セグロアシナガバチは、農作物に危害を加える毛虫や芋虫などを食べてくれる虫ですが、危険な面もあります。「家の近くにセグロアシナガバチがいて怖い」という方に、セグロアシナガバチの生態や特徴、駆除・予防方法を解説していきます。
セグロアシナガバチを見分けるポイントは?
他のアシナガバチと見分ける際は、色で判断しましょう。セグロアシナガバチは胸部の背面が黒色、腹部には黒点に黄褐色の模様があり、足の先端は黄色です。
セグロアシナガバチは駆除すべき?
セグロアシナガバチは早めに駆除しましょう。1匹が何度も刺してくる場合があるうえに、天敵のヒメスズメバチが寄ってくる危険性があります。
セグロアシナガバチとは?知っておくべき特徴や生態
セグロアシナガバチの特徴
セグロアシナガバチは、本州・四国・九州などを中心に生息しているアシナガバチです。
名前の通り、胸部の背面が黒色をしています。腹部は黒色に黄褐色の模様をしており、足の先端が黄色ところが特徴です。
セグロアシナガバチの体長は、21~26mmでアシナガバチの中では日本最大級の大きさをしています。
また他のアシナガバチと同様で、ふらふらと揺れながら飛ぶ習性です。
セグロアシナガバチは栄養として、毛虫(ケムシ)や芋虫(イモムシ)など農作物を食べる害虫を捕食し、益虫の一面もあります。しかし攻撃性が高めで、毒針で人を刺すことから、危険なハチです。
セグロアシナガバチのライフサイクル
セグロアシナガバチの活動期間は、3~11月です。
セグロアシナガバチの女王は、3~4月頃になると冬眠から目覚め活動を始めます。
女王バチはまず始めにすることは、巣作りです。そして巣に、働きバチの卵を産み、孵化したハチは、営巣活動や子育てをします。
5~6月にかけて働きバチが増え、7~9月には働きバチの数と巣の大きさがピークを迎えます。平均的なアシナガバチの巣は10cm程度ですが、セグロアシナガバチの巣は、最大で15cmです。
またピークを迎えた巣の女王バチは、新しい女王候補を産みます。次期女王バチと巣を守るため、7~9月のセグロアシナガバチは非常に攻撃性が高く危険です。
セグロアシナガバチは、10~11月になると活動を終え、次期女王は3月まで冬眠します。
セグロアシナガバチの巣の特徴
セグロアシナガバチの巣は灰色で、円盤状の形をしております。六角形の巣穴が見えるのも特徴です。
また巣は最大15cmまで成長し、約100匹程のセグロアシナガバチがいる場合があります。
セグロアシナガバチの巣は、以下のような場所で見られます。
- 軒下(屋根の飛び出している部分の裏側)
- 庭・ベランダの木
- 室外機
比較して人の生活圏に巣を作る傾向があります。家の周辺でセグロアシナガバチを見かけた場合は、近くに巣を作られた可能性が高いです。
また巣が成長してしまうと、刺す可能性が高くなるため、できるだけ早く巣の駆除を行いましょう。
セグロアシナガバチとその他のハチの見分け方
キアシナガバチは触角と背中の色が特徴
キアシナガバチはアシナガバチの1種。セグロアシナガバチと似て、体は細く、黄褐色の模様をして、見分けるのはかなり難しいです。長い脚をダラーンとさせて、ゆっくり飛ぶところも似ています。
セグロアシナガバチとキアシナガバチを見分ける一番分かりやすい違いは、触角と背中の色です。
触角の色 | 背中の色 | |
セグロアシナガバチ | 黄色 | 黒 |
キアシナガバチ | 黄色と茶色のグラデーション | 全体的に黒く、真ん中が一部黄色 |
セグロアシナガバチよりキアシナガバチは、黄色が目立つのが見分けるポイントです。
またキアシナガバチは、背中に黄色の縦線が2本あるのが特徴です。
キアシナガバチはセグロアシナガバチと同様、非常に強い毒を持っています。
この2種は、しっかりと特徴を見ないと見分けが付きにくいですが、危険性の高いアシナガバチには変わりありません。
スズメバチは脚が短く、ガッシリとした体つき
セグロアシナガバチとスズメバチを見分けるときは、形態と巣の見た目がポイントです。
ハチの見た目 | 巣の見た目 | |
セグロアシナガバチ |
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スズメバチ |
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体全体が太く、ガッシリとした見た目をしている場合はスズメバチの可能性が高いです。
またスズメバチの巣はマーブル模様で、セグロアシナガバチの巣よりも大きく成長します。
巣の作り始めは、フラスコを逆さまにしたような形。しばらく経つと丸いボールのような形になります。
スズメバチは動きが素早く、まっすぐ飛ぶ習性です。ふらふらと飛ぶセグロアシナガバチと見分けることができます。
またセグロアシナガバチよりスズメバチは攻撃性が高く、最も危険なハチとも呼ばれています。強い毒性があり、針から毒液を飛ばすことも。
ミツバチは丸っこく産毛が生えている
ミツバチとセグロアシナガバチと見分けるとき、スズメバチ同様、形態と巣の見た目がポイントです。
ハチの見た目 | 巣の見た目 | |
セグロアシナガバチ |
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ミツバチ |
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ミツバチは丸みを帯びた小さい姿をしており、産毛があることが特徴です。
巣は板のような形をしており、最大1mまで成長することがあります。セグロアシナガバチは円盤状で灰色の巣を作り、見分けがつきます。
ミツバチは攻撃性は低いが、ほとんど刺さないと言われています。しかし毒を持っているので、なるべく刺激しないようにしましょう。
またミツバチの特徴として人を刺すと、毒針が抜け、皮膚に刺さったままになる特徴もあります。
セグロアシナガバチの危険性
セグロアシナガバチの毒性、刺されたときの症状
セグロアシナガバチは比較的おだやかな性格をしています。しかし7~9月の最盛期に巣に近づいたり刺激したりすると、容赦なく攻撃してきます。針に毒を持っており、その危険性はスズメバチに匹敵するほど。
セグロアシナガバチに刺された場合の症状は、以下のどちらかに分けられます。
- 局所症状:刺された箇所に痛みやかゆみが出て、大きく腫れる
- 全身症状:吐き気、だるさ、息苦しさ、発汗などの症状が出る
1匹が何度も刺してくることがあるため、注意が必要です。体内の毒量が増え、アナフィラキシーショックを引き起こし、死に至ることもあります。
ちなみに、針を使って攻撃してくるのは全てメス。オスは繁殖するためだけに生まれてくるので、針を持っていません。
セグロアシナガバチに刺されないために
セグロアシナガバチに刺されないため、外出時は以下のことを気を付けましょう。
- 整髪料や香水など(匂いの付いたもの)を付けない
- ジュースやお菓子は開けっ放しにしない
- ひらひらした袖の服は避ける
- 黒い服を避ける
セグロアシナガバチ含めハチは嗅覚を使って、エサを探し当てたり、仲間と情報のやり取りをしています。そのため匂いやフェロモンに敏感ないきものです。
整髪料や香水などは、ハチが仲間に危険を知らせるフェロモンと似た成分を含みます。香水の匂いを嗅ぎ、危険を察知して寄ってくることがあります。ジュースやお菓子の甘い香りをエサと認知し寄ってくることもあります。
外出時匂いの付いたものを避け、ジュースやお菓子の開けっ放しは避けましょう。
セグロアシナガバチは動くもの、「黒く動く」クマを連想させる服装に刺激され、攻撃してくることがあります。外出時は袖がひらひらしていない服・明るい色の服をきましょう。黒髪の方は明るい色の帽子を被っておくといいですね。
また外出中に遭遇してしまった場合、しゃがみながらゆっくり後ずさりしてその場を離れましょう。大きな声で逃げると、刺激となって攻撃してくることがあります。
セグロアシナガバチの天敵、ヒメスズメバチが寄ってくる
セグロアシナガバチはヒメスズメバチという天敵がいます。
ヒメスズメバチはセグロアシナガバチ含めアシナガバチの幼虫やサナギを襲うハチです。
セグロアシナガバチの巣が大きくなると、人を刺す可能性だけでなく、ヒメスズメバチをおびき寄せることがあります。
ヒメスズメバチはスズメバチの中で2番目で大きいです。またスズメバチのなかで最もおとなしい性格をしています。しかし刺激すると威嚇することがある危険なハチです。
そのため、アシナガバチの巣は早めに駆除しておくことが重要です。
巣を駆除することで刺される可能性を低めるだけでなく、スズメバチが寄ってくる恐れもありません。
セグロアシナガバチに刺されたときの対処法5ステップ
セグロアシナガバチは、スズメバチに匹敵するほどの強い毒を持っています。万が一刺されてしまったときには、適切な対処を取ることが重要です。
刺された時は以下の5ステップで行いましょう。
- まずは安全な場所に避難
- 指でつまんで毒をできるだけ抜く
- 流水で洗い流す
- 抗ヒスタミン剤・ステロイドを塗って冷やす
- 病院に行く
セグロアシナガバチはミツバチと違い、1匹で何度も刺してきます。セグロアシナガバチに襲われた場合はその場をすみやかに離れましょう。できればハチが入ってこない室内に避難するといいですね。
次に毒をできるだけ絞り出してください。このとき、口で毒を吸い出すとのは絶対にやめましょう。口から毒が回ってしまします。
またハチの毒は水に溶けやすい性質です。毒を絞り出した後、患部を水で洗い流しましょう。
抗ヒスタミン剤・ステロイドなどが含まれる軟膏を塗ると炎症を抑えることができます。
その後は、タオルをまいた保冷剤で患部を冷やしましょう。痛みを和らげながら、毒の巡りを遅らせる効果があります。
応急処置が終わった後は患部の痛みや腫れなどでも病院を受診しましょう。痛みや腫れなどの居所症状の場合は皮膚科です。
しかし応急処置を行っているとき、息苦しさや吐き気など全身症状・アナフィラキシーショックと思われる場合はすぐに救急車を呼びましょう。
セグロアシナガバチとその巣を駆除する
セグロアシナガバチは自力で駆除できるか
セグロアシナガバチの巣の駆除は、刺される可能性を考慮すると、とても危険です。そのため、まずは現在ある巣が自力で駆除できるものかをチェックする必要があります。
以下にチェック項目を確認してください。全ての項目に当てはまれば、自力駆除OKです。
- 3~4月、巣作りのなかでも初期の段階
- 巣が直径5cm以内
- 外から見える場所にある
- 手の届く場所にある
上記の項目がすべて当てはまる場合は、自力で駆除するのは可能です。当てはまらない場合は、巣がある程度成長し、危険性が高いことを示します。この場合は自分で巣を駆除することはおすすめしません。
また刺されるなど、危険性を考えて不安な方は、業者に頼むのがおすすめです。
セグロアシナガバチを自力で駆除するとき
<準備するもの>
自力駆除に挑むには、以下のものを準備してください。
- 防護服
- 赤いセロハンを貼った懐中電灯
- エアゾール式殺虫剤(合成ピレスロイドという成分が含まれるもの)
- 長い棒や剪定バサミなど(巣を落とすために使う)
- ビニール袋
防護服は隙間や穴のない、しっかりとしたものを準備してください。買うとなると高額になりますが、自治体によっては貸し出している場合もあります。住んでいる地域の役所に問い合わせてみましょう。
駆除の最適なタイミングは、セグロアシナガバチの動きが鈍る日没後です。外が暗すぎて見えにくい時は懐中電灯を使用してください。しかし懐中電灯の明るい光はハチを刺激してしまうため、赤いセロハンテープで光を弱めて使用するのがおすすめです。
<方法>
巣の2m付近まで静かに近寄り、殺虫剤を噴射しましょう。
このとき、殺虫剤に反応してセグロアシナガバチが一斉に出てきますが、防護服を着ているので焦らなくて大丈夫です。全体にまんべんなく噴射し続けて、ハチの動く音が聞こえなくなったら、使用をやめてください。
また生き残っているセグロアシナガバチがいる可能性があるので、巣に殺虫剤をまいた後、ハチが出入りしていないか確認しましょう。
剪定バサミや長い棒で巣を落としてビニール袋で受けます。巣は可燃物として処分してください。
駆除は業者に依頼や自治体に相談
巣を自力で駆除するのが難しい場合、また刺される危険性を考えると不安な方は、業者に依頼しましょう。
業者に依頼したときにかかる費用については以下の記事で詳しく解説しています。
また巣を見つけた場合、自治体に相談してみることもおすすめです。
自治体によって制度は異なりますが、ハチ駆除に関する制度があります。巣ができてどうしたらいいかアドバイスをくれる無料相談や、前述したように防護服の貸し出しを行っている自治体があります。無料で駆除を行ってもらえる自治体も。
巣を見つけたらまずは自治体に相談してみるといいですね。
セグロアシナガバチの予防方法4つ!巣を作らせないことが大事
予防1:防虫ネットを張る
巣を作られそうなところに防虫ネットを張り、物理的に予防する方法です。
特に、毎年同じような場所に巣を作られて困っている方は試してみてください。
防虫ネットはできる限り細かい目で、虫が張り込まないものを選びましょう。
張るのは一苦労ですが、薬剤を使用せず、効果的な予防方法。
予防2:殺虫剤を吹きかけておく
巣を作られそうな場所に殺虫剤を吹きかけておくのもおすすめです。簡単に準備・予防できます。
アース製薬の「ハチアブスーパージェット」はハチが嫌う成分を含め、寄せ付けないようにする効果があります。効果は1ヶ月程持続し、スプレーしたところに巣が作られません。
これはセグロアシナガバチが巣を作り始める前の3~4月頃にかけておくと、効果が期待できますよ。
予防3:忌避効果のある自然農薬を散布
忌避効果のある自然農薬をスプレーすることでハチ予防が行えます。これは農作物を育てており、殺虫剤を使いたくない人におすすめです。セグロアシナガバチに効果がある自然農薬は、以下のようなもの。
- 木酢液
- ハッカ油
これらはセグロアシナガバチが嫌う匂いを発して、寄せ付けない効果があります。殺虫剤と同じく、巣を作り始める前の3~4月頃に定期的にかけておくと効果的です。
予防4:ダミーの巣を吊るしておく
ハチの巣のダミーを作って、吊るしておくのも効果的。ハチは他のハチの巣があると、その場所を避ける性質があります。それを利用して予防する方法です。
ダミーの作り方はとても簡単。新聞紙を40cmくらいの大きさに丸めて吊るしておくだけです。セグロアシナガバチの幼虫を捕食するスズメバチの巣のような丸い形状にすると、セグロアシナガバチはまず近づかなくなります。
【豆知識】スズメバチ以外の天敵
セグロアシナガバチは幼虫を捕食するヒメスズメバチ以外にも天敵がいます。それは寄生蛾と呼ばれる蛾です。
寄生蛾の中で「ウスムラサキシマメイガ」と「マダラトガリホソガ」がいます。
寄生蛾はセグロアシナガバチの幼虫の糞、幼虫やサナギを捕食します。巣全体を壊滅させることができる恐ろしい蛾です。
セグロアシナガバチの巣穴を使い、繭の糸を張り巡らせ、産卵します。食べつくされたあと、巣まで乗っ取る恐ろしい蛾です。
寄生されていると、育房のなかから芋虫がいる可能性もあります。
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