の登録免許税がかかり、資本金が1億円以上の場合には3万円の登録免許税が必要になります。

登記をするための費用も必要になりますし、登記手続きのために経営上の事務作業も面倒になります。

費用が高い

株式会社は設立費用が高いという点もデメリットです。

株式会社設立には以下の費用が必要になります。

  • 登録免許税 15万円
  • 定款認証 5万円
  • 印紙 4万円

トータルで約25万円の費用がかかり、その他、会社の実印や銀行印といった印鑑が必要となります。

合同会社が6万円、合名会社・合資会社が10万円程度で設立できることと比較すると、株式会社は設立費用が高くなります。

合同会社のメリット

合同会社のメリット
合同会社のメリットとは?

合同会社には株式会社にはない以下のようなメリットがあります。

  • 社員全員が間接有限責任社員
  • 設立費用が安い
  • 役員に任期がない
  • 柔軟で自由度の高い経営が可能

合同会社は株式会社と同じように経費を算入できますし、設立も管理コストも安くなります。個人経営であれば合同会社で十分という人も多いでしょう。

合同会社のメリットについて詳しく見ていきましょう。

社員全員が間接有限責任社員!

合同会社は株式会社と同じく、出資者の責任が出資金の範囲内に留まる間接有限責任です。

このため、会社が多額の借金を抱えて倒産したとしても、責任が及ぶのは出資金のみですので、会社が失敗しても大きな借金を背負わなければならないような心配はありません。

設立費用が安い

合同会社も定款を作成する必要がありますが、公証人による定款認証は不要です。

また定款に貼付する収入印紙代が4万円必要になりますが、電子定款の場合には収入印紙代も不要です。

このため、必要なお金は登録免許税の6万円だけで合同会社は設立することができます

役員に任期がない

合同会社は役員の任期がありません

株式会社のように任期の都度登記を行う必要がないので、登記の費用も手間もかからない点もメリットと言えるでしょう。

個人経営で同じ経営者がずっと経営していく場合には株式会社よりもメリットがあると言えます。

柔軟で自由度の高い経営が可能

合同会社は株主総会や決算公告が不要です。

株主総会の開催も決算公告も必要ないため経営者の権限が強い会社形態と言えます。

外部の人に干渉されることなく、自由に会社経営を行うことができるので、個人経営、家族経営、仲間内だけの経営をする場合などは株式会社よりもメリットがあると言えるでしょう。

合同会社のデメリット

合同会社のデメリット
合同会社のデメリットとは?

広く資金を集めるような経営を目指さないのであれば合同会社で十分であるようにも思えます。

しかし、合同会社には以下のようなデメリットもあります。

  • 社会的知名度や信用度が低い
  • 出資者の退社による返金

これらを理解して合同会社を設立しないと、設立後に「株式会社の方がよかった」ということにもなりかねません。

合同会社のデメリットについてもしっかりと理解しておきましょう。

社会的知名度の低さ

合同会社の社会的知名度は株式会社には劣ってしまいます。

合同会社は2006年に設立が認められた比較的新しい会社形態ですので、まだまだ認知が進んでいるとは言い難いのは事実です。

また、今は資本金1円から設立することができる株式会社ですが、以前は資本金は1,000万円以上ないと設立することができなかったため、株式会社の方が資金力があると判断する人は少なくありません。

そのため、合同会社というだけで「安全な会社なのか?」と疑われてしまうことがります。

取引先との契約の際に不利になることもありますし、銀行などの評価が下がって資金繰りが不利になってしまうケースも考えられます。

株式会社よりも社会的な地位は低く見られてしまう可能性があるという点は理解しておきましょう。

出資者が退社した場合は、払戻をしなければならない場合がある

合同会社の場合には出資者は社員として経営全般に関わることができる組織形態です。そのため社員が退社する時には会社から出資金を払い戻してもらうことができます

株式会社の場合には経営に関わる出資者が会社を退社しても株主としての地位は存続します。しかし所有と経営が一体化した合同会社では社員の退社は出資金の返還を意味することになってしまうのです。

このため、ある日突然社員が「退社したい」と言い出したら、多額の出資金を返還しなければならないリスクがあるのです。

ご自身の都合に適した、会社設立を行いましょう!

会社設立は自分の都合に適した形を
会社設立は自分の都合に適した形を

このように株式会社と合同会社にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

会社の形態がどちらがいいかということは、「自分がどんな会社の将来を望んでいるか」「会社設立の目的は何か」というビジョンや目的に基づいて決めるのが最善でしょう。

株式会社と合同会社って結局どっちがいいの?

会社の形態は株式会社と合同会社どちらがよいかということを一概に言うことはできません。

株式会社と合同会社がどんな人におすすめなのかということをまとめると以下のようになります。

・株式会社がおすすめの人

  • 社会的信用を気にする人
  • 広く資金を集めて大きく商売をしたい人
  • 上場したい人

・合同会社がおすすめの人

  • 少ない費用で会社を設立したい人
  • 税金対策で法人を設立したい人
  • 許認可などの都合で法人格が必要な人
  • 株主総会や決算公告や役員の再任などの面倒な手続きを避けたい人
  • 個人や家族経営で商売をしたい人

会社形態はどんな規模で商売をしたいのか、どんな目的で会社を設立するのかによって最適な形は異なります。

自分のビジョンや目的にあった会社形態を選択するようにしましょう

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監修税理士からのコメント

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

合資会社や合名会社の数はかなり少なく、新設する方もほとんどいません。少ないコストで会社設立が可能であり、社会保険への加入ができるという利点も存在しますが、出資者責任が無限であることから需要が少ないようです。 最近では、合同会社の知名度が上がってきており、設立費用や経営への自由度などの利点から設立する方も増えているようです。

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この記事を監修した税理士

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

仙台市宮城野区岩切に事務所を構える税理士の菅野歩と申します。日々の経理業務、会計・税務業務など経営者の皆様のニーズに合わせた適切なサポートを全力で行い、わかりやすくご説明させていただきます。