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【税理士監修】会社設立に必要な印鑑4種類|それぞれの役割を解説

最終更新日: 2024年06月28日

会社設立時に、どのような印鑑が必要になるかご存知ですか?会社の印鑑についてきちんと把握しておかないと、さまざまなリスクにあう可能性が高くなるので要注意です。

ここでは、会社設立にあたって必要になってくる印鑑の種類やその役割、印鑑を使用する際の注意点についてまとめて解説していきます。印鑑の準備をしっかり行い、スタートダッシュを決めましょう。

この記事を監修した税理士

進藤崇 - 東京都中野区新井

 

会社設立に必要な印鑑は4種類!

会社設立に必要な印鑑の画像
会社設立に必要な印鑑は4種類

会社設立時に必要になる印鑑は以下4種類あります。

  • 会社実印(法人実印)
  • 銀行印
  • 社印(角印)
  • ゴム印

各印鑑の特徴をチェックしていきましょう。

①会社実印(法人実印)

会社実印は、重要な契約をする際に用いられることが多く、法務局に登記申請をする際に必要です。法人を代表して捺印することから「代表者印」とも呼ばれます。

会社実印の特徴をまとめると以下のようになります。

  • 形態に決まりはない
  • 直径18mmの丸印がメジャー
  • 1辺の長さが1cmを超え、3cm以内の正方形に収まるもの
  • 印面のデザインは二重円
  • 役職名を内側の円に記載する

会社実印に規定などはありませんが、大きさには登記上の制限があります。直径3cmを超える印鑑は認められません。

丸印が一般的ですが、形態に決まりはないため、四角などの印鑑にすることも可能です。印面のデザインは二重円となっており、円の中には「代表取締役印」などの役所名を記載し、外側の円には会社名が記載されます。

他の印鑑は会社設立後に作成しても問題ありませんが、会社実印は会社設立前に必要になるので早めに作っておきましょう。

②銀行印

銀行印とはその名のとおり、法人口座開設や預金の出し入れなどの銀行に関する手続きに必要になる印鑑のことです。

  • 社判ともいう
  • サイズの制限はない
  • 会社実印と区別しやすいように一回り小さくするのがベスト
  • 会社実印でも代替は可能
  • 印面のデザインは二重円
  • 「銀行之印」という文字を内側の円に記載する

銀行印の印面のデザインは、会社実印と同じく二重円となっており、円の内側に「銀行之印」を記載し、円の外側に会社名を記載します。

会社実印と銀行印は同じものを使ってもかまいません。ただし、紛失や盗難時のリスクを避けるためにも、会社実印と銀行印はそれぞれ分けて作っておくのが無難です。

仮に会社実印と銀行印を併用してしまうと、第三者が悪用する可能性が出てきます。ハンコが1本だけなら管理は簡単ですが、1本しかないため、代表者が持ち出している場合に使えない可能性もあります。総合的に考えると、銀行印は会社実印は別に作っておくのが良いでしょう。

会社実印と銀行印を分けて作る場合は、判別が付くように、サイズを変えるなどの工夫をしておくことをおすすめします。

③社印(角印)

社印は請求書や領収書などの社内文書に用いられる印鑑です。印鑑の形が四角形であることから「角印」とも呼ばれます。

  • 角ばった形態の印鑑がメジャー
  • サイズの制限はない
  • 2cm角のものが多い
  • 印鑑登録は不要
  • 会社名を記載する

角印は丸印に比べて印面が広く、一回り大きいため、書類に押印したときに存在感を示すことができます。安定して捺印できるのも、角印のメリットです。実印よりも、角印のほうがオリジナリティを出しやすくなります。

④ゴム印

ゴム印は社名や代表者名、住所などが入った印鑑のことで、手書きを省きたいときに用いられる印鑑になります。

  • 自由にカスタマイズ可能
  • 会社名・住所・電話番号など記載内容は自由
  • 他の3つの印鑑に比べると重要度は低い
  • 印鑑登録はできない

会社設立時にゴム印は必要ありません。他の3つの印鑑に比べれば、使用頻度もそれほど高くないため、会社設立時は代表者印・銀行印・角印の3本のセットを購入するケースが多いようです。

ただ、ゴム印があると、さまざまな書類にいちいち手書きせずに済むため、事務作業の多い会社では何かと重宝します。縦型やヨコ型など、書類に合わせて使い分けられるように異なる型を用意しておくと、さらに便利です。

業務の効率化に役立つので、できれば会社業務を開始する前に用意しておきましょう。

印鑑ってそもそもいつ使うの?

印鑑の画像
会社設立の印鑑いつ使うの?

4つの印鑑はそれぞれ使用するシーンが異なります。4種類の印鑑が持つ役割についてきちんと把握しておかないと、業務に支障をきたすこともあるので注意が必要です。

混乱やトラブルを避けるためにも、ここで4つの印鑑がどのようなときに必要になるのか、確認しておきましょう。

会社実印(法人実印)を使うとき

法人実印は、その会社にとってもっとも重要な印鑑になります。重要な契約時に用いられることが多く、日常的な業務の中で使用されることはほとんどありません。

法人実印が使用されるのは、主に以下のような場合です。

  • 印鑑証明書の作成
  • 重要な契約書
  • 法的書類への押印
  • 法務局への印鑑登録
  • 法人登記の変更

法人実印は一番重要な印鑑なので、軽微な契約や書類作成にむやみに使うことは、セキュリティ上からあまりおすすめできません。実印を使用するのは重要な契約や、官公庁への提出書類などの押印にとどめて、社内での書類作成などには別の印鑑を使用しましょう。

法人実印は登記変更などができる非常に効力の大きい印鑑なので、作ったあとは会社の金庫などに厳重に保管しておくことをおすすめします。

②銀行印

銀行印が必要になるのは、振込など会社のお金が動くときです。

  • 銀行口座の開設
  • 手形や小切手の振出
  • 預金の入出金
  • 銀行振替の書類への押印

一般的に、法人の銀行印は経理部長などが管理します。銀行印は会社の金銭移動に関わる非常に重要な印鑑なので、法人実印とともに厳重に管理しなければなりません。

③社判(角印)

社判は実印を押すほどではない書類の押印に用いられます。

  • 領収書
  • 見積書
  • 検収書
  • 請求書
  • 発注書など

日常的に使える社判は、多くの企業で重宝されています。会社実印や銀行印に比べると重要度は低くなりますが、使用するシーンが多いだけに、美しく押したいところです。

社印の印鑑登録は不要ですが、民事訴訟法上は実印と同様の効力を持ちます。そのため、むやみやたらに押印するのは禁物です。偽造されるリスクを防ぐためにも、併用は避けて、紛失しないように注意して扱いましょう。

④ゴム印

ゴム印があれば、長い会社住所なども手書きせずに済みます。重要な書類への押印ではなく、簡易的な書類に押印されるのが一般的です。

  • 契約書などの署名欄
  • 郵便物への押印
  • 書類への記入代わり

ゴム印にはさまざまなデザインがありますが、あくまでビジネスに用いるものなので、シンプルなデザインを用いるのが無難です。

作った印鑑を登録しよう

印鑑の画像
作った印鑑を登録しよう!

会社を設立するときは、会社の実印と個人の実印が必要になります。ここでは、印鑑登録をする方法や、登録時に必要になるものについて解説していきます。

印鑑登録は必要?

会社設立には実印(登録済みの印鑑)が必要不可欠です。そのため、会社設立をする人は印鑑登録が必要になります。印鑑登録をすることによって初めて公的な証明を得ることができ、実印としての効力を持つのです。

会社の印鑑登録申請は、登記申請と同時に行うことができます。届出する場所は、会社の所在地を管轄する法務局になります。

個人の実印は、登録したい印鑑を各市区町村役場に届け出ましょう。

どんな立派な印鑑を作っても、こちらから申請をしない限り、実印として認めてもらうことはできません。「実印」という名で販売されている印鑑は、あくまで「実印用」という意味であって、購入すればすぐに実印として使用できるわけではありません。

実印として使用するなら、事前に必ず印鑑登録を済ませておきましょう。

印鑑を役所に持っていこう

個人の印鑑登録をする際は、住民票がある自治体に印鑑を持って行く必要があります。単身赴任や引っ越しなどで、現在住んでいる場所に住民票を移していない人は、現住所の役所で手続きを行うことができません。地元に住民票を置いたままにしているなら、地元の役所で手続きを行う必要があります。

役所で印鑑登録の申請を行うときは、最初に「申請書」に必要事項を記入しましょう。申請書とともに、登録したい印鑑などを一緒に提出すれば、印鑑登録の手続きができます。

役所の窓口で印鑑登録をするときに必要なもの3セット

役所の窓口で印鑑登録をする際に必要なものは、以下の3つです。

  1. 実印用の印鑑 
  2. 身分証明書(免許証、パスポート、マイナンバーカード)
  3. 手数料

身分証明書は顔写真付きのものを持参しましょう。免許証などの顔写真付きの身分証明書があれば、すぐにその場で印鑑登録手続きができます。

健康保険証などの顔写真が付いていない身分証明書を持参しても、印鑑登録をすることは可能ですが、その場ですぐに登録することはできません。登録手続きまで数日かかってしまうので、急いでいる人は必ず、顔写真付きの身分証明書を持参するようにしましょう。

登録時にかかる手数料は自治体によって異なりますが、大体100〜300円くらいです。

印鑑登録を終えると、「印鑑登録証」または「印鑑登録カード」が発行されます。これらは「印鑑証明書」を発行してもらうときに必要になるものなので、大切に保管しておきましょう。

トラブル⁉印鑑を使用する際の注意点・アドバイス

雑所得となるもの
トラブル?印鑑を使用する際の注意点・アドバイス(画像提供:PIXTA)

会社にとって印鑑は非常に重要な存在です。使い方を間違えると、トラブルに巻き込まれる可能性もあるので気をつける必要があります。

ここでは、印鑑を作ったり使用したりする際に注意すべきポイントを解説していきます。知っておくと役立つアドバイスも合わせて紹介するので要チェックです。

三文判の印鑑は使わない

三文判とは、文房具店などで買うことができる安価な判子の総称です。三文判であっても印鑑であることに変わりはないため、実印として登録することができます。

ただし、三文判だと実印の偽造や複製が簡単にできてしまうため、なりすましのリスクを完全に避けることができません。ホームセンターなどで買える三文判の印鑑は大量生産されているので、同じ印鑑を購入されると、さまざまな悪事が行われる可能性があります。

また、安いだけに耐久性が弱く、いざというときに使えない可能性も出てきます。変形してしまった印鑑は効力を失うため、会社の印鑑として使うのは避けたほうが無難です。

リスクを防ぐためにも、印鑑を作るときは、偽造されない書体を選び、手彫りの印鑑を作成するようにしましょう。丈夫な素材を使い、複雑な印影のある完全オリジナルの印鑑を作るのがベストです。

捨て紙や白紙委任状への押印禁止!

白紙委任状とは、委任内容や代理人の記入欄を未記入のまま作成した委任状のことです。委任内容が決まっていない場合に代理人に預けるものですが、この白紙委任状に押印してしまうと、代理人によって勝手に委任内容を書き換えられてしまうことがあるので大変危険です。

捨て紙に押印する際も同様に悪用の恐れがあるので、安易に会社の印鑑を使うことは避けなければなりません。信用できる相手であっても、むやみに押印するのは避けましょう。

印鑑費用は経費として計上できる

事業で使用する目的なら、印鑑の種類を問わず、経費として計上することができます。

また勘定科目は「消耗品費」勘定を使用し、10万円以上の高額な印鑑を購入した場合は「工具器具備品」勘定し、資産として計上可能です。

4本セットで買うのがベスト!

株式会社や合同会社を設立するときは、会社実印だけ作っておけば事足ります。ただし、会社設立後は他の印鑑も必要になるため、会社実印を作る際に他の印鑑も一緒に作っておけば手間がかかりません。

必要な印鑑の数は4つあるため、4本印鑑セットを購入することをおすすめします。必要な印鑑を事前にすべて揃えておくと、業務をスムーズに開始できるでしょう。

会社印鑑作成の注文はネットから申し込むこともできますが、信頼できる業者に依頼するようにしてください。

監修税理士のコメント

進藤崇 - 東京都中野区新井

電子申告や申請・電子契約など、紙を使わない場面も増えてきていますが、まだまだ紙による書類のほうが多いのが実情です。印鑑の管理も重要ですが、書類の管理・保管にも留意しましょう。

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この記事を監修した税理士

進藤崇 - 東京都中野区新井

2017年10月に独立・開業いたしました。会社の税務顧問・記帳代行はもちろんのこと、個人の確定申告、相続税の相談申告を承っています。 また、ファイナンシャル・プランナーの資格もありますので、個人のライフプランニングについてもご相談ください。