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【2020年決定版】不動産の法人化は今がチャンス!

最終更新日: 2020年01月16日

働き方改革によって副業がしやすくなり、投資を始めるサラリーマンの方も増えたのではないでしょうか。投資で人気なのが不動産。うまくいけば本業として生計を立てることも夢ではないでしょう。事業が本格化してくると頭をよぎるのが事業の法人化。「法人化すれば節税できる」といった話を聞いたことのある方もいるのではないでしょうか。今回はこうした不動産事業の法人化について、メリット・デメリットを整理しながら解説していきます。

不動産事業を法人化する目的

悩む男
不動産事業を法人化する目的

不動産投資は、専業大家や副業として事業の拡大を計画している事業者、サイドビジネスとして小規模な投資に留めている人など様々です。それぞれ税金との関わり方が異なりますが、順調に業績を伸びれば自然と法人化による節税を考えると思います。

所得税は課税所得の増加に伴って税率が上がる「累進課税」方式です。副業の場合、サイドビジネスで得た所得を給与所得と合算して確定申告し、所得が増加すればそれにしたがって税率が上がります。一方、専業や規模拡大を目指す場合は、一度の投資規模が大きくなることが想定されるため、一気に所得税の最大税率に近づくことも考えられます。

節税目的で法人化を考えるとき、所得税率より法人税率が相対的に低くなる課税所得を見極めることが一つのポイントとなります。現状で税率を対照させると以下の通りとなります。

(表1)所得税率・法人税率対照表

所得税の税率(2015年分以降) 法人税の税率(2018年4月1日以後)
課税所得金額 税率 控除額(円) 法人に種類・規模等 課税所得 税率
195万円以下 5% 0 中小法人(注1)、一般社団法人等ほか 800万円以下部分 19%(15%)
195万円超330万円以下 10% 97,500 800万円超部分 23.2%
330万円超695万円以下 20% 427,500 中小法人以外の普通法人 23.2%
695万円超900万円以下 23% 636,000 公益法人等 800万円以下部分 19%(15%)
900万円超1,800万円以下 33% 1,536,000 800万円超部分 19%
1,800万円超4,000万円以下 40% 2,796,000 協同組合等又は特定に医療法人 800万円以下部分 19%(15%)
4,000万円超 45% 4,796,000 800万円超部分 19%

※表中の括弧書き部分は、2019年3月31日までに開始する事業年度が対象です。

(表1)の所得税率及び法人税率は国税のみであり、実際にはこれに地方税が課され実効税率はより高くなります。地方税については、個人事業の場合は、住民税と個人事業税が、法人は、法人住民税及び法人事業税が課されます。法人住民税には、都道府県民税と市町村民税があり、それぞれ「法人税割」と「均等割」があります。また、法人事業税は、法人税の課税所得400万円と800万円を境に税率が刻まれており、各段階で1.6~1.7ポイント税率が上昇します。このような関係もあり、(表2)は目安としてご覧ください。

(表2)法人税と所得税の計算方法(例)

所得税(課税所得1,300万円の場合) 法人税(中小法人:課税所得1,300万円の場合)
(1,300万円×0.33)-1,536,000円=2,754,000円 課税所得800万円以下部分 800万円×0.19=1,520,000円
 〃  800万円超の部分 1,300万円-800万円×0.232=1,160,000円
所得税計:2,754,000円 法人税計:2,680,000円
国税だけの税率で単純に計算すると、法人税のほうが▲74,000円となり、1,300万円の課税所得水準が法人化を検討する目安と言えます。

(注1)中小法人

中小法人とは、普通法人のうち各事業年度終了時点で資本金の額又は出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないものを言います。

投資目的の法人化

不動産 マンション
不動産に投資する目的とは

専業・副業を問わず、不動産投資を事業として拡大していく意思が固まっている場合は、早期の法人化をお奨めします。収益物件の買取りを進めるためには、迅速な決断とともに資金力が必要となるため、融資の利用も視野に入れなければなりません。この場合、個人事業より法人のほうが融資を引きやすいということと、融資審査では、過去3年から5年の財務諸表や会社の定款の提出が求められるため、法人としての実績作りが必要となるためです。

2-1 不動産法人の種類

不動産事業を法人化する際、ビジネスモデルによって得られるメリットが異なります。各種類とその特徴は以下の通りです。

(表3) 不動産投資事業の種類と特徴

設立する法人が物件を所有するケース 法人が物件を所有しないケース
1)土地と建物ともに法人所有 土地・建物を法人が所有し、入居者との賃貸借契約及び家賃と物件の管理も法人が行う形態です。物件の所有権は会社が持つため、個人が亡くなっても相続時の問題となるのは、法人の株式または出資金ということになります。個人の収入は法人からの役員報酬となります。 3)物件の管理業務のみの法人 土地・建物ともに個人の所有のまま、法人は物件と家賃の収納管理のみ行う形態です。この場合の入居者の賃貸借契約の当事者は個人(オーナー)となり、法人はオーナーからの管理料収入を得ることになります。
2)建物のみ法人所有 収益物件の建物のみ法人が所有し、土地の所有権は個人に残す形態です。物件と家賃管理については①と同様ですが、相続が発生した場合、土地に関しては相続人の相続税の対象となります。 4)法人がサブリースで事業を行う形態 法人がオーナーから土地・建物を一括して借り上げる形態です。入居者との賃貸借契約・家賃管理・物件管理はすべて法人が行い、家賃は全額法人が収納します。法人は、オーナーに対し、物件が満室時の賃料総額の80%程度(税務署の許容範囲)を支払い(家賃保証)、空室リスクは法人が負うことになります。
1)と2)は、家賃収入自体を法人の収入とすることで個人の所得を抑える効果があります。しかし、法人化に際し土地・建物の所有権を移転すると、個人には譲渡所得が生じ、移転価額によっては法人側に受贈益が発生する場合もありますので、注意が必要です。逆に、③④は長期的な節税効果は小さいものの、所有権移転に係る課税関係や費用等が発生しないというメリットがあります。

2-2 不動産の法人化におけるメリット

法人化して不動産投資の事業規模を拡大し収益が一定水準を超えると、法人にとっては、低い税率の適用とともに経営者やその他役員等に対する給与(費用)が発生して課税所得の減少となります。また、経営者にとっては配偶者を役員に据えることで所得分散による税率抑制ができるなど、総合的な節税につながります。また、仮に損失が発生したとして、個人事業の場合は、純損失の繰り越しは3年しかできませんが、法人では青白申告による欠損金を10年間繰り越すことができるなど多様なメリットが得られます。

2-3 法人の設立方法

法人化に際し会社を設立することになりますが、会社法で定義され新設できる形態は4種類です。その内、最もポピュラーな「株式会社」と最近人気を集めている「合同会社」について設立方法を整理しました。合同会社は、公証人による定款の認証を必要としないなど、株式会社に比べ手続きが簡略化されています。両者の設立スケジュールの概要は以下の通りです。

(表4)会社設立スケジュールの概要

株式会社 合同会社
(1) 定款の作成(法第26条第1項)電子定款OK(同条第2項) 定款の作成(法第575条)電子定款OK(同条第2項)
(2) 代表者実印、銀行印等必要な印鑑類を準備 代表者実印、銀行印等必要な印鑑類を準備
(3) 公証人による定款の認証(法第30条第1項) *定款の公証人認証は不要
(4) 設立時発行株式決定と出資金払込(法第32条及び第34条第2項) 出資の履行(定款の作成後、設立登記までに全額を払い込む)(法第578条)
(5) 出資履行後速やかに設立時取締役選任(法第38条) 法人が業務執行社員である場合、「職執を行う者を選任」しなければならない(法第598条)
(6) 設立時取締役は、設立手続が定款に適合しているか否か調査を行う(法第46条)
(7) 設立登記申請 設立登記申請
(8) 設立登記完了で会社成立(法第49条) 設立登記完了で会社成立(法第579条)

節税目的には向かない法人化

コスト
節税には向かない法人化

相続税対策や小規模なサイドビジネスが目的で、不動産事業拡大の意思がない場合は、所得税負担に問題がない状況なら敢えて法人化するメリットはありません。むしろ不要な支出やランニングコストの増加と言ったデメリットが発生しますので注意が必要です。

3-1 設立費用がかかる

会社設立に要する費用については、株式会社と合同会社では必要額が異なりますので、両者を対比して確認してみましょう。

(表5)会社設立に要する費用概算

項目 株式会社 合同会社 備考
定款認証印紙代 0円 0円 電子定款使用で無料。
公証人による定款認証費用 50,000円 0円 合同会社は認証不要。
登録免許税(注2) 150,000円 60,000円 いずれも最低額で記載。
設立費用 計 200,000円 60,000円 司法書士費用含まず。

(注2)登録免許税については、株式会社も合同会社も基本的には、資本金の0.7%が必要ですが、計算した額がそれぞれの最低額に達しない場合は最低額が適用されます。また、定款認証印紙代については、いずれの場合も電子定款を利用すると不要ですが、紙の定款にした場合は、株式会社・合同会社ともに4万円が必要となります。

また、設立手続きを司法書士などに依頼する場合は、別途費用が必要となります。司法書士によって、サービスの構成が異なると金額も変わるため、一般的には5~10万円程度と幅がありますので、個別に確認が必要です。

3-2 ランニングコストがかかる

株式会社・合同会社ともに、会社設立後にも各種の手続きが必要です。具体的には、所轄税務署、都道府県税事務所、市町村への「法人設立届出書」を含めた各種税務関係書類の届出のほか、社会保険・労働保険関係等の手続が必要となります。このため、届出以降、これらに係る事務的な負担が発生し、専任の事務担当者の人件費及び顧問税理士費用等が恒常的費用として発生することになります。

3-3 赤字でも納税義務が発生する

税金に関しては、その法人が所在する都道府県及び市町村が「均等割」と「法人税割」で課税する「法人住民税」があります。このうち均等割は、資本金等の額と事業所の従業員数によって課されるため、たとえ損益が赤字であっても7万円程度が課税されますので、法人化を検討する際の課題となります。

3-4 社会保険への加入義務が発生する

会社を設立すると、雇用形態にかかわらず一定の要件に該当する場合、社会保険への加入が義務付けられ、社会保険や厚生年金等は労使折半のため、会社側の費用負担が増えることになります。

不動産投資の法人化のまとめ

グラフ資料
不動産投資の法人化まとめ

以上のように、不動産事業の法人化には長期的に見るとメリットが多いと言えますが、事業の規模や目的によっては法人化しないほうが賢明な場合もあります。また、不動産投資の場合、法人化に際し個人から法人へ収益物件を移転するときの課税関係が大きな問題となります。個人側にはどうしても譲渡所得が生まれ所得税が課せられますので、税額を減らすためには、土地は個人名義のまま建物のみ簿価で売却するなど移転方法に工夫が必要です。そして、このような税務上デリケートな要素を含んだ問題は、法人化のための実務とともに税理士等の専門家に相談するのが賢明だと言えます。

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